疫学(危険因子)|page:5

非喫煙者で肺がんリスクが低いのはBMIが高い人?低い人?

 肺がんの約10~15%は非喫煙者に発症し、世界ではがんによる死亡のなかで非喫煙者の肺がんが7番目に多いが、その病因は不明である。BMIが高いほど肺がんのリスクが低いことを示唆したいくつかの研究があるが、非喫煙者の肺がんにおいては明らかではない。米国国立がん研究所のTram Kim Lam氏らは、大規模前向きコホート研究の結果、非喫煙者において、ベースライン時やミドルエイジでのBMIが肺がんリスクの低さと関連しておらず、むしろBMIや腹囲が大きいほど肺がんリスクが高かったことを報告した。PLoS One誌 2013年8月5日号に掲載。

逆流性食道炎と非びらん性胃食道逆流症のリスク因子は大きく異なる

 逆流性食道炎(RE)と非びらん性胃食道逆流症(NERD)のリスク因子は、病態生理学的に大きく異なることが、東京大学医学系研究科消化器内科の皆月ちひろ氏らの研究で明らかになった。また、RE有病率はヘリコバクター・ピロリ(HP)感染群よりも除菌群で有意に高かったのに対して、NERD有病率は両群で有意な差を認めなかった。HP除菌療法を行う際には、REの発症および進行につながることを考慮すべきである。PLoS One誌2013年7月26日号の報告。

H.pylori、祖母の感染もリスク因子

 子どものヘリコバクター・ピロリ(H.pylori)感染は、母だけでなく、祖母の感染も有意なリスク因子となることが、東邦大学医療センター大森病院 総合診療・急病センターの瓜田 純久氏らの研究により明らかになった。この研究結果により、3世代同居世帯のH.pylori感染拡大に関わる重要な感染経路が解明されたと考えられる。 Journal of paediatrics and child health誌2013年5月号(オンライン版2013年4月5日号)の報告。

うつ病は、脳卒中発症リスクと顕著に関連

 スウェーデン・カロリンスカ研究所のIffat Rahman氏らは、うつ病ならびに抗うつ薬使用が及ぼす心血管疾患(CVD)発症への影響について、脳卒中と冠動脈疾患に分けて検討を行った。その結果、抗うつ薬を使用していないうつ病患者でCVD発症リスクが高く、脳卒中との間に顕著な関連がみられることを報告した。European Journal of Epidemiology誌オンライン版2013年7月9日号の掲載報告。

妻と死別や離婚した男性、未婚の男性は自殺リスクが高い~国内前向きコホート研究

 婚姻状況(未婚、既婚、死別または離婚)は自殺の予測因子の一つである。東北大学の福地 成氏らは、国内の大規模な集団によるコホートを用いて(宮城県コホート研究)、自殺リスクに対する婚姻状況の影響を男女別に検討した。その結果、妻と死別または離婚した男性や未婚の男性は既婚男性より自殺のリスクが高い一方、女性ではそのような傾向はないことが示唆された。Journal of Affective Disorders誌オンライン版2013年7月4日号に報告。

赤肉や加工肉の摂取は大腸がん発症率だけではなく発症後の予後にも影響

 赤肉(red meat;牛、羊、豚などの成獣肉)や加工肉の摂取は、確実に大腸がん発症率に相関しているが、大腸がん診断後の予後への影響は不明である。米国がん協会のMarjorie L. McCullough氏らは、がん診断前および診断後の自己申告による赤肉・加工肉の消費量と、転移のない浸潤性大腸がんの男女における全死因死亡率と原因別死亡率との関連を検討した。その結果、転移のない大腸がん患者において、診断前の赤肉や加工肉の摂取量が多い場合、全死因による死亡リスクが高いことが示唆された。Journal of Clinical Oncology誌オンライン版2013年7月1日号に掲載。

「抗てんかん薬による自殺リスク」どう対応すべきか?

 2008年にFDAより、抗てんかん薬服用中の患者における自殺リスクの増加について注意喚起がなされた。てんかん患者の標準化死亡比は5.1と報告されているが(95%CI:3.9~6.6)、これには精神疾患の合併なども影響していると考えられる。イタリア・トリニティ病院のMarco Mula氏らは、てんかん患者の気分障害の現象学や抗てんかん薬の向精神作用を考慮に入れたうえで、てんかん、自殺、抗てんかん薬における相互作用について検討を行った。Bipolar disorders誌オンライン版2013年6月12日号の報告。

せん妄はレビー小体型認知症のサイン?!

 英国・ニューカッスル大学のEmma Vardy氏らは、せん妄と認知症各タイプとの関連について調べた結果、レビー小体型認知症との結びつきが高い可能性があることを報告した。せん妄は、認知症においては共通してみられ、認知症リスクの増大との関連が知られる。しかし、特定タイプの認知症リスクを増大するのかについては不明であった。International Journal of Geriatric Psychiatry誌オンライン版2013年5月31日号の掲載報告。

飲酒による大腸がんリスクへの影響、葉酸強化政策により減弱~米国の前向きコホート研究

 米国の医療従事者における前向きコホート研究で、葉酸強化政策前後の大腸がんリスクにおける飲酒の影響を評価したところ、多量飲酒による大腸がんリスクへの影響が葉酸摂取により減弱する可能性が示された。米国メリーランド大学のHongmei Nan氏らによる報告。Annals of epidemiology誌オンライン版2013年5月29日号に掲載された。

喫煙と出血性脳卒中の死亡率との関連~香港での前向きコホート研究

 喫煙は、出血性脳卒中のサブタイプの1つであるクモ膜下出血の有意な危険因子であるが、もう1つのサブタイプである脳出血との関連性については確立されていない。香港大学のLin Xu氏らは、香港の高齢の中国人の大規模コホートで、喫煙と出血性脳卒中のサブタイプ(脳出血、クモ膜下出血)ごとの関連性を検討した。Stroke誌オンライン版2013年5月30日版に掲載。

食品栄養表示の改善を学会が要望 ~動脈硬化学会が「栄養成分表示に関する要望」について記者会見~

 5月7日、日本動脈硬化学会のプレスセミナーが、日内会館(東京都文京区)にて行われた。日本動脈硬化学会は、4月16日に「栄養成分表示に関する見解ならびに要望」を消費者庁に提出していたが、本セミナーでは要望の詳細と意図が発表された。同学会は、食品栄養表示に、「脂質」に加え、「コレステロール」、「飽和脂肪酸」、「トランス脂肪酸」をただちに追加するよう要望している。

入院期間の長い認知症患者の特徴は?:大阪大学

 認知症患者の長期入院では、しばしば重篤な周辺症状(Behavioral and Psychological Symptoms of Dementia、以下BPSD)の治療が必要となる。また、重篤なBPSD患者は、長期間の入院を必要とする。大阪大学の杉山 博通氏らは、認知症病棟のよりよいリソース管理のため長期入院に関連する因子の同定を試みた。International psychogeriatrics誌オンライン版2013年4月23日号の報告。

双極性障害の自殺予防に求められるのは・・・

 双極性障害患者では自殺行動の頻度は高い。英国・オックスフォード大学ウォーンフォード病院のKate EA Saunders氏らは、双極性障害患者の自殺予防の臨床的評価と危機介入戦略を見直すため、これまでの研究成果の注目すべき所見を明確にし、今後の研究で重点を置くべき分野を特定するために文献レビューを行った。その結果、双極性障害患者の自殺行動の要因は多岐にわたり、患者に積極的に働きかける危機介入プラン作成とマネジメントが求められることを報告した。Bipolar Disorders誌オンライン版2013年4月9日号の掲載報告。

余暇の身体活動量は2型糖尿病における死亡率と脳卒中リスクの予測因子となりうる?―JDCSによる分析

 日本人2型糖尿病患者において、余暇における週15.4METs・時以上の身体活動は、部分的な心血管リスクの改善を通じて、脳卒中リスクを有意に低下させることが新潟大学医歯学総合研究科 曽根 博仁氏らの研究で明らかになった。余暇の身体活動量は、全死亡率の有意な低下とも関連を認めたが、心血管リスクや心血管イベントとは独立していた。これらの結果は、欧米の糖尿病患者との違いを示唆しており、東アジア地域の糖尿病の臨床管理において考慮されるべきである。Diabetologia誌2013年5月号(オンライン版2013年2月27日号)の報告。

統合失調症“再発”の危険因子は?

 統合失調症治療において再発を抑制することはきわめて重要な課題である。フィンランド・ヘルシンキ大学のTiina Talaslahti氏らは、高齢の統合失調症外来患者に対する第一世代抗精神病薬および第二世代抗精神病薬の使用状況を明らかにし、再発との関連を検討した。International journal of geriatric psychiatry誌オンライン版2013年4月5日号の報告。