医療一般|page:285

COVID-19に関連する医師のメンタルヘルスやストレス

 COVID-19のアウトブレイクによる医師の不安やストレス、抑うつレベルへの影響について、トルコ・Istanbul Medeniyet UniversitesiのRumeysa Yeni Elbay氏らが調査を行った。Psychiatry Research誌オンライン版2020年5月27日号の報告。  COVID-19アウトブレイクにおける医療従事者の心理的反応と関連要因を評価するため、オンライン調査を実施した。調査内容は、社会人口統計学的データ、個別の労働条件に関する情報、Depression Anxiety and Stress Scale-21(DAS-21)のセクションで構成した。  主な結果は以下のとおり。

マスクの再利用、消毒後のウイルス遮断効果は?

 これまでの研究では、N95マスクを再利用するさまざまな滅菌方法の評価試験やN95マスクとサージカルマスクの比較試験などが行われてきた。しかし、現時点でKN95やサージカルマスクの滅菌後のろ過効率の影響を調べた研究は乏しい。米国・オクラホマ大学のChangjie Cai氏らはKN95とサージカルマスクが再利用可能かどうかを明らかにするための研究を実施。 その結果、滅菌プロセスが各マスクのろ過効率に影響を与えることが示唆された。ただし、研究者らは試験時の制限(マスクメーカーの種類が少ない、各マスクと条件のサンプルサイズが小さい、評価した滅菌技術が2つしかないなど)や1回より多く滅菌した場合にマスク劣化の可能性もあるため、これらを踏まえたさらなる調査が必要としている。2020年6月15日JAMA Network Open誌のリサーチレターに報告した。

全身療法が計画されている高齢者での高齢者機能評価の有用性(INTEGERATE試験)/ASCO2020

 オーストラリア・モナシュ大学Eastern Health Clinical SchoolのWee-Kheng Soo氏は、全身療法が計画されている高齢者での包括的な高齢者機能評価や老年医学専門家の介入の有無を比較する無作為化非盲検試験・INTEGERATE試験の結果を米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO20 Virtual Scientific Program)で発表。老年医学的介入群ではQOLが有意に改善し、予期せぬ入院や有害事象による早期治療中止が減少すると報告した。 ・対象:固形がんあるいはびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、で3カ月以内に化学療法、分子標的薬治療、免疫チェックポイント阻害薬療法が予定されている70歳以上の高齢者154例。 ・試験群:本人申告による質問票での回答と高齢者機能評価(CGA)を実施。栄養、身体機能などの改善に向けた標準的介入に加え、併存疾患のケアなどアセスメントに基づく個別介入を実施(76例) ・対照群:通常ケア(78例) ・評価項目:[主要評価項目] ELFI(Elderly Functional Index)スコアによるQOL評価 [副次評価項目] ヘルスケアサービスの利用状況、治療提供状況、機能、施設入所状況、気分、栄養状態、健康上の効用、生存状況

PD-L1陽性胃がんの2次治療でのペムブロリズマブの追跡結果(KEYNOTE-061試験)/ASCO2020

 米イエールがんセンターのCharles S. Fuchs氏は、PD-L1陽性進行胃がん・胃食道接合部がんの2次治療でのペムブロリズマブとパクリタキセルを比較する無作為化非盲検化第III相試験KEYNOTE-061の結果を米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO20 Virtual Scientific Program)で発表。追加の2年の追跡期間を加えてもペムブロリズマブはパクリタキセルに比べ無増悪生存期間(PFS)と全生存期間(OS)の有意な改善効果を示せなかったと報告した。

BTK阻害薬acalabrutinib、CLL2つの試験で有用性/アストラゼネカ

 アストラゼネカは、2020年6月12日、第II相ACE-CL-001試験および第III相ASCEND試験の詳細データから、慢性リンパ性白血病(CLL)に対して、acalabrutinibが長期にわたる有効性および忍容性が示されたことを発表した。  これらの試験データは、2020年6月11日から14日にバーチャル形式で開催された第25回欧州血液学会(EHA)年次総会にて発表された。  単一群を対象としたACE-CL-001試験では、1次治療における単剤療法としてアカラブルチニブによる治療を受けたCLL患者の86%が、中央値4年以上の追跡期間において治療を継続していた。この試験の全奏効率は97%(完全奏効:7%、部分奏効:90%)で、遺伝子変異(17p欠失およびTP53突然変異)、免疫グロブリンH鎖遺伝子(IGHV)非変異、および複雑核型を含む高リスク患者のサブグループにおいては100%の全奏効率を示した。なお、安全性所見では新たな長期的問題は認められなかった。

初診料が前年比5割減、健診・検診は9割減も/日医・医業経営実態調査

 2020年3~5月、月を追うごとに病院の医業収入が大きく落ち込み、健診・検診の実施件数は半減から9割減となった実態が明らかになった。6月24日の日本医師会定例記者会見において、松本 吉郎常任理事が全国の医師会病院および健診・検査センターの医業経営実態調査結果を発表した。  調査は73の医師会病院、164の健診・検査センターが対象。回答率はそれぞれ71.2%(52病院)、51.2%(84施設)だった。回答病院のうち、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)入院患者「あり」は25.0%(13病院)、COVID-19患者のための病床「あり」は50.0%(26病院)。COVID-19入院患者「あり」の病院における月平均入院患者数は7.6人だった(最大は4月に76人の入院患者[東京都])。

静脈栄養製剤の「使用上の注意」改訂で透析・血液ろ過患者は慎重投与に/厚労省

 厚生労働省の薬事・食品衛生審議会(医薬品等安全対策部会安全対策調査会)は2020年6月25日付の課長通知で、一般用静脈栄養製剤及び肝不全用アミノ酸製剤の添付文書の改訂指示を発出した。改訂対象には一般用静脈栄養製剤計25品目(アミノ酸製剤10品目[アミパレン:大塚製薬工場 ほか]、末梢静脈栄養用製剤5品目[ビーフリード:大塚製薬工場 ほか]、中心静脈栄養用基本液4品目[ハイカリック:テルモ ほか]、中心静脈栄養用キット製剤6品目[フルカリック:テルモ ほか])と肝不全用アミノ酸製剤4品目(アミノレバン:大塚製薬工場 ほか)が該当する。

COVID-19の肺がん患者、死亡率高く:国際的コホート研究/Lancet Oncol

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的流行期における、肺がん等胸部がん患者の転帰について、初となる国際的コホート研究の結果が公表された。COVID-19に罹患した胸部がん患者は死亡率が高く、集中治療室(ICU)に入室できた患者が少なかったことが明らかになったという。イタリア・Fondazione IRCCS Istituto Nazionale dei TumoriのMarina Chiara Garassino氏らが、胸部がん患者における重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)感染の影響を調査する目的で行ったコホート研究「Thoracic Cancers International COVID-19 Collaboration(TERAVOLT)レジストリ」から、200例の予備解析結果を報告した。これまでの報告で、COVID-19が確認されたがん患者は死亡率が高いことが示唆されている。胸部がん患者は、がん治療に加え、高齢、喫煙習慣および心臓や肺の併存疾患を考慮すると、COVID-19への感受性が高いと考えられていた。結果を踏まえて著者は、「ICUでの治療が死亡率を低下させることができるかはわからないが、がん治療の選択肢を改善し集中治療を行うことについて、がん特異的死亡および患者の選好に基づく集学的状況において議論する必要がある」と述べている。Lancet Oncology誌オンライン版2020年6月12日号掲載の報告。

血清葉酸レベルと統合失調症の性別に基づく関連性

 血清葉酸濃度に性差があることはよく知られているが、血清葉酸レベルと統合失調症の関連性を性別に基づいて調査した研究はこれまでなかった。徳島大学の富岡 有紀子氏らは、日本人を対象に、性別で層別化した統合失調症患者と精神疾患でない健康な対照者における血清葉酸レベルの違いを調査した。以前の研究データを用いて、血清葉酸レベル、血漿総ホモシステイン(tHcy)、血清ビタミンB6(ピリドキサール)レベルとの関係も調査した。Psychiatry and Clinical Neurosciences誌オンライン版2020年5月23日号の報告。  統合失調症患者482例および精神疾患でない健康な対照者1,350例の血清葉酸濃度を測定した。性差に基づく両群間の血清葉酸レベルの違いを調査するため、共分散分析を用いた。葉酸、 tHcy、ビタミンB6レベルとの関係を評価するため、スピアマンの順位相関係数を用いた。

生活習慣病患者の2割が通院せず自粛/血糖トレンド委員会

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大により、生活習慣病患者の多くが外出を自粛したことに伴い、医療機関への通院を控えた事例が散見される。では、実際どの程度の通院などの自粛がされていたのだろう。  血糖コントロールの重要性、および「血糖トレンド」の概念とその活用方法について、医学的、学術的および患者視点でわかりやすく正確な情報発信を行うこと目的とした委員会である「血糖トレンド委員会」(代表世話人: 西村 理明氏[東京慈恵会医科大学 糖尿病・代謝・内分泌内科 主任教授])は、生活習慣病患者にCOVID-19がどのような影響を与えたのかを分析するため調査を実施し、今回その結果を発表した。

HER2+大腸がんに対するトラスツズマブ デルクステカンの成績(DESTINY-CRC01)/ASCO2020

 イタリア・Universita degli Studi di MilanoのSalvatore Siena氏は、HER2陽性転移大腸がんに対する抗HER2抗体薬物複合体製剤トラスツズマブ デルクステカン(T-DXd、DS-8201)の多施設共同非盲検第II相試験DESTINY-CRC01の結果を米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO20 Virtual Scientific Program)で発表。標準治療に抵抗性を示す転移大腸がんでは注目すべき活性を示すと報告した。

ベネトクラクス、急性骨髄性白血病の希少疾病用医薬品に指定/アッヴィ

 アッヴィは、6月22日、経口BCL-2阻害薬ベネトクラクスについて、急性骨髄性白血病(AML)を予定される効能・効果として、厚生労働省より希少疾病用医薬品の指定を取得した。  AMLは最も悪性度が高く、治療困難な血液がんのひとつで、生存率が極めて低い。治療法やケアの進歩にもかかわらず、患者の5年生存率は約28%にとどまっている。またAMLは世界で最も多い急性白血病でもあり、全世界で10万人当たりの新規発症数は103例、本邦におけるAMLの総患者数は、約7,000例と報告されている。

高レベルのMET増幅肺がんにおけるcapmatinib(GEOMETRY-MONO1)/ASCO2020

 MET-TKI capmatinibは、METexon14スキッピングを有する非小細胞肺がん(NSCLC)への有効性が示されており、FDAでも認可されている。米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO20 Virtual Scientific Program)では、MET増幅NSCLCについての、第II相GEOMETRY Mono-1試験の結果が発表された。 ・対象: [コホート1a]Stage IIIB / IVの既治療の高度(遺伝子コピー数、GCN10以上)MET増幅NSCLC [コホート5a]治療の高度MET増幅(同上)NSCLC ・介入:capmatinib 400mg×2/日 ・評価項目: 「主要評価項目]盲検独立審査委員会(BIRC)評価の全奏効率(ORR) [副次評価項目]BICR評価の奏効期間(DoR)、BIRCおよび治験担当医評価の病勢制御率(DCR)、治験担当医評価のORR、治験担当医評価のDoR、BIRCおよび治験担当医評価の無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)、BIRCおよび治験担当医評価の奏効までの期間、安全性、薬物動態

EGFR陽性肺がんに対するゲフィチニブのアジュバント(CTONG1104試験)/ASCO2020

 病理病期II~IIIAで、完全切除を受けたEGFR変異陽性の非小細胞肺がん(NSCLC)患者に対する術後療法としての、標準的なプラチナ併用化学療法とゲフィチニブの比較試験の全生存期間(OS)に関する報告が、米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO20 Virtual Scientific Program)で中国・Guangdong Lung Cancer InstituteのYi-Long Wu氏より発表された。  本試験は中国国内で実施された多施設共同オープンラベルの第III相無作為化比較試験であり、無病生存期間(主要評価項目)の有意な改善に関する報告は2017年のASCOで既になされている。今回の発表はOSの最終解析報告である。

乳がん術後補助療法の非順守が血清検査で判明、再発リスクは2倍/JCO

 乳がん術後補助療法のタモキシフェン治療へのノンアドヒアランス(非順守)は、医師に認識されていないことが多い。今回、フランス・Institut Gustave RoussyのBarbara Pistilli氏らが、タモキシフェン治療の非順守率を血清検査で生化学的に調べたところ、自己申告では順守であっても順守していない患者が多いことがわかった。また、非順守患者では短期における遠隔無再発生存期間(DDFS)が順守患者より有意に短いことが示された。Journal of Clinical Oncology誌オンライン版2020年6月22日号に掲載。

新型コロナで低カリウム血症、その原因は?

 中国・温州医科大学のDong Chen氏らは新型コロナウイルス感染症(COVID-19)患者における治療転帰との関連性を見いだすため、低カリウム血症の有病率、原因、および臨床的影響を調査する目的で研究を行った。その結果、COVID-19患者において低カリウム血症の有病率が高いこと、さらにその原因として、新型コロナウイルス(SARS-Cov-2)がアンジオテンシン変換酵素2(ACE2)に結合することにより、ACE2(レニン-アンジオテンシン系を抑制)が分解され、レニン-アンジオテンシン系が活性化して持続的に腎からカリウムが排泄されることが示唆された。JAMA Network open誌2020年6月1日号掲載の報告。

去勢感受性前立腺がん、アパルタミド+アビラテロン vs.ADT+アビラテロン vs.アパルタミド単独(LACOG0415)/ASCO2020

 去勢感受性前立腺がん(CSPC)に対するアパルタミドとアビラテロンの併用とアンドロゲン遮断療法(ADT)とアビラテロンの併用、アパルタミド単独療法の3群を評価する試験結果が米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO20 Virtual Scientific Program)で、ブラジル・Hospital Israelita Albert EinsteinのFernando C. Maluf氏から発表された。本試験は、中南米の臨床試験グループ(LACOG)が実施した、オープンラベル無作為化非比較第II相試験である。

統合失調症外来患者における抗精神病薬の高用量処方に関連する要因

 抗精神病薬は、複数の向精神薬と併用し、高用量で処方されることが一般的である。京都大学の高橋 達一郎氏らは、統合失調症患者に対する抗精神病薬の高用量処方に焦点を当て、患者の特徴および向精神薬併用との関連を特定するため調査を行った。Neuropsychopharmacology Reports誌オンライン版2020年5月26日号の報告。  2014年10月~2015年3月の全国都道府県からの請求データを用いて、統合失調症成人外来患者の抗精神病薬処方を調査した。客観的変数は、高用量処方の有無とした。説明変数には、性別、年齢(カテゴリー)、併存疾患の有無、精神科医による治療を含めた。

RET陽性肺がんに対するselpercatinibの脳転移に関する効果(LIBRETTO-001)/ASCO2020

 米国・テキサス大学MDアンダーソンがんセンターのVivek Subbiah氏は、RET融合遺伝子陽性のNSCLCに対するRET阻害薬selpercatinib(LOXO-292)の第I/II相試験LIBRETTO-001の脳転移例に関するサブ解析結果を米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO20 Virtual Scientific Program)で発表。同薬が脳転移に対する著名な抗腫瘍効果を示すと報告した。  非小細胞肺がん患者の約2%に認められるRET融合遺伝子陽性症例では脳転移の頻度が高いことが報告されている。selpercatinibは前臨床試験でこうした転移に対する抗腫瘍効果が報告されている。

閉経後乳がん患者、術後AI+スタチンが再発リスク低下と関連

 スタチンの使用は、術後アロマターゼ阻害薬(AI)治療を受けている閉経後乳がん患者において、再発リスクの低下と関連していた。デンマーク・オーフス大学病院のSixten Harborg氏らが、集団ベースのコホート研究結果を、Breast Cancer Research and Treatment誌オンライン版2020年6月22日号に報告した。  研究者らは、2007~2017年にI~III期のホルモン受容体陽性乳がんと診断された閉経後のすべての患者を登録。術後AI治療が実施された。デンマーク国立処方レジストリから、スタチンの処方(診断後1年以上の処方)を確認し、生物学的潜伏期間を考慮し6ヵ月後からの時変曝露としてモデル化した。