腫瘍科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:243

既治療の非小細胞肺がんにおけるニボルマブの4年生存/Lancet Oncol

 ニボルマブは、第III相臨床のデータから、既治療の進行期非小細胞肺がん(NSCLC)患者において、ドセタキセルに対して客観的奏効率が高く、奏効期間が長く、全生存期間が長いことを示している。ニボルマブの長期的な利益と、 奏効状態とその後の生存に対する影響を評価することを目的としプール解析が行われた。Lancet Oncology誌2019年8月14日号オンライン版掲載の報告。  既治療のNSCLC患者におけるニボルマブの 生存転帰を評価するために、4つの臨床研究 (CheckMate 017、057、063、003) からデータを蓄積した。生存結果の決定にあたっては、 6ヵ月の奏効状態によるランドマーク解析を行った。

不眠症とがんリスク~メタ解析

 近年、最も一般的な睡眠障害の1つである不眠症とがんとの関連について新たな研究が発表されているが、それらの結果は一貫していない。社会の発展や生活スピードの加速により、不眠症を経験する人は増加している。中国・Anhui Medical UniversityのTingting Shi氏らは、不眠症とがんとの関連を明らかにするため、メタ解析を実施した。Journal of Sleep Research誌オンライン版2019年7月28日号の報告。  関連文献は、7つのデータベースおよび補足検索により収集した。厳密なスクリーニング後、対象者57万8,809例とがんイベント7,451件を含む8つのコホート研究(プロスペクティブ研究:7件、レトロスペクティブ研究:1件)が抽出され、分析に組み込まれた。

selinexorが3クラス抵抗性多発性骨髄腫に有望/NEJM

 現在使用可能な治療に抵抗性の骨髄腫患者において、first-in-classのエクスポーチン1(XPO1)阻害薬selinexorと低用量デキサメタゾンの併用療法は、約4分の1の患者に客観的奏効をもたらすことが、米国・マウント・シナイ・アイカーン医科大学のAjai Chari氏らが行ったSTORM試験で示された。研究の成果は、NEJM誌2019年8月22日号に掲載された。selinexorは、核外輸送複合体の選択的阻害薬であり、骨髄腫で過剰発現しているXPO1を阻害して腫瘍抑制蛋白の核内蓄積と活性化を促進し、核内因子κBを阻害するとともに、腫瘍蛋白メッセンジャーRNA翻訳を抑制する。selinexorは、現在の治療選択肢に抵抗性の骨髄腫患者において、新規治療薬となる可能性が示唆されている。

赤肉と鶏肉、乳がんリスクはどちらが高い?/Int J Cancer

 肉を食べると乳がん発症リスクは上昇するのか。これまで因果関係が言われながらも、一貫性のあるエビデンスが示されていなかった肉と乳がんの関係について、米国・Columbia Mailman School of Public HealthのJamie J. Lo氏らが、4万2,000例超の女性を平均7.6年間追跡した調査結果を発表した。赤肉(red meat)の摂取量が最も多い群は最も少ない群に比べて浸潤性乳がんのリスクが1.23倍高く、一方で鶏肉は最も多く食べる群が最も少ない群に比べて同リスクは0.85倍と低く、赤肉の代わりに鶏肉を食べることで乳がんリスクが低下する可能性があることが示唆されたという。なお調理法についての関連性は観察されなかったとしている。International Journal of Cancer誌オンライン版2019年8月6日号掲載の報告。

がんサバイバーの多くが中長期のCVDリスク増加/Lancet

 がんサバイバーのほとんどで、がん部位別でかなり違いはあるものの、一般集団と比較して心血管疾患の中~長期リスクの増加が確認された。英国・ロンドン大学衛生熱帯医学大学院のHelen Strongman氏らが、がんサバイバーにおける心血管リスクの定量化を目的とする電子医療記録データベースを用いたコホート研究の結果を報告した。過去数十年で、がんの生存率は顕著に改善してきたが、サバイバーの長期的な心血管リスクについては懸念が指摘されている。しかし、さまざまながんサバイバーにおける心血管疾患の予防や管理に関するエビデンスが不足していた。Lancet誌オンライン版2019年8月20日号掲載の報告。

悪性黒色腫におけるBRAF阻害薬・MEK阻害薬併用の心血管リスク

 悪性黒色腫患者の治療におけるBRAF阻害薬・MEK阻害薬併用療法による心血管有害事象の特徴が明らかになった。ドイツ・エッセン大学病院のRaluca I. Mincu氏らによるシステマティックレビューおよびメタ解析の結果、BRAF阻害薬・MEK阻害薬併用療法はBRAF阻害薬単独療法と比較し心血管有害事象のリスクが高いことが示された。著者は「今回の結果は、悪性黒色腫治療の有益性と、心血管疾患の発症および死亡とのバランスをとるのに役立つと思われる」とまとめている。JAMA Network Open誌2019年8月2日号掲載の報告。

低線量CT肺がんスクリーニング、毎年と隔年の比較/Eur J Cancer

 2011年、米国のNLST試験では、低線量CT(LDCT)スクリーニングによる前/現喫煙者における肺がん死亡率の低下が示された。また、イタリアのMulticentric Italian Lung Detection(MILD)試験では、長期のLDCTスクリーニングが、肺がん死亡率を39%減少させることを示している。イタリア・Istituto Nazionale Dei TumoriのPastorino氏らは、MILD試験をさらに毎年と隔年のスクリーニングに分け、スクリーニング強度が10年後の全死亡および肺がん特異的死亡にもたらす影響を評価した。European Journal of Cancer誌2019年9月号掲載の報告。

ラムシルマブ適応拡大、肝細胞がんは薬を使い切る戦略が鍵に

 ラムシルマブの登場で、肝細胞がんの薬物治療は4剤が使用可能となったが、治療アルゴリズムはどう変化するのか。2019年6月、化学療法後に増悪した血清AFP値400ng/mL以上の切除不能な肝細胞がんに対して、ラムシルマブが適応拡大された。これを受けて8月1日、都内でメディアセミナー(主催:日本イーライリリー)が開催され、工藤 正俊氏(近畿大学医学部消化器内科 教授)が講演した。  本邦における肝がんの年間罹患数は約4万人、年間死亡数は約2万7,000人となっている。性別ごとの年間死亡数では、男性では肺、胃、大腸に次ぐ4番目、女性では大腸、肺、膵臓、胃、乳房に次ぐ6番目と、今もって死亡の多いがんといえる1)。肝がんの主要な背景疾患であるC型肝炎の新たな感染が減ったことで、死亡数は漸減の傾向にあるが、食事の欧米化などの影響から、B型/C型ウイルス由来ではない肝細胞がんが増加傾向にある。

肺がん2剤併用療法、ベースはシスプラチン?カルボプラチン?/Lung Cancer

 進行期非小細胞肺がん(NSCLC)の1次治療において、プラチナベース化学療法はいまだ大きな柱である。実臨床においてはシスプラチンとカルボプラチンの2つのプラチナ製剤が多く使われる。すでに、Cohchraneグループによるカルボプラチンとシスプラチンベースの化学療法を比較するメタアナリシスが行われているが、NSCLCにおける急速な治療の変化と拡大する臨床試験の中、新たなデータの反映が求められていた。そのような中、ドイツのGriesingerらは、2013年〜2018年1月に発表されたNSCLC1次治療におけるカルボプラチンとシスプラチンの無作為化比較試験のシステマチックリサーチを⾏い、解析結果を更新した。評価項⽬は全⽣存期間(OS)、1年⽣存率(1yOS)、客観的奏効率(ORR)、Grade3/4の薬物関連有害事象など。Lung Cancer誌2019年9⽉号掲載の報告。