小児科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:49

細胞培養由来4価ワクチン、小児で良好なインフル予防効果/NEJM

 インフルエンザ流行期の健康な小児/青少年における感染予防では、細胞培養由来4価不活化インフルエンザワクチン(IIV4c、Flucelvax Quadrivalent、英国・Seqirus製)は非インフルエンザワクチンと比較して、インフルエンザワクチン接種歴の有無を問わず良好な有効性が認められ、有害事象の発現は両者でほぼ同様であることが、オーストラリア・メルボルン大学のTerence Nolan氏らの検討で示された。研究の成果は、NEJM誌2021年10月14日号で報告された。  研究グループは、8ヵ国の小児/青少年において、Madin-Darbyイヌ腎臓(MDCK)細胞株を用いたIIV4c(A/H1N1、A/H3N2、B/Yamagata、B/Victoria)の有効性、免疫原性、安全性の、非インフルエンザワクチン(髄膜炎菌ACWY[A、C、W-135、Y群]ワクチン)との比較を目的に、観察者盲検化層別無作為化第III/IV相試験を行った(Seqirusの助成による)。

ファイザー製ワクチン後の心筋炎、非接種者と比較した発症率/NEJM

 mRNAワクチン「BNT162b2」(Pfizer-BioNTech製)接種後の心筋炎の罹患率は、低率だが、とくに若い男性の2回接種者で増大すること、また臨床症状は概して軽症であったことを、イスラエル・Hadassah Medical CenterのDror Mevorach氏らが同国保健省のモニタリングデータを分析して報告した。イスラエルでは2021年5月31日時点で、約510万人がmRNAワクチン・BNT162b2の完全接種を受けている。同国保健省は、有害事象のモニタリングにおいて心筋炎が報告された早期の段階から積極的なサーベイランスを行っていたという。NEJM誌オンライン版2021年10月6日号掲載の報告。

ファイザー製ワクチン後の心筋炎、発症率と重症度/NEJM

 イスラエルの大規模医療システムにおいて、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)mRNAワクチン「BNT162b2」(Pfizer-BioNTech製)を1回以上接種した人の推定心筋炎罹患率は2.13/10万人で、16~29歳の男性の罹患率が最も高く、重症度は軽症~中等症だったという。イスラエル・Rabin Medical Center・Beilinson HospitalのGuy Witberg氏らが、1回以上接種者250万人超を調べた結果を報告した。心筋炎発症とCOVID-19のmRNAワクチン接種との関連を示唆する報告がされているが、これまで頻度や重症度について大規模な調査は行われていなかった。NEJM誌オンライン版2021年10月6日号掲載の報告。

シロリムス、小児の血管奇形に有効か?

 小児の低流速血管奇形(slow-flow vascular malformation)に対しシロリムスは有効なのか。シロリムスは、その有効性のエビデンスが不足しているにもかかわらず、さまざまな血管奇形の治療に用いられるようになっている。フランス・トゥール大学のAnnabel Maruani氏らは、観察フェーズの無作為化試験「PERFORMUS試験」によって、6歳以上の子供にシロリムス療法を開始する際の患児および家族の目標を明確にすることができたと報告した。JAMA Dermatology誌オンライン版2021年9月15日号掲載の報告。

ポンぺ病の新治療薬が製造販売承認を取得/サノフィ

 サノフィ株式会社は、2021年9月27日にポンペ病の効能または効果でアバルグルコシダーゼアルファ(商品名:ネクスビアザイム点滴静注用100mg)が製造販売承認を取得したと発表した。同社では、ポンペ病(糖原病II型)において、乳児型ポンペ病および遅発型ポンペ病の新たな標準治療となる可能性に期待を寄せている。  ポンペ病は、ライソゾーム酵素の1つである酸性α-グルコシダーゼ(GAA)の遺伝子の異常によりGAA活性の低下または欠損が原因で生じる疾患で、複合多糖(グリコーゲン)が全身の筋肉内に蓄積する。このグリコーゲンの蓄積が、不可逆的な筋損傷を引き起こし、肺を支える横隔膜などの呼吸筋や、運動機能に必要な骨格筋に影響を及ぼすことで運動機能や呼吸機能の低下をもたらす希少疾患。世界でのポンペ病の患者数は5万人と推定され、乳児期から成人後期のいずれの時期においても発症する可能性がある。

12~17歳でのmRNA-1273ワクチンの安全性と有効性を考える(解説:田中希宇人氏、山口佳寿博氏)

COVID-19の小児例は成人例に比べ症例数も少なく、ほとんどが無症状や軽症例であることがわかっている。COVID-19の臨床像を小児も含めた年齢層別に検討したイタリアからの報告では入院率、重症例の割合は年齢を重ねるごとに増加し、無症状例や軽症例は年齢とともに減少していた。3,836例の小児例の解析では約40%が無症状であり、ごく軽症や軽症を含めると95%以上という結果であった。ここで報告されている4例の小児死亡例は全例が6歳以下で、心血管系や悪性腫瘍の基礎疾患を併存している症例のみであり、新型コロナウイルスが原因とは考えられていなかった(Bellino S, et al. Pediatrics. 2020;146:e2020009399. )。本邦でも国立成育医療研究センターと国立国際医療研究センターの共同研究『COVID-19 Registry Japan(COVIREGI-JP)』を利用したCOVID-19の小児例が報告されている(Shoji K, et al. J Pediatric Infect Dis Soc. 2021 Sep 6. [Epub ahead of print])。1,038例の18歳未満のCOVID-19例では約30%が無症状であり、症状を認めた730例のうち酸素投与まで必要となってしまう小児は15例(2.1%)であったとの報告である。

学校のコロナ対策、毎日迅速抗原検査の効果は隔離と同等/Lancet

 学校において、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)接触者に対する毎日の迅速抗原検査は、自己隔離と比較してCOVID-19感染制御において非劣性であり、両アプローチによる生徒および学校職員の症候性SARS-CoV-2感染率は同程度であることが、英国・オックスフォード大学のBernadette C. Young氏らが実施した非盲検クラスター無作為化比較試験で示された。イングランドでは、学校でのCOVID-19接触者は自宅での自己隔離を求められ、重要な教育機会が失われている。そこで著者らは、接触者には毎日検査を実施することで学校への出席を可能にしつつ、自己隔離と同様の感染抑制効果が得られるかを検討した。

ニボルマブ、小児ホジキンリンパ腫に対する承認取得/BMS

 小野薬品工業とブリストル・マイヤーズ スクイブは、抗PD-1抗体のニボルマブ(商品名:オプジーボ)が、小児の再発又は難治性古典的ホジキンリンパ腫に対する承認を取得したことを発表した。  ホジキンリンパ腫はリンパ細網系から生じた細胞の限局性又は播種性の悪性腫瘍であり、 国内の年間発症患者数は約1,720人、小児における年間発症患者数は約70人と推定されている。小児ホジキンリンパ腫の一次治療には化学療法等が行われ、再発または治療抵抗性の場合にはさらなる化学療法や抗CD30モノクローナル抗体であるブレンツキシマブ ベドチン等による治療が行われているものの予後は厳しく、ニボルマブは新たな選択肢の一つとして期待される。

デルゴシチニブ軟膏、小児ADへの有効性と安全性を確認

 昨年、世界で初めてわが国で承認された、アトピー性皮膚炎(AD)に対する外用JAK阻害薬デルゴシチニブ軟膏(商品名:コレクチム軟膏)について、東京慈恵会医科大学名誉教授の中川 秀己氏らが小児(2~15歳)に対する有効性と安全性を評価した56週の第III相無作為化二重盲検基剤対照試験の結果が、Journal of the American Academy of Dermatology誌2021年10月号で報告された。  56週にわたり塗布群は有意な改善を示し、忍容性は良好であったという。上市されたデルゴシチニブ0.5%軟膏の適応対象は、当初16歳以上の成人であったが、本年5月に小児への適応拡大が承認されている。

ADHD児の睡眠問題と母親のメンタルヘルスとの関連

 小児の注意欠如多動症(ADHD)では、一般の小児と比較し、睡眠障害が多く認められる。また、ADHD児の両親は、メンタルヘルスに問題を抱える割合が高いことが知られている。この関連は横断研究では報告されているものの、縦断研究は実施されていなかった。オーストラリア・ディーキン大学のChristina A. Martin氏らは、ADHD児の睡眠障害と母親のメンタルヘルス問題(全体的なメンタルヘルス、うつ病、不安、ストレス)との潜在的な双方向の関連を12ヵ月間調査した。Journal of Attention Disorders誌2021年9月号の報告。