腫瘍科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:240

alpelisib併用群、HR+/HER2-進行乳がんのPFS延長/NEJM

 PIK3CA遺伝子変異を有する内分泌療法歴のあるホルモン受容体(HR)陽性/HER2陰性(HR+/HER2-)の進行乳がん患者において、alpelisib+フルベストラント併用療法により無増悪生存期間(PFS)が延長した。フランス・パリ第11大学のFabrice Andre氏らが、国際共同無作為化二重盲検プラセボ対照第III相試験「SORAR-1(Clinical Studies of Alpelisib in Breast Cancer 1)試験」の結果を報告した。PIK3CA遺伝子変異は、HR+/HER2-乳がん患者の約40%に認められる。PI3Kαを特異的に阻害するalpelisibは、初期の試験で抗腫瘍活性が示唆されていた。NEJM誌2019年5月16日号掲載の報告。

がん患者の喫煙継続で増える治療失敗とコストはどの程度?

 喫煙は、がんの大きなリスク因子といわれているが、がん患者の喫煙継続およびがん1次治療の失敗増は、がん2次治療コストの有意な増大と関連していることが、米国・サウスカロライナ医科大学のGraham W. Warren氏らによる検討の結果、示された。著者は「さらなる調査を行い、コスト増を軽減する最適な方法を明らかにする必要があるだろう」と述べている。先行研究で、がん患者の喫煙継続は全死亡率・がん死亡率や二次原発がんリスク、がん治療の毒性作用を増大することが示唆されていたが、著者らによれば、喫煙によるがん治療の追加コストの推算はこれまでされていなかったという。JAMA Network Open 2019年4月5日号掲載の報告。

大腸がんの便潜血検査、アスピリンで感度は向上するか/JAMA

 アスピリンは免疫学的便潜血検査(FIT)による進行新生物の検出感度を、とくに男性において改善することが、観察研究で示されている。ドイツ・German Cancer Research CenterのHermann Brenner氏らは、この知見を検証するために、大腸内視鏡検査が予定されている40~80歳の男女を対象に無作為化試験を行った。その結果、FITの前にアスピリンを経口投与しても、進行大腸がんの検出感度は上昇しないことが示された。研究の詳細は、JAMA誌2019年5月7日号に掲載された。FITは、大腸がんの検出において高い特異度を有するが、多くの大腸がんの前駆病変である進行腺腫(advanced adenoma)の検出能は十分でない。特異度を損なわずに感度を向上させることができれば、大腸がんのスクリーニングにおけるFITの検出能が改善される可能性があるという。

IV期NSCLCにおける放射線治療と免疫CP阻害薬の相乗効果

 切除不能な局所進行非小細胞肺がん(NSCLC)に対する化学放射線同時療法の維持治療にデュルバルマブが適応になるなど、放射線治療と免疫チェックポイント阻害薬との組み合わせは相乗効果をもたらすとされる。しかし、IV期NSCLCにおける放射線治療の意義を明確に示した報告は少ない。埼玉医科大学国際医療センターの山口央氏らは、放射線療法(RT)の治療歴がその後のニボルマブ(抗PD-1抗体)の治療効果や予後に影響を与えるかを後方視的に解析した。Thoracic Cancer誌2019年4月号の掲載報告。

進行胆道がん、nab-パクリタキセルの上乗せで生存延長/JAMA Oncol

 進行胆道がんの生存期間改善に有望な治療法が示唆された。現在、進行胆道がんに対する標準治療はゲムシタビン+シスプラチンであるが、無増悪生存期間(PFS)中央値は8.0ヵ月、全生存期間(OS)は11.7ヵ月である。米国・アリゾナ大学がんセンターのRachna T. Shroff氏らは、ゲムシタビン+シスプラチンへのnab-パクリタキセルの上乗せ効果について検討し、nab-パクリタキセル+ゲムシタビン+シスプラチン併用療法により、ヒストリカルコントロール(ゲムシタビン+シスプラチン)の報告と比較し、PFSおよびOSが改善したことを報告した。著者は「今回の結果は、第III相の無作為化臨床試験で検証されることになるだろう」とまとめている。JAMA Oncology誌オンライン版2019年4月18日号掲載の報告。

再発/難治性多発性骨髄腫でCAR-T療法が有望/NEJM

 再発または難治性多発性骨髄腫患者において、B細胞成熟抗原(BCMA)を標的とするキメラ抗原受容体(CAR)T細胞療法であるbb2121の、安全性と抗腫瘍効果が確認された。米国・マサチューセッツ総合病院がんセンターのNoopur Raje氏らが、bb2121の第I相臨床試験(CRB-401試験)の結果を報告した。bb2121は、前臨床試験において、多発性骨髄腫の治療薬として有望であることが示されていた。NEJM誌2019年5月2日号掲載の報告。  研究グループは、2016年1月31日~2018年4月30日の期間に、プロテアソーム阻害薬および免疫調整薬を含む3レジメン以上の治療歴がある、または両方の薬剤に治療抵抗性の再発/難治性多発性骨髄腫患者を登録した。

APT試験のHER2陽性乳がん、術後パクリタキセル+トラスツズマブの長期転帰/JCO

 Adjuvant Paclitaxel and Trastuzumab(APT)試験は、腫瘍径が小さなHER2陽性乳がんに対する術後化学療法としてのパクリタキセル・トラスツズマブ併用療法について検討した第II相試験。これまでに主要解析の3年無病生存率(DFS)は98.7%であることが示されていたが、今回、長期追跡(7年)の結果が米国・ダナ・ファーバーがん研究所のSara M. Tolaney氏らにより発表された。長期予後はきわめて良好であったこと、また、腫瘍径が小さなHER2陽性乳がんの内因性サブタイプは腫瘍径が大きなHER2陽性乳がんと類似していることや、パクリタキセル誘発性末梢神経障害(TIPN)に関連する一塩基多型(SNP)について明らかになったという。Journal of Clinical Oncology誌オンライン版2019年4月2日号掲載の報告。

がん生存率に降圧薬が影響するか

 降圧薬のがん生存率に対する影響について結論は出ていない。米国ヴァンダービルト大学医療センターのYong Cui氏らは、主な降圧薬と乳がん、大腸がん、肺がんおよび胃がんの全生存(OS)・がん特異的生存(DSS)との関連について、潜在的な交絡因子を包括的に調整し、時間依存Cox回帰モデルにより検討した。その結果、アンジオテンシンII受容体拮抗薬、β遮断薬、Ca拮抗薬が、消化器がんの生存を改善する可能性が示唆された。American Journal of Epidemiology誌オンライン版2019年5月7日号に掲載

内容充実!『がん免疫療法ガイドライン』の第2版が発刊

 2019年3月29日、日本臨床腫瘍学会が編集した『がん免疫療法ガイドライン第2版』が発刊。2016年に初版が発行されてから2年。非常にスピーディな改定が行われた。今回の改定では、この間に明らかとなった各疾患での治療エビデンスや副作用管理などが集約化された。  本ガイドラインの構成についての大幅なリニューアルはないが、各項の解説が「発症の頻度」、「臨床症状と診断」、「治療方針」に細分化されたことで、実臨床に役立てやすくなっている。

ER陽性/HER2 陰性乳がんに対するS-1 アジュバントが有効中止/京都大学

 京都大学大学院医学研究科外科学講座乳腺外科 戸井雅和氏(中井雅和氏)を主任研究者とした研究グループが2012年より実施してきたエストロゲン受容体(ER)陽性/HER2陰性乳がんに対するS-1術後療法ランダム化比較第Ⅲ相試験(POTENT試験)の中間解析結果を同大学のHPで発表。  主要評価項目である無浸潤疾患生存期間が、事前に設定した有効中止の基準に合致したことにより試験を中止することを決定した。POTENT試験は先進医療Bに基づく医師主導の臨床試験。