腫瘍科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:211

抗がん剤の末梢神経障害、凍結手袋の効果は?/Ann Oncol

 凍結手袋(frozen gloves)は、抗がん剤治療に伴う手足などの末梢神経障害の予防に有用なのか。オランダ・Maxima Medical Center Eindhoven and VeldhovenのA.J.M. Beijers氏らは、化学療法誘発性末梢神経障害(CIPN)に対する凍結手袋の予防効果を検討した無作為化試験を行い、凍結手袋を着用した患者と非着用患者でEORTC QLQ-CIPN20スコアに差はみられなかったものの、着用により手の神経障害症状が軽減され、QOLの改善が示されたと報告した。ただし著者は、「今回の試験では着用群の3分の1が治療終了前に試験を中止しており、その点で留意が必要である」と述べ、「今後の研究では、CIPN予防について四肢低体温法に力を注ぐべきであろう」とまとめている。Annals of Oncology誌2020年1月号掲載の報告。

乳がん術前治療、BRCA1/2変異患者でpCR率高い/JAMA Oncol

 さまざまなサブタイプの乳がんに対する2つの術前治療レジメンの効果を比較した多施設前向き無作為化試験GeparOctoにおいて、ドイツ・ケルン大学病院のEsther Pohl-Rescigno氏らが遺伝子変異の有無別に2次解析したところ、BRCA1/2遺伝子変異のある患者で病理学的完全奏効(pCR)率が高いことが示された。JAMA oncology誌オンライン版2020年3月12日号に掲載。  GeparOctoは、intense dose-denseエピルビシン+パクリタキセル+シクロホスファミド(iddEPC)とweeklyパクリタキセル+非ペグ化リポソームドキソルビシン(PM)の2つの術前治療レジメンの効果を比較した無作為化試験で、2014年12月~2016年6月に実施された。PM群に割り付けられたトリプルネガティブ乳がん(TNBC)患者にはカルボプラチンが追加された(PMCb)。本試験では2群間に差は認められなかった。今回、著者らはBRCA1/2および他の乳がん素因遺伝子の生殖細胞系列変異の有無による治療効果を検討した。

イリノテカン塩酸塩水和物、膵臓がんに国内承認

 日本セルヴィエとヤクルト本社は、イリノテカン塩酸塩水和物(商品名:オニバイド)について、「がん化学療法後に増悪した治癒切除不能な膵癌」を効能・効果として、2020年3月25日、国内製造販売承認を取得しました。  同剤は、有効成分であるイリノテカンをポリエチレングリコール(PEG)で修飾したリポソームに封入した製剤であり、2020年3月現在、世界21ヵ国で販売されている。国内では 2019年3月に日本セルヴィエが製造販売承認申請を行い、この度、承認を取得した。

高齢NSCLC患者におけるカルボプラチンとペメトレキセドの有用性(JCOG1210/WJOG7813L)/JAMA Oncol

 高齢者の進行非扁平上皮非小細胞肺がん(NSCLC)の1stライン化学療法の中で、ドセタキセル単剤(DOC)は標準療法の1つである。一方、非高齢者の非扁平上皮NSCLCの1次治療としてはカルボプラチン+ペメトレキセドからペメトレキセドの維持療法(CBDCA/PEM)が、広く使われている。そのような中、進行非扁平上皮NSCLCの高齢患者に関して、CBDCA/PEM療法のドセタキセル単剤療法との非劣性を評価する多施設オープンラベル第III相試験が実施された。JAMA Oncology誌2020年3月12日オンライン版掲載の報告。

上部尿路上皮がん、術後化学療法で無病生存率改善/Lancet

 局所進行上部尿路上皮がん(UTUC)患者の治療において、腎尿管全摘除術後のゲムシタビン+プラチナ製剤併用による術後補助化学療法は、これを行わない場合に比べ無病生存(DFS)率を改善することが、英国・ランカシャー州教育病院国民保健サービス(NHS)ファンデーショントラストのAlison Birtle氏らの検討「POUT試験」で示された。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2020年3月5日号に掲載された。UTUCはまれな疾患で、膀胱上皮がんに比べて各病期の予後が不良とされる。UTUC患者の治療では、根治的腎尿管全摘除術後の術後化学療法の有益性に関して、国際的な合意は得られていないという。

非扁平上皮NSCLC、ペムブロリズマブ+化学療法の1次治療第III相試験アップデート(KEYNOTE-189)/JCO

 転移を有する非扁平上皮非小細胞肺がん(NSCLC)1次治療における、ペムブロリズマブ+化学療法の第III相KEYNOTE-189試験の結果が更新された。Journal of Clinical Oncology誌2020年3月9日号オンライン版掲載の報告。同試験の対象は、再発・転移のある無治療のStageIV非扁平上皮NSCLC患者616例。登録患者は、ペムブロリズマブ(3週ごと最大35サイクル)+化学療法(カルボプラチンまたはシスプラチン+ペメトレキセドの3週ごと4サイクル後、ペメトレキセド3週ごと)群410例とプラセボ+化学療法(ペムブロリズマブ併用群と同一用法・用量)群206例に無作為に割り付けられた。

がん10年生存率57.2%に、80%以上のがん種も/全がん協調査

 国立がん研究センターの研究班は3月17日、全国がんセンター協議会(以下、全がん協)加盟の全国32施設における、全がんおよび部位別の、がん生存率最新データを公表した。前回調査と比較して、全がんの5年相対生存率は0.5ポイント増の68.4%、10年相対生存率は0.8ポイント増の57.2%であった。現在、10年生存率の算出と公開を行っているのは同研究班によるもののみで、部位別生存率において相対生存率(がんによる死亡)のほか、実測生存率(全死亡)も提示していることが特徴。

小細胞肺がんの1次治療、アテゾリズマブ+化学療法の患者評価(IMpower133)/Ann Oncol

 進展型小細胞肺がん(ES-SCLC)へのカルボプラチン+エトポシド(CP/ET)+抗PD-L1抗体アテゾリズマブの併用の1次治療に関する「IMpower133試験」の安全性および患者報告アウトカムの評価結果が、米国・メイヨー・クリニックのA.S. Mansfield氏らにより示された。アテゾリズマブ+CP/ETレジメンはプラセボ+CP/ETと安全性プロファイルが同様であり、患者報告の健康関連QOL(HRQoL)に重大な影響は与えないことが示された。結果を踏まえて著者は、「示されたデータは、ES-SCLC 1次治療としてのアテゾリズマブ+CP/ETのベネフィット・リスクプロファイルを明確に示すもので、同レジメンを新たな標準治療として支持することをさらに裏付けるものであった」とまとめている。Annals of Oncology誌2020年2月号掲載の報告。

FDA、二ボルマブ・イピリムマブ併用、肝細胞がんに迅速承認

 米国食品医薬品局(FDA)は、3月10日、ソラフェニブ既治療の肝細胞がん患者に対するニボルマブとイピリムマブの併用療法を迅速承認した。  この併用療法の有効性は、ソラフェニブ治療で進行した、または不耐性の肝細胞がん患者を対象に実施された多施設コホート非盲検試験CheckMate-040のコホート4で調査された。合計49例の患者に、イピリムマブ3mg/kgとニボルマブ1mg/kgを3週間ごと4サイクル、その後ニボルマブ240mgを2週間ごと、疾患進行または忍容できない毒性が発現するまで投与した。

T1N0肺がん、縮小手術の候補となるのは?

 日本人の早期肺がんの肺葉切除に関するエビデンスが示された。神奈川県立がんセンターの伊藤 宏之氏らは、薄切CTに基づき臨床病期T1N0肺がん患者の肺葉切除後の長期アウトカムを評価し、consolidation tumor ratio(胸部薄切CT上、最大腫瘍径に対する充実性成分の比=C/T比)0.5以下および腫瘍径3cm以下の患者は、予後良好で縮小手術の候補である可能性を示唆した。Journal of Thoracic and Cardiovascular Surgery誌オンライン版2020年1月11日号掲載の報告。