“善玉”として知られているHDL-コレステロール(HDL-C)は、心臓の健康にそれほど大きな違いをもたらさないことを示すデータが報告された。白人と黒人の比較では、後者において特にその可能性が大きいという。米オレゴン健康科学大学のNathalie Pamir氏らの研究によるもので、詳細は「Journal of the American College of Cardiology(JACC)」に11月21日掲載された。
米国成人約2万4,000人を対象としたこの研究では、HDL-Cが低い白人は、冠動脈心疾患(CHD)のリスクがやや高くなることが分かった。しかし黒人ではそのような関連は見られなかった。また、白人か黒人かにかかわらず、HDL-Cが高い場合にCHDリスクが低下するという関連は見つからなかった。この結果を受けて、「CHDリスクの予測のためのHDL-Cの位置付けを再検討する必要がある」とする研究者も現れている。論文の上級著者であるPamir氏も、「CHDの古典的リスク因子が誰にでも同様の影響を及ぼすわけではない。治療ガイドラインは全ての人に役立つものであるべきだ」と述べている。