ジャーナル四天王(NEJM ・ Lancet ・ JAMA ・ BMJ )最新ニュース|page:59

日本人重症脳梗塞、血管内治療+薬物療法は薬物療法単独より有益/NEJM

 日本で行われた試験で、主幹動脈閉塞を伴う梗塞が大きい患者に対する血管内治療と薬物療法の併用は薬物療法のみに比べ、90日アウトカムが良好であり、修正Rankinスケールスコア0~3の患者の割合が約2.4倍に上ることが示された。頭蓋内出血の発生率は、血管内治療併用群で高率だった。兵庫医科大学の吉村 紳一氏らが、国内203例の患者を対象に行った無作為化比較試験の結果を報告した。急性虚血性脳卒中に対する血管内治療は、梗塞が大きい場合は一般的に回避されるが、これまで薬物療法単独と比較した血管内治療の効果について、十分な検討は行われていなかった。NEJM誌オンライン版2022年2月9日号掲載の報告。

コロナワクチン有効性、4ヵ月超で明らかに低下/Lancet

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチンを2回接種後、日数経過によりワクチン有効性は低下し、その低下速度はワクチンの種類によって異なることが示された。スウェーデン・Umea大学のPeter Nordstrom氏らが、84万人超のワクチン接種者と、同数のマッチングコントロールについて後ろ向き全住民コホート試験を行い明らかにした。ChAdOx1 nCoV-19(Oxford-AstraZeneca製)、mRNA-1273(Moderna製)、BNT162b2(Pfizer-BioNTech製)の2回接種後、症状の程度を問わない新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)感染に対するワクチン有効性は、BNT162b2は4~6ヵ月で47%に減少、7ヵ月後には有意な有効性が認められなかったが、mRNA-1273では6ヵ月以降も59%を維持していた。入院や死亡などを伴う重症COVID-19に対する予防効果は、いずれかのワクチンとも2回接種後、比較的長期にわたり維持されてはいたが、4ヵ月以降は64%と明らかな低下が認められ、著者は「今回の結果は、エビデンスに基づく3回目のブースター接種に関する根拠を強化するものである」とまとめている。Lancet誌オンライン版2022年2月4日号掲載の報告。

特発性拡張型心筋症、家族の有病率30%・罹患リスク19%/JAMA

 特発性拡張型心筋症(DCM)は家族内での発症がみられるため、リスクのある家族構成員を早期に発見することで、末期の病態に至る前に治療開始の機会をもたらす可能性があるが、米国ではDCMの家族内の有病率などの詳細なデータは知られていないという。米国・タフツ大学のGordon S. Huggins氏らは、今回、米国のDCMコンソーシアム参加施設で調査(DCM Precision Medicine Study)を行い、DCM患者の家族の約30%がDCMに罹患しており、家族が80歳までにDCMに罹患するリスクは19%と推定した。研究の詳細は、JAMA誌2022年2月1日号で報告された。

進行食道扁平上皮がんの1次治療、ニボルマブを含むレジメンが有望/NEJM

 進行食道扁平上皮がん患者の1次治療では、抗プログラム細胞死1(PD-1)モノクローナル抗体ニボルマブ+化学療法の併用と、ニボルマブ+抗細胞傷害性Tリンパ球抗原4(CTLA-4)抗体イピリムマブの併用は、化学療法単独と比較して、いずれのレジメンも全生存期間を有意に延長することが、大阪大学大学院医学系研究科消化器外科学の土岐祐一郎氏らが実施した「CheckMate 648試験」で示された。新たな安全性のシグナルは確認されなかったという。研究の成果は、NEJM誌2022年2月3日号に掲載された。  本研究は、進行食道扁平上皮がんの1次治療における免疫チェックポイント阻害薬と化学療法の併用、および免疫チェックポイント阻害薬2剤併用の有効性と安全性の評価を目的とする非盲検無作為化第III相試験であり、2017年6月~2019年11月の期間に、日本を含む26ヵ国182施設で参加者の登録が行われた(Bristol Myers SquibbとOno Pharmaceuticalの助成を受けた)。

多疾患罹患、中年期の発症で認知症リスク増加 /BMJ

 多疾患罹患(multimorbidity)は、高年期よりも中年期の発症で認知症との関連が強く、併存する慢性疾患の数が多いほど認知症のリスクが高くなることが、フランス・パリ大学のCeline Ben Hassen氏らの調査で示された。研究の成果は、BMJ誌2022年2月2日号で報告された。  研究グループは、中年期および高年期の多疾患罹患と、認知症の新規発症との関連を評価する目的で、前向きコホート研究を実施した(米国国立老化研究所[NIA]などの助成を受けた)。

HFpEF/HFmrEFへの心房シャント、運動時肺血管抵抗正常患者で転帰改善/Lancet

 駆出率(EF)が保持または軽度低下した心不全(HFpEF/HFmrEF)患者では、心房シャントデバイス(InterAtrial Shunt Device[IASD]System II、米国Corvia Medical製)の留置により全体的な健康状態は改善されないものの、運動時の肺血管抵抗(PVR)の頂値が正常範囲内の患者では利益が得られる可能性があることが、米国・ノースウェスタン大学ファインバーグ医学部のSanjiv J. Shah氏らが実施したREDUCE LAP-HF II試験で示された。研究の詳細は、Lancet誌オンライン版2022年2月1日号に掲載された。  本研究は、心房シャントはHFpEF/HFmrEF患者における心不全イベントを低減し、健康状態を改善するかの検証を目的とする第III相無作為化偽手術対照比較試験であり、米国、カナダ、欧州、オーストラリア、日本の89施設で、2017年5月~2020年7月の期間に参加者の登録が行われた(米国Corvia Medicalの助成による)。

心原性ショックへの体外式膜型人工肺、低体温管理は死亡率を改善せず /JAMA

 難治性心原性ショックに対し静脈-動脈方式の体外式膜型人工肺(VA-ECMO)を導入した患者において、早期に24時間中等度低体温(33~34度)管理を行っても正常体温(36~37度)管理と比較し、生存率は改善しなかった。フランス・CHRU NancyのBruno Levy氏らが、同国の20施設で実施した無作為化臨床試験「Hypothermia During ECMO trial:HYPO-ECMO試験」の結果を報告した。標準治療と標準治療+ECMOを比較した無作為化臨床試験はないにもかかわらず、難治性心原性ショックの管理におけるECMOの使用が世界的に増加しているが、心原性ショック時のVA-ECMOの最適な方法は不明であった。今回の結果について著者は、「95%信頼区間(CI)が広く、臨床的に重要な差が存在する可能性もあり、今回の結果で結論付けるべきではないと考えられる」との見解を示した。JAMA誌2022年2月1日号掲載の報告。

高度免疫グロブリン、COVID-19入院患者への有効性を認めず/Lancet

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)から回復した健康成人の血漿から精製され、一定量かつ高濃度の抗体を含有するSARS-CoV-2高度免疫グロブリン静注製剤(hIVIG)について、レムデシビルを含む標準治療との併用は、末期臓器不全のないCOVID-19入院患者に対する有効性は認められないことが示された。米国・国立衛生研究所(NIH)の出資により実施された国際共同無作為化二重盲検プラセボ対照第III相試験「Inpatient Treatment with Anti-Coronavirus Immunoglobulin:ITAC試験」の結果を、オーストラリア国立大学のMark N. Polizzotto氏らが報告した。hIVIGによる受動免疫療法は、COVID-19のような感染症の発生に対し、迅速に利用できる特異的治療となる可能性があったが、hIVIGの無作為化臨床試験の実施はこれまで限られていた。Lancet誌2022年2月5日号掲載の報告。

家族性高コレステロール血症、世界的に診断遅れ/Lancet

 ホモ接合性家族性高コレステロール血症(HoFH)患者について、38ヵ国を対象に調べたところ、世界的に診断年齢が高く、とくに非高所得国では、十分な治療がなされず初回の主要心血管有害イベントが20代で発生している現状が示された。オランダ・アムステルダム大学のTycho R. Tromp氏ら、HoFH患者の治療を行う医師らによるHoFH International Clinical Collaborators(HoFH国際臨床共同研究グループ)が明らかにし、Lancet誌オンライン版2022年1月28日号で発表した。  研究グループは、38ヵ国、88ヵ所の医療機関を通じて、臨床または遺伝的にHoFHの診断を受けた751例の患者についてレジストリを作成し、後ろ向きコホート試験を行った。  HoFH患者の臨床・遺伝的特徴と、治療の現状、アウトカムへの影響を検証した。

コロナ感染の抑制、政府・対人信頼度と関連/Lancet

 パンデミックの発生以来、各国の新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)感染率や新型コロナウイルス感染症(COVID-19)死亡率は大きく変動している。それらの変動の要因を検証したところ、パンデミックへの事前対策指標の高低とは関連が認められなかった一方で、政府への信頼度や対人信頼度が高いこと、また政府内の汚職が少ないことが、同感染率の低下と関連していたことを、米国・ワシントン大学保健指標評価研究所(IHME)のJoseph L. Dieleman氏らCOVID-19 National Preparedness Collaboratorsが、177の国と地域のデータを基に検証し明らかにした。本検討は、将来のパンデミックへのより効果的な準備と対応のために不可欠な取り組みを明らかにする目的で行われたものだが、著者は、「今回の結果は、主要な修正可能なリスクに関する健康増進は、個々人が公衆衛生ガイダンスに抱く信頼を高めるようなリスクコミュニーケションやコミュニティ戦略へ、より大きな投資をすることで、死亡抑制に結びつくことを示唆するものであった」とまとめている。Lancet誌オンライン版2022年2月1日号掲載の報告。

COVID-19の急性呼吸不全、CPAP vs.高流量鼻腔酸素/JAMA

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による急性低酸素性呼吸不全(AHRF)がみられる患者では、従来の酸素療法と比較して、持続的気道陽圧法(CPAP)は気管挿管や死亡のリスクを有意に低減するが、高流量経鼻酸素療法(HFNO)には有意なリスク低減効果は認められないことが、英国・ウォーリック大学のGavin D. Perkins氏らが実施した「RECOVERY-RS試験」で示された。研究の詳細は、JAMA誌オンライン版2022年1月24日号で報告された。

ブースター接種、9種の組み合わせを評価~第I/II相試験/NEJM

 3種の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチン(mRNA-1273[Moderna製]、Ad26.COV2.S[Johnson & Johnson-Janssen製]、BNT162b2[Pfizer-BioNTech製])は、最初の連続2回接種(Johnson & Johnson-Janssen製は1回接種)での種類を問わず、12週間以上の間隔をあけた追加接種にどのワクチンを用いても、安全性プロファイルは許容範囲内であり、明らかな免疫原性をもたらすことが、米国・ベイラー医科大学のRobert L. Atmar氏らが実施した「DMID 21-0012試験」で示された。研究の成果は、NEJM誌オンライン版2022年1月26日号に掲載された。

5年間のビタミンD補給により自己免疫疾患のリスク低減/BMJ

 5年間のビタミンD補給により、オメガ3脂肪酸の追加の有無を問わず、自己免疫疾患の発生が22%減少し、オメガ3脂肪酸の補給では、ビタミンD追加の有無にかかわらず、統計学的有意差はないものの同疾患が15%減少することが、米国・ハーバード大学公衆衛生大学院のJill Hahn氏らが行った「VITAL試験」で示された。研究の成果は、BMJ誌2022年1月26日号で報告された。  研究グループは、ビタミンDと海産動物由来の長鎖オメガ3脂肪酸は自己免疫疾患のリスクを低減するかを検証する目的で、2×2ファクトリアルデザインを用いた二重盲検プラセボ対照無作為化試験を行った(米国国立衛生研究所[NIH]の助成による)。

COVID-19、ICU退室から1年後の身体・精神・認知症状の割合は?/JAMA

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に罹患し、集中治療室(ICU)で治療を受けた生存例では、1年後に約74%で身体症状が認められ、また約26%で精神症状が、約16%で認知症状が発現していたことが、オランダ・ラドバウド大学医療センターのHidde Heesakkers氏らが同国のICUで行った調査で示された。研究の詳細は、JAMA誌オンライン版2022年1月24日号に掲載された。  本研究は、ICUで治療を受けたCOVID-19生存例における1年後の身体、精神、認知症状の発現の評価を目的とする探索的な前向きコホート研究で、ICU生存例(非COVID-19患者を含む)を対象とした多施設共同試験であるMONITOR-IC試験の一環として実施された。

身体活動モニターで身体活動量は増える?/BMJ

 身体活動モニター(PAM)による介入が身体活動に及ぼす効果については、エビデンスの確実性は低く、中~高強度の身体活動および座位時間に対する効果は中程度であったが、介入は安全で、身体活動および中~高強度の身体活動を効果的に増加させるという。デンマーク・コペンハーゲン大学のRasmus Tolstrup Larsen氏らが、システマティックレビューおよびメタ解析の結果を報告した。最新のPAMは、身体活動について利用者に直接的なフィードバックを提供し、行動変容を促進させるものとして利用できる可能性があるとされる。2007年のシステマティックレビューでは、PAMが身体活動を増加する可能性が報告されたが、組み込まれた研究が少なく、推定効果量は不正確さに影響されており、2007年以降に発表された研究ではPAMの有効性ついて異なる結論が示されていた。今回の結果について著者は、「身体活動および中~高強度の身体活動に対する有効性は十分確立されているが、出版バイアスに起因して過大評価されている可能性がある」としている。BMJ誌2022年1月26日号掲載の報告。

mRNAワクチンの心筋炎リスク、年齢・男女別に2億人を解析/JAMA

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のmRNAワクチン接種後の心筋炎リスクは、男女とも複数の年齢層で上昇し、とくに12~24歳の男性で2回目接種後に高かった。米国疾病予防管理センター(CDC)のMatthew E. Oster氏らが、米国の受動的なワクチン有害事象報告システム(Vaccine Adverse Event Reporting System:VAERS)を基にした解析結果を報告した。著者は、「心筋炎のリスクは、COVID-19ワクチン接種のメリットに照らして検討する必要がある」とまとめている。JAMA誌2022年1月25日号掲載の報告。

トファシチニブ、心血管リスクの高いRA患者での安全性を検討/NEJM

 心血管リスクの高い関節リウマチ患者において、トファシチニブ5mgまたは10mgの1日2回投与は腫瘍壊死因子(TNF)阻害薬と比較し、主要有害心血管イベント(MACE)および悪性腫瘍の発現率が高く、非劣性基準を満たさなかった。米国・メイヨー・クリニックのSteven R. Ytterberg氏らが30ヵ国323施設で実施した、無作為化非盲検非劣性第IIIb-IV相安全性評価試験「ORAL Surveillance試験」の結果、明らかとなった。日和見感染症、帯状疱疹および非黒色腫皮膚がんの発現率もトファシチニブ群が高率であることが示された。NEJM誌2022年1月27日号掲載の報告。

mRNAワクチン3回接種、オミクロン株とデルタ株への有効性は?/JAMA

 2021年12月10日~2022年1月1日に新型コロナウイルス感染症様(COVID様)症状を有し検査した人において、mRNAワクチンの3回接種は未接種および2回接種と比較し、オミクロン変異株およびデルタ変異株の両方に対して感染予防効果があることが認められた。米国疾病予防管理センター(CDC)のEmma K. Accorsi氏らが、症例対照研究の結果を報告した。ただし、その効果は、デルタ変異株に比べてオミクロン変異株で低いことが示唆された。JAMA誌オンライン版2022年1月21日号掲載の報告。

死に至る薬剤耐性菌感染症、最も多い疾患と原因菌は/Lancet

 薬剤耐性(AMR)は、世界中で人々の健康を脅かす主要な原因となっている。これまでのAMR研究は、特定の地域における限られた病原体と薬剤の組み合わせについて、感染症の発生率や死亡数、入院期間、医療費に及ぼすAMRの影響の評価を行い、広範な地域や、病原体と薬剤の網羅的な組み合わせに関する包括的な検討は行われていないという。米国・ワシントン大学のMohsen Naghavi氏らAntimicrobial Resistance Collaboratorsは、今回、AMR負担に関して現時点で最も包括的な検討を行い、2019年に世界で495万人が細菌のAMRに関連する感染症で死亡し、このうち127万人は薬剤耐性菌感染症が直接の原因で死亡したことを明らかにした。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2022年1月18日号に掲載された。

コロナ発症後の医療サービス利用期間、5歳以下は3~6ヵ月/BMJ

 ノルウェーの1~19歳の年齢層では、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による医療サービス利用の増加への影響は限定的で、回復までの期間が1~5歳で3~6ヵ月と、6~19歳の1~3ヵ月に比べて長期に及び、その主な原因は呼吸器疾患であったことが、ノルウェー・公衆衛生研究所のKarin Magnusson氏らの調査で示された。研究の成果はBMJ誌2022年1月17日号で報告された。  研究グループは、1~19歳ではCOVID-19前に比べそのあとで医療サービスの利用が増えたかを検証する目的で、一般人口を対象とするコホート研究を行った(ノルウェー公衆衛生研究所の助成による)。