腫瘍科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:102

ペグフィルグラスチム自動投与デバイスが承認取得、化学療法後の通院不要に/協和キリン

 協和キリンは、2022年8月1日、テルモと共同開発中の持続型G-CSF製剤ペグフィルグラスチムの自動投与デバイス(製品名:ジーラスタ皮下注 3.6mg ボディーポッド)について、がん化学療法による発熱性好中球減少症の発症抑制を適応症とした製造販売承認を7月28日付で取得したことを発表した。  ジーラスタはAmgen K-A 社より導入した持続型 G-CSF 製剤。がん化学療法による発熱性好中球減少症の発症抑制を適応症として日本にて2014年より販売しており、医療機関では通常、がん化学療法剤投与終了後の翌日以降に投与される。同デバイスは、薬剤が一定時間後に自動で投与される機能を搭載している。がん化学療法と同日に使用することでジーラスタ投与のための通院が不要となることから、患者さんの通院と医療従事者の業務の負担軽減が期待される。

2010年代の京都市の肺がん治療、医療費は増加し生存割合は改善/アストラゼネカ

 アストラゼネカと京都市は、京都市におけるがん検診受診率や肺がん患者の治療パターン、予後などに関する行政医療データを解析・調査するための共同研究の結果を発表した。この結果は2022年6月28日付けでValue in Health Regional Issues(電子版)に掲載されている。  2013〜18年度に京都市で肺がんと診断され、治療を受けた4,845名を対象に、肺がんの治療パターン、医療費、予後について解析・調査を行った。

閉経前乳がんへの2年の術後補助内分泌療法による20年間の有用性/JCO

 閉経前のエストロゲン受容体陽性乳がんにおいて、2年間の術後補助内分泌療法による20年間のベネフィットが示唆された。STO-5試験(Stockholm tamoxifen randomized trial)の2次解析結果について、スウェーデン・Karolinska InstitutetのAnnelie Johansson氏らがJournal of Clinical Oncology誌オンライン版2022年7月21日号に報告した。今回の解析では、長期にわたって一定の遠隔再発リスクを有する遺伝学的低リスク患者はタモキシフェンで長期にわたるベネフィットが得られ、早期のリスクを有する遺伝学的高リスク患者はゴセレリンからベネフィットが得られることも示された。なお、ゴセレリンとタモキシフェンの併用は、単剤療法を超える有用性は示されなかったという。

早期乳がんへの術前抗HER2療法+アテゾリズマブ、pCR61%(Neo-PATH)/JAMA Oncol

 ERBB2(HER2)陽性早期乳がんに対して、抗HER2療法にアテゾリズマブを加えた術前療法は病理学的完全奏効率(pCR)61%を示し、毒性は穏やかであることが示された。韓国・Gachon University Gil Medical CenterのHee Kyung Ahn氏らによる第II相Neo-PATH試験の結果が、JAMA Oncology誌オンライン版2021年10月7日号に報告された。  Neo-PATH試験は、前臨床試験で相乗効果が示されたERBB2陽性早期乳がんに対するアテゾリズマブ、ドセタキセル、トラスツズマブ、ペルツズマブの術前療法の有効性を検討する非無作為化オープンラベル多施設共同第II相試験。韓国の6施設から2019年5月~2020年5月にかけて患者が登録された。対象は、Stage IIまたはIIIのERBB2陽性乳がん(原発巣サイズ2cm以上または病理学的リンパ節転移陽性、遠隔転移なし)。

PD-L1陽性TN乳がん、ペムブロリズマブ追加でOS延長(KEYNOTE-355最終解析)/NEJM

 プログラム細胞死リガンド1(PD-L1)が陽性で、複合発現スコア(combined positive score:CPS)が10点以上の進行トリプルネガティブ乳がん患者の1次治療において、化学療法に抗PD-1モノクローナル抗体製剤ペムブロリズマブを追加すると、化学療法単独と比較して全生存(OS)期間が約7ヵ月有意に延長することが、スペイン・International Breast Cancer CenterのJavier Cortes氏らが実施した「KEYNOTE-355試験」の最終解析で示された。有効性の複合主要エンドポイントの1つである無増悪生存(PFS)期間は、ペムブロリズマブ+化学療法群で有意に優れることが、2回目の中間解析の結果としてすでに報告されている。研究の成果は、NEJM誌2022年7月21日号に掲載された。  KEYNOTE-355は、PD-L1陽性・CPS 10点以上の進行トリプルネガティブ乳がんの1次治療におけるペムブロリズマブの有用性の評価を目的とする二重盲検無作為化プラセボ対照第III相試験であり、2017年1月~2018年6月の期間に、日本を含む29ヵ国209施設で参加者の登録が行われた(MSDの助成を受けた)。  対象は、未治療の切除不能な局所再発または転移を有するトリプルネガティブ(エストロゲン受容体、プロゲステロン受容体、HER2がすべて陰性)乳がんで、全身状態の指標であるEastern Cooperative Oncology Group performance-status(ECOG PS)が0または1の成人患者であった。  被験者は、ペムブロリズマブ(200mg、3週ごと)+担当医の選択による化学療法(ナノ粒子アルブミン結合[nab]-パクリタキセル、パクリタキセル、ゲムシタビン+カルボプラチンのうちいずれか1つ)、またはプラセボ+化学療法を受ける群に、2対1の割合で無作為に割り付けられた。試験薬の投与は、病勢進行、許容できない毒性作用の発現、あるいは患者が同意を撤回するか、医師が投与中止と判断するまで継続された。

有害量のアルコール摂取、若年男性で多い:GBD2020/Lancet

 アルコール摂取に関する勧告は年齢および地域によって異なることを支持する強いエビデンスがあり、とくに若年者に向けた強力な介入が、アルコールに起因する世界的な健康損失を減少させるために必要であることが、米国・ワシントン大学のDana Bryazka氏らGBD 2020 Alcohol Collaboratorsの解析で明らかとなった。適度なアルコール摂取に関連する健康リスクについては議論が続いており、少量のアルコール摂取はいくつかの健康アウトカムのリスクを低下させるが他のリスクを増加させ、全体のリスクは地域・年齢・性別・年によって異なる疾患自然発生率に、部分的に依存することが示唆されていた。Lancet誌2022年7月16日号掲載の報告。

高齢乳がん患者への術前化学療法、治療目標を達成できるか

 手術可能な70歳以上の乳がん患者において、術前化学療法(NAC)によるダウンステージ率と忍容性の研究は少ない。今回、米国・Memorial Sloan Kettering Cancer CenterのAustin D. Williams氏らが、NAC完遂率とダウンステージ率を50~69歳と70歳以上で比較したところ、70歳以上ではNAC完遂率が低かったが、乳房および腋窩リンパ節のダウンステージ率は50~69歳の患者と同程度に高かった。Annals of Surgical Oncology誌オンライン版2022年7月24日号に掲載。

新規抗体薬物複合体DS-7300、小細胞肺がんを対象とした第II相試験開始/第一三共

 第一三共は2022年7月21日、DS-7300(B7-H3を標的とした抗体薬物複合体[ADC])について、前治療歴のある進展型小細胞肺がん患者を対象とした第II相臨床試験の最初の患者への投与を開始したと発表。  同試験は、化学療法による前治療歴のある進展型小細胞肺がん患者を対象に、同剤の有効性と安全性を評価するグローバル第II相臨床試験である。 主要評価項目は客観的奏効率で、副次評価項目には無増悪生存期間、奏効期間、全生存期間、病勢コントロール率、薬物動態、安全性などで、アジア、欧州および北米で約80例の患者を登録する予定だという。

ICI耐性の非小細胞肺がんに対するラムシルマブ+ペムブロリズマブの2次治療(Lung-MAP S1800A)/JCO

 免疫チェックポイント阻害薬(ICI)耐性となった進行非小細胞肺がん(NSCLC)に対し、ラムシルマブとペムブロリズマブの併用による2次治療が有望な成績を示した。  進行NSCLCにおけるICI耐性後の2次治療は化学療法だけであり、今もなお大きなアンメットニーズが残っている。一方、ICIとVEGF阻害薬の併用は、複数のがん種で有望な結果が得られている。ドライバー変異のないICI耐性NSCLCの2次治療に、ICIであるペムブロリズマブとVEGF阻害薬であるラムシルマブの併用を化学療法と比較したLung-MAP S1800Aが行われた。結果は米国臨床がん学会年次集会(ASCO2022)で発表され、同時にJournal of Clinical Oncology誌に掲載された。