腫瘍科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:210

アテゾリズマブ+ベバシズマブ、肝細胞がんの生存を改善(IMbrave150)/Roche

 アテゾリズマブ(商品名:テセントリク)とベバシズマブ(同:アバスチン)の併用が肝細胞がん(HCC)の1次治療において生存を改善した。  Roche社は、2019年10月21日、切除不能肝細胞がん(HCC)を対象にしたアテゾリズマブとベバシズマブ併用の第III相IMbrave150試験において、全生存(OS)および無増悪生存(PFS)の統計学的に有意かつ臨床的に意味のある改善を示したことを発表した。  IMbrave150は、未治療の切除不能HCCの501例を対象とした、国際多施設共同非盲検第III相試験。対象患者は無作為にアテゾリズマブとベバシズマブ併用またはソラフェニブに割り付けられ、許容できない毒性または臨床的利益の喪失まで、治療を受けた。主要評価項目は、独立審査委員会(IRF)によるOSとPFSである。IMbrave150試験のデータは、今後の医学学会で発表される予定。

脳転移のあるPD-L1陽性肺がんにもペムブロリズマブ単剤が有効/ESMO2019

 米メイヨークリニックのAaron S. Mansfield氏は、ペムブロリズマブに関する臨床試験であるKEYNOTE-001、010、 024、042の統合解析結果から、脳転移があるPD-L1陽性非小細胞肺がん(NSCLC)に対するペムブロリズマブ単独療法は、脳転移なしと同等以上の予後改善効果があると欧州臨床腫瘍学会(ESMO2019)で発表した。  統合解析に用いた4試験(KEYNOTE-001、010、024、042)のうちKEYNOTE-001のみが単群試験で、その他はいずれも化学療法との比較試験である。

EGFR陽性NSCLC1次治療、ベバシズマブ+エルロチニブがPFS改善(CTONG 1509)/ESMO2019

 EGFR変異陽性非小細胞肺がん(NSCLC)に対する1次治療としてのベバシズマブ+エルロチニブ併用療法の試験結果が、欧州臨床腫瘍学会(ESMO2019)で、中国・Guangdong Lung Cancer InstituteのQing Zhou氏より発表された。  CTONG 1509試験は、中国国内の14施設で実施されたオープンラベルの無作為化比較第III相試験である。症例登録期間は、2016年4月~2017年7月であり、主解析に用いたデータのカットオフは2019年1月であった。

EGFR陽性肺がん1次治療でのエルロチニブ+ラムシルマブ、T790M発現との関係は?(RELAY)/ESMO2019

 EGFR変異陽性のNSCLCでは、第1、2世代EGFR-TKIの1次治療により30~60%の患者でT790M変異による耐性が発現する。近畿大学の西尾 和人氏らは、EGFR変異陽性のNSCLCでのラムシルマブ・エルロチニブ併用(以下、RAM+ERL)の効果を検証した第III相RELAY試験の結果から、この2剤併用がEGFRの2次変異であるT790M変異の発生を遅延させる可能性があると欧州臨床腫瘍学会(ESMO2019)で発表した。  RELAY試験は未治療のEGFR変異陽性進行NSCLC患者(449例)を対象に、RAM+ERLとプラセボ+エルロチニブ(以下、PL+ERL)を比較した第III相国際共同二重盲検無作為化試験で、併用群における無増悪生存期間(PFS)の有意な延長が報告されている(HR:0.591、p<0.0001)。T790M発現については、PD後30日後のRAM+ERL群と対照群で差はみられていない(43%対47%)。

ニボルマブ+低用量イピリムマブ、NSCLCのOS有意に改善(CheckMate-227)/ESMO2019

 イピリムマブとニボルマブの併用は、悪性黒色腫や腎細胞がんにおいて全生存期間(OS)の改善を示している。非小細胞肺がん(NSCLC)においても、イピリムマブの用法・用量の肺がんへの適正化(1mg/kg 6週ごと投与)により、有効性を示す試験結果が報告されている。CheckMate-227試験は、ニボルマブベースの治療と化学療法を比較したオープンラベル無作為化第III相試験。同試験は、Part1とPart2で構成されており、Part1の結果として、高腫瘍変異負荷(TMB≧10mut/Mb)患者におけるイピリムマブ・ニボルマブ併用の化学療法に対する無増悪生存期間(PFS)の延長が報告されている。欧州臨床腫瘍学会(ESMO2019)では、Part1の最終結果、とくにPD-L1≧1%の患者における主要評価項目であるイピリムマブ+ニボルマブ対化学療法の全生存期間(OS)のデータについて、スイス・ローザンヌ大学のSlonge Peters氏が発表した。

局所進行胃がんに対するDOSによる術前化学療法の追加効果(PRODIGY)/ESMO2019

 局所進行胃がんに対する術後S-1治療への術前ドセタキセル+オキサリプラチン+S-1(DOS)の追加効果を検討したPRODIGY試験の結果が、欧州臨床腫瘍学会(ESMO2019)で報告された。韓国・蔚山大学校のYoon-Koo Kang氏による発表。  アジアにおいて、胃切除リンパ節郭清(D2)とそれに続く術後化学療法は、切除可能進行胃がんに対する標準治療となっている。PRODIGY試験は、標準治療へのDOSの術前化学療法追加による効果を検証した第III相試験である。

わが国の肺がんの静脈血栓塞栓症の発生率(Rising-VTE)/WCLC2019

 静脈血栓塞栓症(VTE)は、悪性腫瘍でよくみられる合併症である。しかし、肺がんの診断時のVTEの発生率についてはほとんど知られていない。日本の40施設を対象とした多施設前向き観察研究Rising-VTE/NEJ037について、県立広島病院の濱井 宏介氏が世界肺癌学会(WCLC2019)で発表した。  Rising-VTE/NEJ037の対象は、切除または放射線治療不能な非小細胞肺がん(NSCLC)患者。VTEは造影CTまたは下肢エコー検査に基づき診断された。試験の主要評価項目は、中央判定委員会が評価する登録後2年間の症候性および無症候性の再発または新たに診断されたVTEの発症率である。

男性乳がん死亡率、女性乳がんより高い?/JAMA Oncol

 乳がんは男性患者と女性患者で生存率に差があることが報告されているが、性差が関連する要因について、大規模なデータ解析に基づく知見が示された。米国・ヴァンダービルト大学医療センターのFei Wang氏らは全米がん登録コホート研究にて、乳がん診断後の死亡率は、臨床的特徴、治療因子、治療を受ける機会を考慮しても、女性患者より男性患者で高いことを明らかにした。乳がん死の性差を理解することは、がん治療とサバイバーのケアに関する戦略を立てるうえで基本となる。結果を受けて著者は、「死亡率の性差をなくすためには、とくに生物学的属性、治療コンプライアンス、ライフスタイルなど他の要因を特定する必要があろう」と指摘している。JAMA Oncology誌オンライン版2019年9月19日号掲載の報告。

進行NSCLCの初回治療、ニボルマブ+イピリムマブが有効/NEJM

 進行非小細胞肺がん(NSCLC)患者において、ニボルマブ+イピリムマブ併用療法による初回治療はPD-L1発現レベルを問わず、化学療法と比較して全生存(OS)期間を延長することが認められた。また、長期追跡において新たな安全性の懸念は生じなかった。米国・Memorial Sloan Kettering Cancer CenterのMatthew D. Hellmann氏らが、第III相の無作為化非盲検試験「CheckMate-227試験」の結果を報告した。進行NSCLC患者を対象とした第I相試験において、とくにPD-L1陽性患者で、ニボルマブ+イピリムマブ併用療法がニボルマブ単剤療法よりも奏効率が良好であることが示され、NSCLC患者におけるニボルマブ+イピリムマブの長期的な有効性を評価するデータが必要とされていた。NEJM誌オンライン版2019年9月28日号掲載の報告。