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精神疾患患者の激越症状に対する新旧治療戦略

 双極性障害や統合失調症患者の急性激越症状に対する治療は、多面的かつ機能的な課題であり、医療従事者にとって独特で複雑なチャレンジといえる。イタリア・University of Siena School of MedicineのGiovanni Amodeo氏らは、統合失調症または双極性障害の激越患者に対し、どの薬剤が最も有効であるかについて検討を行った。CNS & neurological disorders drug targets誌オンライン版2017年9月18日号の報告。

治療抵抗性うつ病、抗うつ薬併用 vs.抗精神病薬増強

 治療抵抗性うつ病患者は、抗うつ薬の併用療法(ADs)または第2世代抗精神病薬(SGA)の増強療法(SGA+AD)で治療されるが、臨床的特徴、SGA+ADへの治療反応と独立して関連する因子、アウトカムの経過についてはよくわかっていない。カナダ・マギル大学のGabriella Gobbi氏らは、治療抵抗性うつ病に対するADsおよびSGA+ADの治療効果について検討を行った。International clinical psychopharmacology誌オンライン版2017年9月12日号の報告。

糖尿病のリスクが放射線によるがんリスクより増加

 2011年の福島原発事故は、住民の生活習慣病や放射線被ばくなどの複数のリスクの増加と恐怖を引き起こした。福島県立医科大学の村上 道夫氏らが、原発事故関連の放射線によるがんリスクと糖尿病リスクの増加について損失余命(LLE)を用いて評価したところ、糖尿病関連のLLEが放射線被ばくによるがん関連のLLEを大きく上回った。PLOS ONE誌2017年9月28日号に掲載。

ニボルマブ、導入療法後の転移性トリプルネガティブ乳がんで有望な効果(TONIC試験)/ESMO2017

 転移性トリプルネガティブ乳がん(TNBC)に対する、放射線照射または化学療法後のニボルマブによる治療の奏功率が、これまでのPD-1 / PD-L1阻害薬の単剤療法による奏効率と比較して有望なことが、スペイン・マドリードで開催された欧州臨床腫瘍学会(ESMO 2017)で報告された。

ペムブロリズマブ、PD-L1陽性の胃・食道胃接合部腺がんに承認/FDA

 Merck & Co., Inc.,は2017年9月22日、ペムブロリズマブ(商品名:キイトルーダ)について、米国食品医薬品局(FDA)がPD-L1陽性(Combined Positive Score;CPS≧1%)と判定され、2回以上の前治療後に進行した、局所進行再発・転移性胃がんまたは食道胃接合部腺がん患者の治療薬としてFDAから承認されたと発表した。この適応症は、奏効率および奏効期間のデータを基にFDAの迅速承認制度で承認された。本適応の承認継続は、検証的試験において臨床上の効果の確認が条件となる。

乾癬患者はアルコール関連死亡リスクが高い

 乾癬と診断された人々は早期死亡のリスクが高いが、その根底にある原因はわかっていない。英国・マンチェスター大学のRosa Parisi氏らは、集団ベースのコホート研究において、乾癬を有する人々は、同じ年齢および性別の一般集団と比較し、アルコールが関連した原因により死亡するリスクが約1.6倍になることを明らかにした。このことは、早期死亡率の差の鍵を握る1つの原因であると思われ、著者は「乾癬患者に対しては、一次および二次医療のいずれにおいても、飲酒習慣スクリーニングテスト(Alcohol Use Disorders Identification Test:AUDIT-C)を用いアルコール消費および乱用についてルーティンにスクリーニングを行い、リスクの高い患者の特定と治療が必要である」と指摘している。JAMA Dermatology誌オンライン版2017年9月15日号掲載の報告。

LDL-Cが低い人でもスタチンは有用か

 LDLコレステロール(LDL-C)の管理とスタチン治療戦略に関する推奨は、ガイドラインによって異なる。国立国際医療研究センターの辻本 哲郎氏らの前向きコホート研究の結果、スタチン治療はLDL-C値が低い場合も高リスク患者の全死亡率を下げるために有効であることが示唆された。The American Journal of Cardiology誌オンライン版2017年8月30日号に掲載。

うつ病になりやすい性格

 3つの性格特性、神経症(neuroticism)の傾向、外向性(extraversion)、適度な誠実性(conscientiousnes)の相互の影響が、健常な人々の抑うつ症状を予測している。この効果が、引きこもり(withdrawal)、勤勉(industriousness)、熱意(enthusiasm)といった3つの低次特性によって引き起こされるかを、米国・Centre for Addiction and Mental HealthのTimothy A. Allen氏らが検討し、この相互の影響を臨床集団内で初めて複製した。Journal of personality誌オンライン版2017年9月16日号の報告。

ランジオロールの心臓手術後AF抑制作用

 ランジオロールは、心臓手術後1週間以内の心房細動(AF)発症を抑制することが、高知医科大学の田村 貴彦氏らによる研究で明らかになった。また、ランジオロール非投与群と比較して、院内死亡率および合併症発症率に有意な差は認められなかった。Journal of Clinical Anesthesia誌2017年11月号(オンライン版2017年7月21日号)の報告。

医師から情報提供あったのは約2割~遺伝性乳がん・卵巣がん

 アストラゼネカ株式会社(本社:大阪市北区、代表取締役会長:マーク・デュノワイエ)は、9月最終週の「遺伝性乳がん・卵巣がん(HBOC)啓発週間」に合わせて、乳がん・卵巣がん患者を対象にHBOC関連情報へのニーズと情報の入手状況についての調査を実施。その結果、患者の6割以上は診療時に医師からHBOCの情報を得たいと思っていたにもかかわらず、実際に情報を得ることができたと回答したのは約2割に留まっていることが明らかとなった。

小児不安症に効果的な治療は

 小児における不安症は、一般的に認められる。複数の治療オプションが存在するが、既存のガイドラインでは、どの治療を使用するかについて一貫性がない。米国・メイヨー・クリニックのZhen Wang氏らは、小児不安症に対する認知行動療法(CBT)および薬物療法の有効性および有害事象を比較し、評価を行った。JAMA pediatrics誌オンライン版2017年8月31日号の報告。

ニボルマブ、既治療胃がんに良好な効果持続(ATTRACTION-02アップデート)/ESMO2017

 2レジメン以上に抵抗性を示した進行胃・胃食道接合部(G/GEJ)がんの予後は不良である。これらのがんにおいては、ニボルマブなどのPD-1阻害薬の効果が期待される。ATTRACTION-02は、上記患者において、日本、韓国、台湾で行われたニボルマブの第III相試験である。スペイン・マドリードで行われた欧州臨床腫瘍学会(ESMO2017 Congress)では、同試験の追跡結果とPD-L1発現レベルによる有効性について、国立がん研究センター中央病院の朴成和が発表した。

統合失調症とω3脂肪酸:和歌山県立医大

 統合失調症患者の機能的アウトカムに認知機能障害は強く関連しているが、その病態生理はよくわかっていない。健常人および精神神経疾患患者の認知機能に対するω3脂肪酸の関与が注目されている。和歌山県立医科大学の里神 和美氏らは、統合失調症患者におけるω3脂肪酸と認知機能、社会的機能、精神症状との関連を調査した。Schizophrenia research誌2017年5月18日号の報告。

抗PD-L1抗体アベルマブ、メルケル細胞がんに国内承認

 メルクセローノ株式会社(代表取締役社長:レオ・リー)とファイザー株式会社(代表取締役社長:梅田一郎)は2017年9月27日、両社が共同開発を行っている抗PD-L1抗体アベルマブ(商品名:バベンチオ点滴静注200mg)について、「根治切除不能なメルケル細胞癌」の効能・効果で厚生労働省より製造販売承認を取得したと発表。

加齢黄斑変性の発症に新たな知見

 加齢黄斑変性(AMD)患者の血漿中代謝物プロファイルは、非AMD患者と異なっており、多くの重大な代謝物がグリセロリン脂質経路に認められることを、米国・ハーバード大学医学大学院のInes Lains氏らが、質量分析法を用いたメタボローム解析により明らかにした。著者らは、「今回得られた知見は、AMDの発症原因に関する理解を深め、AMDの血漿中代謝バイオマーカーの開発を支援し、新しい治療ターゲットを特定できる可能性を示唆するものであった」とまとめている。Ophthalmology誌オンライン版2017年8月31日号掲載の報告。