せん妄はレビー小体型認知症のサイン?!

提供元:ケアネット

印刷ボタン

公開日:2013/06/27

 

 英国・ニューカッスル大学のEmma Vardy氏らは、せん妄と認知症各タイプとの関連について調べた結果、レビー小体型認知症との結びつきが高い可能性があることを報告した。せん妄は、認知症においては共通してみられ、認知症リスクの増大との関連が知られる。しかし、特定タイプの認知症リスクを増大するのかについては不明であった。International Journal of Geriatric Psychiatry誌オンライン版2013年5月31日号の掲載報告。

 研究グループは、せん妄疑いエピソードが、アルツハイマー病(AD)とレビー小体型認知症(DLB)いずれのタイプの認知症診断前に発現頻度が高いのかを調べることを目的とする後ろ向き研究を行った。検討は、認知症診断が行われた第3次医療施設単位で行われた。初診からの医療記録をもとに、これまでのあらゆるせん妄疑いエピソードの記述をレビューして行われた。

 主な結果は以下のとおり。

・レビューはDLB患者85例、AD患者95例について行われた。
・少なくとも1回のせん妄疑いエピソードが報告されていたのは、DLB患者は25%であったのに対し、AD患者は7%であった(p=0.001)。
・せん妄既往患者で1回以上のエピソードを有した患者の割合は、DLB患者23%に対し、AD患者14%であった。
・最後に報告されたせん妄疑いエピソードから認知症診断までの期間中央値は、両群ともに1年以内であった。
・以上のように、DLB患者はAD患者と比べて、せん妄疑いエピソードの記録を有している患者の割合が有意に高率であった。
・せん妄は、その他の認知症タイプと比較してDLBリスクと強く結びついている可能性が高かった。また、少なくともいくつかの症例では、DLBの初期を示唆する可能性があった。
・今回の研究により、せん妄がみられる患者では、とくにDLBの診断を念頭に置くべきであることが示唆された。

関連医療ニュース
認知症、アルツハイマー型とレビー小体型の見分け方:金沢大学
抗精神病薬は“せん妄”の予防に有用か?
アルツハイマー病とレビー小体型認知症、共通のバイオマーカー

(ケアネット)