医療一般|page:302

レンバチニブ+ペムブロリズマブ、進行固形がんの成績/JCO

 新しいがん治療薬として期待される免疫チェックポイント阻害薬について、その活性を増強する研究報告が示された。米国・オレゴン健康科学大学のMatthew H. Taylor氏らは、血管新生阻害による血管内皮増殖因子を介した免疫抑制の調節が、免疫チェックポイント阻害薬の活性を増強する可能性が示唆されていることから、レンバチニブ+ペムブロリズマブ併用療法の第Ib/II相試験を実施。腎細胞がん、子宮内膜がんおよびその他の進行固形がん患者を対象とした同併用療法が、有望な抗腫瘍活性と管理可能な安全性プロファイルを示したことを報告した。Journal of Clinical Oncology誌オンライン版2020年1月21日号掲載の報告。

急性増悪期統合失調症患者における抗精神病薬への反応

 早期発症統合失調症は、成人期発症とつながっているが、青年を対象とした抗精神病薬の投与と臨床反応との定量的な関係についての研究は、成人を対象とした調査と比較し、あまり行われていない。米国・メリーランド大学のShamir N. Kalaria氏らは、成人および青年の統合失調症患者における抗精神病薬への治療反応について調査を行った。Journal of Clinical Pharmacology誌オンライン版2020年1月28日号の報告。  1993~2017年に米国FDAへ提出された利用可能な新薬申請書より、第2世代抗精神病薬開発プログラムの臨床効果データを収集した(成人:5,951例、12~17歳の青年:1,035例)。成人と青年の陽性・陰性症状評価尺度(PANSS)合計スコアの長期的な傾向を予測するため、ワイブルプラセボ反応、時間遅延薬物効果、ワイブル構造化ドロップアウトモデルを用いて調査した。

ALK肺がんへのbrigatinib、FDAは1次治療の優先審査指定、CHMPは肯定的見解/武田

 武田薬品工業は、brigatinibについて、2020年2月23日、米国食品医薬品局(FDA)がALK陽性転移性非小細胞肺がん(NSCLC)患者に対するファーストライン治療薬としての適応追加申請を優先審査指定したこと、同3月3日、欧州医薬品評価委員会(CHMP)がALK陽性進行性NSCLC患者に対する単剤療法としての承認を推奨する肯定的見解を示したことを発表した。  FDAへのファーストライン治療適応追加申請もCHMP の肯定的見解も、ALK阻害薬未治療のALK陽性局所進行あるいは転移のあるNSCLC患者を対象にbrigatinibとクリゾチニブを比較評価する臨床第III相ALTA-1L試験の結果に基づいている。ALTA-1L試験において、brigatinibは盲検化独立審査委員会(BRIC)の評価による無増悪生存期間(PFS)の有意な改善を示し、主要評価項目を達成した。

ロピナビル・リトナビルで治療したCOVID-19/日本感染症学会

 3月3日、日本感染症学会(理事長:舘田 一博)は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の特設ページの中で、宮下 馨氏(国際医療福祉大学熱海病院 糖尿病代謝内科)らによる「ロピナビル・リトナビルで治療した新型コロナウイルス肺炎(COVID-19)の症例報告」を公開した。  症例報告は、クルーズ船ダイヤモンド・プリンセス号に乗船の70代・女性の症例。搬送時には無症状であったものの、のちに高熱と肺炎を生じ、抗HIV薬であるロピナビル・リトナビル配合剤(商品名:カレトラ)で治療を行ったもの。投与後は自覚症状の改善があり、入院後20日間でPCRの陰性化を確認し、退院に至った。

がん患者のCOVID-19~非がん患者と比べて/Lancet Oncol

 中国およびその他の地域では、SARS-CoV-2による重症急性呼吸器症候群が発生している。がん患者は化学療法や手術などの抗がん治療によって引き起こされる全身性の免疫抑制により、易感染状態であることが多い。そのため、SARS-CoV-2についても感染リスクが高く、さらに感染後も予後不良の可能性がある。  中華人民共和国の国立呼吸器疾患臨床研究センターと国民健康委員会が協力し、中国全土でCOVID-19症例を観察する前向きコホートを設立した。 2020年1月31日のデータカットオフの時点で、31の地方行政区域から2,007例の症例を収集。記録不十分な417例を除外し1,590のCOVID-19症例を分析している。Lancet Oncology誌2020年3月1日号では、その中から、がん患者について分析している。

capmatinib、METΔex14変異非小細胞肺がんのFDAブレークスルーセラピーに/ノバルティス

 ノバルティスは、2020年2月11日、米国食品医薬品局(FDA)がcapmatinib(INC280)の新薬承認申請(NDA)に対する優先審査を受理し、これを許可したと発表した。capmatinibは、METex14変異を有する局所進行または転移を有する非小細胞肺がん(NSCLC)の未治療患者および治療歴のある患者の治療薬として審査が行われているMET阻害薬である。  現在、METex14変異を有する進行NSCLCを標的として承認された治療法はない。NSCLCは肺がん症例の約85%を占めている。METex14変異は、新たに進行NSCLCと確定診断された患者の3~4%に認められ、発がんドライバー遺伝子として認識されている。

認知症に対する園芸療法の有効性~メタ解析

 認知症の患者数は、急速に増加しており、園芸療法などの非薬理学的介入が、これらの患者に対する第1選択治療として推奨されている。園芸療法には、参加型と観賞型があり、過去20年間の多くの研究において、その有効性が検討されている。しかし、これらの研究では、介入方法、アウトカム、測定法が異なっていた。中国・北京大学のYajie Zhao氏らは、認知症患者の認知機能、興奮、ポジティブな感情、エンゲージメントに対する園芸療法の有効性について検討を行うため、システマティックレビューおよびメタ解析を実施した。Journal of Clinical Nursing誌オンライン版2020年2月4日号の報告。

COVID-19肺炎初期~中期にシクレソニドで改善、国内3症例の詳細

 国内における新型コロナウイルス感染症の患者を多く出したダイヤモンドプリンセス号。患者の一部について治療に当たった神奈川県立足柄上病院は3月2日、喘息治療の第1選択薬である吸入ステロイド薬のシクレソニドの投与により症状が改善した3例について、日本感染症学会のホームページにその詳細を報告した。いずれもCOVID-19による酸素化不良やCT所見などが見られたが、薬剤投与により良好な経過を得ているという。

ニボルマブ、食道がんとMSI-High大腸がんに国内承認/小野・BMS

 小野薬品工業とブリストル・マイヤーズ スクイブは、2020年2月21日、ニボルマブ(商品名:オプジーボ)について、「がん化学療法後に増悪した根治切除不能な進行・再発の食道癌」と「がん化学療法後に増悪した治癒切除不能な進行・再発の高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-High)を有する結腸・直腸癌」の効能又は効果の追加に係る国内製造販売承認事項一部変更の承認を取得した。  食道がんに対する承認は、フッ化ピリミジン系薬剤およびプラチナ系薬剤を含む併用療法に不応または不耐の食道がん患者を対象に実施した多施設国際共同無作為化非盲検第III相臨床試験(ATTRACTION-3試験)の結果に基づいている。

統合失調症患者のミスマッチ陰性電位とドパミンとの関連

 ミスマッチ陰性電位(MMN)欠損は、統合失調症の最も確実で再現可能な所見の1つであり、主にN-メチル-D-アスパラギン酸(NMDA)受容体システムの機能不全を反映している。ドパミン受容体は、短期的にMMNを調整しないことが知られているが、長期的な影響についてはよくわかっていない。福島県立医科大学の志賀 哲也氏らは、統合失調症患者のMMNとドパミンとの関連について、調査を行った。Psychiatry and Clinical Neurosciences誌オンライン版2020年1月28日号の報告。

「屋内の閉鎖的空間でクラスター発生か」新型コロナ専門家会議が見解

 新型コロナウイルス感染症を巡り、国の専門家会議(座長:脇田 隆字 国立感染症研究所所長)は3月2日、厚生労働省の対策本部が分析した内容に基づき現時点の見解をまとめた。国内では、これまで感染者が出ていなかった自治体においても日々新たな感染者が確認され、拡大傾向が続いていると見られる。見解では、北海道のデータ分析などにより、重症化する割合が低い若年層から多くの中高年層に感染が及んでいること、屋内の閉鎖的な空間における濃厚接触が、クラスターの発生および感染の急速な拡大を招く一因になっていることなどを挙げた。

退院後に陽性のCOVID-19症例、CTに悪化みられず/JAMA

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)から回復した患者の一部にウイルスキャリアの可能性が示唆されたー。中国・武漢大学中南医院のLan Lan氏らは、中国で退院または隔離解除の基準を満たしたCOVID-19の4症例(臨床症状とCT異常所見の消失、およびRT-PCR法による検査で2回とも陰性)が、退院・隔離解除5〜13日後にRT-PCR検査で陽性になったことを明らかにした。JAMA誌オンライン版2020年2月27日号のリサーチレターに報告した。

胎児・乳児・小児期のタバコ曝露と小児乾癬のリスク

 タバコは成人の乾癬における関連要因として知られているが、小児の乾癬においても同様であることが示された。デンマーク・コペンハーゲン大学のJonathan Groot氏らは、同国出生コホートから2万5,812例のデータを集め、胎児期、乳児期(月齢6ヵ月まで)、小児期(11歳まで)のタバコ曝露と小児乾癬の関連を調べた。その結果、胎児期のタバコ曝露が線形にリスクを増大することが示唆され、小児乾癬においてもタバコが発症原因の役割を果たす可能性が示されたという。Journal of the American Academy of Dermatology誌オンライン版2020年1月20日号掲載の報告。

初回エピソード統合失調症患者に対する抗うつ薬や気分安定薬の使用の現状

 統合失調症の第1選択薬は、抗精神病薬であるが、しばしば抗うつ薬や気分安定薬などによる補助療法が行われている。しかし、初回エピソード統合失調症患者に対する情報は限られている。フィンランド・東フィンランド大学のArto Puranen氏らは、初回エピソード統合失調症患者に対する抗うつ薬および気分安定薬の使用や関連する要因について調査を行った。European Journal of Clinical Pharmacology誌オンライン版2020年1月15日号の報告。

COVID-19、無症状でもCTに異常、急速な進行も

 武漢の病院に入院したCOVID-19肺炎患者の胸部CT画像の所見と変化について、華中科技大学放射線科のHeshui Shi氏らがまとめた研究結果が発表された。疾患経過における複数時点でのCT所見を分析した結果、無症状の患者であってもCT画像には異常が認められ、1〜3週間以内に急速に進行するケースが示された。著者らは「CT画像と臨床および検査所見を組み合わせることで、COVID-19の早期診断が容易になるだろう」と述べている。Lancet Infectious Diseases誌オンライン版2月24日号掲載の報告。  研究者らは、2019年12月20日~2020年1月23日に武漢の2病院に入院し、胸部CTによる経過観察が行われた81例(RT-PCR法あるいは次世代シーケンシングによる確定例)を遡及的に登録。

ニボルマブ・化学療法併用、非小細胞肺がんに対する国内承認申請/小野・BMS

 小野薬品工業とブリストル・マイヤーズ スクイブは、2020年2月27日、ニボルマブ(商品名:オプジーボ)について、切除不能な進行・再発の非小細胞肺がんに対するプラチナ製剤を含む2剤化学療法との併用療法による用法及び用量の追加に係る国内製造販売承認事項一部変更承認申請を行ったと発表。  今回の承認申請は、化学療法未治療のStage4または再発の非小細胞肺がん患者を対象に実施した多施設国際共同非盲検無作為化第III相臨床試験CheckMate-227のPart1およびPart2の結果に基づいている。

抗うつ薬治療後のうつ病患者における皮質厚の変化

 従来の抗うつ薬が遅効性であることを考慮すると、早期治療反応のバイオマーカーを特定することは、重要な課題である。うつ病の神経画像の研究では、皮質厚の減少が報告されているが、抗うつ薬がこの異常を改善させるかはよくわかっていない。米国・イェール大学のSamaneh Nemati氏らは、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)治療後の初期の皮質厚変化について、プラセボとの比較を行い調査した。Chronic Stress誌2020年1月~12月号の報告。

喫煙者の高い認知症リスク、禁煙3年で軽減~大崎コホート研究

 禁煙と認知症リスクの変化について米国のARIC研究の結果が報告されているが、今回、東北大学のYukai Lu氏らが、日本の前向き研究である大崎コホートにおける縦断的分析の結果を報告した。本研究では、3年以上禁煙した場合、認知症発症リスクは非喫煙者と同じレベルまで低下することが示唆された。European Journal of Epidemiology誌オンライン版2020年2月15日号に掲載。本研究の対象は65歳以上の日本人1万2,489人で、5.7年間追跡調査を実施した。2006年に喫煙状況およびその他の生活習慣の情報を質問票にて収集した。認知症発症に関するデータは、公的介護保険のデータベースから取得した。Cox比例ハザードモデルを使用し、認知症の多変量調整ハザード比(HR)および95%信頼区間(95%CI)を推定した。

COVID-19への治療薬の考え方/日本感染症学会

 日本感染症学会(理事長:舘田 一博)は、今般の新型コロナウイルスの治療に関し、「COVID-19に対する抗ウイルス薬による治療の考え方 第1版」を2月26日に公開した。  本指針は、現時点で収集されている知見より抗ウイルス薬に関するわが国における暫定的な指針を示すのが目的。そして、抗ウイルス薬の使用にあたっては、現在わが国ではCOVID-19に適応を有する薬剤は存在しないことを前提に、行うことのできる治療は、国内ですでに薬事承認されている薬剤を適応外使用することであり、使用では各施設の薬剤適応外使用に関する指針に則り、必要な手続きを行うことになるとしている。

統合失調症の世界的な現状~GBD 2017

 統合失調症は、世界で深刻な健康問題の1つである。中国・西安交通大学のHairong He氏らは、統合失調症の世界的負担について、国や地域レベルで定量化するため、Global Burden of Disease Study 2017(GBD 2017)を用いて検討を行った。Epidemiology and Psychiatric Sciences誌2020年1月13日号の報告。  1990~2017年のGBD 2017データを用いて、統合失調症の有病数、障害調整生存年数(DALYs)、年齢調整罹患率(ASIR)、DALYsの年齢調整率(ASDR)に関する詳細情報を収集した。統合失調症のASIRおよびASDRの時間的傾向を定量化するため、ASIRおよびASDRの推定年間変化率(EAPC)を算出した。