腫瘍科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:296

MEK1/2阻害薬、KRAS変異陽性NSCLCの予後改善示せず/JAMA

 既治療の進行KRAS変異陽性非小細胞肺がん(NSCLC)の治療において、ドセタキセル(DOC)にselumetinibを追加しても、DOC単剤に比べ無増悪生存(PFS)は改善されないことが、米国・ダナ・ファーバーがん研究所のPasi A.Janne氏らが実施したSELECT-1試験で示された。研究の成果は、JAMA誌2017年5月9日号に掲載された。KRAS変異は、肺腺がん患者の約25%に発現し、NSCLCで最も高頻度にみられる遺伝子変異であるが、これを標的とする分子標的薬で承認を得たものはない。KRAS変異は、MAPKキナーゼ(MEK)に関与するMAPK経路を含むシグナル伝達経路の下流の活性化によって腫瘍の増殖を促進する。selumetinibは、MEK1とMEK2を選択的に阻害する経口薬で、アロリスティックにKRAS変異を抑制する。

遺伝性の卵巣がん治療とPARP阻害薬の可能性

 2017年5月11日、都内で第7回アストラゼネカ・オンコロジーサイエンス・メディアセミナー「日本における遺伝性乳がん・卵巣がん(HBOC)とそのアンメットニーズ」が開催された。演者である青木 大輔氏(慶應義塾大学医学部 産婦人科学教室 教授)は、卵巣がんを中心にHBOC診療の実際について講演。「治癒の難しい卵巣がんにおいて、再発を遅らせることの意義は非常に大きい」と述べ、オラパリブをはじめとしたPARP阻害薬への期待を示した。

小児期に身体活動時間が長いと乳がんリスク低い

 成人期における身体活動は乳がんリスクの低下と関連するが、成人前の身体活動との関連を検討した研究は少ない。米国ノースカロライナ大学のNicole M. Niehoff氏らが5万人超の大規模女性コホートで5~19歳時の身体活動を調査したところ、乳がん発症リスクとの間に逆相関が示された。Breast cancer research and treatment誌オンライン版2017年5月12日号に掲載。

直近10年、新薬の32%に販売中止・枠組み警告/JAMA

 2001年からの10年間に米国食品医薬品局(FDA)で承認を受けた222種の新規治療薬のうち、安全性への懸念から、市販開始後に販売中止や枠組み警告の追加などに至ったものが32%あったことが明らかにされた。なかでも、生物学的製剤や精神疾患治療薬、迅速承認や当局承認締め切り間際に承認を受けたものでその発生率が有意に高く、著者は「これらの新しい治療薬は、生涯にわたる継続的な安全性モニタリングが必要であることを強調するものである」と述べている。米国・ブリガム・ウィメンズ病院のNicholas S. Downing氏らによる検討で、JAMA誌2017年5月9日号に発表された。

ヒドロクロロチアジド使用量と口唇がんリスクが相関

 利尿薬であるヒドロクロロチアジドの使用により口唇がんリスクが高まることを示唆する報告がある。この関連を検討した南デンマーク大学のAnton Pottegard氏らの症例対照研究において、ヒドロクロロチアジドの累積使用量と口唇がんリスクに強い相関が認められた。Journal of internal medicine誌オンライン版2017年5月8日号に掲載。

染色体不安定性、NSCLC再発・死亡リスクを増大/NEJM

 染色体不安定性(chromosome instability)を介して誘導される腫瘍内不均一性(intratumor heterogeneity)は、非小細胞肺がん(NSCLC)の再発や死亡のリスクを高めることが、英国・ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンのMariam Jamal-Hanjani氏らTRACERxコンソーシアムの検討で示された。この知見は、肺がんの予後予測因子としての染色体不安定性の可能性を支持するものだという。研究の成果は、NEJM誌オンライン版2017年4月26日号に掲載された。NSCLCの腫瘍内不均一性やゲノム進化(genome evolution)の詳細な探索については、小規模な後ろ向きコホート研究しか行われておらず、治療戦略の指針となる腫瘍内不均一性の臨床的重要性や、ドライバー・イベントのクローン性は不明とされている。