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大腸がん診断後のカルシウム・牛乳摂取量が生存率に関連

 カルシウム、ビタミンD、乳製品の高い摂取量は大腸がん発生率の低下と関連しているが、大腸がんの生存率に及ぼす影響は不明である。米国がん協会(ACS)のBaiyu Yang氏らは、大腸がん患者において、がん診断前後のカルシウム(全体、食事由来、サプリメント)、ビタミンD(全体、食事由来)、乳製品(全体、牛乳のみ)の摂取量と、全死因死亡率および大腸がん特異的死亡率との関連を評価した。その結果、非転移性大腸がん患者では、がん診断後における総カルシウムと牛乳の高い摂取量が死亡リスクの低下に関連する可能性が示唆された。Journal of Clinical Oncology誌オンライン版2014年6月23日号に掲載。

抗精神病薬服用が骨密度低下を引き起こすのか:千葉大学

 これまでに、統合失調症患者において長期の抗精神病薬服用により骨粗鬆症/骨減少症の高リスクが引き起こされる可能性を示唆するエビデンスが蓄積されてきた。しかし、抗精神病薬服用がどの程度、骨密度(BMD)低下を引き起こすのかについては明らかになっていなかった。千葉大学の沖田 恭治氏らは、統合失調症患者における第二世代抗精神病薬と骨代謝との関連について検討した。その結果、統合失調症患者のBMD低下について複雑な原因を示唆する知見が得られたことを報告した。Schizophrenia Research誌オンライン版2014年5月30日号掲載の報告。

がんの痛みは我慢しない! 疼痛管理の現状と問題点を第一人者がレクチャー

 6月24日、金原出版は、患者向けの解説書である『患者さんと家族のためのがんの痛み治療ガイド(第1版)』(特定非営利活動法人 日本緩和医療学会 緩和医療ガイドライン委員会編)の出版を記念し、編者の1人である佐藤 哲観氏(弘前大学医学部附属病院 麻酔科 緩和ケア診療室)を講師に迎え、「がんの痛みはとれるんです!」と題するプレスセミナーを開催した。同書は、患者にがん性疼痛管理の内容を知ってもらうために制作されたものである。

血圧変動は心血管イベントや死亡率を予測するか:日本を含む国際研究

 自由行動下血圧の血圧変動と死亡率や心血管イベントとの関連が議論されているが、血圧変動が高血圧患者における心血管イベントおよび死亡率を予測するかどうか、日本を含む国際研究において検討された。その結果、夜間の血圧変動が全死因死亡率、心血管疾患死亡率、心血管イベントの独立した予測因子であったことをイタリア・パドヴァ大学のPaolo Palatini氏らが報告した。Hypertension誌オンライン版2014年6月16日号に掲載。

冬季の血圧は外気温より室温に強く関連~日本における大規模研究

 冬季における脳心血管疾患による死亡率上昇は、冬季の気候が厳しい地域より外気温の低下が少ない地域で大きいことが報告されている。このことから、冬季の死亡率上昇は外気温よりも室温による影響が考えられる。これまで、皮膚温低下による血圧上昇、外気温低下による血圧上昇は報告されているが、室温が自由行動下血圧に及ぼす影響は明らかになっていない。奈良県立医科大学の佐伯 圭吾氏らは、室温および外気温と自由行動下血圧との関連性を比較し、寒い時期において外気温より室温のほうが血圧との関連が強いことを報告した。Journal of Hypertension誌オンライン版2014年6月16日号に掲載。

ADHD女性に対する薬物治療、その課題は

 英国・南エセックスパートナーシップ大学NHS財団トラストのFrank M C Besag氏は、出産可能年齢女性の注意欠如・多動症(ADHD)薬物治療に関する課題を提起した。ADHDに対する薬物治療が胎児や新生児に及ぼす影響に関する情報が少ないとしたうえで、治療継続あるいは治療中止が母子に及ぼす影響を慎重に考慮することの重要性を強調している。Drug Safety誌2014年6月号の掲載報告。

日本発! 大豆・イソフラボンの摂取は子宮内膜がん発症予防に関与するか

 日本人女性の集団ベース前向きコホート研究では、大豆やイソフラボンの摂取が子宮内膜がんの発症リスクを防ぐ関連性は認められないことが、国立がん研究センター・がん予防・検診研究センターのSanjeev Budhathoki氏らの報告によって明らかとなった。BJOG誌オンライン版2014年6月18日号掲載の報告。

治療抵抗性統合失調症に対する漢方薬「抑肝散」の有用性:島根大学

 統合失調症患者のうち抗精神病薬が無効の治療抵抗性患者は20~25%を占めると推定されている。漢方薬の抑肝散は、D2および5-HT1Aの部分的作用、5-HT2Aとグルタミン酸の拮抗作用を有しており、最近行われた試験において、認知症やその他の神経精神症状と関連した行動および精神症状の治療において、安全かつ有用であることが示されていた。今回、島根大学の宮岡 剛氏らによる多施設共同二重盲検プラセボ対照の無作為化試験の結果、治療抵抗性統合失調症に対する漢方薬「抑肝散」の有用性が実証された。結果を踏まえて著者は、「抑肝散は、治療抵抗性統合失調症の補助的治療戦略となりうることが示された。とくに、興奮や敵愾心の症状改善に有用と思われる」とまとめている。Psychopharmacology誌オンライン版2014年6月13日号の掲載報告。

痛みを怖がるのは女性よりも男性!?

 痛みの感じ方に男性と女性で差があるのだろうか。スペイン・マラガ大学のCarmen Ramirez-Maestre氏らは、恐怖回避モデルの再検討において慢性脊椎痛患者を対象に分析を行った。その結果、男性のみが恐怖回避と疼痛強度が関連していることを明らかにした。ただ、このような差はあるが、恐怖回避モデルは男性および女性いずれにも適切な理論的基準モデルになり得るという。Journal of Pain誌2014年6月号(オンライン版2014年3月13日号)の掲載報告。

日本人の気質は精神状態にどう影響するのか:順天堂大学

 状態ではなく気質を同定するよう設計されているTEMPS-A 気質評価質問紙(Temperament Evaluation of Memphis, Pisa, Paris and San Diego-auto questionnaire)について、これまでに、非臨床集団では精神状態が影響を及ぼす可能性が示唆されていた。順天堂大学の馬場 元氏らはTEMPS-Aの完全バージョンとさまざまな抑うつ尺度、あるいは躁病評価尺度との関連性を調べた。Journal of Affective Disorders誌2014年6月号の掲載報告。

遅発性ジスキネジアへの対処に新たな知見

 遅発性ジスキネジア(TD)は遅延的かつ潜在的に不可逆的な運動合併症であり、抗精神病薬やメトクロプラミドなどの中枢ドパミンD2受容体拮抗薬を慢性的に投与された患者において発現することがある。TDにおける古典的なドパミンD2受容体過敏仮説は、げっ歯類の研究に端を発しており、ヒトにおける証明は不十分なままである。カナダ・モントリオール大学のSouha Mahmoudi氏らは、TDの神経科学的基礎調査を行うため、霊長類を用いた研究を行った。 Movement disorders誌オンライン版2014年5月16日号の報告。

ネクサバール、分化型甲状腺がんに対する適応追加承認を取得

 2014 年6月20日、バイエル薬品株式会社(本社:大阪市、代表取締役社長:カーステン・ブルン)は、抗悪性腫瘍剤/キナーゼ阻害剤ネクサバール錠200mg(一般名:ソラフェニブトシル酸塩錠)について、厚生労働省より「根治切除不能な分化型甲状腺がん」に対する追加効能・効果の承認を取得したと発表。ネクサバールの効能効果は、根治切除不能又は転移性の腎細胞がん、切除不能な肝細胞がんに次いで3つ目。

非定型うつ病は肥満になりやすい~前向きコホート研究

 うつ病と肥満の関連性はたびたび報告されているが、そのメカニズムや経時的な順序はよくわかっていない。スイス・ローザンヌ大学病院のAurelie M Lasserre氏らは、肥満の発症とBMI・ウエスト周囲径・体脂肪量の変化を調査し、うつ病におけるサブタイプ(メランコリー型、非定型、混合型、特定不能)が肥満発症の予測因子となるかどうかを検討した。その結果、非定型うつ病が肥満の強力な予測因子であることが示された。JAMA psychiatry誌オンライン版2014年6月4日号に掲載。

日本発!牛乳・乳製品を多く摂るほど認知症リスクが低下:久山町研究

 海外の追跡研究では、地中海式食事法がアルツハイマー病のリスクを減少させるという報告がみられ、乳製品の摂取は控えめがよいとされている。しかし、久山町研究では、大豆・豆製品および牛乳・乳製品の摂取量が多い食事パターンと認知症予防との関連が報告されている。このうち、牛乳・乳製品の認知症予防に対する効果を検討するため、九州大学の小澤 未央氏らは、高齢の日本人集団での認知症発症における牛乳・乳製品の摂取の効果を検討した。その結果、牛乳や乳製品の摂取量が多いほど、認知症とくにアルツハイマー病のリスクが低下することが認められた。Journal of the American Geriatrics Society誌オンライン版6月10日号掲載。