医療一般|page:144

生後6ヵ月以上へのBA.4/5対応ワクチン承認/FDA

 米国食品医薬品局(FDA)は12月8日、モデルナおよびファイザーのオミクロン株BA.4/5対応の新型コロナウイルス2価ワクチンについて、緊急使用許可(EUA)を修正し、生後6ヵ月以上の小児への使用を追加したことを発表した。  今回のEUA修正により、モデルナのBA.4/5対応2価ワクチン(mRNA-1273.222)は、生後6ヵ月~5歳の小児に対して、1価ワクチンの初回シリーズ(2回)を接種して2ヵ月後に、追加免疫として1回(10μg)の接種を行うことができる。

各抗うつ薬中断後の離脱症候群~WHO自発報告データベース

 各抗うつ薬中断に関連する離脱症候群や重度の副反応の危険因子に関する情報は、不足している。イタリア・ベローナ大学のChiara Gastaldon氏らは、抗うつ薬が他の薬剤と比較し、離脱症候群の報告増加と関連しているかを評価し、重度の副反応の危険因子について調査を行った。その結果、抗うつ薬は、他の薬剤よりも離脱症候群の報告が多かった。著者らは、各抗うつ薬により離脱症候群の傾向が異なることや重篤な離脱症候群を引き起こす可能性のある患者の特徴を理解したうえで、抗うつ薬の使用および中止を検討する必要があるとしている。Drug Safety誌2022年12月号の報告。

コロナ死亡例、脳を含む広範囲に長期ウイルスが存在/Nature

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による死亡者の体内には、呼吸器をはじめ非呼吸器、脳に至るまで広く長期に渡ってSARS-CoV-2が存在していることが、新たな研究で判明した。米国国立衛生研究所(NIH)のSydney R. Stein氏らによる本研究結果は、Nature誌オンライン版2022年12月14日号に掲載された。  COVID-19は、重症の感染時に多臓器不全を引き起こすことが知られており、一部の患者には罹患後症状と呼ばれる症状が長く続く。しかし、呼吸器以外の感染負荷やウイルスが消失するまでの時間、とくに脳においては十分に解明されていない。  研究者らは、COVID-19の感染後に死亡した44例の患者の完全剖検を行い、うち11例の患者の中枢神経系を広範囲に採取し、感染から症状発現後7ヵ月以上までの、脳を含む人体全体のSARS-CoV-2の分布、複製、細胞型特異性のマッピングと定量分析を行った。組織および症例間のSARS-CoV-2 RNAレベルを定量的、統計的に比較するために、呼吸器系および非呼吸器系組織の観点から結果を分析した。

料理に塩をふりかける習慣は心疾患リスクを上昇させる

 心疾患の発症リスクを下げたいならテーブルソルトを食卓に置かないようにする方が良いかもしれない。日頃から減塩を実践している人でも、料理に塩をふりかける習慣があると、心血管疾患(CVD)の発症リスクの上昇をまねく恐れのあることが、米テュレーン大学公衆衛生・熱帯医学部教授のLu Qi氏らの研究で示された。研究結果は、「Journal of the American College of Cardiology」12月6日号に掲載された。  この研究でQi氏らは、成人17万6,570人の塩分摂取量に関するデータを収集し、料理に塩をふりかける習慣やDASH食とCVDリスクとの関連について調べた。高血圧の予防と改善を目的とするDASH食では、果物や野菜、全粒穀物、低脂肪の乳製品などを多く摂取するほか、肉や魚、鶏肉などの家禽類、ナッツ類、豆類なども摂取できるが、砂糖が添加された食品や飲料、赤肉、添加脂肪の摂取は制限される。

FDA初承認の糞便微生物叢製品が細菌感染症に有効

 米食品医薬品局(FDA)は11月30日、再発性のクロストリディオイデス(クロストリジウム)・ディフィシル感染症(Clostridioides difficile infection;CDI)に対する治療として、糞便微生物叢製品Rebyotaを承認したことを発表した。FDAによる糞便微生物叢製品の承認は今回が初めてである。対象は、抗菌薬による治療を終えた18歳以上の再発性CDI患者で、投与方法は、直腸への単回投与である。  CDIはクロストリディオイデス・ディフィシルを原因菌とする感染症で、抗菌薬の使用により腸内の微生物叢が変化し、クロストリディオイデス・ディフィシルが増殖して毒素を放出し、これにより発熱や下痢、腸炎などが生じる。重症の場合には臓器不全が生じて致死的となることもある。AP通信によると、米国では年間1万5,000~3万人がCDIで死亡しているという。また、いったん回復しても再発する可能性が高く、感染を繰り返す人も多い。CDIのリスク因子は、65歳以上であること、入院、免疫系の低下、CDIの既往などである。

脱毛治療での栄養サプリ使用は、安全・有効か?

 脱毛治療のための栄養補助食品使用および食事介入は広く行われているが、安全性・有効性は不明のままである。米国・タフツ大学のLara Drake氏らはシステマティック・レビューの結果、脱毛治療における栄養補助食品使用は患者に利益をもたらす可能性があり、有害事象は報告されていないが、それらレジメンは当局の監視下にないことから、それぞれの試験デザインの条件下で安全性・有効性は解釈すべきものであるとの見解を示した。その上で、「医師は、脱毛患者にこれら治療の潜在的なリスクと利点を十分に説明して、共同意思決定をしなければならない」と述べている。また、今後の検討として、実薬比較による大規模な無作為化試験が求められると提言している。JAMA Dermatology誌オンライン版2022年11月30日号掲載の報告。

性への関心と健康や寿命は関係があるのか/国内前向き研究

 性的関心が薄れることは、健康や寿命に関係するのであろうか。山形大学の櫻田 香氏らの研究グループは、性的関心の欠如と全死因死亡率との関連性について、山形県における前向き観察研究を行った。この研究は、山形県内の40歳以上の被験者2万969人を対象に行ったもので、性的関心を持たなかった男性では、全死亡率およびがん死亡率が有意に上昇した。PLoS One誌2022年12月14日号の報告。

統合失調症患者の味覚障害

 精神疾患患者では、味覚障害が認められることが少なくない。これまでの研究では、統合失調症患者において症状とグルタミン酸ナトリウム(MSG)の味覚障害との間に関連がある可能性が示唆されている。ポーランド・Pomeranian Medical UniversityのMichal Wronski氏らは、MSGの味覚レベルが症状の重症度と関連しているかを検討した。Brain Sciences誌2022年11月9日号の報告。  対象は、妄想型統合失調症と診断(ISD-10)された患者200例。MSGまたは水を含む3つの液体サンプルを舌下投与することにより、MSG検出閾値を評価した。MSGのサンプルには、サンプルごとに異なる濃度を用いた。被験者に、どのサンプルがMSGを含有しているかを示してもらい、味の強さや不快感(快適、不快、どちらでもない)を評価させた。

高い目的意識は長生きにつながる?

 人生に明確な目的意識を持つことで、全死亡リスクを低下させられる可能性のあることが、1万3,000人以上の米国人を8年にわたって追跡した研究から明らかになった。この傾向は、男性よりも女性でやや強かったものの、性別や人種/民族による有意差は認められなかったという。米ボストン大学公衆衛生大学院の芝孝一郎氏らが実施したこの研究の詳細は、「Preventive Medicine」11月号に掲載された。  この研究は、50歳超の米国成人を対象にした健康と退職に関する研究(Health and Retirement Study)の参加者1万3,159人のデータを用いて、目的意識と全死亡リスクとの関連を検討したもの。目的意識の高さについては、試験開始時(2006〜2008年)に評価スケールを用いて参加者に自己報告してもらった「人生の目的」に基づき評価した。また、参加者を研究開始時から8年間追跡して全死亡リスクについて検討した。

冬が近づくと多くの人が抑うつ状態になりやすくなる―AHAニュース

 冬になると木々の葉が落ち、気温が下がり、太陽が弱々しくなる。これを季節の移り変わりとして楽しむ人もいるが、一方で冬季に季節性情動障害(SAD)と呼ばれるうつ病の一種を経験する人も少なくない。「その症状は一般的なうつ病とほとんど変わらない」と米ニューヨーク大学(NYU)グロスマン医学部のThea Gallagher氏は解説する。同氏によると、「両者の唯一の違いは、SADの発症が季節と関連していること。通常は日光が弱まり気温が低下して、身体活動が少なくなりがちな秋から冬に症状が現れ、春には消失する。しかし、毎年ほぼ同じ時期に再発しやすい」とのことだ。

EGFR陽性肺がんオシメルチニブ1次治療の有用性、35ヵ月のリアルワールド追跡(OSI-FACT)/日本肺癌学会

 EGFR変異陽性肺がんの1次治療においてオシメルチニブはスタンダードだが、同レジメンを大規模に観察したリアルワールドデータはない。第63回日本肺癌学会学術集会では、愛知県がんセンターの大矢由子氏により、同治療の有効性と安全性をリアルワールドで評価したOSI-FACT試験の追跡結果が発表された。  対象は、2018年8月〜2019年12月にHanshin Oncology critical Problem Evaluate group(HOPE)を中心に登録された、EGFR変異陽性NSCLC患者538例。これらの患者を後ろ向きに解析した。データカットオフは2022年2月28日で、追跡期間中央値は35.0ヵ月である。

コロナウイルスの生存率が高い食品は…野菜or肉or魚?

 2019年冬、中国・武漢で新型コロナウイルス感染症が初めて発生し、その起源も生きた哺乳類が売られていた「海鮮市場」と研究報告もまとめられている1)。以来、新型コロナウイルス(以下、SARS-CoV-2)と食品との関連性については懸念が続いているが、SARS-CoV-2の食品での生存率と除去に関する研究はほとんど存在していない。そこで、韓国・中央大学校のSoontag Jung氏らがSARS-CoV-2の生存に最適な保管温度や素材を調査するために、レタス、チキン、サーモンにSARS-CoV-2を付着させ、温度や湿度を変化させて検証した。その結果、SARS-CoV-2の生存率は、保管温度と食品に依存しており、室温ではレタスとチキン上での生存率が低いことが明らかになった。Food Microbiology誌オンライン版2022年10月27日号掲載の報告。

脳の強化にはベリー類などの食品が良い可能性

 ベリー類やお茶をたくさん摂取すれば、加齢に伴う認知機能の低下速度を遅らせることができるかもしれない。米ラッシュ大学医療センターのThomas Holland氏らが、900人以上の成人を対象に実施した研究で、抗酸化物質のフラボノール類を含む食品や飲料は、高齢者の脳に有益な影響をもたらすことが示された。フラボノール類は、ベリー類などの果物や緑色の葉物野菜、茶、ワインなどに含まれている。この研究結果は、「Neurology」に11月22日掲載された。  この研究でHolland氏らは、認知症がない60〜100歳の研究参加者961人(平均年齢81歳)のデータを収集した。平均6.9年にわたる追跡期間中に、これらの参加者は年に1回の頻度で食事に関する質問票に回答しており、1日当たりのフラボノール類の摂取量に応じて5群に分けられた。参加者のフラボノール類の1日当たりの平均摂取量は、最も多い群で15mg(葉物野菜で約1カップ分に相当)、最も少ない群で5mgだった。認知機能については、参加者に対して1年に1回の頻度で実施された19種類の認知機能検査の結果を基に、包括的な認知機能スコアを算出した。

COVID-19後遺症患者の多くがスティグマを経験

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の罹患後症状(以下、後遺症)が生じた人は、長期にわたって、倦怠感やブレインフォグ、息切れなどの症状と闘っている。しかし、後遺症患者を悩ませているのはそのような症状だけではないようだ。後遺症患者の約95%が少なくとも1種類のスティグマ(偏見や差別)を経験したことがあり、4人に3人は、そうしたスティグマをかなりの頻度で経験していることが、新たな研究から明らかになった。英ブライトン・アンド・サセックス・メディカルスクールのMarija Pantelic氏らが実施したこの研究の詳細は、「PLOS ONE」に11月23日掲載された。

アルツハイマー病薬の臨床試験で2例目の死亡例

 臨床試験で脳のアミロイドβを除去する抗体薬lecanemab(レカネマブ)の投与を受けていた初期段階のアルツハイマー病の65歳の女性が、重度の脳出血により死亡したことが、「ScienceInsider」に11月27日報告された。Lecanemabに関連して生じた可能性のある2例目の脳出血死であり、この薬剤の安全性に対する疑問が浮上している。  報告によると、この女性は脳卒中に脳腫脹や脳出血を併発していた。Lecanemabの投与に伴う脳腫脹や脳出血は、別の投与例でも確認されている。女性を治療した米ノースウェスタン大学医療センターの医師らによると、強力な血栓溶解薬である組織プラスミノゲン活性化因子(tPA)を投与した直後、女性は脳の外層全体に相当量の出血を来したという。女性の夫は、「医師が薬剤を投与したとたん、妻の体に火がついたかのようになった。妻は悲鳴を上げ、8人がかりで押さえつけなければならないほどだった。本当に恐ろしい状況だった」と同誌に語っている。症例報告によれば、女性は数日後に死亡したという。

心臓に良いとされるサプリのコレステロール低下作用は否定的/JACC

 心臓に良いとされているサプリメント(サプリ)のコレステロール低下作用を検討した結果、いずれも見るべきものはなく、中には負の影響を示すものもあったとする報告が、米国心臓協会(AHA)学術集会(Scientific Sessions 2022、11月5~7日、米シカゴ/バーチャル開催)で発表されるとともに、「Journal of the American College of Cardiology(JACC)」に論文が同時掲載された。米クリーブランド・クリニックのLuke Laffin氏らの研究によるもの。  心血管疾患のリスク抑制には、血清脂質値の改善〔LDL(悪玉)コレステロールや中性脂肪の低下、HDL(善玉)コレステロールの上昇〕が重要であり、その手段として医師からは、主としてスタチンと呼ばれる薬剤が処方される。一方、処方箋のいらないサプリメントの中にも心臓に良いとされているものがある。ただし、それらの血清脂質改善作用は明らかでない。そこでLaffin氏らは、それら6種類のサプリの脂質改善作用をスタチンの一種であるロスバスタチンと比較するという、前向き無作為化単盲検比較試験を実施した。

パンデミック下での職場いじめと精神的苦痛や希死念慮の実態―全国オンライン調査

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)パンデミック下で実施された、職場いじめと労働者のメンタルヘルスの実態に関する調査の結果が報告された。労働者の15%が職場いじめに遭っていたこと、在宅勤務の開始は職場いじめに遭う確率を下げるものの、男性では精神的苦痛や希死念慮の増加につながっていたことなどが明らかになった。神奈川県立保健福祉大学大学院ヘルスイノベーション研究科の津野香奈美氏らの研究によるもので、詳細は「BMJ Open」に11月2日掲載された。  職場でのいじめは労働者のメンタルヘルスに悪影響を及ぼすことが想定されるが、その実態は明らかになっていない。また、COVID-19パンデミックに伴い人々の生活はそれまでと一変し、特に労働者では雇用環境の悪化や在宅勤務の開始などにより、新たなメンタルヘルスへの負荷が加わったと考えられる。津野氏らはこれらの点について、COVID-19パンデミックの社会・医療への影響を把握するために実施された大規模調査「JACSIS(Japan COVID-19 and Society Internet Survey)研究」のデータを解析し検討した。

餅は胃内で硬くなる!?胃に丸餅10個確認された症例

 毎年、年末になると餅による窒息の注意が喚起されるが、餅の胃内滞留はほとんど知られていない。胃酸が餅を溶かすと誤解されているが、雑煮など温かい汁物の中では柔らかい餅が、胃内の温度では胃液で溶けない程度に硬くなる。そのまま餅が胃内に滞留すると、胃潰瘍や胃穿孔を引き起こす可能性があるので、小児や高齢者以外も注意が必要だ。今回、雑煮の餅を噛まずに飲み込んで胃内に滞留し、腹痛で来院した症例について、名手病院(和歌山県紀の川市)の川西 幸貴氏らがClinical Case Report誌オンライン版2022年12月5日号に報告した。

HR+/HER2+転移乳がん1次治療、ET有無の転帰への影響

 ホルモン受容体陽性(HR+)/HER2陽性(ERBB2+)転移乳がん(MBC)患者における内分泌療法(ET)の位置付けは明確になっていない。フランス・Institut CurieのMarcela Carausu氏らは、HER2陽性患者におけるホルモン受容体の状態やETの1次治療での投与有無と転帰の関連を評価することを目的としてコホート研究を実施。JAMA Network Open誌2022年12月15日号に報告した。  本研究は、フランスの臨床疫学・医療経済(ESME)コホートの臨床データを解析したもので、2008~17年に治療を開始したMBC患者が含まれた。最終フォローアップ日は2020年6月18日。ETによる維持療法と転帰との関連を評価するために、対象患者にはHER2標的療法の第1選択薬に加え、化学療法(CT)±ETあるいはET単独療法が行われた。

降圧薬使用とアルツハイマー病との関連~メタ解析

 高血圧は認知症のリスク因子として知られているが、高血圧患者のアルツハイマー病リスク軽減に対する降圧薬使用の影響についてのエビデンスは、決定的であるとは言えない。ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン薬学部のM. Adesuyan氏らは、認知機能が正常な高血圧症の成人患者における降圧薬使用とアルツハイマー病発症率との関連を調査した。その結果、降圧薬の使用とアルツハイマー病発症率低下との関連が認められた。とくに、アンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)の使用は、降圧薬の中でも最大のベネフィットをもたらす可能性が示唆された。このことから著者らは、降圧が認知機能保護の唯一のメカニズムではない可能性があり、認知機能に対するアンジオテンシンIIの影響についてさらなる調査が求められるとしている。The Journal of Prevention of Alzheimer's Disease誌2022年号の報告。