整形外科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:18

新規経口抗凝固薬milvexianが術後VTE予防に有効/NEJM

 新規経口第XIa因子阻害薬milvexianは、人工膝関節置換術後の静脈血栓塞栓症予防に有効であり、出血のリスクは低いことが示された。カナダ・マックマスター大学のJeffrey I. Weitz氏らが、エノキサパリンと比較するアダプティブデザインの第II相無作為化並行群間比較試験「AXIOMATIC-TKR試験」の結果を報告した。静脈および動脈血栓塞栓症の予防と治療において、第XIa因子阻害薬は従来の抗凝固薬より効果的で出血も少ない可能性が示されていた。著者は、「milvexianの有効性と安全性については、さらなる研究が必要である」とまとめている。NEJM誌オンライン版2021年11月15日号掲載の報告。

診断基準への採用を目指す!新たな変形性膝関節症予後リスク判定デバイスとは

 10月29日にWeb開催された日本抗加齢協会主催『第3回ヘルスケアベンチャー大賞』において、変形性膝関節症(以下、膝OA)の進行予後を推定するウェアラブルデバイスを開発した、株式会社iMUが大賞に選ばれた。  同社は慶應義塾大学医学部発のヘルスケアスタート・アップであり、受賞に結び付いた製品は、膝OAの進行予後リスクが5m歩くだけで見える化できるウェアラブルデバイスだ。既存製品で90分を要した計測時間はわずか5分に短縮され、医師・患者の双方にメリットのある製品開発に成功した。

非がん性疼痛へのトラマドール、コデインより死亡リスク高い?/JAMA

 欧米では、非がん性慢性疼痛の治療にトラマドールが使用される機会が増えているが、安全性を他のオピオイドと比較した研究はほとんどないという。英国・オックスフォード大学のJunqing Xie氏らは、トラマドールの新規処方調剤はコデインと比較して、全死因死亡や心血管イベント、骨折のリスクを上昇させることを示した。便秘やせん妄、転倒、オピオイド乱用/依存、睡眠障害には両薬で差はなかった。研究の成果は、JAMA誌2021年10月19日号に掲載された。

介護施設の入居者、乳製品増量で骨折、転倒が減少/BMJ

 高齢者介護施設の入居者では、乳製品を用いてカルシウムとタンパク質の摂取量を増量する栄養学的介入は、転倒や骨折のリスクの抑制に有効で、容易に利用できる方法であることが、オーストラリア・メルボルン大学のSandra Iuliano氏らの調査で示された。死亡率の改善は認められなかった。研究の成果は、BMJ誌2021年10月21日号で報告された。  本研究は、ビタミンDの摂取量は十分だが、カルシウムの平均摂取量が600mg/日で、タンパク質の摂取量が1g/kg体重/日未満の高齢者介護施設入居者における、乳製品による栄養学的介入の骨折予防効果と安全性の評価を目的とする2年間のクラスター無作為化対照比較試験であり、2013年12月~2016年8月の期間に参加施設と参加者の募集が行われた(Dairy Australiaなどの助成を受けた)。  この試験には、オーストラリアの主に歩行可能な高齢者が居住する60の認定介護施設が参加し、介入群に30施設、対照群に30施設が無作為に割り付けられた。参加者は、7,195例(平均年齢86.0[SD 8.2]歳、女性4,920例[68%])だった。

シロリムス、小児の血管奇形に有効か?

 小児の低流速血管奇形(slow-flow vascular malformation)に対しシロリムスは有効なのか。シロリムスは、その有効性のエビデンスが不足しているにもかかわらず、さまざまな血管奇形の治療に用いられるようになっている。フランス・トゥール大学のAnnabel Maruani氏らは、観察フェーズの無作為化試験「PERFORMUS試験」によって、6歳以上の子供にシロリムス療法を開始する際の患児および家族の目標を明確にすることができたと報告した。JAMA Dermatology誌オンライン版2021年9月15日号掲載の報告。

特許切れの悪夢(製薬企業にとって)と新薬開発(解説:後藤信哉氏)

製薬企業にとって自社製品の特許切れは大きな痛手である。直近ではARB、クロピドグレルなどの特許切れが業界に大きなインパクトを惹起した。日本ではあまり実感しないが、米国では特許切れと同時に価格が10分の1以下のジェネリック品に置き換わる。新薬開発メーカーは特許期間内に手厚く守られると同時に、特許切れショックを覚悟する必要がある。2019年、世界で最も売れた薬(AnswersNews)を見ると、アピキサバンが2位(134億ドル!)、リバーロキサバンが第4位(103億ドル)となっている。すなわち、両者ともに1兆円を超える売り上げが毎年ある。特許が切れれば売り上げは急速にゼロになる。現在の仕組みでは、利潤をゆっくり上げることはできない。投資の損失を短期間に回収し、同時に特許切れに備えた革新的新薬開発が必須である。DOACはいずれも、第III相試験の結果を「エビデンス」として特許期間内の販売戦略に利用してきた。Xa阻害薬を超える有効性、安全性を持つ新薬を開発しないと特許切れに耐えられないが、特許期間内にはXa阻害薬の欠点が論じられると売り上げが落ちる。抗血栓薬の開発メーカーは現在の膨大な利潤を保持しつつ、現在のXa阻害薬の欠点を明らかにして、その欠点を乗り越える新薬を速やかに開発しなければならないとの困難な状態に置かれている。

第XI因子阻害薬abelacimab、術後VTE予防に有効/NEJM

 術後静脈血栓塞栓症の発生に第XI因子は重要であり、人工膝関節全置換術後の第XI因子阻害モノクローナル抗体abelacimabの単回静脈内投与は、術後静脈血栓塞栓症の予防に有効であることが示された。出血リスクは低かった。ベルギー・ルーヴェン・カトリック大学のPeter Verhamme氏らANT-005 TKA研究グループが、412例を対象とした非盲検並行群間比較試験の結果を報告した。NEJM誌2021年8月12日号掲載の報告。  研究グループは、人工膝関節全置換術を受ける412例を無作為に4群に割り付け、abelacimabレジメン(30mg、75mg、150mgのいずれか)を術後単回静脈内投与、またはエノキサパリン40mgを1日1回皮下投与した。

ビソプロロール錠0.625mg供給不足に伴う対応/日本心不全学会

 16日、ビソプロロール錠の供給が多くの地域で不足する事態となっていることを受け、日本心不全学会が提言を公表した。本剤は、左室駆出率が低下した心不全の標準治療薬として重要な役割を果たすものであり、供給が安定するまでの間の対応策として以下が提案された。 (1)供給不足に伴いβ遮断薬の投薬を中止することは避ける。 (2)ビソプロロール錠0.625mgを処方する場合、できる限り長期処方を避ける。 (3)ビソプロロール錠2.5mgの供給がある場合は、用量に応じて0.25錠(0.625mg)あるいは0.5錠(1.25mg)として同用量を継続する。 (4)投与継続が困難な場合、以下を参考にカルベジロール錠へ切り替える。

腰部脊柱管狭窄症診療ガイドライン2021、“腰痛の有無”を削除

 『腰部脊柱管狭窄症診療ガイドライン2021 改訂第2版』が5月に発刊された。2011年の初版を踏襲しつつも今版では新たに蓄積された知見を反映し、診断基準や治療・予後に至るまで構成を一新した。そこで、腰部脊柱管狭窄症診療ガイドライン(GL)策定委員長の川上 守氏(和歌山県立医科大学 名誉教授/済生会和歌山病院 院長)に、脊柱管狭窄症の評価方法や難渋例などについて話を聞いた。  腰部脊柱管狭窄症診療ガイドラインの目的の1つは、これを一読することで今後の臨床研究の課題を見つけてもらい、質の高い臨床研究が多く発表されるようになることだが、脊柱管狭窄症の“定義”自体に未だ完全な合意が得られていない。そのため診断基準も日進月歩で、明らかになった科学的根拠を基に随時更新を続けている。今回は腰部脊柱管狭窄症診療ガイドライン初版の診断基準で提示していた「歩行で増悪する腰痛は単独であれば除外する」を削除し、以下のとおりに「腰痛の有無は問わない」と明記された。

終末期の運動機能の低下は死亡と関連するか/BMJ

 高齢期初期の運動機能は死亡と強い関連があり、終末期の運動機能の減退は、全般的な運動機能の指標(椅子立ち上がり時間、SF-36の身体的側面のQOL要約スコア)では早期(それぞれ死亡の10年前と7年前)に、基本的/手段的日常生活動作(ADL)の制限では後期(死亡の4年前)に出現することが、フランス・パリ大学のBenjamin Landre氏らの調査で示された。研究の成果は、BMJ誌2021年8月4日号に掲載された。  研究グループは、運動機能に関する複数の客観的または患者の自己申告による指標と死亡との関連の評価を目的に、前向きコホート研究を行った(米国国立老化研究所などの助成による)。