腫瘍科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:213

ALK陽性肺がんの脳転移例に特化したセリチニブの臨床効果(ASCEND-7)/ESMO2019

 脳転移は、ALK融合遺伝子陽性非小細胞肺がん(ALK陽性NSCLC)の30~50%に発生し、予後も不良である。第2世代ALK-TKIセリチニブは、ALK陽性NSCLCの脳転移病変に対する抗腫瘍活性が報告されている。そのような中、脳転移のあるALK陽性NSCLCのみを対象に、セリチニブの抗腫瘍活性を評価する第II相多施設オープンラベル試験ASCEND-7が行われ、その結果を、欧州臨床腫瘍学会(ESMO2019)において、ワシントン大学のLaura QM Chaw氏が発表した。

卵巣がん、導入・維持療法でのveliparib投与でPFS延長/NEJM

 StageIIIまたはIVの高悪性度漿液性卵巣がんに対し、導入化学療法としてカルボプラチン+パクリタキセル+veliparibを行い、その後に維持療法としてveliparib単独療法を行うレジメンが、カルボプラチン+パクリタキセルの導入化学療法のみの場合と比べて、無増悪生存期間(PFS)を有意に延長することが示された。米国・テキサス大学MDアンダーソンがんセンターのRobert L. Coleman氏らが、北米・日本などの患者1,140例を対象に行った第III相の国際共同プラセボ対照無作為化比較試験の結果を、NEJM誌オンライン版2019年9月28日号に発表した。高悪性度漿液性卵巣がん患者の初回治療として、veliparibのようなADPリボースポリメラーゼ阻害薬を化学療法への上乗せや維持療法として使用することに関して、データは限定的であった。

ペムブロリズマブ、既治療TN乳がんへの単剤投与は?(KEYNOTE-119)/ESMO2019

 局所進行/転移を有するトリプルネガティブ乳がん(mTNBC)患者に対する、2~3次治療としてのペムブロリズマブ単剤療法は、化学療法単剤と比較して生存期間を有意に改善しなかった。しかし、PD-L1発現レベルが上昇するにつれてペムブロリズマブによる治療効果が高まる傾向が確認されている。スペインで開催された欧州臨床腫瘍学会(ESMO2019)で、スペイン・Vall d'Hebron Institute of OncologyのJavier Cortés氏が第III相無作為化非盲検試験KEYNOTE-119の結果を発表した。

ドセタキセル+ADTがmHSPCのOSを延長(STAMPEDE試験)/ESMO2019

 転移を有するホルモン療法未治療の前立腺がん(mHSPC)患者に対する、ドセタキセル(DTX)とアンドロゲン除去療法(ADT)の併用療法の結果が、欧州臨床腫瘍学会(ESMO2019)で、英国・Queen Elizabeth Hospital のNick James氏より発表された。  本試験(STAMPEDE試験)は前立腺がんを対象に、10群(A~L群)のアームを持ち、1万人以上の症例が登録される国際共同臨床試験である。既にmHSPCの1次治療としてDTX+ADTのOS改善報告がある。今回は2005年10月~2013年3月に登録のあった、A群(ADT群)とC群(DTX群)との長期追跡の結果と、高腫瘍量/低腫瘍量ごとの解析である。

PD-L1陽性肺がん、ペムブロリズマブ+化学療法の有効性とTMBに関連性示されず/ESMO2019

 ペムブロリズマブ+プラチナベース化学療法は組織型、PD-L1発現の有無にかかわらず、転移を有する非小細胞肺がん(NSCLC)に生存ベネフィットをもたらす。また、腫瘍変異負荷はNSCLCを含む固形がんの潜在的バイオマーカーとして興味を持たれている。スペイン・Hospital Universitario Doce de OctubreのLuis Paz-Ares氏らは、KEYNOTE-021(コホートCおよびG)、-189、-407のNSCLC患者における組織腫瘍変異負荷(tTMB)とペムブロリズマブ+化学療法の効果との関係を評価する探索的研究を行い、その結果を欧州臨床学会(ESMO2019)で発表した。

BRCA変異HER2-進行乳がん、veliparib追加でPFSが有意に改善(BROCADE3)/ESMO2019

 生殖細胞系列のBRCA遺伝子(gBRCA)変異のあるHER2陰性進行乳がんに対して、カルボプラチン+パクリタキセルへのPARP1/2阻害薬であるveliparibの上乗せ効果を検討した第III相BROCADE3試験の結果、無増悪生存期間(PFS)を有意に改善したことが示された。veliparibの追加による毒性プロファイルの変化はみられなかった。欧州臨床腫瘍学会(ESMO2019)で、フランス・Centre Eugene MarquisのVeronique C. Dieras氏が発表した。  gBRCA遺伝子変異のある進行乳がんを対象とした第II相試験では、カルボプラチン+パクリタキセルにveliparibを上乗せすることにより、PFS中央値および全生存期間(OS)中央値がより大きく、毒性の上乗せは軽度であることが示されていた。

相同組換え修復遺伝子変異mCRPC、オラパリブの2次治療がPFSを改善(PROfound)/ESMO2019

 BRCA1/2やATM遺伝子(相同組換え修復遺伝子:HRR遺伝子)に変異があり、かつ転移も有する 去勢抵抗性前立腺がん(mCRPC)に対する、PARP阻害薬のオラパリブと標準的なホルモン剤との比較試験の結果が、欧州臨床腫瘍学会(ESMO2019)で、米国・Northwestern University Feinberg School of MedicineのMaha Hussain氏により発表された。本試験は国際共同オープンラベル第III相試験である。

PD-L1陽性肺がん、ペムブロリズマブ単剤治療の有効性とTMBに関連/ESMO2019

 PD-L1阻害薬単独およびCTLA-4阻害薬との併用において、組織腫瘍変異負荷(tTMB)がバイオマーカーとして活用できる可能性が示唆されている。しかし、高TMBレベルと生存の関係は前向きに検討されていない。米国・イェール大学のRoy S. Herbst氏らは、KEYNOTE-010およびKEYNOTE-042試験のTMB評価可能患者のサブセットにおける、tTMBと臨床アウトカムの関係を評価する探索的研究を行い、その結果を欧州臨床腫瘍学会(ESMO2019)で発表した。tTMBは全エクソンシーケンスにより決定され、事前に設定したカットポイントは175mut/exonである。

アベマシクリブ+トラスツズマブ+フルベストラント、HR+/HER2+乳がんの予後を改善(monarcHER)/ESMO2019

 ホルモン受容体(HR)陽性/HER2陽性(HR+/HER2+)の進行乳がんに対する、アベマシクリブ+トラスツズマブ+フルベストラントの3剤併用療法の結果が、欧州臨床腫瘍学会(ESMO2019)で、米国・Dana-Farber Cancer InstituteのSara M. Tolaney氏から発表された。  本試験はオープンラベル3群比較の国際共同第II相試験であり、HR+/HER2+進行乳がんを対象として、CDK4/6阻害薬+抗HER2薬+ホルモン剤の併用療法と、標準的な化学療法+トラスツズマブ併用療法を比較した初めての臨床試験である。

EMA承認の新規がん治療薬、重要研究の半数が高バイアスリスク/BMJ

 2014~16年の期間に欧州医薬品庁(EMA)によって承認された新規がん治療薬に関して、その承認の基盤を形成する重要研究の多くは無作為化対照比較試験であったが、約半数は試験デザインや解析法に基づくバイアスのリスクが高いことが、米国・ハーバード大学医学大学院のHuseyin Naci氏らの調査で示された。研究の詳細は、BMJ誌2019年9月18日号に掲載された。EMAによって承認された新規がん治療薬の多くは無作為化対照比較試験による検討が行われ、治療効果の評価で“gold standard”と見なされているが、その試験デザインの特性やバイアスのリスク、報告の適切性の評価は十分には行われていないという。