小児科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:146

子どものCT検査、累積被曝線量増加で白血病、脳腫瘍リスクが増大

 子どもに対するCT検査では、放射線の累積被曝線量が約50mGyに達すると白血病の発生リスクが約3倍、約60mGyで脳腫瘍の発生リスクが約3倍になるものの、絶対リスクは小さいことが、英国・ニューカッスル大学のMark S Pearce氏らの検討で示された。CTスキャンは有用な臨床検査だが、電離放射線による発がんリスクの問題が存在し、特に成人に比べて放射線感受性が高い子どものリスクが高いとされる。CT検査を施行された患者の発がんリスクを直接的に検討した試験はこれまで行われていないという。Lancet誌2012年8月4日号(オンライン版2012年6月7日号)掲載の報告。

年齢・体温別の呼吸数の新基準で、発熱小児の下気道感染症を検出

新たに開発された年齢と体温別の呼吸数パーセンタイル図に基づく呼吸数の新基準を用いれば、既存の呼吸数閾値よりも高い検出能で発熱小児における下気道感染症(LRTI)の診断が可能なことが、オランダErasmus MC-Sophia小児病院のR G Nijman氏らの検討で示された。呼吸数は、LRTIの重要な予測因子であり、呼吸器系の基礎疾患や発熱の影響を受ける。既存の頻呼吸の閾値は発熱との関連はほとんど考慮されていないという。BMJ誌2012年7月28日号(オンライン版2012年7月3日号)掲載の報告。

メチルフェニデート使用で“喫煙”が加速

注意欠陥多動性障害(ADHD)患者は一般人と比較して喫煙率が高く、低年齢から喫煙を開始しており、禁煙が困難な場合が多い。そして、メチルフェニデートを使用することで喫煙の増加が短期的にみられることも、実験データから明らかになっている。しかし、長期的な影響に関してはまだわかっていない。Bron氏らは、メチルフェニデートにナイーブなADHD患者に対するメチルフェニデートの使用が、喫煙に与える短・長期的な影響、およびニコチンへの欲求に与える影響に関して調査を行った。Eur Neuropsychopharmacol誌オンライン版2012年7月17日号の報告。

子どもの卵アレルギー、卵白粉末を用いた経口免疫療法が有望

卵アレルギーの子どもに対し卵白粉末を用いた経口免疫療法を行った結果、高率の脱感作が示され、持続的不応性を誘導できる可能性があることが、二重盲検無作為化プラセボ対照試験の結果、報告された。米国・デューク大学小児科のA. Wesley Burks氏らが5~11歳児55例を対象に行った試験で、22ヵ月時点で75%が脱感作、24ヵ月時点での経口食物負荷試験の合格児は28%で全例がその後30、36ヵ月時点でも卵を食べることができたという。現状では、卵アレルギーには非摂取が唯一の回避策とされている。本結果を踏まえてBurks氏は、「非常に有望な治療的介入を発見した」と結論。推奨治療とするためにリスク定義や、薬物療法との定量化、患者の同定、長期の免疫寛容を助長するためポスト脱感作戦略の開発などが重要だとまとめている。NEJM誌2012年7月19日号掲載報告より。

出産前からの複数回訪問指導で小児肥満リスクを低下

出産前から2歳時まで、家族にフォーカスした訪問看護師による複数回の早期介入を行うことで、2歳時のBMI値が低下し、小児肥満症リスク因子の改善効果が示されたことが、オーストラリア・シドニー大学のLi Ming Wen氏らによる無作為化試験の結果、報告された。オーストラリアでは2~3歳児の5人に1人が過体重もしくは肥満で、乳幼児栄養(離乳食への切り替え時期や子どもの食習慣、テレビ視聴時間など)についての出産前を含む早期介入が提唱されているという。成人後の食習慣にも影響する乳幼児栄養の早期リスク因子について、低下層地域に多くみられるとのエビデンスが示されており、試験はシドニーの低下層地域で行われた。BMJ誌2012年7月14日号(オンライン版2012年6月21日号)掲載報告より。

新たな選択肢か?!「抗精神病薬+COX-2阻害薬」自閉症の治療 

社会性やコミュニケーション能力に問題が生じる発達障害の一種である自閉症。日本の推定患者数は36万人ともいわれている。自閉症の発症メカニズムは明らかになっていないが、炎症性の反応異常と関係していると考えられている。Asadabadi氏らは自閉症患者に対するCOX-2阻害薬であるセレコキシブの使用が、補助療法として有用であるかをランダム化二重盲検プラセボ対照試験にて検討した。Psychopharmacology (Berl)誌オンライン版2012年7月11日号の報告。

新生児パルスオキシメトリー検査、先天性心疾患のスクリーニング法として有用

重度先天性心疾患の検出法として、新生児に対するパルスオキシメトリー法は高い特異度と中等度の感度を有し、普遍的なスクリーニング法の適格基準を満たすことが、英国ロンドン大学クイーン・メアリー校のShakila Thangaratinam氏らの検討で示された。先天性心疾患は他の先天性異常に比べ死亡率が高く、先天性異常による死亡の最大40%、乳児死亡の3~7.5%を占めるとされるが、手術によって予後は大きく改善するため早期発見が重要だという。新生児スクリーニングは早期発見の一助となる可能性があり、パルスオキシメトリー法が有望視されている。Lancet誌2012年6月30日号(オンライン版2012年5月2日号)掲載の報告。