ミスマッチ修復機構欠損を有する局所進行直腸がんに対するPD-1阻害の効果/ASCO2022
ミスマッチ修復機構欠損(dMMR)を有するStageII/IIIの局所進行直腸がんに対して、術前に抗PD-1抗体dostarlimabを投与することで、その後は放射線療法や手術療法を施行することなく治癒できる可能性があることが、小規模な前向きの第II相試験から明らかになった。米国・メモリアルスローンケタリングがんセンターのAndrea Cercek氏が、米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO2022)で発表した。
局所進行直腸がんに対しては、術前化学療法と放射線療法および手術療法の併用が標準治療となっている。この治療効果は高いものの、放射線療法や手術療法は患者に大きな負担を強いることになる。また、直腸がん患者の約5~10%はdMMRを有し、このような患者は化学療法に比較的耐性を示しやすい。一方で、チェックポイント阻害薬は、転移のあるdMMRがんに効果があり、10%程度の完全奏効(CR)率を示すことが知られている。同試験ではdMMRを有する直腸がんに対するPD-1阻害が、化学療法、放射線療法、手術療法の代替えになると仮定し、これを検証した。