腫瘍科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:368

HIVとHCV重複感染者、肝線維化進むほど肝細胞がんや死亡リスク増大

ヒト免疫不全ウイルス(HIV)とC型肝炎ウイルス(HCV)の重複感染者では、肝線維化が進んでいるほど末期肝疾患・肝細胞がん・死亡の複合リスクが増大することが明らかにされた。米国・ジョンズ・ホプキンス大学のBerkeley N. Limketkai氏らが、600人超の患者について行った、前向きコホート試験の結果明らかにしたもので、JAMA誌2012年7月25日号で発表した。

子宮頸がんリスク、子宮頸部細胞診正常でHPV陰性ならHIV感染による増大なし

子宮頸部細胞診が正常で発がん性ヒトパピローマウイルス(HPV)陰性の女性において、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染の有無による、高度扁平上皮内病変以上(HSIL+)や子宮頸部上皮内腫瘍2以上(CIN2+)の、5年発症リスクの増大は認められないことが報告された。米国・Albert Einstein College of MedicineのMarla J. Keller氏らが、約700人の女性について行った試験で明らかにしたもので、JAMA誌2012年7月25日号で発表した。

プライマリ・ケアにおける高リスク色素性皮膚病変の診断、新規診断法の追加は有効か?

プライマリ・ケアにおける色素性皮膚病変の診断では、現行のbest practiceにコンピュータ化された新規診断法を追加しても、専門医への適切な紹介は改善されないことが、英国ケンブリッジ大学のFiona M Walter氏らの検討で示された。皮膚がんは英国における重大な死亡原因であり、発生率は年ごとに増加しており、予後の改善には早期の発見と管理が重要とされる。課題は、メラノーマ(悪性黒色腫)の、他の色素性皮膚病変との鑑別であり、プライマリ・ケアへの新たな診断技術の導入が診断能を改善し、高リスク色素性皮膚病変の専門医への適切な紹介につながる可能性があるという。BMJ誌2012年7月21日号(オンライン版2012年7月4日号)掲載の報告。

運動不足の解消で寿命が0.68年延長

冠動脈心疾患や糖尿病、がんなどの主な非伝染性疾患の6~10%が運動不足に起因し、運動不足が解消されれば寿命が0.68年(約8ヵ月)延長することが、米国ハーバード大学医学校ブリガム・アンド・ウェイメンズ病院のI-Min Lee氏らLancet Physical Activity Series Working Groupの調査で明らかとなった。運動不足は、冠動脈心疾患、2型糖尿病、乳がん、結腸がんなどの非伝染性疾患のリスクを増大させ、余命を短縮することを示す高度なエビデンスが存在する。多くの国では国民の運動不足が指摘されているため、運動不足と非伝染性疾患の関連は保健医療上の重要な課題となっている。Lancet誌2012年7月21日号(オンライン版2012年7月18日号)掲載の報告。

転移性大腸がんに対するIRIS+セツキシマブの安全性~第10回日本臨床腫瘍学会学術集会

転移性大腸がんに対するIRIS+セツキシマブの第II相試験の安全性解析結果から、本レジメンでは下痢の発現頻度が高く、投与にあたっては減量などのコントロールが重要であり、試験の事務局でデータを管理し対処方法を検討しながら試験を進めていく必要性が示された。第10回日本臨床腫瘍学会学術総会(2012年7月26~28日)のワークショップ6「大腸がん・新しい方向性」で、北海道大学病院腫瘍センターの小松嘉人氏が報告した。

限局性前立腺がん、手術 vs.経過観察の死亡率、有意差認められず

前立腺特異抗原(PSA)検査で限局性前立腺がんが発見された男性患者について手術群と経過観察群を比較した無作為化試験の結果、最短12年追跡の手術群の全死因死亡率および前立腺がん死亡率が経過観察群よりも有意な低下は認められなかったことが報告された。米国・ミネソタ大学のTimothy J. Wilt氏らが、PSA検査が普及した初期の患者731例(平均年齢67歳)を対象に行った試験結果で、絶対差は3%ポイント未満であったという。初期ステージの前立腺がん、とくにPSA検査で発見された腫瘍に関する治療をめぐっては、手術か経過観察かその有効性が明らかになっておらず議論の的となっていた。NEJM誌2012年7月19日号掲載報告より。

新規分子標的薬の開発に従来型の大規模臨床試験は必要か?~第10回日本臨床腫瘍学会学術集会

 がん治療における「個別化治療」は、最近の分子標的薬剤の開発によって現実化してきている。第10回日本臨床腫瘍学会学術総会(2012年7月26~28日、大阪国際会議場)のシンポジウム5「Biomarkerによる個別化治療の進歩」では、各領域がんの個別化治療の現状と将来展望について講演が行われた。「バイオマーカーに基づく非小細胞肺癌における治療開発」と題して講演を行った近畿大学の岡本勇氏は、新規分子標的薬の開発における臨床試験について、「非小細胞肺がんは、遺伝子変異別に薬剤を投与する時代になり、各遺伝子変異の頻度が非常に少ないこともわかってきたことから、従来型の大規模臨床試験による新薬開発からマインドを変える必要がある」と提言した。