腫瘍科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:298

TNF-α阻害薬、乾癬患者で皮膚扁平上皮がんが増加

 中等度~重度の乾癬では、全身性薬剤治療を必要とする頻度が高い。その多くは免疫抑制作用があり、非黒色腫皮膚がん(NMSC)を含むがんのリスクを高める可能性があるが、生物学的製剤による治療を受けたことのある乾癬患者では皮膚扁平上皮がんの発生リスクが高まることが、Kaiser Permanente Northern California(KPNC)医療保険加入者を対象とした調査の結果、明らかになった。生物学的製剤の多くはTNF-α阻害薬であった。著者の米国・マサチューセッツ総合病院、ハーバード大学医学大学院のMaryam M Asgari氏は、「全身性薬剤で治療された乾癬患者における皮膚がんの発生について、さらなる調査が必要だ」とまとめている。Journal of the American Academy of Dermatology誌オンライン版2017年2月2日号掲載の報告。

1回の軟性S状結腸鏡検査で、大腸がん発症・死亡を抑制/Lancet

 1回の軟性S状結腸鏡検査で、大腸がんの発症や死亡が抑制され、その有効性は17年以上にわたり持続することが明らかとなった。英国・インペリアル・カレッジ・ロンドンのWendy Atkin氏らが、55~64歳を対象とした無作為化比較試験UK Flexible Sigmoidoscopy Screening Trial(UKFSS試験)の長期追跡結果を報告した。大腸がんは世界で3番目に多いがんで、その予防や早期発見は重要な課題となっている。UKFSS試験の追跡期間約11年時の解析では、軟性S状結腸鏡検査の1回施行で、大腸がんの発生が33%、死亡率が43%減少することが示されていた。Lancet誌オンライン版2017年2月21日号掲載の報告。

HER2陽性早期乳がんへのトラスツズマブ、11年追跡の結果は?/Lancet

 HER2陽性早期乳がんに対し、補助療法としてのトラスツズマブ投与は、無病生存期間を長期とする改善効果が、中央値11年間の追跡で確認された。投与期間については、2年投与は1年投与と比べ追加ベネフィットは認められなかった。英国・エディンバラ大学がん研究センターのDavid Cameron氏らが国際共同多施設非盲検第III相無作為化試験「HERA(HERceptin Adjuvant)」の最終解析の結果、報告した。Lancet誌オンライン版2017年2月16日号掲載の報告。

2種の頭皮冷却法、乳がん化学療法の脱毛を半減/JAMA

 化学療法は、乳がんの微小転移を抑制し、再発リスクを低減して生存期間を延長するが、有害事象として、女性にとって最も大きな苦痛の1つとされる化学療法誘発性の脱毛が高頻度に発現する。対策として、頭皮冷却法の検討が進められており、2017年2月14日発行のJAMA誌に、2種のデバイスに関する米国の2つの研究論文が掲載された。2つの試験は、試験デザイン、患者選択基準、デバイスのタイプが異なるが、ほぼ同様の結果が得られており、頭皮冷却は半数以上の女性で脱毛を予防することが示された。

コーヒーと悪性黒色腫リスク~50万人の前向き研究

 コーヒーや紅茶の活性成分が悪性黒色腫の発症抑制作用を有することがin vitroおよび動物実験で示唆されているが、疫学的なエビデンスは少ない。今回、大規模コホート研究であるEuropean Prospective Investigation into Cancer and Nutrition(EPIC)においてコーヒー(全体、カフェイン入り、カフェイン抜き)および紅茶の摂取量と悪性黒色腫のリスクとの関係を調べた。その結果、カフェイン入りコーヒーの摂取が男性における悪性黒色腫リスクと逆相関することが認められた。International journal of cancer誌オンライン版2017年2月20日号に掲載。

閉経前の子宮摘出、卵巣温存で全死亡抑制/BMJ

 閉経前女性の子宮摘出術時に卵巣を温存すると、2つの卵巣を切除した場合に比べ、全死因死亡が抑制され、虚血性心疾患やがんによる死亡も低減するとの研究結果が、BMJ誌2017年2月6日号に掲載された。研究を行った英国・バーミンガム大学病院NHSファウンデーション・トラストのJemma Mytton氏らは、「閉経前女性には、卵巣を2つとも切除すれば卵巣がんを予防できるが、卵巣がんより発症率の高いがんを含め、これらのリスクが増加することを伝えるべきである」と指摘している。

スタチンはがん死亡リスクを下げるか~日本のコホート研究

 スタチンのがん発症やがん死亡に対する予防効果については結論が出ていない。今回、山梨大学の横道洋司氏らがバイオバンク・ジャパン・プロジェクトのデータから脂質異常症患者4万1,930例を調査したところ、スタチン単独療法が全死亡およびがん死亡に対して影響し、とくに大腸がんによる死亡に予防効果を示す可能性が示唆された。Journal of Epidemiology誌オンライン版2017年2月11日号に掲載。