医療一般|page:101

NAFLD・NASHが名称変更!?新しい名称は…

 「非アルコール性脂肪肝疾患 (NAFLD:nonalcoholic fatty liver disease、わが国ではナッフルディ、ナッフルドと呼ばれる) と非アルコール性脂肪性肝炎 (NASH:nonalcoholic steatohepatitis 、ナッシュ) が名称変更される」と、先日開催された欧州肝臓学会国際肝臓学会議(EASL-ILC)2023で発表された。以前から欧米ではNAFLDやNASHという用語が患者への偏見になるという声が上がっていたようで、今回、米国・シカゴ大学のMary E. Rinella氏らは論文などの趣意に関する専門家や患者支援者が命名法や定義の変更について支持しているか否かを調査した。その結果、改名に際し“metabolic”(代謝性)という用語を含めることが求められ、新たな名称としてNAFLDはMASLD(metabolic dysfunction-associated steatotic liver disease)へ、NASHはMASH(metabolic dysfunction-associated steatohepatitis)への変更が望ましいことが明らかになった。Journal of Hepatology誌2023年6月24日号掲載の報告。

包括的がんゲノムプロファイリングリキッドバイオプシーGuardant360 CDx がん遺伝子パネル販売開始

 ガーダントヘルスジャパンは、固形がん患者を対象とした包括的がんゲノムプロファイリング(CGP)用リキッドバイオプシー Guardant360 CDx がん遺伝子パネル(以下、Guardant 360 CDx)について、2023年7月24日より保険償還が開始され、同日より販売すると発表した。併せて、エスアールエルによる検査の受託が開始される。  Guardant 360 CDxは、血中循環腫瘍DNA (ctDNA) を次世代シークエンサーによって解析するがん遺伝子パネル検査として、2022年3月10日に厚生労働省より承認されている。固形がん患者の血液検体から、がんに関連の74遺伝子を網羅的に調べることが可能。

乳がん診断から手術までの期間、生存率への影響は?

 乳がん診断から手術までの期間が2週間を超えた患者では生存率が低かったことが、中国・上海交通大学医学部のSiji Zhu氏らの研究で示された。著者らは「今回の結果は、生存率を改善するためにできるだけ診断後早期に治療を開始する努力が必要であることを示唆している」と述べている。Scientific Reports誌2023年7月26日号に掲載。

双極性障害の5年間の再発率とそれに関連する要因~レトロスペクティブコホート研究

 双極性障害患者の再発率に関するエビデンスは、とくに英国において不足している。英国・バーミンガム大学のDanielle Hett氏らは、英国の健康保健サービスより定期的なケアを受けている双極性障害患者を対象に、5年間の再発率および関連性の評価を行った。その結果、英国で2次的メンタルヘルスサービスを受けている双極性障害患者の約4人に1人は、5年間で再発を経験していた。トラウマ、自殺傾向、精神症状の残存、併存疾患などは、双極性障害患者の再発と関連していることから、再発予防の観点からもこれらの因子を考慮し、対処することが求められると報告した。International Journal of Bipolar Disorders誌2023年6月30日号の報告。

コロナの急性期症状、男女差は?

 男性のほうが新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の症状が重症化しやすく死亡率が高いという、性別による差異が報告されている。その理由として、男性のほうが喫煙率や飲酒率、予後悪化に関連する併存疾患を有している割合が高いなどの健康格差が示唆されている1)。今回、COVID-19の急性期症状の性差を調査したところ、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)陽性と判定された男性では発熱や悪寒といった特定の症状の発現率が女性よりも高いことが、米国・テキサス大学ヒューストン健康科学センター/アーカンソー医科大学のJenil R. Patel氏らにより明らかになった。Preventive Medicine Reports誌2023年10月号掲載の報告。

日本エンドオブライフケア学会第6回学術集会の開催について【ご案内】

 日本エンドオブライフケア学会第6回学術集会が、2023年9月16日(土)、17日(日)に昌賢学園まえばしホール(群馬県・前橋市民文化会館)で開催される。プログラムは、人の誕生から高齢者まで幅広くエンドオブライフケアの専門的な講演、シンポジウム、ケア技術の実演講演、がんの最新治療、海外招聘講演、エンドオブライフケアやアドバンス・ケア・プランニング(ACP)に関する相談コーナーなど、豊富に揃えている。また、9月15日(金)には同会場小ホールで前夜祭が開催される。ご興味のある方、参加ご希望の方はぜひ学術集会ホームページにアクセスされたい。

DPP-4阻害薬の副作用「類天疱瘡」、適切な処置の注意喚起/PMDA

糖尿病治療薬DPP-4阻害薬やその配合剤の副作用として知られている類天疱瘡。DPP-4阻害薬服用後にこの副作用を疑う皮膚異常がみられたにもかかわらず、投与が継続され類天疱瘡の悪化を来し入院するケースが報告されているという。これに対して医薬品医療機器総合機構PMDAは7月27日に医薬品適正使用のお願いを発出した。  PMDAは以下のように注意を呼びかけている。

秋接種、ファイザーとモデルナのXBB.1.5対応1価ワクチン購入合意/厚労省

 厚生労働省は7月28日、新型コロナワクチンの2023年秋開始接種に向けて、オミクロン株XBB対応1価ワクチンとして、ファイザーから2,000万回分、モデルナから500万回分を追加購入することについて、両社と合意したことを発表した。なお、必要に応じて追加購入することも合意している。  同日にファイザーが発表したプレスリリースによると、今回供給を予定しているのは、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)のオミクロン株XBB.1.5系統のスパイクタンパク質をコードするメッセンジャーRNA(mRNA)を含む1価ワクチンとなっている。本ワクチンは、同社が2023年7月7日に厚生労働省に承認事項一部変更申請を行っていた。

急性期うつ病治療における21種の抗うつ薬の睡眠への影響~ネットワークメタ解析

 抗うつ薬による急性期治療中に見られる睡眠関連副作用は、コンプライアンスの低下や寛解を阻害する要因となりうる。中国・北京大学のShuzhe Zhou氏らは、抗うつ薬の睡眠関連副作用の種類、抗うつ薬の用量と睡眠関連副作用との関連を評価するため、本検討を行った。その結果、ほとんどの抗うつ薬において、プラセボと比較し、不眠症または傾眠のリスクが高かった。また、抗うつ薬の用量と睡眠関連副作用との関係は、さまざまであった。結果を踏まえて著者らは、「抗うつ薬による急性期治療中には、睡眠関連副作用の発現に、より注意を払う必要がある」としている。Sleep誌オンライン版2023年7月9日号の報告。

直腸がん、術前療法終了から手術までの時間と転帰

 手術適応の直腸がん患者において、術前化学(ネオアジュバント)療法から手術まで12週間以上空けた群ではそうでない群に比べ、奏効率には違いがなかったものの、再発リスクの有意な低下などが示されたという。スペイン・バルセロナ大学のYoelimar Guzman氏らによる本コホート研究の結果はJAMA Surgery誌オンライン版2023年7月12日号に掲載された。  2005年1月~2020年12月にアジュバント療法を受け、直腸間膜全切除術(TME)を受けた成人の直腸がん患者1,506例を対象とした。コホートはアジュバント療法終了から手術までの時間によって、短期(8週間以内)、中期(8週間超12週間以内)、長期(12週間超)の3群に分けられた。追跡期間の中央値は33ヵ月で、データ解析は2021年5月1日~2022年5月31日に行われた。主要評価項目は病理学的完全奏効(pCR)、副次評価項目は病理組織学的結果、周術期イベント、および生存転帰であった。

小学生のコロナ感染リスクに近隣の社会経済環境が関連―大阪市での研究

 自宅周辺の社会経済環境と、小学生の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)感染リスクとの関連が報告された。高学歴者の多い環境で暮らす小学生は感染リスクが低く、卸売・小売業の従事者が多い環境の小学生は感染リスクが高いという。同志社大学大学院スポーツ健康科学研究科の大石寛氏(大学院生)、同大学スポーツ健康科学部の石井好二郎氏らの研究の結果であり、詳細は「Children」に4月30日掲載された。  居住地域の社会経済環境とCOVID-19感染リスクとの間に有意な関連があることは、既に複数の研究から明らかになっている。ただしそれらの研究の多くは海外で行われたものであり、またCOVID-19重症化リスクの低い小児を対象とした研究は少ない。日本は子どもの相対的貧困率が高いこと、および、当初は低いとされていた子どものCOVID-19感染リスクもウイルスの変異とともにそうでなくなってきたことから、国内の子どもたちを対象とした知見が必要とされる。これを背景として石井氏らは、大阪市内の公立小学校の282校の「学区」を比較の単位とする研究を行った。なお、大阪市内には生活保護受給率が全国平均の3倍を上回る地区が複数存在している。

オメガ3脂肪酸で心房細動リスクは増加する?しない?/JACC

 オメガ3脂肪酸の摂取が心房細動発症リスクを高めることを示唆する研究報告があるが、依然として議論の余地がある。今回、米国・Harvard T.H. Chan School of Public HealthのFrank Qian氏らが、世界的コンソーシアムにおける17の前向きコホート研究のデータを用いて、エイコサペンタエン酸(EPA)、ドコサペンタエン酸(DPA)、ドコサヘキサエン酸(DHA)の血中あるいは脂肪組織レベルと心房細動発症との関連を解析した結果、オメガ3脂肪酸の生体内レベルは心房細動発症リスクの増加に関連していなかった。本結果から、食事による習慣的なオメガ3脂肪酸の摂取は、心房細動発症リスクに関しては安全であることが示唆された。Journal of the American College of Cardiology誌2023年7月25日号に掲載。

紫外線量と双極性障害リスクとの関係

 太陽光には、皮膚でのビタミンD生成を促す紫外線B(UVB)が含まれている。ビタミンDは、発育中から成人の脳機能にさまざまな影響を及ぼしている。しかし、多くの人々は、冬期にビタミンD生成を行ううえで十分なUVBを受けられない地域(北緯または南緯約40度以上)で生活を行っている。ドイツ・ドレスデン工科大学のMichael Bauer氏らは、世界の大規模サンプルを用いて、双極性障害の発症年齢とビタミンD生成に十分なUVBの閾値との関連性を調査した。その結果、UVBおよびビタミンDは、双極性障害発症に重大な影響を及ぼす可能性が示唆された。International Journal of Bipolar Disorders誌2023年6月22日号の報告。

亜鉛補給でコロナ死亡率低下~メタ解析

 亜鉛の補給によって、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)患者の死亡リスクが有意に低下することが、米国・Patel College of Allopathic MedicineのSpencer Z. Rheingold氏らのメタ解析によって明らかになった。Cureus誌2023年6月10日号掲載の報告。  亜鉛は必須微量元素の1つで、炎症や感染症における免疫系の重要な調節因子であるとともに、直接的な抗ウイルス作用もあることが報告されている。COVID-19患者の予後を改善するために多くの研究グループが亜鉛補給に関する試験を実施しているが、その効果には議論の余地がある。そこで研究グループは、亜鉛を補給したCOVID-19患者と補給していないCOVID-19患者の死亡率と症状の関連についてメタ解析を行った。

2年違いで脳卒中を体験したミュージカル俳優同士が結婚

 Job Ethan Christensonさんは、ブロードウェイでミュージカル「Billy Elliot」を演じ終えてステージを去った後、ロビーで2人の観客と会話をしている最中に突然、彼らの腕の中に崩れ落ちた。その2年後、Jason Vance Campbellさんは、ミュージカル「Life Could Be a Dream」の公演中に意味不明なセリフを口にし、ステージ上で倒れ込んだ。2人ともまだ30代で、原因不明の脳卒中によるものだった。  数年後に共通の友人を通じて2人は出会い、ともに若い年齢で脳卒中を体験するなどの共通点の多さに気付き、親交を重ね、昨年結婚に至った。「Jasonと私はトラウマの絆を共有している。それは極めて強力で奥深く、そして困難を伴うものだ。われわれはこの絆を一生のものだと感じており、互いに『聖なるソウルメイト』と呼んでいる」とChristensonさんは語っている。

5人に1人の女性が生殖補助医療後に自然妊娠

 ロンドンを拠点に活動しているセクシュアルヘルス専門医のShema Tariqさんは、卵巣予備能低下と診断され、体外受精(IVF)なしでの妊娠の可能性はほぼゼロだと告げられた。「2018年に生まれた息子を妊娠するまでに、6回のIVFが必要だった」と彼女は振り返る。「息子が生まれた後、かかりつけ医が避妊に言及したが、私たち夫婦は、自分たちには関係のない話だと笑い飛ばした。自分が自然妊娠するなんて予想だにしていなかった。私は当時43歳で、自然妊娠の可能性は1%以下だと言われていたのだから」と彼女は付け加えた。ところがその8カ月後に、Tariqさんは女の子を自然妊娠した。「それはとても素晴らしい驚きだったが、妊娠が判明した当初は、準備不足を感じ、呆然とした」と話す。

労働時間の変化にかかわらず睡眠時間減少が心理的苦痛に関連

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)パンデミック下で行われた日本人対象の横断研究から、労働時間の増減にかかわらず、睡眠時間が減った場合に心理的苦痛が強くなる可能性が示された。産業医科大学環境疫学研究室の頓所つく実氏、藤野善久氏らの研究によるもので、詳細は「Frontiers in Psychology」に3月14日掲載された。  COVID-19パンデミックが人々のメンタルヘルスに大きな影響を及ぼしていることについては、既に多くの研究報告がある。ただし、その影響を労働時間および睡眠時間の変化と結びつけて検討した研究は数少ない。パンデミックの初期には、職業や勤務形態によって労働時間が減る場合と増える場合があった。また、睡眠時間が大きく変わった人も少なくないことが知られている。藤野氏らは、産業医科大学が行っている「COVID-19流行下における労働者の生活、労働、健康に関する調査(CORoNaWork研究)」の一環として、パンデミック下での労働時間と睡眠時間の変化と、心理的苦痛の変化との関連を検討した。

患者が作成に本格的に参画、『患者・市民のための膵がん診療ガイド』

 膵がんは年間の新規罹患者数4万4,500人(2022年予測)、20年間で約2倍と大きく増加しており、とくにアジア・日本での増加率が高い。がん種別にみた罹患者数は6位ながら死亡者数では4位、罹患者数と死亡者数の差が小さい、いわゆる「難治性がん」の代表とされる。  現在、乳がん、胃がん、大腸がんなどで患者向けガイドラインが刊行・改訂されているが、2023年5月には膵がんの『患者・市民のための膵がん診療ガイド 2023年版』(編集:日本膵臓学会)が刊行された。改訂は2019年以来4年ぶり、本版は第4版となる。7月には作成委員長である奥坂 拓志氏(国立がん研究センター中央病院 肝胆膵内科 科長)と、患者代表として作成に参画した眞島 喜幸氏(NPO法人 パンキャンジャパン 理事長)を講師に招いたメディアセミナーが開催された。

乳がんへのパルボシクリブの効果、PPI併用で損なわれる

 抗がん剤による消化器症状を緩和するためにプロトンポンプ阻害薬(PPI)が使用されているが、PPIの酸分泌抑制作用は経口抗がん剤のバイオアベイラビリティや臨床効果に悪影響を及ぼす。今回、韓国・Sungkyunkwan UniversityのJu-Eun Lee氏らによる進行乳がん患者を対象としたコホート研究の結果、パルボシクリブにPPIを併用した群では非併用群よりも無増悪生存期間(PFS)および全生存期間(OS)が短いことが示された。この結果から、パルボシクリブにPPIを併用するとパルボシクリブの治療効果が損なわれる可能性が示唆された。JAMA Network Open誌2023年7月21日号に掲載。

抗精神病薬誘発性メタボリックシンドローム~ナラティブレビュー

 重篤な精神疾患である統合失調症は、世界の障害の主な原因トップ10の1つであり、人口の約1%に影響を及ぼす。統合失調症に対する最良の治療選択肢として、抗精神病薬治療が挙げられるが、抗精神病薬治療では脂質異常症を含むメタボリックシンドロームリスクが増加する。実際に、統合失調症患者は、一般集団と比較し、メタボリックシンドロームリスクが高いといわれている。カナダ・マニトバ大学のPelumi Samuel Akinola氏らは、抗精神病薬誘発性メタボリックシンドロームの有病率、メカニズムおよび対処法について、まとめて報告した。Metabolic Syndrome and Related Disorders誌オンライン版2023年6月22日号の報告。