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- 2024/12/20
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世界の死産率と新生児死亡率の傾向/Lancet
2014年、UNICEFとWHOは、「すべての新生児のための行動計画(Every Newborn Action Plan:ENAP)」の中で、すべての国が2030年までに年間死産率(annual stillbirth rate:SBR)を出生1,000件当たり12件以下にするという絶対目標を表明している。米国・ワシントン大学のNicholas J. Kassebaum氏らGBD 2021 Global Stillbirths Collaboratorsは、近年、死産は世界的に徐々に減少しているものの、その数は依然としてかなり多く、とくに開発が遅れている国々に高度な負担が集中しているとの調査結果を報告した。研究の成果は、Lancet誌2024年11月16日号に掲載された。
妊娠超初期の薬剤中絶、有効性と安全性を確認/NEJM
子宮内妊娠が確認される前の超初期における薬剤中絶は、子宮内妊娠が確認されるまで中絶を延期するという標準的なアプローチと比較して、完全な中絶に関して非劣性であることが示された。スウェーデン・カロリンスカ研究所のKarin Brandell氏らVEMA (Very Early Medication Abortion) Study Groupが、多施設共同無作為化非劣性対照試験の結果を報告した。ミフェプリストン・ミソプロストールによる薬剤中絶は、高い有効性と安全性が確認されている。しかしながら、妊娠が超音波検査で確認できる前の妊娠超初期での有効性および安全性のエビデンスは不十分であった。NEJM誌2024年11月7日号掲載の報告。
HFrEF患者の死亡リスク、SGLT-2阻害薬で25%減/BMJ
駆出率が低下した心不全(HFrEF)を有する患者において、SGLT-2阻害薬の使用者は非使用者と比較して、全死因死亡リスクが25%低かった。デンマーク・国立血清学研究所(SSI)のHenrik Svanstrom氏らが、同国心不全レジストリ(Danish Heart Failure Registry)と国民登録簿(Danish national registers)を結び付けて解析した非介入データベース試験の結果を報告した。臨床試験では、SGLT-2阻害薬は糖尿病の有無にかかわらず、駆出率が低下した心不全患者の病状悪化および死亡のリスクを低下することが示されている。しかし、臨床試験のような管理下にない幅広い心不全患者集団における、SGLT-2阻害薬の有効性はほとんどわかっていなかった。著者は、「今回の結果は、実臨床において、および糖尿病患者と非糖尿病患者を含むすべての重要な臨床サブグループにおいて、SGLT-2阻害薬の有効性を支持するものであった」とまとめている。BMJ誌2024年11月6日号掲載の報告。
薬物療法を要する院外心停止者の血管アクセス、骨髄路vs.静脈路/NEJM
薬物療法を要する院外心停止成人患者において、骨髄路確保戦略を用いても静脈路確保戦略を用いた場合と比べて、30日生存率は高くならなかった。英国・ウォーリック大学のKeith Couper氏らPARAMEDIC-3 Collaboratorsが、英国の11の救急医療システムで実施したプラグマティックな無作為化非盲検試験「PARAMEDIC-3試験」の結果を報告した。院外心停止患者の場合、アドレナリン(エピネフリン)などの薬剤の有効性は投与時間によって大きく左右される。骨髄内投与は静脈内投与より迅速な薬剤投与が可能であるが、臨床アウトカムへの影響は不明であった。NEJM誌オンライン版2024年10月31日号掲載の報告。
自殺リスク、曜日や祝日との関連は?/BMJ
ほとんどの国では自殺リスクは月曜日に最も高く、元日に増加するが、週末やクリスマスでは国や地域によって異なることを、韓国・釜山大学のWhanhee Lee氏らが、Multi-City Multi-Country(MCC)Collaborative Research Networkのデータベースを用いた解析の結果を、報告した。これまでの研究では、自殺リスクは曜日によって異なることが報告されているが、研究対象地域が限定され、方法論的枠組みが不均一であったため、結果の一般化には限界があった。BMJ誌2024年10月23日号掲載の報告。 研究グループは、MCC Collaborative Research Networkのデータベースを用い、1971年1月1日~2019年12月31日における26ヵ国740地点の自殺のデータを収集した(国によってデータの期間は異なる)。
早期TN乳がん、多遺伝子シグネチャー活用で予後改善/BMJ
切除可能なトリプルネガティブ(TN)乳がんの予後は満足のいくものではなく、術後補助化学療法の最適化が必要とされている。中国・復旦大学上海がんセンターのMin He氏らは、開発した多遺伝子シグネチャーを用いてリスク層別化を行い、それに基づく高リスク患者に対してアントラサイクリン/タキサンベースの治療にゲムシタビン+シスプラチンを組み合わせた強化レジメンが、無病生存期間(DFS)を改善し毒性は管理可能であったことを示した。BMJ誌2024年10月23日号掲載の報告。 研究グループは2016年1月3日~2023年7月17日に、中国の7つのがんセンターで、切除可能なTN乳がん患者に対して多遺伝子シグネチャーを用いることで、最適な個別化補助療法の提供が実現可能かを評価する多施設共同第III相無作為化試験を行った。
心房細動を伴う脳梗塞後のDOAC開始、早期vs.晩期/Lancet
心房細動を伴う虚血性脳卒中後の直接経口抗凝固薬(DOAC)の投与開始時期について、早期開始(4日以内)は晩期開始(7~14日)に対して、90日時点での複合アウトカム(虚血性脳卒中の再発、症候性頭蓋内出血、分類不能の脳卒中、全身性塞栓症)発生に関して非劣性であることが示された。英国・ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンのDavid J. Werring氏らOPTIMAS investigatorsが、第IV相の多施設共同非盲検無作為化エンドポイント盲検化並行群間比較試験「OPTIMAS試験」の結果を報告した。著者は、「われわれの検討結果は、心房細動を伴う虚血性脳卒中後のDOAC開始を晩期とする、現行のAHA/ASA脳卒中ガイドラインの推奨を支持するものではなかった」と述べている。Lancet誌オンライン版2024年10月24日号掲載の報告。
新PCIデバイスbioadaptor、アウトカム改善の可能性/Lancet
経皮的冠動脈インターベンション(PCI)を受けた患者における、持続的なnon-plateauing(非平坦化)による有害事象の発生は依然として重要な課題とされている。スウェーデン・ルンド大学のDavid Erlinge氏らは「INFINITY-SWEDEHEART試験」において、急性冠症候群を含む冠動脈疾患患者では、non-plateauingのデバイス関連イベントを軽減するように設計された新たなPCIデバイス(DynamX bioadaptor、Elixir Medical製)は、最新の薬剤溶出ステント(DES)に対し有効性に関して非劣性であり、non-plateauingデバイス関連イベントを軽減し、アウトカムを改善する可能性を示した。研究の成果は、Lancet誌2024年11月2日号に掲載された。
高リスクIgA腎症へのatrasentan、重度蛋白尿を改善/NEJM
IgA腎症で重度の蛋白尿を有する患者は、腎不全の生涯リスクが高いとされる。オランダ・フローニンゲン大学のHiddo J.L. Heerspink氏らALIGN Study Investigatorsは「ALIGN試験」において、IgA腎症患者の治療ではプラセボと比較してエンドセリンA受容体の選択的拮抗薬atrasentanは、統計学的に有意かつ臨床的に意義のある蛋白尿の減少をもたらし、有害事象の発現は両群で大きな差はないことを示した。研究の成果は、NEJM誌オンライン版2024年10月25日号で報告された。 ALIGN試験は、20ヵ国133施設で実施した第III相二重盲検無作為化プラセボ対照比較試験であり、2021年3月~2023年4月に患者を登録した(Novartisの助成を受けた)。
冠動脈血行再建術のガイド、QFRは支持されず/Lancet
中等度の冠動脈狭窄を有する患者の血行再建術を決定するガイドとして、1年後の臨床アウトカム(死亡、心筋梗塞、予定外の血行再建術)に関し、定量的流量比(QFR)は心筋血流予備量比(FFR)に対して非劣性の基準を満たさず、FFRが利用可能な場合はQFRの使用は支持されないことが、デンマーク・オーフス大学のBirgitte Krogsgaard Andersen氏らが実施した「FAVOR III Europe試験」で示された。研究の詳細は、Lancet誌オンライン版2024年10月30日号で報告された。 FAVOR III Europe試験は、侵襲的冠動脈造影中に冠動脈へのプレッシャーワイヤーの留置を要するFFRに対して、これを必要としないQFRの非劣性の検証を目的とする非盲検無作為化対照比較非劣性試験であり、2018年11月~2023年7月に欧州11ヵ国34施設で患者を登録した(Medis Medical Imaging Systemsなどの助成を受けた)。
PIK3CA変異進行乳がん1次治療、inavolisib追加でPFS改善/NEJM
PIK3CA変異陽性、ホルモン受容体陽性、HER2陰性の局所進行または転移を有する乳がん患者の治療において、パルボシクリブ+フルベストラントにプラセボを加えた場合と比較して、パルボシクリブ+フルベストラントにPI3Kα阻害薬inavolisibを追加すると、無増悪生存期間(PFS)が有意に延長した一方で、一部の毒性作用の発生率が高いことが、英国・Royal Marsden Hospital and Institute of Cancer ResearchのNicholas C. Turner氏らが実施した「INAVO120試験」で示された。研究の成果は、NEJM誌2024年10月31日号に掲載された。
出産女性へのトラネキサム酸予防投与、出血リスクを軽減/Lancet
出産する女性へのトラネキサム酸の予防投与はプラセボと比較して、生命を脅かす出血リスクを軽減することが認められ、血栓症のリスクを高めるというエビデンスは確認されなかった。英国・ロンドン大学衛生熱帯医学大学院のKatharine Ker氏らAnti-fibrinolytics Trialists Collaborators Obstetric Groupが、無作為化比較試験のシステマティックレビューと個別被験者データ(IPD)を用いたメタ解析の結果で示した。トラネキサム酸は、臨床的に産後出血と診断された女性に推奨される治療薬であるが、出血を予防可能かについては不明であった。著者は、「出産するすべての女性にトラネキサム酸の使用を推奨するわけではないが、死亡リスクの高い女性では産後出血の診断前にトラネキサム酸の使用を検討すべきである」とまとめている。Lancet誌2024年10月26日号掲載の報告。
無症候性重症AS、早期TAVR vs.経過観察/NEJM
無症候性の重症大動脈弁狭窄症(AS)患者に対するバルーン拡張型弁を用いた経カテーテル大動脈弁置換術(TAVR)の早期施行は、経過観察と比較して複合イベント(全死因死亡、脳卒中または心血管系疾患による予定外の入院)の抑制において優れることが示された。米国・Morristown Medical CenterのPhilippe Genereux氏らEARLY TAVR Trial Investigatorsが、米国とカナダの75施設で実施した無作為化非盲検比較試験「Evaluation of TAVR Compared to Surveillance for Patients with Asymptomatic Severe Aortic Stenosis trial:EARLY TAVR試験」の結果を報告した。無症候性の重症ASで左室駆出率(LVEF)が保たれている患者の場合、現行ガイドラインでは6~12ヵ月ごとの定期的な検査が推奨されている。これらの患者において、TAVRによる早期介入がアウトカムを改善するかを検討した無作為化試験のデータは不足していた。NEJM誌オンライン版2024年10月28日号掲載の報告。
CKDへのエンパグリフロジン、中止後も心腎保護効果が持続/NEJM
疾患進行リスクのある幅広い慢性腎臓病(CKD)患者において、SGLT2阻害薬エンパグリフロジンは、投与中止後も最長12ヵ月間、追加的な心腎ベネフィットをもたらし続けることが、英国・オックスフォード大学のWilliam G. Herrington氏らEMPA-KIDNEY Collaborative Groupによる「EMPA-KIDNEY試験」の試験後追跡評価において示された。EMPA-KIDNEY試験では、エンパグリフロジンが疾患進行リスクのある幅広いCKD患者に良好な心腎効果をもたらすことが示されていた。今回の試験後追跡評価(post-trial follow-up)では、試験薬中止後のエンパグリフロジンの効果がどのように進展するかが評価された。NEJM誌オンライン版2024年10月25日号掲載の報告。
肥満の膝OA患者へのセマグルチド、疼痛を改善/NEJM
肥満(BMI値≧30)かつ中等度~重度の疼痛を伴う変形性膝関節症(OA)を有する患者において、週1回のセマグルチド皮下投与はプラセボと比較して、体重および膝OA関連の疼痛を有意に減少したことが示された。デンマーク・コペンハーゲン大学のHenning Bliddal氏らSTEP 9 Study Groupが二重盲検無作為化プラセボ対照試験の結果を報告した。体重の減少は疼痛などの膝OAの症状を緩和することが示されているが、肥満者のGLP-1受容体作動薬の効果は十分には研究されていなかった。NEJM誌2024年10月31日号掲載の報告。
若年透析患者の腎移植アクセス、施設スタッフ数と関連/JAMA
米国では、透析施設によって患者対スタッフ比(看護師またはソーシャルワーカー1人当たりの患者数)が大きく異なり、この施設間の差が高齢患者のアウトカムに影響を及ぼすことが知られている。米国・カリフォルニア大学サンフランシスコ校のAlexandra C. Bicki氏らは今回、青少年および若年成人の透析患者について調査し、患者対スタッフ比が低い施設と比較して高い施設は腎移植待機リスト登録率および腎移植率が低く、とくに22歳未満の患者で顕著であることを明らかにした。研究の成果は、JAMA誌オンライン版2024年10月23日号で報告された。
高リスク網膜芽細胞腫の術後CEV療法、3サイクルvs.6サイクル/JAMA
片眼性の病理学的高リスク網膜芽細胞腫の術後補助療法において、6サイクルの化学療法(CEV:カルボプラチン+エトポシド+ビンクリスチン)に対して3サイクルのCEV療法は5年無病生存率が非劣性であり、6サイクルのほうが有害事象の頻度が高く、QOLスコアの低下が大きいことが、中国・中山大学のHuijing Ye氏らの検討で示された。研究の成果は、JAMA誌オンライン版2024年10月21日号に掲載された。 本研究は、病理学的高リスク網膜芽細胞腫患者に対する術後CEV療法の有効性に関して、6サイクルに対する3サイクルの非劣性の検証を目的とする非盲検無作為化試験であり、2013年8月~2024年3月に中国の2つの主要な眼治療施設で患者を登録した( Sun Yat-Sen University Clinical Research 5010 Programなどの助成を受けた)。
GLP-1受容体作動薬、内視鏡検査の誤嚥リスクに影響するか/BMJ
2型糖尿病患者に上部消化管内視鏡検査を行う際、検査前のSGLT-2阻害薬と比較してGLP-1受容体作動薬の使用では、肺吸引のリスクは上昇しないものの、内視鏡検査中止のリスクが高いことが、米国・ハーバード大学医学大学院のWajd Alkabbani氏らの調査で示された。研究の成果は、BMJ誌2024年10月22日号に掲載された。 研究グループは、2型糖尿病患者の上部消化管内視鏡検査において、検査前のGLP-1受容体作動薬投与は、SGLT-2阻害薬投与に比べ肺吸引や検査中止のリスクを上昇させるかを評価する目的で、コホート研究を行った(ハーバード大学医学大学院薬剤疫学・薬剤経済学科などの助成を受けた)。
オピオイド使用障害、治療中止リスクが低い薬剤は?/JAMA
オピオイド使用障害(OUD)に対するオピオイド作動薬治療(OAT)のレジメンに関する国際的なガイドラインでは、競合する治療選択肢の有効性の比較に関するエビデンスが限られているため、依然として意見が分かれているという。カナダ・サイモンフレーザー大学のBohdan Nosyk氏らは、メサドンと比較してブプレノルフィン/ナロキソンは、治療中止のリスクが高く、死亡率は両群で同程度であることを示した。研究の詳細は、JAMA誌オンライン版2024年10月17日号で報告された。 研究グループは、OUDの治療におけるブプレノルフィン/ナロキソンとメサドンの有用性を比較評価する目的で、住民ベースの後ろ向きコホート研究を行った(米国国立薬物乱用研究所[NIDA]などの助成を受けた)。
60歳以上へのRSVワクチン、承認後初のシーズンの有効性/Lancet
RSウイルス(RSV)ワクチン承認後最初のシーズンである2023~24年の米国において、同ワクチンの接種は、60歳以上のRSV関連入院および救急外来受診の予防に有効であったことが示された。米国疾病予防管理センターのAmanda B. Payne氏らが報告した。2023年に初めて使用が推奨されたRSVワクチンは、臨床試験で下気道疾患に有効であることが確認されているが、実臨床での有効性に関するデータは限られていた。Lancet誌2024年10月19日号掲載の報告。 研究グループは、米国8州の電子カルテに基づくネットワーク(Virtual SARS-CoV-2, Influenza, and Other respiratory viruses Network:VISION)において、2023年10月1日~2024年3月31日にRSV検査を受けた60歳以上の成人におけるRSV様疾患による入院および救急外来受診に関して、検査陰性デザインを用いた解析を実施した。