腫瘍科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:211

BRAF V600E変異大腸がんに対するビニメチニブ、エンコラフェニブ、セツキシマブの3剤併用(BEACON CRC)/ESMO2019

 スペインVall d’Hebron 大学病院のJosep Tabernero氏は、転移のあるBRAF V600E変異大腸がんに対する、BRAF阻害薬アンコラフェニブ、MEK阻害薬ビニメチブ、抗EGFR抗体セツキシマブの3剤併用療法を検証した無作為化非盲検の第III相試験BEACON CRCの結果を発表。この3剤併用療法あるいはアンコラフェニブとセツキシマブの併用療法は、従来のFOLFIRI療法あるいはイリノテカンにセツキシマブを加えた治療法に比べ、全生存期間(OS)、奏効率(ORR)を有意に改善すると報告した。

局所進行NSCLCのCRT、10年でどこまでcure?(WJTOG0105)/ESMO2019

 WJTOG0105は、切除不能Stage III非小細胞肺がん(NSCLC)における、胸部放射線治療(TRT)の併用化学療法として、第3世代レジメン(イリノテカン+カルボプラチン、パクリタキセル+カルボプラチン)と第2世代レジメン(マイトマイシン+ビンデシン+シスプラチン)を比較した第III相試験である。この試験の結果、第3世代レジメンによるCRTは切除不能Stage III NSCLCの標準治療の1つとして確立された。しかし、CRTによる累積毒性と長期生存はまだ明らかになっていない。国立がん研究センター東病院の善家 義孝氏は、欧州臨床腫瘍学会(ESMO2019)において、わが国のStage III NSCLCにおけるCRTの生存と毒性の10年間追跡調査の結果を報告した。

アテゾリズマブ+T-DM1、HER2+/PD-L1+乳がんでのOSの結果(KATE2)/ESMO2019

 HER2陽性の進行・再発乳がん(mBC)に対する、PD-L1抗体のアテゾリズマブとT-DM1との併用療法の試験結果が、欧州臨床腫瘍学会(ESMO2019)で、米国・University of Pittsburgh Medical Center Hillman Cancer CenterのLeisha A. Emens氏より発表された。  KATE2試験は、国際共同の二重盲検比較の第II相試験である。2017年12月データカットオフ時点での1回目の無増悪生存期間(PFS)に関する解析は、2018年のサンアントニオ乳がんシンポジウム(SABCS)で両群間には有意差がないという発表がなされている。今回は2018年12月のデータカットオフ時点の最終解析としての全生存期間(OS)や安全性の発表となる。

進行肺がん患者への緩和ケアは生存ベネフィットあり/JAMA Oncol

 緩和ケアは進行肺がん患者の生存ベネフィットと関連していることが、米国・オレゴン健康科学大学のDonald R. Sullivan氏らによる後ろ向きコホート研究の結果、示唆された。緩和ケアは患者中心のアプローチでQOL改善と関連するが、これまで生存ベネフィットとの関連については、さまざまな結果が示されていた。また、そのことが、緩和ケアが十分活用されない要因ともされている。今回の結果を踏まえて著者は、「緩和ケアは、進行肺がん患者において、疾患修飾治療を補完するアプローチとして考慮されるべきである」と述べている。JAMA Oncology誌オンライン版2019年9月19日号掲載の報告。

カバジタキセル、転移のあるmCRPCのPFSを延長/NEJM

 転移を有する去勢抵抗性前立腺がん(mCRPC)で、ドセタキセルおよび抗アンドロゲン薬(アビラテロン、エンザルタミド)既治療の患者に対し、カバジタキセルは抗アンドロゲン薬に比べ、画像評価による無増悪生存(PFS)期間を有意に延長することが示された。オランダ・エラスムス医療センターのRonald de Wit氏らが、255例を対象に行った無作為化比較試験の結果で、NEJM誌オンライン版2019年9月30日号で発表した。ドセタキセル治療と抗アンドロゲン薬治療を受けるも12ヵ月以内に病勢進行が認められたmCRPC患者について、抗アンドロゲン薬と比較したカバジタキセルの有効性および安全性は不明であった。

ニボルマブ、食道がん2次治療以降のOS改善(ATTRACTION-3)/ESMO2019

 韓国・延世医科大学延世がんセンターのByoung Chul Cho氏は、進行・再発の食道扁平上皮がんの2次治療でニボルマブとタキサン系抗がん剤による化学療法を比較した第III相試験ATTRACTION-3の結果を欧州臨床腫瘍学会(ESMO2019)で報告。ニボルマブは化学療法と比較し、全生存期間(OS)を有意に延長したことを明らかにした。 ・対象:1次治療でプラチナベース化学療法が不応あるいは施行後に無効になった切除不能な進行・再発の食道扁平上皮がん患者(PS 0~1)

早期TN乳がんの術前化学療法にペムブロリズマブ追加でpCR改善(KEYNOTE-522)/ESMO2019

 新規に診断された早期トリプルネガティブ乳がん(TNBC)に対して、術前化学療法にペムブロリズマブを追加することにより、病理学的完全奏効(pCR)率が有意に上昇したことがKEYNOTE-522試験で示された。また、術前/術後のペムブロリズマブ投与により無イベント生存率(EFS)が改善する傾向もみられた。欧州臨床腫瘍学会(ESMO2019)で、英国・Barts Cancer Institute, Queen Mary University LondonのPeter Schmid氏が発表した。  本試験は、早期TNBCに対してペムブロリズマブの術前化学療法との併用および術後補助療法での投与について検討した、初のプラセボ対照無作為化比較第III相試験である。

再発悪性胸膜中皮腫に対するペムブロリズマブの成績/ESMO2019

 悪性胸膜中皮腫(MPM)はアグレッシブな腫瘍で、予後も不良である。プラチナベース化学療法の再発後は生存を改善する治療法はないが、実臨床ではビノレルビンやゲムシタビンが用いられる。そのような中、KEYNOTE-028の拡大コホートなどで免疫チェックポイント阻害薬の有効性が示されている。欧州臨床腫瘍学会(ESMO2019)ではペムブロリズマブ単剤による既治療のMPMに対する無作為化比較第III相試験ETOP PROMISE-mesoの結果が発表された。

BRAF V600E遺伝子変異大腸がん、MAPK経路標的の3剤併用は?/NEJM

 BRAF V600E遺伝子変異陽性の転移を有する既治療大腸がん患者の治療では、エンコラフェニブ(BRAF阻害薬)+セツキシマブ(抗EGFRモノクローナル抗体)+ビニメチニブ(MEK阻害薬)併用療法およびエンコラフェニブ+セツキシマブ併用療法は標準治療と比較して、いずれも全生存(OS)期間を有意に延長し、奏効率も有意に高いことが、米国・テキサス大学MDアンダーソンがんセンターのScott Kopetz氏らが行ったBEACON CRC試験で示された。研究の成果は、NEJM誌オンライン版2019年9月30日号に掲載された。BRAF V600E遺伝子変異陽性の転移を有する大腸がんの予後は不良であり、初回治療不成功後のOS期間中央値は4~6ヵ月とされる。また、BRAFだけを阻害しても、上皮成長因子受容体(EGFR)シグナル伝達を介して伝達路が再活性化されるため、腫瘍縮小効果は限定的だという。この3剤併用レジメンは、MAPKシグナル伝達経路を最も効果的に阻害する併用療法としてデザインされた。

niraparibで化療に奏効した新規進行卵巣がんのPFS改善/NEJM

 プラチナ製剤ベースの化学療法が奏効した新規診断進行卵巣がん患者では、PARP阻害薬niraparibはプラセボと比較して、相同組み換え欠損(homologous-recombination deficiency:HRD)の有無にかかわらず、無増悪生存(PFS)期間を有意に延長させることが、スペイン・Clinica Universidad de NavarraのAntonio Gonzalez-Martin氏らが行ったPRIMA/ENGOT-OV26/GOG-3012試験で示された。研究の成果は、NEJM誌オンライン版2019年9月28日号に掲載された。niraparibは、BRCA遺伝子変異の有無にかかわらず、プラチナ製剤ベースの化学療法施行後の再発卵巣がん患者のPFS期間を延長すると報告されている。一方、プラチナ製剤ベースの化学療法が奏効した新規診断進行卵巣がん患者におけるniraparibの有効性は知られていない。また、BRCA遺伝子変異は、腫瘍が何らかのHRDを有することを示しているが、BRCA遺伝子変異が陰性の場合は腫瘍のゲノム不安定性のパターンが、そのような表現型を付与する可能性があるという。