腫瘍科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:100

オシメルチニブのEGFR変異陽性肺がん術後補助療法が国内承認/AZ

 アストラゼネカは、オシメルチニブ(一般名:タグリッソ)について、2022年8月24日、「EGFR遺伝子変異陽性の非小細胞肺癌における術後補助療法」の適応症について、厚生労働省の承認を取得したと発表。  肺がんは罹患率が高く、死亡率の高いがん種である。日本を含むアジアにおいては、非小細胞肺がん(NSCLC)の約30〜40%がEGFR遺伝子変異陽性と診断されており、欧米と比較してその割合が高いことが知られている。また、NSCLC患者全体の最大30%が、切除可能な早期NSCLCと診断されるが、依然として再発することが課題であり、これまでに、IB期と診断された患者の半数近く、IIIA期と診断された患者の4分の3以上が、5年以内に再発を経験していると報告されている。

FGFR1融合遺伝子陽性の血液がんに福音

 「FGFR1融合遺伝子陽性の骨髄性またはリンパ性腫瘍(8p11骨髄増殖症候群)」という血液がんをご存じだろうか? 本疾患の患者数はきわめて少なく、本邦における新規患者数は年間数例程度で、予後が悪いため、全患者数もきわめて少ない。本疾患に対し、8月8日、インサイト・バイオサイエンシズ・ジャパンは、選択的線維芽細胞増殖因子受容体(FGFR)阻害薬ペミガチニブの適応拡大申請を行ったと発表した。

テポチニブのMET exon14スキッピングNSCLCへの効果、再現性持って示される(VISION)/WCLC2022

 テポチニブのMET exon14スキッピング非小細胞肺がん(NSCLC)におけるVISION試験の検証(confirmative)コホートC の解析からテポチニブの再現性ある有効性が示された。  テポチニブのMET exon14スキッピングNCSLCに対する有用性は、同試験のprimaryコホートAで示され、各国で承認されている。世界肺癌学会(WCLC2022)では、confirmativeコホートCの初回解析の結果が、ドイツ・ハイデルベルグ大学のMihael Thomas氏から発表された。 ・対象:Stage IIIB/IVのMET exon14スキッピングNSCLC患者 ・介入:テポチニブ 500mg/日 ・評価項目: [主要評価項目]独立判定委員会評価(IRC)による全奏効率(ORR) [副次評価項目]治験担当医によるORR、奏効期間(DoR)、無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)、安全性、健康関連QOL

乳がんリスク、初経から妊娠までの身体活動量との関連

 初経から最初の妊娠までの期間が長いほど乳がんリスクは高くなるが、その期間に予防因子である身体活動量が多いとリスクを相殺できるのだろうか。今回、米国・ペンシルバニア州立大学のDan Lin氏らの研究で、初経から最初の妊娠までの期間の身体活動量と乳がんリスクの低下に関連があることが示された。サブタイプ別ではトリプルネガティブタイプでは関連がみられたが、Luminal AおよびLuminal Bタイプではみられなかった。Cancer Causes & Control誌オンライン版2022年8月20日号に掲載。  Lin氏らは、California Teachers Study(n=78,940)において、初経から最初の妊娠までの期間における身体活動と乳がんリスクとの関連性を調査した。いくつかの時点におけるレクリエーションの身体活動を登録時に想起してもらい、週当たりの身体活動量(MET・時/週)を計算した。多変量Cox比例ハザードモデルを用いて、ハザード比(HR)と95%信頼区間(CI)を推定した。  主な結果は以下のとおり。

固形がんの第I相試験、20年間で奏効率2倍に/Lancet

 2000~19年に行われた固形がんに関する第I相臨床試験の奏効率は、治療関連の死亡率を増大することなく2倍近くになっていることが判明した。一方で、同期間の奏効率の改善は、がんの種類、治療薬、試験デザインなどさまざまな要因によるばらつきも認められたという。米国・国立がん研究所(NCI)のDai Chihara氏らが、がん治療評価研究プログラム(Cancer Therapy Evaluation Program:CTEP)の患者データを分析し明らかにした。Lancet誌2022年8月13日号掲載の報告。  研究グループは、2000年1月1日~2019年5月31日に行われたNCIが資金を提供した研究者主導の固形がんに関する第I相臨床試験のCTEPから患者データを集めて分析した。治療関連死(「おそらく」・「十中八九」・「明確に」治療に起因するGrade5の毒性による)、治療中の全死亡(がん種にかかわらずプロトコール治療中の死亡)、Grade3-4の毒性、全奏効の程度(完全奏効および部分奏効)、対象期間中(2000~05年、2006~12年、2013~19年)の完全奏効率、および経時的傾向を評価した。

進展型小細胞肺がんの1次治療におけるペムブロリズマブ+化学療法(KEYNOTE-604)/WCLC2022

 進展型小細胞肺がん(ES-SCLC)の1次治療において、ペムブロリズマブと化学療法の併用が良好な成績を示した。試験結果は、米国・メモリアルスローンケタリングがんセンターのRudin氏により世界肺癌学会(WCLC2022)で発表された。  ES-SCLCの1次治療におけるエトポシド+カルボプラチン(EP)とペムブロリズマブの併用はプラセボとの併用に比べ、無病生存期間(PFS)を有意に改善することがKEYNOTE-604試験の結果で示されている(HR:0.75)。WCLC2022では、35サイクルを完遂した患者における3.5年の追跡結果が、全生存期間(OS)を含め発表された。

アテゾリズマブによるNSCLCアジュバントのOS中間解析(IMpower010)/WCLC2022

 完全切除非小細胞肺がん(NSCLC)におけるアテゾリズマブの術後補助療法を評価した第III相非盲検試験IMpower010の全生存期間(OS)の中間解析が発表された。PD-L1≧1%のStage II〜IIIA集団において、アテゾリズマブはBSCよりも良好な傾向を示した。  中間解析でアテゾリズマブの術後補助療法はStage II~IIIAの無病生存期間(DFS)を有意に改善に改善した。しかし、前回の中間分析の時点ではOSは未達成であった。世界肺癌学会(WCLC2022)では、OSと安全性の評価がスペイン・Vall d’Hebron大学病院のE.Felip氏から発表された。

ニボルマブ+化学療法による肺がん術前後補助療法が生存改善(NADIM II) /WCLC2022

 ニボルマブ+化学療法による非小細胞肺がん(NSCLC)の術前後補助療法の第II相試験NADIM IIの成績が世界肺癌学会(WCLC2022)で発表された。スペイン・University Hospital Puerta de Hierro-MajadahondaのProvencio氏から発表された結果は無病生存期間(PFS)、全生存期間(OS)とも良好であった。 ・対象:切除可能なStage IIIA~III B (AJCC 第8版) NSCLC(EGFR/ALK変異なし) ・試験群:ニボルマブ(360mg)+パクリタキセル(200mg/m2)+カルボプラチン(AUC5)3週ごと3サイクル→手術→ニボルマブ(480mg)4週ごと6ヵ月 ・対照群:パクリタキセル(200mg/m2)+カルボプラチン(AUC5)→手術→観察12週 ・評価項目: [主要評価項目]ITT集団における病理学的完全奏効(pCR) [副次評価項目]主要な病理学的奏効(MPR)、OS、PFS、バイオマーカーなど

非低リスクの非浸潤性乳管がん、ブースト照射が再発抑制/Lancet

 乳房温存手術を受けた非低リスクの非浸潤性乳管がん(DCIS)患者において、全乳房照射(WBI)後の腫瘍床へのブースト照射(追加照射)は、Grade2以上の有害事象が増加したものの局所再発が有意に低下することが示された。オーストラリア・ニューサウスウェールズ大学のBoon H. Chua氏らが、多施設共同無作為化非盲検第III相試験「BIG 3-07/TROG 07.01試験」の結果を報告した。DCISに対する乳房温存手術後のWBIは局所再発を減少させるとの強く一貫したエビデンスが、無作為化試験により示されている。一方で、ブースト照射および分割照射の有効性について前向きに検討する必要性が示唆されていた。Lancet誌2022年8月6日号掲載の報告。

いまだに残る小児がんのドラッグラグ、求められる政策の抜本的な改革

 「開発された薬があるなら、日本にも届けてもらいたい」小児がん患者家族の代表である鈴木 隆行氏は訴える。小児がんは日本の小児の死亡原因トップで、年間500名が亡くなる。それにもかかわらず、日本の小児がんの治療薬開発は諸外国に比べ、きわめて少ない。患者団体や医療者で作る団体「小児がん対策国民会議」は2022年8月、都内でシンポジウムを開き、小児がんの新薬承認の現状を訴えた。