小児科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:94

米国で経鼻弱毒生インフルエンザワクチンが非推奨へ変更された理由(解説:小金丸博氏)-739

米国では2003年より、経鼻タイプの弱毒生インフルエンザワクチンが導入された。経鼻弱毒生ワクチンは一般的な不活化ワクチンと比べて予防効果が高いとされ、とくに小児領域で高い評価を受けてきた。日本でも2016年に承認申請が出され、国内での流通開始が待ち望まれていたワクチンだったが、米国予防接種諮問委員会(ACIP)は一転「2016-17年シーズンの弱毒生インフルエンザワクチンの接種を推奨しない」と勧告した。本論文を読むことで、経鼻弱毒生ワクチンが非推奨へ変わった理由を知ることができる。

流行性耳下腺炎のMMRワクチン接種 3回 vs.2回/NEJM

 麻疹・流行性耳下腺炎・風疹の3種混合ワクチン(MMRワクチン)について、米国疾病予防管理センター(CDC)のCristina V. Cardemil氏らが大学生を対象とした検討で、3回接種者では2回接種者よりも流行性耳下腺炎のリスクが低下したことを明らかにした。米国では、小児期にMMRワクチンの2回接種がプログラムされている。しかし、大学生での流行性耳下腺炎のアウトブレイクがたびたび報告されており、2015年夏~秋にはアイオワ大学で集団発生が起きた。本報告は、そのアウトブレイクの後半に保健当局者がMMRワクチン接種キャンペーンを呼びかけ、3回目の接種に応じた学生の有効性を2回目の接種時期からの年数で補正を行い検討した結果で、2回目の接種時期が、今回のアウトブレイクよりも13年以上前であった学生は、流行性耳下腺炎のリスクが高かったことも明らかにした。これまで、MMRワクチンの3回投与が流行性耳下腺炎のアウトブレイクを制御するかについては明らかになっていなかった。NEJM誌2017年9月7日号掲載の報告。

低・中所得国では新生児の2割が胎児発育遅延/BMJ

 低・中所得国では、新生児のうちおよそ5人に1人が胎児発育遅延(Small for gestational age:SGA)で出生し、そのうち4人に1人が新生児期(生後28日以内)に死亡しているという。米国・ブリガム&ウィメンズ病院のAnne CC Lee氏らが、低・中所得国の14の集団ベースから成る出生コホートChild Health Epidemiology Reference Group(CHERG)のデータを分析して明らかにした。BMJ誌2017年8月17日号掲載の報告。

ADHD発症しやすい家庭の傾向

 ADHDの有症率は貧困層で高いことが多くの研究で報告されているが、その関係性が親のADHD歴によって、どのように変化するかはほとんど考察されていない。米国・UNM Health Sciences CenterのAndrew S. Rowland氏らは、6~14歳の学生サンプルを用いて、社会経済的地位(socioeconomic status:SES)や親のADHD歴によって有症率が異なるかを評価した。Journal of child psychology and psychiatry誌オンライン版2017年8月12日号の報告。

早産児の神経発達遅延リスクは改善したか/BMJ

 在胎期間22~34週の早産児の2歳時の神経発達アウトカムは過去20年で、重度または中等度の運動/感覚器障害のない生存が有意に増大していたが、発達遅延のリスクは高いままであることが、フランス国立保健医学研究所(INSERM)のVeronique Pierrat氏らによる、同国の早産児に関する住民コホート研究「EPIPAGE(1997年)」「EPIPAGE-2(2011年)」の結果、報告された。世界的に早産児の生存は増加しており、重度の新生児罹患率は低下している。しかし、最近の2000年代に生まれた早産児のアウトカムに関する研究は、超早産児に焦点が集まっており、在胎期間がある程度ある早産児についての報告はまれだという。BMJ誌2017年8月16日号掲載の報告。

日本の成人の身長低下、低出生体重が原因か

 国立成育医療研究センターの森崎 菜穂氏らが、わが国における1969年以降の出生特性と成人の平均身長の推移を調査したところ、20世紀は増加し続けていた成人の身長は1980年生まれから低下し始めていた。一方、低出生体重(LBW)での出生はU字型を示し、成人の身長の低下がLBW出生の増加に起因する可能性が示された。Journal of Epidemiology and Community Health誌オンライン版2017年8月19日号に掲載。

ニーマンピック病C1型へのHPβCDの可能性/Lancet

 ニーマンピック病C1型の患者に対し、2-ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン(HPβCD)を髄腔内投与は、病状進行を遅らせる可能性があるようだ。またその安全性については、中間~高周波の聴力損失が認められたほかは、重篤な有害事象は認められなかった。米国・ワシントン大学のDaniel S. Ory氏らが行った、第I-IIa相の非盲検用量漸増試験の結果で、Lancet誌オンライン版2017年8月10日号で発表した。ニーマンピック病C1型は進行性の神経変性によって特徴づけられるライソゾーム病に含まれる先天性代謝異常症の一種。HPβCDはマウスとネコモデルを用いた前臨床試験で、小脳のプルキンエ細胞消失を顕著に遅らせ、神経症状の進行を遅らせて寿命を延伸させたことが示されていた。

自閉症スペクトラム障害児に即興音楽療法は有用か/JAMA

 自閉症スペクトラム障害(ASD)の小児の治療では、強化標準治療に即興音楽療法を追加しても症状の重症度は改善しないことが、ノルウェー・Uni ResearchのLucja Bieleninik氏らが行ったTIME-A試験で明らかとなった。研究の成果はJAMA誌2017年8月8日号に掲載された。音楽療法は、ASD患者の社会的相互作用(social interaction)、共同注意(joint attention)、親子関係を改善することが無作為化試験で示されている。即興音楽療法は、患児と訓練を受けた音楽療法士が自発的に歌ったり、演奏したり、体を動かすことで音楽を創造する患児中心のアプローチで、音楽療法士は患児の関心や行動、好奇心に着目してこれに従うことで社会コミュニケーション技法の発達を促す。