腫瘍科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:224

終末期がん患者、併発疾患への薬物療法の実態

 終末期緩和ケアを受けているがん患者において、併発している疾患への薬物療法はどうなっているのか。フランス・Lucien Neuwirth Cancer InstituteのAlexis Vallard氏らは、前向き観察コホート研究を行い、緩和ケア施設に入院した終末期がん患者に対する非抗がん剤治療が、一般的に行われていることを明らかにした。著者は「それらの治療の有益性については疑問である」とまとめている。Oncology誌オンライン版2019年6月20日号掲載の報告。

疼痛・疲労・精神的苦痛の支援を受けたことがない―がん患者の3~5割/JCO

 どれほどのがん患者が疼痛、疲労、精神的苦痛を有し、またそれらに対するケアは行われているのか。米国・がん協会のTenbroeck G. Smith氏らは、地域のがんセンターで治療を受けている患者を対象に、それらの有症率などを調査した。その結果、30~50%のがん患者が、疼痛、疲労および精神的苦痛について、話し合ったり、アドバイスを受けたり、期待した支援を受けたことがないと回答したという。著者は、「これら3つのがん関連症状の管理に関して改善の余地がある」と述べたうえで、それぞれの症状の有症率の高さについても「重要と思われる」と指摘している。Journal of Clinical Oncology誌2019年7月1日号掲載の報告。

前立腺がんのアンドロゲン除去療法と認知症~15万例の解析

 アンドロゲンの低下は、除脂肪体重の減少や糖尿病、心血管疾患、うつ病など、アルツハイマー病や認知症の危険因子を増大させる可能性がある。前立腺がんにおけるアンドロゲン除去療法(ADT)は認知機能に影響するのだろうか。今回、米国ペンシルバニア大学のRavishankar Jayadevappa氏らが、15万例超の高齢前立腺がん患者のデータを分析したところ、アンドロゲン除去療法を受けた後少なくとも10年間は、アルツハイマー病や認知症の診断と関連することが示された。JAMA Network Open誌2019年7月3日号に掲載。

日本人卵巣がんのBRCA変異保有率は欧米と同等/アストラゼネカ

 アストラゼネカ株式会社は、卵巣がんにおけるBRCA1/2(以下、BRCA)遺伝子変異の保有率に関する大規模調査 Japan CHARLOTTE study(以下、CHARLOTTE)を国内63の医療施設で実施した。日本人症例における初の大規模な調査であり、婦人科領域のがんゲノム医療を推進する貴重なデータとなる。なお、CHARLOTTEの結果は、2019年7月1日付でInternational Journal of Gynecological Cancer電子版に掲載されている。

未治療骨髄腫に対するダラツムマブ、レナリドミド、デキサメタゾン併用療法に期待するモノ(解説:藤原弘氏)-1075

新規治療薬開発が進み、QOLの改善と全生存率の延長が進む多発性骨髄腫だが、いまだに治癒しない。そこで、次の治療戦略が微小残存病変陰性完全寛解の達成から無増悪生存の延長、その先に治癒を見据えるのは理にかなっている。Proteosome阻害剤、iMIDsに加えて抗体製剤の登場が、その流れを加速させている。最近、自己造血幹細胞移植適応のない未治療MMに対するダラツムマブ併用レナリドミド/デキサメタゾン療法のLd療法に対する優位性を示す大規模な第III相臨床試験の結果が、Facon T.博士らのグループからNew England Journal of Medicine誌に掲載された(内容はすでに2018年、米国血液学会で報告されていたが)。

高齢進行胃がん患者への化学療法、低用量でベネフィット得られる可能性(GO2)/ASCO2019

 高齢でフレイルのある、進行胃・食道胃接合部がん患者において、2剤併用化学療法の用量を減らしても、高用量の場合と同等のベネフィットが得られる可能性が示唆された。米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO2019)で、オキサリプラチン+カペシタビン2剤併用療法の適正用量を検討した第III相GO2試験の結果を、英国・エジンバラ大学のPeter S Hall氏が発表した。  進行胃・食道胃接合部がんと診断される患者の中央値は75歳超で、多くがフレイルを有している。しかし、化学療法の標準的な用法用量の多くがフレイルのない、65歳未満の患者を対象とした臨床試験によって定められている。

抗精神病薬使用と胃がんリスクとの関係

 台湾・桃園長庚紀念病院のYi-Hsuan Hsieh氏らは、抗精神病薬使用と胃がんの発症率との関連を明らかにするため、検討を行った。これまで、抗精神病薬の使用と胃がんリスクとの関連は、明らかとなっていなかった。Cancer Medicine誌オンライン版2019年6月10日号の報告。  ネステッド・ケース・コントロール研究を用いて、1997~2013年の台湾全民健康保険研究データベースより、胃がん患者3万4,470例および非胃がん患者16万3,430例を抽出した。交絡因子の可能性を調整するため、条件付きロジスティック回帰モデルを用いてデータ分析を行った。

身体活動が活発な中高年者ほど、寿命は長い/BMJ

 心血管疾患やがんの患者を含む中高年者では、過去の身体活動の程度や確定したリスク因子(食事、体重、血圧、コレステロール値など)の変化にかかわらず、身体活動が活発なほど死亡リスクが低く、実質的に寿命が長くなることが、英国・ケンブリッジ大学のAlexander Mok氏らによる、EPIC-Norfolk試験のデータを用いた研究で示された。研究の成果は、BMJ誌2019年6月26日号に掲載された。ある時点で評価した身体活動は、全原因死亡や、心血管疾患およびがんによる死亡のリスク低下と関連することが報告されているが、身体活動の長期的な変化を検討し、さまざまな身体活動の変化の過程が健康に及ぼす影響を定量化した研究は少ないという。

前立腺がんへの超寡分割照射vs.標準照射(解説:宮嶋哲氏)-1073

Scandinavian HYPO-RT-PC試験は転移のない前立腺がんを対象に、標準照射と比較し、超寡分割照射の非劣性を検討することを目的とした第III相無作為ランダム化比較臨床試験である。本試験はスウェーデンとデンマークの12施設において、2005年からの10年にわたって施行された。リンパ節転移ならびに遠隔転移のない75歳以下の中〜高リスク前立腺がん患者1,200例を対象に、原発巣である前立腺への放射線照射が無病生存率に寄与するのか検討を行っている。本試験では、標準照射群(591例)、または超寡分割照射群(589例)の2群にランダム化している。標準放射線照射群は連日照射を8週間施行し(78Gy/39Fr)、超寡分割照射群は2.5週7回の照射を施行するプロトコル(42.7Gy/7Fr)であった。

高齢者進行非小細胞肺がん、膵がん患者に対する早期運動・栄養介入の多施設共同ランダム化第II相試験(NEXTAC-TWO)

 高齢の進行期がん患者の多くは、がん悪液質による疲労、食欲不振、および身体機能の低下を有しているが、効果的な介入が確立されていない。静岡県立静岡がんセンターの内藤 立暁氏らは進行期がんに対する栄養療法および運動療法を組み合わせた早期介入プログラムNEXTAC(The Nutrition and Exercise Treatment for Advanced Cancer program)の第I相試験(NEXTAC-ONE)を実施し、がん悪液質高リスクの高齢患者におけるNEXTACの実現可能性を報告した(Journal of Cachexia, Sarcopenia and Muscle, 2018)。この結果に基づきNEXTACによる早期の運動・栄養介入の有効性を評価する多施設共同無作為化第II相NEXTAC-TWO試験が開始された。NEXTAC-TWO試験の実施の背景、設計などについて新潟県立がんセンター新潟病院 三浦 理氏らがBMC Cancer誌オンライン版2019年5月31日号で発表した。