医療一般|page:224

レンバチニブ、胸腺がんに国内承認/エーザイ・MSD

 エーザイとMSDは、2021年3月23日、エーザイ創製のマルチキナーゼ阻害薬レンバチニブ(商品名:レンビマ)について、「切除不能な胸腺癌」の効能効果追加の承認を取得した。同剤は、日本における「切除不能な胸腺癌」に対する初めての承認薬剤となる。  この承認は、国立がん研究センター中央病院を含む国内8施設で実施された非盲検単群多施設共同の医師主導治験(臨床第II相試験、REMORA試験)の結果に基づくもの。本試験では、少なくとも1レジメン以上のプラチナ製剤による前治療歴のある胸腺がん患者42例が登録され、レンバチニブ単剤の有効性・安全性が評価された。

ベネトクラクス、急性骨髄性白血病の追加承認を取得/アッヴィ

 アッヴィは、再発/難治性の慢性リンパ性白血病(CLL)および小リンパ球性リンパ腫(SLL)治療薬であるベネトクラクス(商品名:ベネクレクスタ)について、急性骨髄性白血病(AML)の適応追加承認を取得したことを発表した。この承認は、ベネトクラクスとアザシチジンの併用効果を見た試験(VIALE-A試験)※1とベネトクラクスとシタラビンの併用効果を見た試験(VIALE-C試験)※2の結果を受けたものとなる。  一部の血液がんでは、BCL-2タンパク質がアポトーシスと呼ばれるがん細胞の自然死または自己破壊の過程を阻止するが、ベネトクラクスはこのBCL-2を標的とし、がん細胞により失われたアポトーシスの過程を回復させる作用がある。ベネトクラクス単剤では十分な効果が得られなかったが、2つの試験による併用療法によって有効性が認められた。

早期乳がんアジュバントでCDK4/6阻害薬は有用か/ESMO Open

 HR+/HER2-の進行乳がんにおいてはCDK4/6阻害薬と内分泌療法の併用は標準治療だが、アジュバントにおけるCDK4/6阻害薬の評価は一定していない。イタリア・Hunimed UniversityのElisa Agostinetto氏らは、系統的レビューとメタ解析により、HR+/HER2-早期乳がんのアジュバントにおける内分泌療法へのCDK4/6阻害薬追加による生存および安全性アウトカムへの影響を評価した。その結果、無浸潤疾患生存(IDFS)におけるベネフィットの傾向と、毒性(全Grade)および投与中止リスクの増加がみられた。ESMO Open誌2021年3月17日号に掲載。

抗精神病薬誘発性高プロラクチン血症の治療に関するガイダンス

 抗精神病薬誘発性高プロラクチン血症のマネジメントオプションおよび治療における有効性、忍容性、薬物相互作用、禁忌、投与計画などの考慮すべきポイントについて、米国・ミズーリ大学のMatthew M. Rusgis氏らが評価を行った。American Journal of Health-System Pharmacy誌オンライン版2021年2月26日号の報告。  主な内容は以下のとおり。 ・高プロラクチン血症は、抗精神病薬の使用により発現する副作用の1つである。 ・高プロラクチン血症のマネジメントにおいて、まずは以下の手段を検討する。

自閉スペクトラム症における統合失調症や気分障害の合併率

 自閉スペクトラム症(ASD)患者は、他の疾患を合併しているケースが少なくない。多くの研究において、ASD患者を対象に精神医学的合併症の有病率が報告されているものの、合併症の発生率は明らかになっていない。台湾・国立台湾大学医学院附設病院のYi-Ling Chien氏らは、台湾レセプトデータベースを用いて、ASD患者における主な精神医学的合併症の発生率および性別、ASDサブタイプ、自閉症関連の神経発達状態と発生率との関連について調査を行った。Autism Research誌2021年3月号の報告。

『敗血症診療ガイドライン2020年』の完成版が発刊

 昨年、ダイジェスト版が先行発表されていた日本集中治療医学会・日本救急医学会の合同作成による「日本版敗血症診療ガイドライン2020」の正式版が、3月に発刊された。本ガイドラインは、小児から成人まで敗血症・敗血症性ショック患者およびその疑いのある患者の診療において、医療従事者が患者の予後改善のために適切な判断を下す支援を行うことを目的に作成されている。また、敗血症診療に従事または関与する専門医、一般臨床医、看護師、薬剤師、理学療法士、臨床工学技士、管理栄養士などのすべての医療従事者への利用を促している。

TRK阻害薬ラロトレクチニブ、NTRK陽性固形がんに国内承認/バイエル

 バイエル薬品は、2021年3月23日、神経栄養因子チロシンキナーゼ受容体(NTRK)融合遺伝子陽性の進行・再発固形がん治療薬として、ラロトレクチニブ(商品名:ヴァイトラックビ)の製造販売承認を取得した。  ラロトレクチニブは、NTRK遺伝子融合陽性の進行・再発の固形がんの治療に特化した経口トロポミオシン受容体キナーゼ(TRK)阻害薬として開発され、TRK融合を有する成人および小児固形がん患者に対し、高い奏効割合と持続的な奏効を示し、TRK融合を有する中枢神経系原発腫瘍に対して高い病勢コントロール率を示している。

新型コロナのPCR、鼻咽頭スワブ陰性も結膜で陽性

 新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)はさまざまな体液などを介して感染するが、人間の涙液内のウイルスの存在に関する情報は不十分である。イタリア・インサブリア大学のClaudio Azzolini氏らが横断研究を行った結果、結膜スワブで陽性を示し鼻咽頭スワブで陰性を示す可能性があることから、結膜スワブの使用は診断・検査の補足になることを明らかにした。ただし、研究者らは「感染力までは決定づけられなかった」としている。JAMA Ophthalmolmology誌オンライン版2021年3月4日号掲載の報告。

ワクチン接種完了率の高い高齢者、重症者が大幅減/CDC

 新型コロナワクチン接種を世界でいち早く進めたイスラエルにおいて、ワクチン2回接種の完了者が多い70歳以上で、人工呼吸器を必要とする重症者数がワクチン接種開始前と比べて大幅に減ったことがわかった。米国疾病対策センター(CDC)が発行するMorbidity and Mortality Weekly Report3月5日号掲載の報告。  イスラエルではファイザー社製ワクチンを使用し、60歳以上、医療従事者、基礎疾患を持つ人を優先して接種するキャンペーンを展開。2021年2月9日までに計360万6,858人が初回接種を受け、そのうち222万3,176人(62%)が2回目の接種を完了した。年代別に見た2回目接種完了率は70歳以上、60〜69歳、50〜59歳、50歳未満で、それぞれ84.3%、69.0%、50.2%、9.9%だった。

視神経脊髄炎スペクトラム障害の治療薬/田辺三菱製薬

 田辺三菱製薬株式会社は、「視神経脊髄炎スペクトラム障害(視神経脊髄炎を含む)の再発予防」を適応症とした治療薬イネビリズマブ(商品名:ユプリズナ 点滴静注 100mg)の製造販売承認を2021年3月23日に取得した。  視神経脊髄炎スペクトラム障害(Neuromyelitis Optica Spectrum Disorder:NMOSD)は、わが国での有病率が10万人あたり2~4人と少ない疾患で、重度の視神経炎と横断性脊髄炎を特徴とする中枢神経系の自己免疫疾患であり、指定難病となっている。

末梢性T細胞リンパ腫および皮膚T細胞性リンパ腫に、デニロイキン ジフチトクス国内承認/エーザイ

 エーザイは、2021年3月23日、デニロイキン ジフチトクス(商品名:レミトロ)について、「再発又は難治性の末梢性T細胞リンパ腫」、「再発又は難治性の皮膚T細胞性リンパ腫」の効能効果で日本における製造販売承認を取得したと発表。  この承認申請は、再発または難治性の末梢性T細胞リンパ腫(PTCL)および皮膚T細胞性リンパ腫(CTCL)の患者を対象に国内で実施された多施設共同非盲検単群II相205試験などの結果に基づいて行われた。

AZ製コロナワクチン、米国第III相試験の主要解析で安全性・有効性を確認

 アストラゼネカ英国本社は3月25日発信のプレスリリースで、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチンAZD1222の米国における第III相試験の主要解析において、安全性と有効性が確認されたと発表した。事前に規定された統計解析計画では、中間解析で少なくとも75例、主要解析で少なくとも150例の判定症例が必要であったが、両解析におけるワクチンの有効性は一致しており、結果に齟齬はなかった。  AZD1222を巡っては、日本を含む各国で臨床試験が進行中。このうち米国第III相試験(D8110C00001)は、健康な、もしくは医学的に安定した慢性疾患を有し、SARS-CoV-2やCOVID-19曝露のリスクが高い18歳以上の成人3万2,449 例の被験者を対象に、米国、ペルー、チリの88の治験施設で実施。本主要解析には、全被験者のうち190例の症候性COVID-19症例が含まれており、中間解析から49例増加していた。被験者はワクチン群とプラセボ群に2:1で無作為に割り付けられた。本試験の主要評価項目である症候性COVID-19 発症予防に対するワクチンの有効性は、4週間隔で2回接種後、15日以降において76%(信頼区間[CI]:68%~82%)だった。

高齢者のせん妄と認知症リスク~メタ解析

 せん妄と新規認知症発症との関連は、観察研究によって調査されているが、利用可能なエビデンスを定量的および定性的に評価したレビューは、最近行われていなかった。オーストラリア・ニューサウスウェールズ大学のJarett Vanz-Brian Pereira氏らは、せん妄と認知症に関連するエビデンスをシステマティックにレビュー、これを厳密に評価したうえで、せん妄発症後の新規認知症発症率を算出するため、検討を行った。International Journal of Geriatric Psychiatry誌オンライン版2021年2月9日号の報告。

血液検体による固形がんCGP「FoundationOne Liquid CDx」国内承認/中外

 中外製薬は、2021年03月23日、固形がんに対する包括的ゲノムプロファイリング(CGP: comprehensive genomic profiling)を提供するリキッドバイオプシー(LB: liquid biopsy)検査として、「FoundationOne Liquid CDx がんゲノムプロファイル」の承認を、3月22日に厚生労働省より取得したと発表。血液検体を用いた固形がんに対するCGPと、国内で承認された複数のコンパニオン診断機能を併せ持ったがん遺伝子パネル検査として国内初の承認となる。  FoundationOne Liquid CDx がんゲノムプロファイルは、進行固形がん患者を対象とし、血液中の循環腫瘍DNA(ctDNA: circulating tumor DNA)を用いることで、324のがん関連遺伝子を解析する。がんゲノムプロファイリング機能と併せ、厚生労働省より承認されている複数の分子標的治療のコンパニオン診断機能も有しており、これらの結果を一つのレポートとして提供する。

既治療NSCLCへのニボルマブ、5年生存率の結果/JCO

 免疫療法は、進行非小細胞肺がん(NSCLC)の治療に革命をもたらした。すでに、既治療の扁平上皮および非扁平上皮NSCLC患者を対象とした2つの第III相試験(CheckMate-017およびCheckMate-057)において、ニボルマブはドセタキセルと比較し、全生存(OS)期間の改善と良好な安全性を示している。米国・Fox Chase Cancer CenterのHossein Borghaei氏らは、両試験の5年間における有効性および安全性に関するプール解析を行い、ニボルマブはドセタキセルと比較して、OS延長効果が持続し、新たな安全性の懸念はなかったことを明らかにした。Journal of Clinical Oncology誌2021年3月1日号掲載の報告。

医者にかかる10箇条に見る新たな医師と患者の関わり方

 インフォームド・コンセント(IC)の場において、医師の努力もさることながら患者にも自発性を促す必要がある。ではどのような方法が有力なのだろうかー。3月12日に開催された「カルテコいきいきPHRウェブセミナー」にて、山口 育子氏(NPO法人ささえあい医療人権センター[COML]理事長)が『新・医者にかかる10箇条』について解説し、病院受診する患者が持つべき心構えや責任について語った(主催:メディカル・データ・ビジョン[MDV])。

レンバチニブ、子宮体がんに対する希少疾病用医薬品に指定/エーザイ

 エーザイは、2021年3月12日、マルチキナーゼ阻害薬レンバチニブ(商品名:レンビマ)について、子宮体がんを予定される効能又は効果として、厚生労働省から希少疾病用医薬品に指定されたと発表。  プラチナ製剤による1レジメン以上の前治療歴のある進行子宮体がんを対象に、日本、米国、欧州などで実施している第III相KEYNOTE-775試験において、レンバチニブとペムブロリズマブ(商品名:キイトルーダ)の併用は、全生存期間と無増悪生存期間の2つの主要評価項目および奏効率の副次評価項目を達成。現在、日本を含む世界各国で、本試験のデータに基づく効能・効果追加申請の準備中である。

同種HCT後の心房細動、死亡リスク増大/JCO

 同種造血幹細胞移植(HCT)後の、新規心房細動は予後不良と関連するとの知見が示された。米国・ロサンゼルス小児病院のEllen K. Chang氏らは、同種HCTに関連した転帰に対する心房細動の影響を検討する目的で後ろ向きコホート研究を行い、同種HCT後の心房細動発症は生存率の低下と関連していることを明らかにした。また、患者背景、HCT前の心臓パラメータおよびHCTに関連した曝露と、心房細動リスクとの重要な関連を特定し、HCT中およびHCT後の予防戦略についても示している。Journal of Clinical Oncology誌2021年3月10日号掲載の報告。  研究グループは、コホート内症例対照研究法を用いて、2014~16年に同種HCTを受けた487例を対象に、HCT前の心エコー測定とその後の心房細動イベントとの関連を解析した。

FGFR阻害薬ペミガチニブ、胆道がんに国内承認/インサイト

 米国インサイト・コーポレーション(以下、インサイト)は2021年3月23日、選択的線維芽細胞増殖因子受容体(FGFR)阻害薬ペミガチニブ(商品名:ペマジール)について、がん化学療法後に増悪したFGFR2融合遺伝子陽性の治癒切除不能な胆道がんの治療薬として、厚生労働省による国内製造販売承認を取得したと発表。  胆管がんは、肝内胆管がんと肝外胆管がんに分類され、診断時にはすでに進行期または末期であることが多く、概して予後も不良である。FGFR2融合遺伝子または遺伝子再構成は、肝内胆管がんにほぼ限定的に発生するもので国内でまれに認められる。

コロナ禍における透明マスク、患者との信頼関係を良好にする!?

海外では現行のマスクを利用すると聴覚障がい者などのコミュニケーションの妨げになるとして、透明なマスクの開発が進められている。では実際、この懸念は透明なマスクによって本当に払拭されるのだろうか―。ノースカロライナ大学チャペルヒル校のIan M Kratzke氏らが200例を対象としてランダム化比較試験を実施した結果、患者は主治医の顔を見ながらコミュニケーションをとることを好むと示唆された。また、外科医が透明なマスクを着用することは、患者にとって良いコミュニケーターとなり、患者からより共感が得られ、より大きな信頼を引き出すことが明らかになった。JAMA Surgery誌オンライン版2021年3月11日号掲載の報告。