小児科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:47

精神神経疾患や発達障害に対する音楽療法の有効性

 音楽療法は、身体的、感情的、精神的な健康を維持・回復・促進するために用いられる。オーストリア・AIHTAのLucia Gassner氏らは、自閉スペクトラム症(ASD)、認知症、うつ病、不眠症、統合失調症に対する音楽療法の有効性を評価した。European Journal of Public Health誌オンライン版2021年10月1日号の報告。  システマティックレビューおよび医療技術評価レポートの検索により、139件の文献が抽出された。コクランレビューが利用可能な5疾患の診断グループに焦点を当てた。第2検索は4つのデータベースを用いて実施した。独立した2人のレビュアーが、研究の選択、データ抽出、方法論的質の評価を行った。バイアスリスクが中~低の試験のみを選択した。

新型コロナ「罹患後症状のマネジメント」を公開/厚労省

 厚生労働省は、12月1日に「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)診療の手引き 別冊 罹患後症状のマネジメント(暫定版)」を公開し、全国の自治体に周知を行った。  本別冊「罹患後症状のマネジメント」は、COVID-19感染・回復後の患者の経過を診ているかかりつけ医などが、自身でそれらの症状に悩む患者に対して、どこまでどのようにアプローチ・フォローアップをすればよいのか、どのタイミングで専門医の受診を勧めるのか、などについて標準的な診療とケアについてまとめることを目的に、それぞれの分野で経験のある専門家が参集し、発刊したもの。  おもな内容として下記の解説が行われている。 ・WHOの定義:COVID-19の罹患後症状(いわゆる遷延症状あるいは後遺症)の紹介 ・現時点の知見などを基にした、かかりつけ医などの医療従事者向けの診療や経過観察のあり方のまとめ ・かかりつけ医などがどの範囲まで対応し経過観察するのか、どのタイミングで専門医の受診を勧めるのかなどについて、各症状(呼吸器、循環器、嗅覚・味覚、精神・神経、痛み)ごとに記載 ・小児へのアプローチや筋力低下などに対するリハビリテーション、および職場などへの復帰に関する産業医学的アプローチも記載

接種勧奨再開のHPVワクチン、男性にも高い有効性

 副反応の報道により、2013年から個別接種の積極的勧奨が中止されていたHPVワクチンについて、国内外から有効性と安全性を認める報告が集積し、ついに2022年4月から積極的勧奨が再開される見通しだ。定期接種として無料で接種できるのは13~16歳の女子だが、同ワクチンが若年男性の感染症およびウイルス起因のがん予防に有効であるという報告が、The Lancet Infectious Diseases誌オンライン版11月12日号に掲載された。  米国マウントサイナイ医科大のStephen E Goldstone氏らによる本研究は、4価のヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチンを用いた、16~26歳の男性1,803例を対象とした無作為化プラセボ対照試験。10年間の追跡調査で、HPV6または11に関連した外性器疣贅、HPV6、11、16、18に関連した性器病変および肛門異形成の発生率を評価した。

乳児・遅発型のポンペ病の標準治療となるか?/サノフィ

 サノフィ株式会社は、ポンペ病治療剤アバルグルコシダーゼアルファ(遺伝子組換え)(商品名:ネクスビアザイム)点滴静注用100mgを、11月26日に発売した。  アバルグルコシダーゼアルファは、ポンペ病(糖原病II型)において、乳児型ポンペ病(IOPD)および遅発型ポンペ病(LOPD)の新たな標準治療となる可能性がある。  ポンペ病は進行性の筋疾患で、運動機能や呼吸機能の低下を来す希少疾患。ライソゾーム酵素の1つである酸性α-グルコシダーゼ(GAA)の遺伝子の異常によりGAA活性の低下または欠損が原因で生じる疾患で、複合多糖(グリコーゲン)が全身の筋肉内に蓄積する。このグリコーゲンの蓄積が、不可逆的な筋損傷を引き起こし、肺を支える横隔膜などの呼吸筋や、運動機能に必要な骨格筋に影響が及ぼす。世界でのポンペ病の患者数は5万人と推定されて、わが国では、指定難病研究班により実施された全国疫学調査において、患者数は134人と推定されている。

HPVワクチンの接種個別勧奨を自治体へ指示/厚労省

 11月26日、厚生労働省は「ヒトパピローマウイルス感染症に係る定期接種の今後の対応について」の通知を全国の自治体に向けて発出した。  同省は、ヒトパピローマウイルス(HPV)感染症に係る予防接種の積極勧奨について、ワクチンとの因果関係を否定できない持続的な疼痛が接種後に特異的にみられたことから、定期接種を積極的に勧奨すべきではないとし、平成25年6月14日発出の通知により接種の積極的な勧奨とならないよう留意するなどの対応を勧告してきた。  今回の通知はその勧告を変更するもので、先の平成25年の通知は廃止され、令和4年4月よりHPVワクチン接種対象者に予防接種法第8条に基づき勧奨を行うこととなる。

ワクチン接種の目的は“次世代の健康”/EFPIA Japan

 EFPIA(欧州製薬団体連合会)Japanは、2021年11月22日に感染症領域のエキスパートである岡部 信彦氏(川崎市健康安全研究所 所長)を講師に迎え、ワクチンに関するオンラインプレスセミナーを開催した。セミナーでは、ワクチンが人類に果たしてきた役割について、その軌跡をたどるとともに新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の盾を担うmRNAワクチンにも触れて講演が行われた。  岡部氏を講師に「生涯を通じての感染症予防(Life Course Immunization)-COVID-19の経験を含めて-」をテーマにレクチャーが行われた。

HPVワクチン接種行動は変わったか?

 HPVワクチンは2010年の接種開始以降、副反応忌避が続き接種率1%未満が続いていたが、昨年自治体から接種対象者への個別通知が再開し、今年は積極的受診勧奨再開に向けた検討会が開かれるなど動きが出てきた。  現在どのように接種行動や意識は変化しているのだろうか。HPVワクチンの普及啓発活動を行う一般社団法人みんなで知ろうHPVプロジェクト(通称みんパピ!)が、現在のHPVワクチンに対する意識・実態調査を行った。  調査はインターネット上で行われた。9,219名の回答者から無料接種対象年齢の本人として高校1年生の女子473名を抽出しHPVワクチン接種の有無を尋ねたところ、接種した、もしくは接種中が14.4%だった。

日本人低出生体重児におけるADHDリスク

 小児の注意欠如多動症(ADHD)特性には、出生時の体重を含む遺伝的要因および出生前、周産期の因子が関連している。浜松医科大学のMohammad Shafiur Rahman氏らは、日本人小児の出生時体重とADHD特性との関連に対するADHDの遺伝的リスクの影響について、調査を行った。BMC Medicine誌2021年9月24日号の報告。  日本人小児におけるADHDの遺伝的リスクや低出生体重とADHD特性との関連を調査するため、縦断的出生コホート研究(浜松母と子の出生コホート研究)を実施した。小児1,258人のうちフォローアップを完了した8~9歳児796人を対象に分析を行った。出生体重別に、2,000g未満、2,000~2,499g、2,500g以上の3群に分類した。ADHDのポリジーンリスクスコアは、大規模ゲノムワイド関連解析のサマリーデータを用いて生成した。ADHD評価尺度IV(ADHD-RS)は、親からの報告に基づきADHD特性(不注意および多動性/衝動性)を評価した。以前の研究と同様に、性別、子供の出生順位、出生時の在胎週数、出産時の母親の年齢、学歴、妊娠前のBMI、妊娠前または妊娠中の喫煙状況、妊娠中のアルコール摂取、父親の年齢、教育、年間世帯収入を共変量とした。出生時の体重とADHD特性との関連を評価するため、潜在的な共変量で調整した後、多変量負の二項分布を用いた。出生時の体重群とバイナリーポリジーンリスクとの相互作用をモデルに追加した。

5~11歳へのファイザー製ワクチンの安全性と有効性~第II/III相試験/NEJM

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチンBNT162b2(Pfizer-BioNTech製)の5~11歳への投与(21日間隔で10μgを2回投与)は、安全で、免疫原性を有し、有効率も約91%と高いことが示された。米国・Duke Human Vaccine InstituteのEmmanuel B. Walter氏らによる、5~11歳を対象とした第I相および進行中の第II/III相の無作為化試験の結果で、NEJM誌オンライン版2021年11月9日号で発表された。  第I相無作為化試験は2021年3月24日~4月14日に米国内4地点でスクリーニングをして包含した5~11歳の48例を対象に行われた。1対1対1の割合で3群に無作為に割り付け、BNT162b2ワクチン10μg、20μg、30μgをそれぞれ投与し、安全性と免疫原性の所見から適切な投与量を決定した。

アトピー性皮膚炎の精神面への影響、4歳児でも

 英国の小児1万1千例超を長期10年にわたって追跡したコホート研究で、小児におけるアトピー性皮膚炎(AD)とメンタルヘルスの関連が明らかにされた。重症ADは、小児期のうつ症状および内在化症状を呈する可能性を約2倍増大することが、また、軽症~中等症ADはうつ症状との関連は認められなかったが、4歳という早い時期に内在化問題行動との関連が認められたという。米国・カリフォルニア大学サンフランシスコ校のChloe Kern氏らが報告した。  先行研究で成人におけるADとメンタルヘルス状態の関連は明らかにされているが、小児に関しては、世界中でADの大きな負荷が問題になっているが、メンタルヘルス併存疾患の発症に関する文献は限られている。JAMA Dermatology誌2021年10月号掲載の報告。