医療一般|page:221

がん患者、新型コロナワクチン接種後の抗体価が低い/Ann Oncol

 がん治療を受けている固形腫瘍患者はCOVID-19ワクチン接種後の抗体価が低く、2回以降の接種が健常者以上に重要になる、という報告が相次いでいる。  Annals Oncology誌2021年4月28号オンライン版に「LETTER TO THE EDITOR」として掲載されたフランスの研究では、固形腫瘍患者194例にBNT162b2を接種。初回接種時、2回目接種時(3~4週後)、2回目接種後3~4週目(6~8週後)に抗体値を測定し、陽性判定を行った。  主な結果は以下のとおり。

メランコリアに特徴的な5つの主観的症状

 近年、うつ病と診断される患者には、さまざまな病態の抑うつ症状患者が含まれていることから、メランコリアが再評価されている。しかし、メランコリアのDSM-5基準(DSM-MEL)を用いて、メランコリーうつ病と非メランコリーうつ病を明確に鑑別することは困難であり、DSM-MELでは不十分であるともいわれている。メランコリアの特徴で唯一、定量的に評価できる精神運動障害は、重要な指標であると考えられる。虎の門病院分院の玉田 有氏らは、精神運動障害と関連する症状を分析し、メランコリアの主観的症状を客観的に特定する試みを行った。Neuropsychiatric Disease and Treatment誌2021年4月19日号の報告。

モデルナ製ワクチンの副反応、ファイザー製との違いは?/JAMA

 モデルナ社の新型コロナウイルスワクチン(mRNA-1273)が日本でも特例承認され、大規模接種会場を中心に接種が始まる。商品名はCOVID-19ワクチンモデルナ筋注。既存株に対する ワクチン有効率は約94%でファイザー社ワクチン(BNT162b2mRNA、有効率:95%)とほぼ同等だが、副反応疑い症状の発症率についてはどうだろうかー。  今回、米国疾病予防管理センター(CDC)のCOVID-19レスポンスチームに所属する Johanna Chapin-Bardales氏らは、「BNT162b2mRNA」と「mRNA-1273」の接種者からの局所的・全身性の症状に関する報告の詳細を明らかにした。 その結果、両ワクチンともに接種部位の痛み、倦怠感、頭痛が多かった。また、いずれも副反応報告は2回目接種後のほうが多く、とくにmRNA-1273ワクチン接種者はBNT162b2mRNAと比べ、悪寒(40.0% vs.22.7%)、発熱(37.6% vs.21.5%)、筋肉痛(51.4% vs.36.8%)、頭痛(53.2% vs.40.4%)、倦怠感(60.0% vs.47.8%)、接種部位の疼痛(78.3% vs.66.5%)、関節痛(31.5% vs.19.9%)を多く報告していた。JAMA誌2021年4月5日号オンライン版に掲載の報告。

TNF阻害薬治療中のIBD患者、新型コロナワクチン単回接種では抗体応答が不良

 新型コロナワクチンを巡っては、世界的に需要が高まり、限られた供給量をどう配分するかが各国における喫緊の課題になっており、単回接種の有効性についての研究も進んでいる。一方で、炎症性腸疾患(IBD)など全身免疫を抑制する治療を行っている患者では、免疫応答が十分に得られず、ワクチンの有効性が落ちるのではないかという懸念がある。英国・Royal Devon and Exeter NHS Foundation TrustのNicholas A Kennedy氏らは、インフリキシマブもしくはベドリズマブ治療中のIBD患者に対し、2種類の新型コロナワクチン接種後の抗体価を比較。その結果、インフリキシマブ治療患者では、ベドリズマブと比べワクチン単回接種後の抗体価が有意に低かった。

ファイザー新型コロナワクチン、がん患者ではとくに2回接種を/Lancet Oncol

 がん患者に対する新型コロナワクチンBNT162b2(ファイザー)の安全性と免疫原性をがん患者における評価を目的とした前向き観察研究の結果が発表された。  対象は、2020年12月8日~2021年2月18日に、ロンドンの3つの病院でBNT162b2接種を受けたがん患者と健康成人(主に医療従事者)。複合主要評価項目は、がん患者におけるBNT162b2ワクチンの初回接種後のSARS-CoV-2スパイク(S)タンパク質IgG陽性の割合、2回目(初回から21日後)接種後の同陽性例の割合であった。

第66回日本透析医学会学術集会・総会の開催について【ご案内】

 第66回日本透析医学会学術集会・総会が2021年6月4日~6月6日に パシフィコ横浜において開催される。今回もチーム医療、アドバンス・ケア・プランニング、共同意思決定、コミュニケーションなど多くのプログラムが用意されており、もちろん、新型コロナに関する話題も盛り込まれている。主要プログラムは、十分な感染対策を講じLIVE配信を併用するハイブリッド形式とし、来場しなくても全国どこからでも視聴できる。なお、学術集会終了後のオンデマンド配信は実施されない。

治療抵抗性統合失調症患者におけるオキシトシン系機能障害

 治療抵抗性統合失調症(TRS)は、重度の陽性症状のみならず他の症状とも関連する非常に複雑な病態生理を有している。また、統合失調症では、自閉スペクトラム症と重複する心理的および生物学的プロファイルが注目されている。千葉大学の仲田 祐介氏らは、治療抵抗性統合失調症患者におけるオキシトシン系機能障害について、検討を行った。Journal of Psychiatric Research誌オンライン版2021年3月30日号の報告。  TRS患者30例、寛解期統合失調症(RemSZ)患者28例、ASD患者28例を対象に、一般的な認知機能および社会的認知機能障害とオキシトシン系機能障害との関連について、比較検討を行った。

骨髄腫に、ダラツムマブの皮下注新発売/ヤンセンファーマ

 ヤンセンファーマは、2021/05/19、抗CD38モノクローナル抗体ダラツムマブとボルヒアルロニダーゼ アルファを配合した皮下投与製剤ダラキューロ配合皮下注(以下、ダラキューロ)の販売を開始した。ダラキューロは、本年3月23日に多発性骨髄腫を効能又は効果として製造販売承認を取得している。  ダラツムマブの点滴静注製剤(ダラツムマブ IV)は、多発性骨髄腫に対して、複数の治療レジメンで承認されており、国内外の各種ガイドラインでも推奨されている。一方で、infusion reaction(急性輸液反応)を予防するため、投与に際しては500~1,000mlの輸液が必要となり、約3〜7時間の投与時間を要する。今回製造販売承認を取得したダラキューロでは、皮下投与に要する時間が約3〜5分へと短縮され、また固定用量となるため薬剤調製手順が簡略化されることにより、医療従事者および患者の負担が軽減されることが期待されている。

ファイザー製ワクチン、感染報告率の低下は接種後何日から?/感染研

 ファイザー製の新型コロナワクチンBNT162b2は、国内では2021年2月14日に薬事承認され、2月17日から医療従事者を対象とした先行接種が開始となった。国立感染症研究所は、先のワクチンの臨床的効果を迅速に評価するため、既存のサーベイランスデータを用いた仮想コホートを構成し、1回目接種後のCOVID-19報告率の変化を検討した。その結果、報告率は1回目接種日から12日前後を境に低下する傾向がみられ、接種後0~13日の報告率と比較すると、14~20日で0.42倍、21~27日で0.39倍、28日以降で0.14倍であった。

非虚血性心筋症に対する左脚ペーシングは有効か【Dr.河田pick up】

 左脚ブロックを改善させて、心室再同期を図るヒス束ペーシングは実現可能な方法であるが、リード留置が容易ではなく、閾値が高くなるという問題がある。本研究は、左脚ブロックを伴った非虚血性心筋症患者に対する心室再同期療法(CRT)の手段として、比較的新しい中隔アプローチによる左脚ペーシング(LBBP)が現実的に可能で有効な方法かを評価するために、中国・温州医科大学のWeijian Huang氏が米国や英国の研究チームと共に実施したもので、JACC誌に掲載された。

日本人高齢者における認知症リスクと音楽活動

 認知症リスクの低減のために、余暇の認知活動が推奨されている。大阪大学のAhmed Arafa氏らは、日本人高齢者における認知症リスクとさまざまな音楽活動との関連について調査を行った。Geriatrics & Gerontology International誌オンライン版2021年4月6日号の報告。  日本老年学的評価研究(JAGES)プロジェクトに参加した65歳以上の高齢者5万2,601人を対象に、縦断的データを分析した。楽器演奏、カラオケ、合唱、民謡などの音楽活動についてアンケートを用いて評価した。認知症の診断には、介護保険制度で標準的に使用される認知症尺度を用いた。Cox回帰を用いて、音楽活動に関連した認知症のハザード比および95%信頼区間(CI)を算出した。

妊婦のストレス症状、COVID-19パンデミック前後の比較

 コロナウイルス感染症(COVID-19)関連のストレスを受けている妊婦は、そうでない妊婦と比較してストレスレベルが有意に高いことが、オランダ・Amsterdam Reproduction & Development Research InstituteのSanne J. M. Zilver氏らによって明らかにされた。COVID-19ストレスの軽減を目的とする介入は、パンデミック下における妊婦の全体的なストレスレベルを減らす可能性がある。Journal of Psychosomatic Obstetrics & Gynecology誌オンライン版2021年4月26日号の報告。

日本循環器協会が発足―予防啓発や人材育成など7つの事業を柱に

 5月10日、循環器病の新たな団体として『日本循環器協会』が発足した。代表理事に小室 一成氏(東京大学大学院医学系研究科循環器内科学教授)、平田 健一氏(神戸大学大学院医学研究科 循環器内科学分野教授)を迎え、各都道府県などと連携を取ることで、患者の心不全予防の啓発に力をいれていく。  循環器病による国内死亡率は近年の高齢化に伴いがんよりも高い。また、健康寿命にも大きく影響を及ぼしており、平均寿命に対し、健康寿命は男性で8.84年、女性で12.35年も短く、国としての大きな問題になっている。そこで、2016年から「脳卒中・循環器病克服5ヵ年計画」や「脳卒中・循環器病対策基本法」が、昨年10月には「循環器病対策推進基本計画」が動き出したことで、各都道府県でも基本計画が実行されていくことになる。これまでも循環器病領域には歴史のある日本循環器学会や日本心臓財団が存在するが、いずれも患者やサポート企業、自治体との連携が限定的であったことを踏まえ、市民により近い距離での情報発信や患者・家族サポートなどの活動を行うための新たな組織が必要となり設立に至った。

米国でダパグリフロジンがCKDの適応承認/アストラゼネカ

 SGLT2阻害薬の活躍の場が拡大している。AstraZeneca(本社:英国ケンブリッジ)のSGLT2阻害剤ダパグリフロジン(商品名:フォシーガ)が、進行リスクのある成人の慢性腎臓病(CKD)における適応承認を米国で取得した。適応症は、慢性腎臓病におけるeGFRの持続的低下、末期腎不全への進行、心血管死、および心不全入院のリスク低減。  ダパグリフロジンは、経口で1日1回投与の、ファーストインクラスの選択的SGLT2 阻害剤であり、心臓、腎臓、膵臓における基本的な関連性の解明に伴い、心臓・腎臓に及ぼす影響から、予防、そして臓器保護へと研究は進化している。

RA系阻害薬は、COVID-19入院患者に継続してよい?

 COVID-19入院患者において、レニン-アンジオテンシン(RA)系阻害薬の継続有無による転帰の差はないことが、米国・ペンシルベニア大学のJordana B. Cohen氏によって明らかにされた。RA系阻害薬は、COVID-19入院患者でも安全に継続できるという。The Lancet. Respiratory Medicine誌2021年3月号の報告。  RA系阻害薬(ACE阻害薬またはARB)の服用は、COVID-19の重症度に影響を与える可能性が示唆されている。世界7ヵ国20の大規模な委託病院において、前向き無作為化非盲検試験REPLACE COVID試験(ClinicalTrials.gov:NCT04338009)を実施し、RA系阻害薬の継続と中止がCOVID-19入院患者の転帰に影響を与えるかどうか、検証した。

遺伝性血管性浮腫患者の支援団体が稼働/遺伝性血管性浮腫診断コンソーシアム

 遺伝性血管性浮腫(Hereditary Angioedema:HAE)は、主に遺伝子変異が原因で血液中のC1インヒビターの低下などに起因し、体のいたるところで持続する腫れやむくみを繰り返す疾患である。皮膚手足、顔面、生殖器などが腫れた場合は、一見すると「じんま疹」に似ていることがあるが、強いかゆみを伴わないのが特徴だ。特にのどが腫れた場合、呼吸困難となり、生命の危険を来す可能性があり、早期の確定診断が必要だが、本症と診断されずに、日ごろの症状に苦しむ患者も多い。

2型糖尿病、「座る時間の短縮」も指導して

  身体活動に加えて、座位中心の生活習慣を2型糖尿病のリスク評価に含める必要がある。2型糖尿病のリスク低減には、身体活動の促進と座位中心の生活習慣の回避を併せた指導が重要であると、スペイン・ナバラ大学のMaria Llavero-Valero氏らによって示された。Nutrition, Metabolism & Cardiovascular Diseases誌2021年2月8日号の報告。  身体活動と座りがちな行動―。ともに独立して2型糖尿病進展との関連性が示されている。しかし、両者の組み合わせによる検証は乏しい。そのため、本研究では身体活動スコアの評価だけでなく、座位中心の生活習慣スコアも併せて評価し、2型糖尿病との関連性を比較検証した。

双極性障害におけるBMIと皮質下脳容積との関連

 双極性障害患者は、肥満の割合が高く、このことが神経構造の変化と関連しているといわれている。しかし、双極性障害患者の脳構造に対する肥満の影響は、十分に研究されていない。カナダ・ダルハウジー大学のSean R. McWhinney氏らは、双極性障害におけるBMIと皮質下脳容積との関連について、検討を行った。Molecular Psychiatry誌オンライン版2021年4月16日号の報告。  ENIGMA-BDワーキンググループ内の独立した研究サイト17件より、双極性障害患者1,134例、対照群1,601例の皮質下脳容積(MRI測定)およびBMIのデータを収集した。混合効果モデルを用いて、皮質下脳容積に対する双極性障害とBMIの影響を併せてモデル化し、ノンパラメトリックブートストラップを用いて、肥満の違いによる影響をテストした。すべてのモデルは、年齢、性別、脳半球容積、頭蓋内容積、データ収集サイトにより制御した。

低・中リスクのHER2+早期乳がん、術後トラスツズマブは9週投与も検討可か/ESMO BREAST 2021

 低および中リスクのHER2陽性早期乳がん患者において、術後トラスツズマブの投与期間を9週間に短縮した場合の、良好な長期結果が示された。1年間の投与が標準であることには変わりないものの、トラスツズマブへのアクセスが制限される状況やLVEF低下などで投与継続が難しい場合には、より短期間の投与が選択肢となる可能性がある。イタリア・パドヴァ大学のPierfranco Conte氏が、short-HER試験の長期解析結果を欧州臨床腫瘍学会乳がん(ESMO Breast Cancer Virtual Congress 2021、2021年5月5~8日)で報告した。

うつ病と職場や家族のストレスに対する職場のソーシャルキャピタルの影響

 日本では、労働者のメンタルヘルスが問題となっている。公務員の労働環境は、過度なストレスを伴うことが多くなり、うつ病予防の必要性が増している。職場や家庭でのストレスに加えて、ソーシャルキャピタルがうつ病と関連していることが報告されている。敦賀市立看護大学の中堀 伸枝氏らは、うつ病と職場でのストレスまたは家庭でのストレスの軽減に対する職場のソーシャルキャピタルの影響について調査を行った。BMC Public Health誌2021年4月14日号の報告。