腫瘍科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:226

再発・難治性のFLT3変異陽性AML、ギルテリチニブがOS延長/NEJM

 再発または難治性のFMS様チロシンキナーゼ3遺伝子(FLT3)変異陽性の急性骨髄性白血病(AML)に対し、ギルテリチニブによる治療はサルベージ化学療法に比べ、全生存(OS)期間を有意に延長し、血液学的回復を伴う完全寛解の割合も増加したことが示された。米国・ペンシルベニア大学のAlexander E. Perl氏らが、371例の患者を対象に行った第III相の無作為化比較試験の結果で、NEJM誌2019年10月31日号で発表した。再発または難治性のFLT3変異陽性AMLの患者が、サルベージ化学療法に反応するのはまれである。ギルテリチニブは、経口の強力な選択的FLT3阻害薬で、再発または難治性のFLT3変異陽性AMLに対して単剤で活性する。

膀胱がん、ガイドライン4年ぶりに改訂/日本泌尿器腫瘍学会

 膀胱癌診療ガイドラインが2015年から4年ぶりに改訂された。日本泌尿器腫瘍学会第5回学術集会では、パネルディスカッション形式で膀胱癌診療ガイドラインの改訂ポイントについて解説した。  聖マリアンナ医科大学の菊地 栄次氏はStage IV膀胱がんの治療について、改訂された膀胱癌診療ガイドラインの6個のCQから一部を紹介した。

乾癬患者、全がんリスクが高い

 乾癬患者の発がんリスクおよびがん死リスクが明らかになった。英国・マンチェスター大学のAlex M. Trafford氏らによるメタ解析の結果、乾癬患者はいずれのリスクとも高く、さまざまな部位のがんと関連していることが認められたという。著者は、「さらなる研究を行い、特定の生活様式の因子や治療、乾癬の炎症プロセスを調べ、がんリスク増大のメカニズムを明らかにする必要がある」と述べている。乾癬患者の発がんリスクについては、重症度によるリスクの違いも不明であり、少なからぬ懸念が生じていた。JAMA Dermatology誌オンライン版2019年10月16日号掲載の報告。

新抗体薬物複合体DS-7300、固形がんを対象とした臨床試験開始/第一三共

 第一三共株式会社(本社:東京都中央区)は、再発・進行性の固形がん患者を対象としたDS-7300(B7-H3を標的とした抗体薬物複合体[ADC])の第I/II臨床試験において、最初の患者への投与を開始した。  B7-H3は、肺がん、頭頸部がん、食道がん、前立腺がん、子宮内膜がん、乳がんなど様々のがん種において過剰発現しているたんぱく質の一種で、がんの進行や予後の悪化に関係していると言われているが、現在、がん治療を対象に承認されているB7-H3を標的とした治療薬はない。抗体薬物複合体であるDS-7300は、独自のリンカーを介して新規のトポイソメラーゼI阻害剤(DXd)を抗B7-H3抗体に結合させ、1つの抗体につき約4個のDXdが結合。薬物をがん細胞内に直接届けることで、薬物の全身曝露を抑えるよう設計されている。

日本の大腸がん患者における悪液質の実態/日本癌治療学会

 がん悪液質は、体重減少と食欲不振を主体とする多因子の代謝異常であり、患者のQOLや生存に影響する。日本の大腸がんにおける悪液質発症頻度と発症時期についての報告は少ない。静岡県立静岡がんセンターの柴田 昌幸氏らは、同施設と久留米大学病院で1次治療の化学療法を受けた進行大腸がん患者を対象に、悪液質の発症頻度、発症時期、予後への影響を調べる後ろ向き観察研究を実施。その結果を第57回日本癌治療学会学術集会(10月24~26日)で発表した。

乳がん術後再発、局所vs.全身麻酔で差なし/Lancet

 乳がんの根治的切除術時の麻酔法として、局所的な麻酔/鎮痛(傍脊椎ブロックとプロポフォール)は、全身麻酔(揮発性麻酔[セボフルラン]とオピオイド)と比較して、乳がんの再発を抑制しないことが、米国・クリーブランドクリニックのDaniel I. Sessler氏らBreast Cancer Recurrence Collaborationの検討で示された。研究の詳細は、Lancet誌オンライン版2019年10月20日号に掲載された。手術時のストレス応答、揮発性吸入麻酔の使用、鎮痛のためのオピオイドは、がん手術の周術期因子であり、いずれも再発に対する宿主防御を減弱させるという。一方、これらの因子はすべて、局所的な麻酔/鎮痛によって改善するとされている。

進行/再発乳がんへのパルボシクリブ、実臨床での有効性と安全性/日本癌治療学会

 進行/再発乳がんに対するCDK4/6阻害薬のパルボシクリブ(商品名:イブランス)の有効性と安全性を後ろ向き単施設観察研究で検討した結果、実臨床データベースにおいても、内分泌療法耐性の患者にも有効であり、内分泌療法に感受性の高い患者やフロントラインでの使用がより効果的な傾向が示唆された。がん・感染症センター都立駒込病院の岩本 奈織子氏が、第57回日本癌治療学会学術集会(10月24~26日)で発表した。

わが国の膵臓がん悪液質、7割に発症、有害事象発現も高く/日本癌治療学会

 がん悪液質は、骨格筋の持続的な減少などを主体とする多因子性の症候群であり、膵臓がんでは高頻度で見られるとされる。国立がん研究センター東病院の光永修一氏らは、わが国の膵臓がん患者における悪液質の発症頻度と発症時期、有害事象との関係などを調査する後ろ向きコホート研究を実施。第57回日本癌治療学会学術集会(10月24~26日)で発表した。  対象は、2008年~2017年に膵管がんと診断され、国立がんセンター東病院で初回化学療法を受けた150例の患者。悪液質の定義は5%以上の体重減少、BMI20kg/m2未満の患者では2%を超える体重減少。初回化学療法時を起算日として、12週ごとに体重を測定し、悪液質の発症時期を調査した(以下、フォローアップ悪液質と称す)。

EGFR変異陽性NSCLC、ラムシルマブ+エルロチニブでPFS延長(RELAY試験)/Lancet Oncol

 EGFR遺伝子変異陽性の転移を有する非小細胞肺がん(NSCLC)において、EGFRおよびVEGF両経路を二重ブロックする新たなレジメンが有望であることが示された。これまでに前臨床および臨床データで支持されているが、そのアプローチはまだ広くは用いられていない。近畿大学の中川 和彦氏らは、未治療のEGFR遺伝子変異陽性の転移を有するNSCLC患者を対象に、標準治療であるEGFRチロシンキナーゼ阻害薬(TKI)エルロチニブへのラムシルマブの併用を、エルロチニブ単剤と比較する「RELAY試験」を行い、ラムシルマブ+エルロチニブ(RELAYレジメン)はプラセボ+エルロチニブと比較して無増悪生存(PFS)期間を有意に延長することを報告した。

遠隔オリゴ転移再発乳がんの予後および予後因子/日本癌治療学会

 進行乳がん(ABC)のガイドラインの定義によるオリゴ転移がん(OMD)がNon-OMD(NOMD)と比べて有意に予後良好であり、通常の再発乳がんの予後因子である「遠隔転移巣の根治切除の有無」「転移臓器個数」「転移臓器部位」「無病期間(DFI)」「周術期の化学療法の有無」がOMDにおいても予後因子であることが示唆された。がん研有明病院/隈病院の藤島 成氏が第57回日本癌治療学会学術集会(10月24~26日)で発表した。  一部の進行乳がんにおいて長期予後が得られる症例があり、そのような症例としてOMDやHER2陽性乳がんが挙げられる。ABCのガイドラインにおけるOMDの定義は、転移個数が少なくサイズが小さい腫瘍量の少ない転移疾患とされており、その転移個数は5個以下となっているが、転移臓器の個数は定義されていない。OMDの転移臓器の個数は1つにすべきというドイツのグループからの意見もあり、その定義について議論されている。今回、藤島氏らはABCのガイドラインの定義によるOMDの予後を評価し、さらにOMDの予後因子を検討した。