腫瘍科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:103

抗PD-1抗体sintilimab+化学療法のNSCLC術前補助療法、2サイクル対3サイクル/ASCO2022

 切除可能な非小細胞肺がん(NSCLC)患者に対して、抗PD-L1抗体薬sintilimabと化学療法による術前補助療法は、2サイクルよりも3サイクルでより高い病理学的奏効(MPR)率を示し、サブタイプ別ではとくに扁平上皮がんで良好なMPR率が得られた。無作為化単施設2群第II相比較試験の結果として、中国Zhejiang大学のFuming Qiu氏が米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO2022)で報告した。  免疫チェックポイント阻害薬と化学療法の併用による術前補助療法は、切除可能なNSCLC患者に対して有望な治療選択肢となっている。しかし、術前補助療法の最適な期間は明らかではなく、臨床試験では2~4サイクルで実施されていることが多い。  一方、sintilimab単剤の術前投与は良好なMPR率が報告されている。同試験では、切除可能なNSCLC患者を対象に、sintilimabと化学療法による術前補助療法の効果を2サイクルと3サイクルで比較した。

HER2陽性の胆道がんにT-DXdが有効性示す(HERB)/ASCO2022

 HER2陽性の切除不能または再発の胆道がん(BTC)に対する抗HER2抗体薬物複合体トラスツズマブ デルクステカン(T-DXd)の有効性が日本で行われた医師主導第II相試験であるHERB試験で示された。米国臨床腫瘍学会年次総会(2022 ASCO Annual Meeting)において、国立がん研究センター中央病院の大場 彬博氏が同試験の初回解析結果を発表した。 ・対象:ゲムシタビンを含むレジメンに抵抗性のHER2陽性または弱陽性切除不能・再発BTC (HER2陽性:IHC 3+またはIHC 2+/ISH+と定義し、HER2弱陽性:IHC 0/ISH+、IHC 1+/ISH-、IHC 1+/ISH+、IHC 2+/ISH-のいずれか) ・介入:T-DXd 5.4mg/kg 3週間ごと病勢進行まで投与

RVd±ASCTとレナリドミド維持療法による新規診断多発性骨髄腫の進展抑制効果(DETERMINATION)/ASCO2022

 レナリドミド、ボルテゾミブ、デキサメサゾン併用療法(RVd)の後に自家造血幹細胞移植(ASCT)を行う治療法は、RVdと比較して無増悪生存期間(PFS)を延長するが、6年を超える追跡期間で全生存期間(OS)には差がないことが、第III相無作為化試験であるDETERMINATION 試験の結果から示された。米国・ハーバード大学のPaul G. Richardson氏が米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO2022)で報告した。  前処置として高用量のメルファランを投与するASCTは、移植適格の新規多発性骨髄腫(NDMM)患者に対する標準治療とされてきた。その一方で、最近はRVdによる導入療法やレナリドミドによる長期維持療法などの有効性が明らかとなり、移植適格NDMM患者に対する治療法は進化している。同試験では、現在の治療においてもASCTは移植適格NDMMに対する導入療法として有用であるかが検証された。

高齢未治療MCL、標準化学免疫療法へのイブルチニブ上乗せでPFS延長(SHINE)/NEJM

 未治療のマントル細胞リンパ腫(MCL)高齢患者において、標準化学免疫療法(ベンダムスチン+リツキシマブ:BR療法)へのブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)阻害薬イブルチニブの上乗せは、プラセボとの比較において、無増悪生存(PFS)期間を有意に延長したことが、米国・テキサス大学MDアンダーソンがんセンターのMichael L. Wang氏らによる国際無作為化二重盲検第III相試験「SHINE試験」の結果、示された。これまでに未治療/再発/難治性MCLの患者17例を対象とした第Ib相試験で、BR療法へのイブルチニブ上乗せは、患者の76%が完全奏効(CR)を有し、安全かつ有効であることが示されていた。NEJM誌オンライン版2022年6月3日号掲載の報告。

ミスマッチ修復機能欠損の局所進行直腸がん、PD-1阻害薬単独で治癒?/NEJM

 ミスマッチ修復機能欠損を有する局所進行直腸がんは、PD-1阻害薬のみの治療で治癒する可能性が高いことが、米国・メモリアルスローンケタリングがんセンターのAndrea Cercek氏らが行った、前向き第II相試験の結果、示された。局所進行直腸がんは、術前化学療法と放射線療法、その後の手術療法が標準治療となっているが、ミスマッチ修復機能欠損を有する局所進行直腸がんでは、標準的な化学療法では十分な奏効を得られないことが示されていた。一方で、転移を有する患者および治療抵抗性の患者における免疫チェックポイント阻害薬のみの客観的奏効率は33~55%と、第一選択薬として非常に有効であることが報告されており、研究グループはこれらの知見に基づき、PD-1阻害薬の単剤投与が、ミスマッチ修復機能欠損の局所進行直腸がんに有益であるとの仮説を立て、dostarlimabによる術前化学療法の奏効率を調べる試験を行った。NEJM誌オンライン版2022年6月5日号掲載の報告。

Luminal Aの低リスク乳がん患者、術後放射線療法を省略できる可能性(LUMINA)/ASCO2022

 乳房温存術後、内分泌療法のみで治療された55歳以上のLuminal A(Ki67低値)、T1N0の女性乳がん患者では、5年局所再発リスクが非常に低く、放射線療法を省略できる可能性が示唆された。通常、術後放射線療法は局所再発リスクを減らすために実施されるが、急性および晩期毒性が報告されている。カナダ・マクマスター大学のTimothy Joseph Whelan氏が米国臨床腫瘍学会年次総会(2022 ASCO Annual Meeting)で前向き多施設共同コホート研究の結果を報告した。

腎細胞がんに対するエベロリムスの術後療法は無再発生存期間を改善する可能性(EVEREST)/ASCO2022

 腎細胞がん(RCC)の術後療法としてのmTOR阻害薬のエベロリムスは無再発生存期間(RFS)を改善する可能性があることが、米国臨床腫瘍学会年次総会(2022 ASCO Annual Meeting)において米国・Oregon Health & Science UniversityのChristopher W. Ryan氏から発表された。米国で行われた無作為化比較の第III相試験であるEVEREST試験(SWOG S0931)の最終解析結果である。 ・対象:腎部分または完全切除術を施行されたRCC症例1,545例 登録症例のリスクカテゴリーは ([中高リスク]pT1bではGrade3~4でN0、pT2では全GradeでN0、pT3aではGrade1~2でN0と定義、[超高リスク]pT3aではGrade3~4でN0、pT3b-c/T4では全GradeでN0、N+の場合は全pTで全Gradeと定義) ・試験群:エベロリムス10mg/日連日投与54週 (Evero群:775例) ・対照群:プラセボ連日投与54週 (Pla群:770例) ・評価項目: [主要評価項目] RFS [副次的評価項目] 全生存期間(OS)、安全性など

標準治療耐性のEGFR陽性肺がんに対するamivantamab+lazertinibの成績(CHRYSALIS-2)/ASCO2022

 EGFRとMETの二重特異性抗体amivantamabと第3世代EGFR-TKIであるlazertinibとの併用が、オシメルチニブおよび化学療法後に進行したEGFR陽性進行非小細胞肺がん(NSCLC)に有効であることが、CHRYSALIS-2試験の結果から示された。米国・コロンビア大学のCatherine A. Shu氏が米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO2022)で報告した。  EGFR変異陽性NSCLC 患者に対するamivantamabとlazertinibの併用療法の有効性はオシメルチニブ耐性例で示されている。今回は、オシメルチニブとプラチナベース化学療法による後治療などの標準治療全体に耐性のEGFR陽性NSCLCに対する同レジメンを評価したCHRYSALIS-2試験の拡大コホートAのアップデート結果である。

HER2低発現進行乳がん、T-DXdでPFSとOSが延長(DESTINY-Breast04)/NEJM

 HER2低発現の再発・転移のある乳がん患者において、トラスツズマブ デルクステカン(T-DXd)は医師選択の化学療法と比較し、無増悪生存(PFS)期間および全生存(OS)期間を有意に延長させることが、第III相臨床試験「DESTINY-Breast04試験」で示された。米国・スローン・ケタリング記念がんセンターのShanu Modi氏らが報告した。HER2の増幅や過剰発現を伴わない乳がんの中には、治療の標的となる低レベルのHER2を発現しているものが多く存在するが、現在用いられているHER2療法はこれら「HER2低発現」のがん患者には効果がなかった。NEJM誌オンライン版2022年6月5日号掲載の報告。  研究グループは、2018年12月27日~2021年12月31日の期間に、1~2ラインの化学療法歴があるHER2低発現(IHCスコア1+、またはIHCスコア2+かつISH-)の再発・転移のある乳がん患者を、T-DXd群または化学療法群(カペシタビン、エリブリン、ゲムシタビン、パクリタキセル、ナブパクリタキセルのいずれかを医師が選択)に、2対1の割合で無作為に割り付けた。  主要評価項目は、盲検化独立中央評価委員会(BICR)判定によるホルモン受容体(HR)陽性患者におけるPFS、主要な副次評価項目は全例におけるPFS、HR陽性患者および全例におけるOSであった。

StageII大腸がん、ctDNAに基づく術後化学療法の選択は有用(DYNAMIC)/NEJM

 StageII大腸がんの治療において、血中循環腫瘍DNA(ctDNA)を用いた治療方針の決定により無再発生存期間(RFS)を損なうことなく術後化学療法の使用を減少できることが、オーストラリア・Walter and Eliza Hall Institute of Medical ResearchのJeanne Tie氏らが行った多施設共同無作為化第II相試験「Circulating Tumour DNA Analysis Informing Adjuvant Chemotherapy in Stage II Colon Cancer trial:DYNAMIC試験」の結果、示された。StageII大腸がんにおける術後化学療法の役割については議論が続いている。術後にctDNAが存在する場合はRFSが非常に短いことを、存在しない場合は再発リスクが低いことを予測するが、ctDNA陽性者に対する術後化学療法の有用性は明らかになっていなかった。NEJM誌オンライン版2022年6月4日号掲載の報告。  研究グループは2015年8月10日~2019年8月2日の期間に、オーストラリアの23施設において、StageII(T3またはT4、N0、M0)の結腸または直腸腺がんでR0切除が得られ、術後化学療法を実施可能なECOG PS 0~2の患者455例を、ctDNAの結果に基づき治療を行うctDNA群または標準治療群に、2対1の割合で無作為に割り付けた(それぞれ302例、153例)。  ctDNA群では、術後4週および7週時のいずれかでctDNAが陽性であった場合に、フルオロ