医療一般|page:248

妊婦における境界性パーソナリティ障害の有病率や特徴

 周産期リエゾン精神科サービスに紹介された妊婦における境界性パーソナリティ障害(BPD)の有病率や特徴について、オーストラリア・Child and Adolescent Mental Health ServicesのKatharina Nagel氏らは、調査を行った。The Australian and New Zealand Journal of Psychiatry誌オンライン版2021年2月26日号の報告。  周産期リエゾン精神科サービスに紹介された女性318人を対象に、人口統計学的および臨床的データ、DSM-V基準による診断データを18ヵ月間記録した。データ分析には、記述統計およびロジスティック回帰分析を用いた。

統合失調症患者の乳がん、術後合併症が多い~日本の全国データ

 統合失調症患者は一般集団より乳がん発症リスクが高いが、乳がんの術後合併症を調査した研究はほとんどない。今回、東京大学の小西 孝明氏らの研究から、統合失調症患者では精神疾患のない患者より乳がんの術後合併症発生率や入院の総費用が高いことが示唆された。British Journal of Surgery誌2021年3月号に掲載。  本研究は、全国的な入院患者データベースから、2010年7月~2017年3月にStage 0~III乳がんで手術を受けた患者を特定し、多変量解析を用いて統合失調症患者と精神疾患のない患者について術後合併症と入院費用を比較した。感度分析は、入院時の年齢・施設・年度で1:4にマッチングさせたペアコホート分析、抗精神病薬を服用していなかった統合失調症患者を除外した分析、意思に反して入院した統合失調症患者を除外した分析の3つを実施した。

日本人高齢者の認知症リスクと近隣歩道環境~日本老年学的評価研究コホート

 日常生活に欠かせない環境資源の1つである歩道は、身体活動を促進するうえで重要なポイントとなる。しかし、先進国においても歩道の設置率は十分とはいえない。東京医科歯科大学の谷 友香子氏らは、日本における近隣の歩道環境と認知症リスクとの関連を調査した。American Journal of Epidemiology誌オンライン版2021年2月19日号の報告。  地域在住の高齢者の人口ベースコホート研究である日本老年学的評価研究の参加者を対象に、3年間のフォローアップ調査(2010~13年)を実施した。公的介護保険制度のデータより高齢者7万6,053人の認知症発症率を調査した。436ヵ所の住宅近隣ユニットの道路面積に対する歩道の割合を、地理情報システムを用いて算出した。認知症発症率のハザード比(HR)は、マルチレベル生存モデルを用いて推定した。

mRNAワクチン、無症候性感染リスクも低下/大規模調査

 新型コロナウイルスワクチンは無症候性感染にも有効なのか。米国・メイヨークリニックのAaron J. Tande氏らによる大規模調査によって、ワクチン接種によって 無症候性の感染リスクも低下することがわかったという。Clinical Infectious Diseases誌オンライン版2021年3月10日号掲載の報告。  該当地域においてワクチン接種が始まった2020年12月17日から2021年2月8日の間に、処置/手術前にSARS-CoV-2検査を受けた無症状の患者(3万9,156例)の検査4万8,333件を対象として、後ろ向きコホート研究を実施した。

最近発症した統合失調症患者の認知機能に対するアリピプラゾール持続性注射剤の影響

 統合失調症患者の認知機能に対するアリピプラゾールの有用性は、これまでの報告で明らかとなっているが、最近発症した統合失調症患者を対象とした報告はあまりなかった。認知機能障害には、統合失調症の病態生理に関与しているカテコール-O-メチルトランスフェラーゼ(COMT)、メチレンテトラヒドロ葉酸還元酵素(MTHFR)、セロトニントランスポーター(SERT)の遺伝子多型が関連しているといわれている。クロアチア・University Hospital Centre Sestre MilosrdniceのVjekoslav Peitl氏らは、アリピプラゾール持続性注射剤(LAI)のCOMT、MTHFR、SERT遺伝子多型への短期的な影響および最近発症した統合失調症入院患者の臨床症状や認知機能に対するこれらの関連について検討を行った。Psychopharmacology誌オンライン版2021年2月13日号の報告。

CGRPを標的とした片頭痛治療薬の作用機序比較

 カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)を標的とした片頭痛治療薬の臨床効果は、片頭痛の病因に対し重要な役割を果たしている。3つのCGRPリガンドに対する抗体(fremanezumab、ガルカネズマブ、eptinezumab)とCGRP受容体に対する抗体(erenumab)は、米国において片頭痛予防に承認された薬剤である。また、2つの小分子CGRP受容体拮抗薬(ubrogepant、rimegepant)は、急性期片頭痛の治療薬として承認されている。片頭痛の治療では、CGRPリガンドまたは受容体を標的とすることが効果的であるが、これらの治療薬を比較したエビデンスは十分ではなかった。米国・Teva BiologicsのMinoti Bhakta氏らは、これらCGRPを標的とした薬剤における作用機序の違いを明らかにするため、検討を行った。Cephalalgia誌オンライン版2021年2月24日号の報告。

mRNAワクチン後のアナフィラキシー、医療者で報告多い?/JAMA

 Pfizer-BioNTech社およびModerna社のmRNA新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチンについて、米国の医療従事者約6万5,000人を対象に、初回接種後の急性アレルギー反応発生状況について調査が実施された。マサチューセッツ総合病院のKimberly G. Blumenthal氏らによる、JAMA誌オンライン版2021年3月8日号リサーチレターでの報告。  2020年12月16日~2021年2月12日(フォローアップは2月18日まで)に、mRNA COVID-19ワクチンの初回投与を受けたMass General Brigham(MGB;ボストンを拠点とする非営利の病院および医師のネットワーク)の従業員が前向きに調査された。ワクチン接種後3日間、従業員は電子メール、テキストメッセージ、電話、スマートフォンアプリケーションのなどを通じて症状を報告した。

リスク低減卵管卵巣摘出術で乳がんリスクは減少するか/JAMA Oncol

 これまで不明であったリスク低減卵管卵巣摘出術(risk reducing salpingo-oophorectomy:RRSO)と乳がんリスクとの関連が明らかにされた。カナダ・ウェスタン大学のYun-Hee Choi氏らはケースシリーズ研究を行い、BRCA1またはBRCA2病的バリアント保持女性に対するRRSOは、術後5年間の乳がんリスク低下、ならびにBRCA1病的バリアント保持者での長期的な累積乳がんリスクと関連することを示した。著者は、「RRSOの主たる適応症は卵巣がんの予防であるが、RRSOの実施とそのタイミングに関する臨床的な意思決定を導くために、乳がんリスクとの関連を評価することも重要である」とまとめている。BRCA1/2病的バリアントを有する女性は、乳がんおよび卵巣がんの発症リスクが高いことが知られる。通常は集中的な監視を行いRRSOも考慮される。RRSOは、卵巣がんのリスクを低減することが知られているが、乳がんリスクとの関連は不明であった。JAMA Oncology誌オンライン版2021年2月25日号掲載の報告。

潰瘍性大腸炎、患者の90%が持つ自己抗体を発見/京大

 潰瘍性大腸炎(UC)は、その発症に免疫系の異常が関連していると考えられているが、原因はいまだ解明されておらず、国の指定難病となっている。京都大学・塩川 雅広助教らの研究グループは3月9日、潰瘍性大腸炎患者の約90%に認められる新たな自己抗体を発見したことを発表した。現在、この自己抗体を測定する検査キットを企業と共同開発中。Gastroenterology誌オンライン版2021年2月12日号に掲載。  本研究は、潰瘍性大腸炎患者112例と対照患者165例が登録された。潰瘍性大腸炎は、症状、内視鏡所見、組織学的所見、および代替診断の欠如の組み合わせによって診断。血清サンプルは、2017年7月~2019年11月までに京都大学医学部附属病院で採取され、潰瘍性大腸炎患者112例と対照患者155例が、それぞれトレーニング群と検証群に分けられた。

うつ病の再発予防に対する非薬理学的介入~ネットワークメタ解析

 うつ病に対する予防的介入を発見することは、臨床診療において重要な課題である。中国・重慶医科大学のDongdong Zhou氏らは、成人うつ病患者における再発予防に対する非薬理学的介入の相対的有効性の比較検討を行った。Journal of Affective Disorders誌2021年3月1日号の報告。  再発予防に対する非薬理学的介入を調査したランダム化比較試験を検索し、ベイジアンネットワークメタ解析を実施した。95%信頼区間(CI)のエフェクトサイズをハザード比(HR)として算出した。非一貫性(globalとlocal)、異質性、推移性を評価した。積極的な治療群と対照群または抗うつ薬(ADM)治療群とを比較した結果について、信頼性を評価した。

GSK/Vir社の新型コロナ治療薬が入院・死亡リスクを85%低減、変異株にも有効か/第III相試験中間解析

 グラクソ・スミスクライン(本社:英国、以下GSK)は、3月15日、Vir Biotechnology,Inc.(本社:米国、以下Vir 社)と共同開発したCOVID-19治療薬VIR-7831/GSK4182136について、第III相試験 COMET-ICE(COVID-19 Monoclonal antibody Efficacy Trial-Intent to Care Early)で、入院・死亡リスクを85%低減させたとする中間解析を発表した。両社は今後、米国における緊急使用許可申請と、他国での承認申請を進める予定だ。本結果により十分な有効性が確認されたとして、3月10日、独立データモニタリング委員会が本試験への追加の被験者組み入れを中止するよう勧告した。

飲酒と乳がんリスク~日本人16万人の解析

 欧米の研究から、飲酒が乳がんリスクを上昇させることが報告されている。しかし、日本人女性は欧米人女性より飲酒習慣が少なく、またアセトアルデヒドの代謝酵素の働きが弱い人が多いなど、飲酒関連の背景が欧米とは異なる。これまで日本人を対象とした大規模な研究は実施されていなかったが、今回、愛知県がんセンターや国立がん研究センターなどが共同で日本の8つの大規模コホート研究から約16 万人以上を統合したプール解析を行い、乳がんリスクと飲酒との関連を検討した。その結果、閉経前女性では飲酒により乳がん罹患リスクが上昇したことを愛知県がんセンターの岩瀬 まどか氏らが報告した。International Journal of Cancer誌オンライン版2021年1月26日号に掲載。

「腫瘍内科専門医」は新専門医制度で何が変わる?/日本臨床腫瘍学会

 日本臨床腫瘍学会の専門医制度は、新専門医制度の中で主に内科を基本領域とする「サブスペシャルティ領域専門医」として日本専門医機構より認定された。名称は「腫瘍内科専門医」とされ、今秋・遅くとも来春からの研修開始を目指して最終調整が進められている。第18回日本臨床腫瘍学会学術集会(JSMO Virtual2021)ではこの新専門医制度についてシンポジウムが開催された。本稿では、その概要について解説した田村 研治氏(島根大学医学部附属病院先端がん治療センター)の講演内容を紹介する。

汎HER阻害薬poziotinib、EGFRおよびHER2 exon20変異NSCLCに有望な評価/ESMO-TAT2021

 2021年3月1〜2日に開催されたESMO Targeted Anticancer Therapies(TAT)Virtual Congress 2021の発表によると、EGFR exon20変異を有する転移のある非小細胞肺がん(NSCLC)患者において、汎HER阻害薬poziotinibは臨床的利益と許容できる安全性を示した。さらに、研究は、EGFRまたはHER2のexon20変異を有する患者において、poziotinibの1日2回の投与が1回投与に比べ安全性プロファイルが改善される可能性があることを示した。このpoziotinibの研究はマルチコホート第II相ZENITH20試験である。

ドンペリドン、胎児の奇形リスクなし/国内大規模データベース

 制吐薬ドンペリドンは動物実験で催奇形性が示されたことから、従来、妊婦禁忌とされてきた。しかし、つわりと知らずに服用し妊娠が判明した後に気付いて妊娠継続に悩む女性が少なくない。一方で、本剤は米国で発売されていないことから疫学研究も少なく、安全性の根拠に乏しい面もあった。今回、国立成育医療研究センターの「妊娠と薬情報センター」と虎の門病院は、両施設が保有する1万3,599例もの妊娠中の薬剤曝露症例のデータベースを用いて、ドンペリドンの催奇形性を解析。その結果、妊娠初期に本剤を服用した例と、リスクがないことが明らかな薬のみを服用した例では、奇形発生率に有意な差は見られなかった。The Journal of Obstetrics and Gynaecology Research誌オンライン版2021年2月25日号に掲載。

親または教師におけるADHDの診断精度

 小児や青年における注意欠如多動症(ADHD)の発見において親または教師の診断精度および親と教師における診断や症状の一致率について、トルコ・エーゲ大学のAkin Tahillioglu氏らが調査を行った。Nordic Journal of Psychiatry誌オンライン版2021年2月22日号の報告。  ADHD診断が行われていないコミュニティサンプルより6~14歳の小児および青年417人を対象に、半構造化された親および教師のADHD Rating Scale-IVを用いて評価を行った。ADHDの診断を確実にするため、障害の基準を考慮した。各カテゴリーのサンプルより、感度、特異性、陽性予測値、陰性予測値、診断精度の測定値を算出した。そのうえで、親および教師の報告内容の一致率を調査した。

新型コロナワクチン、無症候性感染者を94%予防か/ファイザー

 米国・Pfizer社、ドイツ・BioNTech社、イスラエル保健省(MoH:Ministry of Health)は、イスラエルでの集積データから同社が製造する新型コロナウイルス感染症のmRNAワクチン(BNT162b2)の新型コロナウイルス感染症(以下、新型コロナ)の発症や入院、死亡を予防する効果は、症候性の場合で少なくとも97%、無症候性の場合で94%だったことを3月11日付けのプレスリリースで発表した。また、今回のデータ解析からワクチン接種を受けていない人は症候性の新型コロナを発症する可能性は44倍高く、新型コロナが原因で死亡する可能性は29倍高いことも示唆されたという。

ペムブロリズマブ、TMB-High固形がんに国内承認申請/MSD

 MSDは、2021年3月11日、抗PD-1抗体ペムブロリズマブ (商品名:キイトルーダ)について、がん化学療法後に増悪した進行・再発の腫瘍遺伝子変異量高スコア(TMB-High)を有する固形がんに対する製造販売承認事項一部変更承認申請を行った。がん種横断的に共通するバイオマーカーに基づいた承認申請としては、2018年に承認を取得した高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-High)を有する固形がんに次いで、2件目の申請となる。  腫瘍遺伝子変異量(TMB)とは、腫瘍細胞に生じた遺伝子変異量で、ゲノムコーディング領域1メガ塩基 (megabase) 当たりの非同義体細胞遺伝子変異数として示され、10変異/megabase以上である状態をTMB-Highと定義している。TMB-Highの腫瘍では、ネオアンチゲンがより多く誘導され、免疫チェックポイント阻害薬に対して良好に反応する可能性があるとされ、悪性黒色腫、非小細胞肺がん、大腸がん、子宮内膜がんなどで比較的多く見られると報告されている。

研修医の勤務時間と自習時間に関連は?

 4月から医師の初期・後期臨床研修をひかえ、研修医の成長に必要なことは何であろう。研修医にとって十分な自習時間は、専門能力開発にとって重要であり、臨床知識の習得と自習時間は正の関係にあるとされている。2024年以降、わが国で研修医の義務勤務時間が制限されることもあり、水戸協同病院総合診療科の長崎 一哉氏らのグループは、研修医の勤務時間と学習習慣との関連を初期臨床研修医の基本的臨床能力評価試験(GM-ITE)を基に評価を行った。

非情動性精神疾患に対する持続性注射剤抗精神病薬~ネットワークメタ解析

 非情動性精神疾患の成人患者に対する長時間持続性注射剤(LAI)抗精神病薬による維持療法の再発予防および受容性について、イタリア・ベローナ大学のGiovanni Ostuzzi氏らは、検討を行った。The American Journal of Psychiatry誌オンライン版2021年2月18日号の報告。  MEDLINE、Embase、PsycINFO、CINAHL、CENTRALなどより、2020年6月までに公表されたランダム化比較試験を検索した。相対リスクと標準化平均差は、ランダム効果ペアワイズおよびネットワークメタ解析を用いてプールした。主要アウトカムは、再発率およびすべての原因による中止(受容性)とした。研究の質はCochrane Risk of Bias toolを、プールされた推定値の確実性はGRADE(Grading of Recommendations Assessment, Development, and Evaluation)を用いて評価した。