腫瘍科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:336

ビタミンEとセレニウムは喫煙者の前立腺がんリスクを下げるか

 ビタミンEとセレニウムの疫学研究において、これら抗酸化物質が前立腺がんリスクを下げるとの仮説があるが、明確なベネフィットは示されていない。また、喫煙がこれらの効果に影響する可能性も示唆されている。米国・エモリー大学のYeunjung Kim氏らはメタ解析により、ビタミンEおよびセレニウムの摂取と前立腺がんリスクとの関連性を非喫煙者と喫煙経験者(現喫煙者/元喫煙者)について比較検討した。Anticancer research誌2015年9月号の掲載報告。

唐辛子をほぼ毎日食べると死亡リスク低下/BMJ

 香辛料入り食品を習慣的に摂取すると、あまり食べない集団に比べ、全死因死亡のほか、がん、虚血性心疾患、呼吸器疾患による死亡が減少することが、China Kadoorie Biobank collaborative groupのJun Lv氏らの調査で示された。香辛料は、世界の食文化に不可欠の要素であり、食品の味や風味付け、彩り、保存食のほか医療用としても長い歴史を持つ。最近は、とくに味付けのための使用が増加しており、中国では全国的に唐辛子の消費量が多いという。一方、カプサイシンなど、香辛料の主要な生理活性成分は、種々の慢性疾患において有益な役割を果たすことが、実験的研究や地域住民研究で報告されている。BMJ誌オンライン版2015年8月4日掲載の報告より。

ピオグリタゾンとがん(解説:吉岡 成人 氏)-397

日本における糖尿病患者の死因の第1位は「がん」であり、糖尿病患者の高齢化と相まって、糖尿病患者の2人に1人はがんになり、3人に1人ががんで死亡する時代となっている。日本人の2型糖尿病患者におけるがん罹患のハザード比は1.20前後であり、大腸がん、肝臓がん、膵臓がんのリスクが増加することが、疫学調査によって確認されている。糖尿病によってがんの罹患リスクが上昇するメカニズムとしては、インスリン抵抗性、高インスリン血症の影響が大きいと考えられている。インスリンはインスリン受容体のみならず、インスリン様成長因子(IGF-1)の受容体とも結合することで細胞増殖を促し、がんの発生、増殖にも関連する。

アロマターゼ阻害薬術後療法での乳がん死抑制効果~TAMとの比較/Lancet

 閉経後早期乳がんの術後ホルモン療法において、アロマターゼ阻害薬(アナストロゾール、エキセメスタン、レトロゾール)はタモキシフェン(TAM)に比べ、再発や乳がん死の抑制効果が高いことが、Early Breast Cancer Trialists’ Collaborative Group(EBCTCG)の検討で明らかとなった。閉経後早期乳がんの治療では、アロマターゼ阻害薬の5年投与またはTAM 2~3年投与後のアロマターゼ阻害薬2~3年投与は、TAM 5年投与よりも再発率が低いことが示されているが、乳がん死への影響などはいまだに不明だという。Lancet誌2015年7月23日掲載の報告。

早期乳がんの術後ビスホスホネート、ベネフィットは閉経女性のみ?/Lancet

 早期乳がんに対するビスホスホネート製剤による術後補助療法は、骨再発を抑制し、生存期間の改善をもたらすが、明確なベネフィットは治療開始時に閉経に至っている女性に限られることが、Early Breast Cancer Trialists’ Collaborative Group(EBCTCG)の検討で示された。術後ビスホスホネート療法は、早期乳がん女性の無骨転移生存、無病生存、全生存を改善するとの報告がある一方で、全体では有意な効果はないものの、閉経後または高齢女性でベネフィットを認めたとの報告がある。これは、ビスホスホネート製剤は性ホルモンが低下した女性(閉経または卵巣抑制療法)にのみベネフィットをもたらすとの仮説を導く。Lancet誌オンライン版2015年7月23日号掲載の報告より。

20年以内に胃がん発症の可能性がある人は?/BMJ

 悪性徴候がなく胃内視鏡検査により生検を受けた人において、20年以内に胃がんを発症するのは、正常粘膜の人では約256人に1人、胃炎は85人に1人、萎縮性胃炎50人に1人、腸上皮化生39人に1人、異形成19人に1人であることが、スウェーデン・カロリンスカ研究所のHuan Song氏らによる検討の結果、示された。同国低リスク集団40万人超を対象とした観察コホート研究の結果、明らかにしたもの。著者は、「さらに費用対効果の検討を行い、長期的な胃の前がん病変の内視鏡サーベイランスの施策に、これらの数字を生かしていく必要がある」とまとめている。BMJ誌オンライン版2015年7月27日号掲載の報告より。

アストラゼネカ、肺がん免疫併用療法で提携を発表

 アストラゼネカは、8月5日、自社のグローバルバイオ医薬品研究開発部門であるメディミューンと、ドライバー遺伝子およびエピジェネティックに特化するオンコロジー専門企業Mirati Therapeutics, Inc.(本社:米国カリフォルニア州、以下、Mirati社)が臨床試験に関する独占的提携を締結したことを発表した。当該第I/II相試験では、メディミューンの治験薬である抗PD-L1免疫チェックポイント阻害剤durvalumab(MEDI4736)とMirati社の治験薬であるスペクトラム選択性ヒストンデアセチラーゼ(ヒストン脱アセチル化酵素)(HDAC)阻害剤mocetinostatとの併用療法について、安全性および有効性を評価する。

ピオグリタゾンのがんリスクを検討~20万人のコホート試験/JAMA

 ピオグリタゾン(商品名:アクトスほか)の使用は、膀胱がんリスク増大と有意な関連は認められなかったが、がんリスクを除外することはできないことを、米国・ペンシルベニア大学のJames D. Lewis氏らが、約20万人について行ったコホート試験の結果、報告した。前立腺がんおよび膵臓がんリスク増大との関連が示され、著者は「さらなる検討を行い、それらの関連性に因果関係があるのか、偶然によるものか、残余交絡や逆相関についても調べる必要がある」とまとめている。JAMA誌2015年7月21日号掲載の報告。

乳がん術後のリンパ節領域照射追加、全生存率を改善せず/NEJM

 リンパ節転移陽性または高リスクのリンパ節転移陰性の乳がん術後に行う放射線治療において、全乳房照射にリンパ節領域照射を追加しても、全生存の改善は認められなかったことが明らかにされた。乳がん再発率は低下した。カナダ・ジューラビンスキーがんセンターのTimothy J Whelan氏らが、無作為化試験の結果、報告した。乳房温存手術を受けた乳がん女性患者の多くが、全乳房照射を受けているが、研究グループは、追加してリンパ節領域照射を行うことで転帰が改善するのか調べた。NEJM誌2015年7月23日号掲載の報告。

乳がん術後放射線、リンパ節領域照射の追加は有用か/NEJM

 早期乳がんの術後に行う放射線治療において、全乳房照射または胸壁照射に、リンパ節領域照射(胸骨傍・内側鎖骨上リンパ節照射)を追加しても、全生存への効果は僅差にみられる程度であることが示された。オランダ・ラドバウド大学医療センターのPhilip M Poortmans氏らが、無作為化試験の結果、報告した。これまで、リンパ節領域照射を追加した場合の生存への効果については不明であった。なお、無病生存率と遠隔無病生存率は改善し、乳がん死亡率は有意な低下がみられたという。NEJM誌2015年7月23日号掲載の報告。