整形外科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:16

閉経後の骨粗鬆症治療薬、69試験のネットワークメタ解析で効果比較/BMJ

 閉経後女性への骨粗鬆症治療薬の大部分にベネフィットがあることが、デンマーク・Bispebjerg and Frederiksberg HospitalのMina Nicole Handel氏らによる69試験・被験者総数8万例超を対象としたシステマティックレビューとメタ解析で明らかにされた。骨形成促進薬はビスホスホネートよりも、ベースラインのリスク指標にかかわらず、臨床的骨折および脊椎骨折の予防に有効であることが示された。著者は、「今回の分析結果は、骨折リスクの高い患者への骨形成促進薬による治療を制限する、臨床的エビデンスはないことを示すものであった」とまとめている。BMJ誌2023年5月2日号掲載の報告。

坐骨神経痛の手術の効果のほどは?

 坐骨神経痛による痛みや障害に対する治療として、手術は最良の選択肢とは言えないのではないかとする論文が、「The BMJ」に4月19日掲載された。シドニー大学(オーストラリア)のChristine Lin氏らの研究によるもの。  Lin氏は坐骨神経痛を、「腰椎椎間板ヘルニアなどによって脊髄の神経が圧迫されるために生じる下肢の痛みであり、腰の痛みや筋力の衰え、下肢の異常感覚として現れることもある」と解説する。治療法としては、「侵襲性の低い手段が優先されるが、その効果が不十分な場合には手術が推奨されることが多い」という。

早食いは身長が縮みやすい?~日本人での研究

 早食いは体重増加の独立したリスク因子であり、また先行研究で過体重が身長低下の独立したリスク因子であることが報告されている。では、早食いと身長低下は関連するだろうか。今回、大阪健康安全基盤研究所の清水 悠路氏らによる日本人労働者での後ろ向き研究の結果、早食いが過体重と関連し、過体重は身長低下と関連していたが、早食いと身長低下については、過体重の人とそうでない人で異なっていた。すなわち、過体重でない人は食べるのが速い人が、過体重の人では食べるのが遅い人が、身長が低下する確率が高かった。PLOS ONE誌2023年4月26日号に掲載。

東京五輪で一番けがの多かった競技は何か

 私たちに感動をもたらした「2020年東京オリンピック夏季大会」(2021年7月開催)。東京オリンピックの開催期間中、アスリート達にはどのようなけがや病気が多かったのであろう。国士館大学体育学部スポーツ医科学科の田中 秀治氏らの研究グループは、東京オリンピック夏季大会で発生したけがや病気を分析し、発表した。British Journal of Sports Medicine誌オンライン版2023年4月13日号に掲載。

骨粗鬆症患者の2型DM発症リスク、デノスマブvs 経口ビスホスホネート製剤/BMJ

 骨粗鬆症患者において、ヒト型抗RANKLモノクローナル抗体製剤デノスマブの投与は経口ビスホスホネート製剤を投与した場合と比較して2型糖尿病(DM)の発症リスクが32%低下したことが、中国・The Chinese PLA General HospitalのHouchen Lyu氏らによるコホート研究で示された。2型DMのリスクが高い前糖尿病状態または肥満の患者では、デノスマブにより糖尿病発症リスクはさらに低下することも示唆され、著者は、「本研究は、デノスマブが経口ビスホスホネート製剤と比較し、糖代謝に対して付加的な有益性をもたらすというエビデンスを示している」とまとめている。これまで、観察研究や無作為化臨床試験の事後解析において、血糖変動に対するデノスマブの効果が示唆されていたが、デノスマブが2型DMのリスクを減少させるかどうかは明らかになっていなかった。BMJ誌2023年4月18日号掲載の報告。

急性非特異的腰痛への鎮痛薬を比較~RCT98件のメタ解析/BMJ

 1万5千例以上を対象とした研究が行われてきたにもかかわらず、急性非特異的腰痛に対する鎮痛薬の臨床決定の指針となる質の高いエビデンスは、依然として限られていることを、オーストラリア・ニューサウスウェールズ大学のMichael A. Wewege氏らがシステマティックレビューとネットワークメタ解析の結果、報告した。鎮痛薬は、急性非特異的腰痛に対する一般的な治療であるが、これまでのレビューではプラセボと鎮痛薬の比較で評価されており、鎮痛薬の有効性を比較したエビデンスは限られている。著者は、「臨床医と患者は、鎮痛薬による急性非特異的腰痛の管理に慎重となることが推奨される。質の高い直接比較の無作為化試験が発表されるまで、これ以上のレビューは必要ない」とまとめている。BMJ誌2023年3月22日号掲載の報告。

肺がん骨転移へのゾレドロン酸8週ごと投与/日本臨床腫瘍学会

 肺がん骨転移に対するゾレドロン酸8週ごと投与の結果を、第20回日本臨床腫瘍学会学術集会(JSMO2023)で、大阪国際がんセンターの田宮 基裕氏が発表した。  ゾレドロン酸は、固形がんのがん骨関連事象(SRE)や症状緩和には欠かせない薬物である。一方、顎骨壊死などの重篤な有害事象の発現リスクも見逃せない。そのため、投与間隔の長短による、有効性と安全性の違いが研究されている。田宮氏が発表した無作為オープンラベル第II相試験(Hanshin Cancer Group0312)は、添付文書用法である3〜4週ごとと、8週ごとを比較したもの。

抗精神病薬とプロラクチンレベル上昇が骨折リスクに及ぼす影響

 抗精神病薬による治療が必要な患者は、骨粗鬆症関連の脆弱性骨折を含む骨折リスクが高いといわれている。これには、人口統計学的、疾患関連、治療関連の因子が関連していると考えられる。インド・National Institute of Mental Health and NeurosciencesのChittaranjan Andrade氏は、抗精神病薬治療と骨折リスクとの関連を調査し、プロラクチンレベルが骨折リスクに及ぼす影響について、検討を行った。The Journal of Clinical Psychiatry誌2023年1月30日号掲載の報告。

疼痛に有効な抗うつ薬は?/BMJ

 オーストラリア・シドニー大学のGiovanni E. Ferreira氏らは、成人の疼痛において抗うつ薬とプラセボを比較した試験に関する26件の系統的レビューのデータの統合解析を行った。抗うつ薬の有効性を示す確実性が「高」のエビデンスは得られなかったが、4種の疼痛において、セロトニン-ノルエピネフリン再取り込み阻害薬(SNRI)の有効性を示す確実性が「中」のエビデンスが確認された。研究の成果は、BMJ誌2023年2月1日号に掲載された。  研究グループは、病態別の疼痛に対する抗うつ薬の有効性、安全性、忍容性に関して、包括的な概要を提示する目的で、系統的レビューのデータを統合して要約した(特定の研究助成は受けていない)。

アスピリンでいいの?(解説:後藤信哉氏)

骨折症例は肺塞栓症などの致死的静脈血栓リスクが高いと認識されている。欧米諸国では静脈血栓予防の標準治療は低分子ヘパリンである。皮下注射といえども注射と経口の差異は大きい。血栓イベント予防が目的であれば経口薬が好ましい。静脈血栓予防におけるアスピリンの有効性については長年の議論がある。無効とも言いにくいが、抗凝固薬よりも有効性が乏しいと一般に理解されていると思う。しかし、本論文のintroductionに記載されているようにアスピリンと低分子ヘパリンとのしっかりしたランダム化比較試験が施行されてきてはいない。