医療一般|page:465

雌との遭遇意欲低下、うつモデルマウス:大阪大学

 大阪大学の吾郷 由希夫氏らは、うつ病を含む精神障害の重要な指標である意欲低下を評価する新たな手段として、雄マウスの雌マウスとの遭遇テストを検討した。その結果、雄マウスのうつ病モデルでは雌マウスとの遭遇を好む傾向が低下すること、この低下はフルボキサミンなどで軽減されることを報告し、本手法が雄マウスの意欲の評価に有用である可能性を報告した。International Journal of Neuropsychopharmacology誌オンライン版2015年5月29日号の掲載報告。

抗真菌活性を有する新たなピーナッツアレルゲンを同定

 ピーナッツは、最も危険な食物アレルギーの原因の1つで、未知のアレルゲンが親油性マトリックスの中にまだ隠されている。ピーナッツアレルギー患者がアレルギーを起こすリスクを推定し診断法を改善するためには、こうしたアレルゲンを発見する必要がある。ドイツ・ボルステル研究所のArnd Petersen氏らは、この問題に取り組み、新しいピーナッツアレルゲン(Ara h 12およびAra h 13)として、とくに重度ピーナッツアレルギー患者のIgEと反応するディフェンシンを同定した。

双極性障害への非定型抗精神病薬、選択基準は

 米国ケース・ウェスタン・リザーブ大学のKeming Gao氏らは、双極性障害に対する各種非定型抗精神病薬の有効性と安全性について、治療必要数(NNT)または有害事象による治療中止(DAE)という観点でレビューを行った。その結果、FDAに承認されている薬剤においてNNTの差異は小さかったが、DAEに関する有害必要数(NNH)の差異は大きかったことを示した。結果を踏まえて、著者らは「非定型抗精神病薬の選択は安全性および忍容性に基づくべきである」と提言している。Neuroscience Bulletin誌オンライン版2015年5月30日号の掲載報告。

幼若脳への放射線照射、どのような影響を及ぼすか

 放射線療法は小児脳腫瘍に対する一般的な治療であるが、しばしば認知機能低下を含む遅発性の後遺症を引き起こす。その機序としては、海馬でのニューロン新生の抑制が部分的に関与していると考えられている。しかし、若年者の成長過程にある脳への放射線照射が歯状回のニューロンネットワークにどのような変化をもたらすかはまだよくわかっていない。スウェーデン・ヨーテボリ大学のGinlia Zanni氏らは、マウスを用いた研究を行い、成熟脳への照射では長期増強(LTP)の減少のみが引き起こされるが幼若脳ではさらに長期抑圧(LTD)も生じ、成熟脳と幼若脳とで長期シナプス可塑性に対する全脳照射の影響が異なることを明らかにした。結果を踏まえて著者らは、「シナプス変性のメカニズムを解明する必要はあるが、今回の知見は発達過程の脳への放射線照射の影響、ならびに頭部放射線療法を受けた若年者にみられる認知機能障害の理解につながる」とまとめている。Developmental Neuroscience誌オンライン版2015年6月2日号の掲載報告。

甲状腺がん分子標的治療の適正な対象・開始時期は?

 甲状腺がん治療は手術が第1選択であるが、切除不能な場合の治療選択肢は限られていた。近年、根治切除不能な甲状腺がんに有効な分子標的薬が登場し、期待されている。6月11日、都内で「甲状腺がん-その実態と治療 最前線」と題したプレスセミナー(主催:エーザイ株式会社)が開催され、国立がん研究センター東病院頭頸部内科 科長の田原 信氏が、甲状腺がんの治療の実際、分子標的治療から今後の課題を含めて解説した。

精神疾患患者の認知機能と炎症マーカーとの関連が明らかに

 統合失調症および双極性障害における認知障害の基礎メカニズムについては、ほとんど明らかになっていないが、両障害における免疫異常が明らかになっており、炎症メディエーターが認知機能に関与している可能性が示唆されている。ノルウェー・オスロ大学のSigrun Hope氏らは、炎症マーカーと一般的認知能との関連を調べた。その結果、考えられる交絡因子で補正後も、両者間には有意な負の関連があることが示された。著者らは、「示された所見は、神経生理学的認知障害における炎症の役割を、強く裏付けるものであった」と述べている。Schizophrenia Research誌2015年7月号の掲載報告。

統合失調症女性のホルモンと認知機能との関連は

 これまで、統合失調症の女性患者において、ホルモン療法やオキシトシン投与により認知機能が強化されることが示唆されていた。米国・イリノイ大学のLeah H. Rubin氏らは、女性の統合失調症患者の認知機能に、月経周期中のホルモン変化がどのような影響を及ぼすかを調べた。検討の結果、まず、認知機能の性差は統合失調症においても認められること、オキシトシン値は月経周期において変化することはなく、女性においてのみ「女性ドミナント」タスクの強化と関連していることを明らかにした。Schizophrenia Research誌オンライン版2015年5月16日号の掲載報告。

タペンタドールはオキシコドンより有効で安全か

 オピオイドは慢性腰痛の治療にしばしば用いられるが、副作用のため長期投与の有益性は限られている。タペンタドールは、オピオイド受容体作動作用およびノルアドレナリン再取り込み阻害作用を有するオピオイド鎮痛薬で、他の強オピオイドと比較して有害事象の頻度が少なく重症度も低い可能性があることから、ポルトガル・リスボン大学のJoao Santos氏らはシステマティックレビューを行った。その結果、タペンタドール徐放性製剤は、プラセボおよびオキシコドンと比較して鎮痛効果があり、オキシコドンより安全性プロファイルおよび忍容性は良好であることが明らかとなった。ただし、著者は「鎮痛効果の差は大きくなく、治療中止率が高いことや、研究の結果に不均一性がみられることなどから、この結果の臨床的な意義は定かではない」とまとめている。Cochrane database of systematic reviews誌オンライン版2015年5月27日号の掲載報告。

統合失調症患者への抗うつ薬併用、効果はどの程度か

 抗精神病薬による適切な治療にもかかわらず、相当数の統合失調症患者が十分ではない臨床的アウトカムを示している。この問題の解決に向けて、これまでさまざまな精神薬理学を踏まえた併用療法が試みられており、その1つが抗精病薬治療への抗うつ薬の追加である。フィンランド・Kellokoski病院のViacheslav Terevnikov氏らは、統合失調症患者への治療について、抗精神病薬に種々の抗うつ薬を追加した際の有効性について検討した。その結果、抗うつ薬の種類によりさまざまな効果が認められたものの、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)に関しては明らかな有効性がみられなかったこと、抗うつ薬の追加により精神病の悪化はみられなかったことを報告した。International Journal of Neuropsychopharmacology誌オンライン版2015年5月19日号の掲載報告。

アトピー性皮膚炎は皮膚リンパ腫のリスク因子?

 アトピー性皮膚炎(AD)患者におけるリンパ腫のリスク増加について議論となっている。フランス・ポール サバティエ大学のLaureline Legendre氏らは、AD患者のリンパ腫リスクと局所治療の影響を検討する目的でシステマティックレビューを行い、AD患者ではリンパ腫のリスクがわずかに増加していることを明らかにした。ADの重症度が有意なリスク因子であった。この結果について著者は「重度ADと皮膚T細胞性リンパ腫の混同がリンパ腫リスクの増加の一因となっている可能性がある」と指摘したうえで、「局所ステロイド薬および局所カルシニューリン阻害薬が重大な影響を及ぼすことはなさそうだ」とまとめている。Journal of the American Academy of Dermatology誌2015年6月号(オンライン版2015年4月1日号)の掲載報告。

レビー小体病変を伴うアルツハイマー病、その特徴は

 遅発性アルツハイマー病(AD)では、しばしばレビー小体病変が認められる。韓国・仁済大学校医科大学のEun Joo Chung氏らは、レビー小体病変の存在がADの臨床表現型や症状進行に影響を及ぼすかどうかを検討する目的で、レトロスペクティブな病理学的コホート研究を行った。その結果、AD病変とレビー小体病変の両方を有する患者とAD病変のみの患者とでは臨床表現型が異なり、両者を識別できることが明らかとなった。著者らは、「ADにおけるレビー小体の頻度やレビー小体とAPOEε4アレルとの関係から、ADとレビー小体の病理学的なメカニズムは共通していることが示唆される」とまとめている。JAMA Neurology誌オンライン版2015年5月18日号の掲載報告。

9割の成人ADHD、小児期の病歴とは無関係

 米国・デューク大学のTerrie E. Moffitt氏らは、成人期注意欠如・多動症(ADHD)と小児期発症神経発達症との関連を明らかにするため、ニュージーランドで1972~1973年に生まれた1,037例について解析を行った。その結果、成人期ADHDの90%が小児期ADHD歴を有していないことを報告した。成人期ADHDは小児期発症神経発達症であるとの仮説が広く知られているが、これまで成人期ADHD患者の小児期に言及した長期前向き試験はなかったという。American Journal of Psychiatry誌オンライン版2015年5月22日号の掲載報告。

双極性障害、治療反応は予測できるか

 急性躁病または混合エピソードに対する抗精神病薬の一連の試験において、ヤング躁病評価尺度(YMRS)やMontgomery Asbergうつ病評価尺度(MADRS)による治療前の重症度評価は、うつ病、躁病、睡眠障害、判断力/衝動性、焦燥/敵意といった精神症状の主要構成要素の複合因子を特定するために用いられる。しかし、これらの因子が治療効果を予測するかどうかは不明である。米国・スタンフォード大学のMichael J Ostacher氏らは、双極性障害の治療反応を予測する因子について検討した。International journal of bipolar disorders誌オンライン版2015年5月号の報告。

リウマチ患者の治療満足度はコミュニケーションで向上

 米国ファイザー社は5月28日(現地時間)、世界13ヵ国の成人関節リウマチ患者3,600人以上を対象に行った調査の結果を発表した。同社の日本法人であるファイザー株式会社が6月8日に報告した。データによると、患者と医療従事者の関係、そして関節リウマチとその治療に対する患者の認識が疾患管理に影響する可能性が示唆されたという。

認知症と介護、望まれる生活環境は

 認知症患者が生活する環境デザインは納得できるもの、そして患者がパーソナルアイデンティティを強く保ち、彼らの能力を維持していけるようなものであるべきである。これまでは認知症患者がうまく生活することに重点を置いてきたため、終末期が近い患者の物理的環境支援へのニーズや希望が考慮されてこなかった。オーストラリア・ウーロンゴン大学のRichard Fleming氏らは、認知症患者が良好なQOLを保ちつつ人生の最期を迎えるのに適切な環境を明らかにするため、認知症患者、介護家族、医療従事者らからなるフォーカスグループインタビューを行った。その結果、環境デザインとして求められる15の特性についてコンセンサスが得られたことを発表した。BMC Palliative Care誌オンライン版2015年5月12日号の掲載報告。

オキシコドン/ナルトレキソン徐放性製剤、中~重度の慢性腰痛を改善

 オキシコドンの乱用防止製剤であるナルトレキソン含有オキシコドン徐放性製剤ALO-02は、中等度~重度の慢性腰痛を有意に改善し、安全性プロファイルは他のオピオイドと類似していることが、米国・Carolinas Pain InstituteのRichard L Rauck氏らによる第III相臨床試験で示された。Pain誌オンライン版2015年5月16日号の掲載報告。

第2世代抗精神病薬の評価試験実施は不十分

 米国・ペンシルベニア大学のGregory Kruse氏らは、医療技術評価(HTA)機関を支援するため、統合失調症患者に対し第2世代抗精神病薬の有用性を検討した試験のシステマティックレビューを行った。その結果、試験のタイプ、試験方法、アウトカムに大きなばらつきがあるうえ、HTAが好ましいとする試験のタイプは少なく、かつそれら試験は実施されていたとしてもバイアスリスクが高いことを報告した。PharmacoEconomics誌オンライン版2015年5月12日号の掲載報告。

うつ病と双極性障害、脳の感情調節メカニズムが異なる

 うつ病および双極性障害は、抑うつ期あるいは寛解期において臨床的な鑑別が困難である。この2つの気分障害は感情調節障害により特徴付けられるが、それぞれの感情制御の相違に関してはほとんど知られていない。オランダ・アムステルダム大学のMaria M. Rive氏らは、うつ病および双極性障害患者の抑うつ期および寛解期における感情調節の相違について、核磁気共鳴画像(MRI)を用いて検討した。その結果、抑うつ期と寛解期のいずれにおいても、happyあるいはsadという感情を調節している際の脳活性が両疾患の間で異なることを報告した。JAMA Psychiatry誌オンライン版2015年5月6日号の掲載報告。

スマホアプリで日焼け予防!?

 スマートフォンではアプリケーション(スマホアプリ)を利用し、ユーザーに応じた健康情報を提供することができる。米国・Klein Buendel社のDavid B. Buller氏らは、リアルタイムで日焼け防止のアドバイスを配信するスマホアプリの有用性を評価する無作為化臨床試験を行った。その結果、スマホアプリの使用する人が予想より低かったものの日焼け防止策を実践する人は増えたことを報告した。著者は「太陽下にいる時間と場所に応じて個人的にアドバイスを提供することは、日光曝露の減少に役立つだろう」とまとめている。JAMA Dermatology誌2015年5月号の掲載報告。