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うつ病評価尺度HAM-D6の有効性は

 世界でうつ病の重症度に関する情報を含む項目を特定するための調査では、ハミルトンうつ病評価尺度17項目(HAM-D17)に由来した、HAM-D6が使用されるようになり、幅広い研究に用いられてきた。デンマーク・コペンハーゲン大学のN. Timmerby氏らは、HAM-D17およびモントゴメリー・アスベルグうつ病評価尺度(MADRS)と比較した、HAM-D6の臨床的特性のシステマティックレビューを行った。Psychotherapy and psychosomatics誌86号の報告。

双極性障害の診断遅延は避けられないのか

 双極性障害(BD)の診断は、初期の診断でうつ病とされることが多く、BDの正確な診断や治療の遅れにつながっている。これまでの調査では、うつ病からBDへの診断変更の予測因子に焦点が当てられてきたが、この診断遅延の調査は多くはない。オーストラリア・シドニー大学のKristina Fritz氏らは、この診断遅延を説明できそうな患者の特徴や心理的要因をさらに理解するため、うつ病の初期診断後にBDと診断されるまでにかかった時間を検討した。Bipolar disorders誌オンライン版2017年5月22日号の報告。

たこつぼ症候群の季節変動~日本のコホート研究

 たこつぼ症候群(TTS)の発症における季節的な変動が報告されているが、季節と患者特性の関係や季節による転帰への影響は不明である。東京大学の磯貝 俊明氏らがわが国のDiagnosis Procedure Combination(DPC)データベースを用いて検討したところ、TTSの院内死亡率に季節の影響がないようにみえるものの、月間変動がある可能性が示唆された。また、TTS患者における男性の割合、精神疾患・敗血症患者の割合、心室性不整脈発症率に有意な季節変動がみられた。Heart and vessels誌オンライン版2017年6月7日号に掲載。

認知症者への向精神薬投与は死亡率を高めているか

 認知症高齢者によく用いられる向精神薬は、死亡率の上昇と関連しているといわれている。これまでの研究では、このリスクに関する性差は調査されていない。スウェーデン・ウメオ大学のJon Brannstrom氏らは、認知症高齢者における抗精神病薬、抗うつ薬、ベンゾジアゼピンの使用と2年間の死亡率との関連を分析し、性差に関する調査を行った。BMC pharmacology & toxicology誌2017年5月25日号の報告。

心不全・心機能低下のないAMI患者におけるβ遮断薬と死亡率の関係

 心不全のない急性心筋梗塞(AMI)患者において、β遮断薬が死亡率を低減させるかどうかについては、はっきりしていない。そこで英国リーズ大学のTatendashe B. Dondo氏らの研究グループは、左心機能の保たれたAMI患者において、β遮断薬と死亡率の関連について検討した。Journal of the American College of Cardiology誌2017年6月号に掲載。

患者報告による症状モニターが、外来進行がんのOSを有意に延長/ASCO2017

 経口抗がん剤の増加により、外来診療が増加している。そのような中、患者の合併症管理は大きな問題となりつつある。進行がんでは症状が頻繁に起こるが、患者が医療者に報告するにはさまざまな障害がある。過去の研究結果によれば、診療医が患者の症状に気付くのは半分との報告ある。質の高いがん診療の管理には症状モニタリングが鍵といえる。そこで、Webベースによる症状モニタリングと患者報告を組み合わせたシステムと、通常ケアの結果を比較する大規模な単一施設無作為化比較試験の生存に関する結果が、University of North CarolinaのEthan Basch氏により米国臨床腫瘍学会年次大会(ASCO2017)で発表された。

地球温暖化で網膜剥離のリスク増加?

 外気温の上昇が、牽引性網膜剥離のリスク上昇と関連する可能性が、カナダ・ケベック州公衆衛生研究所(INSPQ)のNathalie Auger氏らによる検討で示された。網膜剥離で入院した患者について調査した結果、高い外気温が牽引性網膜剥離のリスク増加と関連している可能性が示唆されたという。著者は、「気候変動を考慮し、眼や他の感覚器に及ぼす熱波の影響をよく理解する必要がある」とまとめている。網膜剥離は視力障害の重大な原因であるが、これまで屋外の高温曝露との関連は検討されていなかった。Environmental Research誌オンライン版2017年5月23日号掲載の報告。

アビラテロン+ADT、転移前立腺がんのOSを38%改善/ASCO2017

 アンドロゲン除去療法(ADT)+ドセタキセルはホルモン療法未治療前立腺がん(mHNPC)の標準治療となっている。一方、去勢抵抗性前立腺がん(CRPC)は増加しており、米国では前立腺がんの3%、欧州では6%、さらにアジア・パシフィックでは60%を占める。CRPCでは早期から、アンドロゲン受容体のシグナル伝達再活性化がみられADTへの耐性となる可能性がある。ADTだけではアンドロゲン合成を阻害することはできない。去勢抵抗性発現以前に、CRPC治療薬であるアビラテロン酢酸エスエル(AA)を投与することで、mHNPCの生存は改善するのか。LATITUDE試験は、高リスクmHNPC患者において、ADTにAA+P(プレドニゾロン)を追加した臨床的利益を評価する第III相プラセボ対照二重盲検試験である。本試験の初回中間解析の結果が、フランスInstitute of Gustave RoussyのKarim Fizazi氏らにより米国臨床腫瘍学会年次大会(ASCO2017)で発表された。

実臨床における抗精神病薬持効性注射剤のメリット

 統合失調症における再発予防は、重要な目標である。しかし、統合失調症患者は抗精神病薬の服薬アドヒアランスが不良であり、それは度重なる再入院や実質的な治療費の負担をもたらす。イタリア・ASST-Monza Ospedale San GerardoのEnrico Biagi氏らは、統合失調症に対する長時間作用型持効性注射剤(LAI)抗精神病薬の文献レビューを行った。Advances in therapy誌2017年5月号の報告。

日本人の脳卒中予防に最適な身体活動量~JPHC研究

 欧米人より出血性脳卒中が多いアジア人での身体活動量と脳卒中の関連についての研究は少ない。わが国の多目的コホート研究であるJPHC研究(Japan Public Health Center-based Prospective Study、主任研究者:津金昌一郎氏)で、脳卒中予防のための身体活動の最適レベルを検討したところ、日本人では過度の激しい活動は出血性脳卒中の予防に有益ではなく、不利益にさえなる可能性があることが示唆された。今回の結果から、脳卒中予防には中等度の活動による中等度の身体活動量が最適であろうとしている。Stroke誌オンライン版2017年6月5日号に掲載。

高齢者糖尿病診療ガイドライン2017発刊

 「高齢者糖尿病の治療向上のための日本糖尿病学会と日本老年医学会の合同委員会」による 「高齢者糖尿病の血糖コントロール目標について」(2016年5月)を受け、2017年5月開催の第60回 日本糖尿病学会年次学術集会において、『高齢者糖尿病診療ガイドライン 2017』(編・著 日本老年医学会・日本糖尿病学会)が書籍として発刊された。

せん妄ケアの重要性、死亡率への影響を検証

 認知症入院患者は、せん妄リスクが高いが、認知症に併発したせん妄(delirium superimposed on dementia:DSD)が患者アウトカムに及ぼす影響については、あまり知られていない。ブラジル・サンパウロ大学のThiago J. Avelino-Silva氏らは、高齢者入院患者におけるDSDと院内死亡率および12ヵ月間の死亡率との関連を調査した。PLOS medicine誌2017年3月28日号の報告。

EGFR変異陽性肺がんの再発リスクを40%減、ゲフィチニブ補助療法/ASCO2017

 非小細胞肺がん(NSCLC)と診断された患者の20~25%は手術適応である。プラチナベースの術後補助化学療法は、Stage II~IIIA非小細胞肺がん(NSCLC)の患者のスタンダードとなっている。一方、EGFR-TKIは進行EGFR変異陽性NSCLC1次治療の標準である。しかし、EGFR-TKIによる術後補助化学療法については、過去のBR19やRADIANT試験からも利点は証明されていない。