精神科/心療内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:128

初期アルツハイマー病に対するaducanumabの長期的ベネフィット

 アルツハイマー病は、慢性的かつ進行性の神経変性疾患であり、患者および介護者に対して大きな負担が強いられる。aducanumabは、アルツハイマー病の病理に作用する初めての治療薬として米国FDAより承認された薬剤であり、アルツハイマー病の病態生理学的特徴である脳内のアミロイドプラーク減少が期待できる。第III相臨床試験であるEMERGE試験で、aducanumabはアルツハイマー病による軽度認知障害(MCI)および軽度アルツハイマー型認知症患者における臨床的な進行抑制作用を示し、アミロイド病理に対する作用が確認されている。米国・RTI Health SolutionsのWilliam L. Herring氏らは、初期アルツハイマー病患者に対するaducanumabの長期的ベネフィットを評価するため、EMERGE試験の有効性データに基づき検討を行った。Neurology and Therapy誌オンライン版2021年8月23日号の報告。

長期的な血圧変動と認知症リスク~メタ解析

 高血圧は、認知症や認知機能障害の重要なリスク因子であると考えられている。しかし、血圧レベルに関係なく、血圧変動が認知症や認知機能低下に影響を及ぼしている可能性が示唆されている。香港中文大学のPingping Jia氏らは、血圧変動が、認知症や認知機能障害の独立したリスク因子であるかについて、調査を行った。Hypertension誌オンライン版2021年8月15日号の報告。  2021年5月までに公表された文献をMEDLINE、Embase、PsycINFO、CINAHL、Web of Scienceより検索した。認知症または認知機能障害リスクの予測因子として、血圧変動を用いて評価を行った縦断的研究を分析対象に含めた。認知症または認知機能障害リスクに対する血圧変動の影響を評価するため、メタ解析およびメタ回帰分析を用いた。

ポルノ依存症と勃起不全、早漏、性的満足度との関連

 男性がポルノ関連情報に触れる機会は、過去10年間で大きく変化しており、インターネットポルノ(IP)依存症やそれに関連する性機能障害の有症率は増加している。DSM-Vのコンセンサスや正式な認識が欠如していることにより、IP依存症の定義は明らかとなっていない。現在得られているIP依存症や性機能障害に関連するエビデンスの多くは、消費者、ケーススタディ、定性研究からの情報に限られている。経験的な測定が用いられることにより、研究者は、性的反応に関するさまざまなアウトカムを発見したが、これらのデータは、IPの利用と自己認識しているIP依存症との混同、性機能障害の臨床診断による性的反応の正常な変動と関連している可能性がある。そのため、IPの利用や自己認識しているIP依存症の両方が男性の性機能に及ぼす影響を評価するためには、さらなる経験的な解明が求められる。

ストレスと認知症や軽度認知障害リスクとの関連~メタ解析

 多くの研究において、ストレスと認知症リスクとの関連が調査されてきたが、ストレス評価の測定尺度にばらつきがあるため、調査結果に一貫性が認められてない。オーストラリア・メルボルン大学のKatherine H. Franks氏らは、システマティックレビューおよびメタ解析を実施し、成人の心理的ストレス(神経症、ストレスの大きいライフイベント、認知されたストレスなど)と認知症および軽度認知障害のリスクとの関連を調査した。Journal of Alzheimer's Disease誌オンライン版2021年8月3日号の報告。

安定期統合失調症患者の再発予防に対する適切な抗精神病薬投与量~メタ解析

 統合失調症の再発予防に対し、どの程度の抗精神病薬の投与量が必要かは明らかになっていない。ドイツ・ミュンヘン工科大学のStefan Leucht氏らは、この疑問を解決するため、ランダム化臨床試験のメタ解析を実施した。JAMA Psychiatry誌オンライン版2021年8月18日号の報告。  Cochrane Schizophrenia Group's Study-Based Register of Trials(2020年3月9日)、PubMed(2021年1月1日)、過去のレビューを通じて該当研究を特定した。追加情報は、筆頭著者および/または製薬会社に問い合わせ、収集した。2人の独立したレビュアーにより、安定期統合失調症患者の再発予防に対し、固定用量の第2世代抗精神病薬、ハロペリドール、フルフェナジンを比較したランダム化臨床試験を抽出した。PRISMAガイドラインの優先報告項目に従って重複するすべてのパラメータを抽出し、頻度論的(frequentist)用量反応変量効果メタ解析を実施した。主要評価項目は、研究で定義された再発とし、再入院、陽性・陰性症状評価尺度(PANSS)または簡易精神症状評価尺度(BPRS)の合計スコアのベースラインからの減少、すべての原因による中止、有害事象による脱落についても評価した。

認知症発症を抑える食材、新たな候補はビフィズス菌?

 2021年8月27日、認知症に関する正しい情報発信とリスク低減への早期取り組みの重要性を啓発する「40代からの認知症リスク低減機構」は、『「脳寿命を延ばす いまの状態を把握し、対策を考える」~脳と腸からはじめる認知症予防の可能性~』と題するメディアセミナーを開催した。  今まで便秘や下痢、免疫対策として注目されていた“腸”には、“脳”との関係性「脳腸相関」もあると明らかになってきている。このことから、両者の関係が認知症研究においても注目されるようになった。近年、腸内細菌やそれらが作り出す成分による脳の健康状態への影響に関する研究が多数行われている。本セミナーでは、新井 平伊氏(アルツクリニック東京院長、順天堂大学医学部名誉教授)、佐治 直樹氏(国立長寿医療研究センター もの忘れセンター 副センター長)、清水 金忠氏(森永乳業株式会社 研究本部 基礎研究所長)の3人が、認知症と脳腸相関に関する最新の研究と、認知症予防のための食品開発について講演を行った。

分娩様式と産後うつ病との関連~JECS研究

 産後うつ病は、母親の自殺などを含む健康への悪影響と関連している。分娩様式は、産後うつ病のリスク因子といわれているが、この関連を調査した大規模コホート研究は、あまり行われていなかった。大阪大学の馬場 幸子氏らは、出産1ヵ月後および6ヵ月後における分娩様式と産後うつ病リスクとの関連を調査した。Journal of Epidemiology誌オンライン版2021年7月31日号の報告。  単生児出産の母親8万9,954人を対象とした全国調査のデータを用いて、出産方法と産後うつ病との関連を調査した。産後うつ病の評価は、出産1ヵ月後および6ヵ月後にエジンバラ産後うつ病評価尺度(13点以上)を用いて測定した。産後うつ病のオッズ比(OR)および95%信頼区間(CI)を算出するため、出産前の身体的、社会経済的、精神的要因で調整した後、多変量ロジスティック回帰分析を用いた。

うつ病リスクに対するシフト勤務の影響

 シフト勤務は、多くの健康問題、とくにメンタルヘルスの問題と関連していることが報告されている。さまざまな人口統計、ライフスタイル、仕事に関連する要因を考慮し、シフト勤務と抑うつ症状との関連を明らかにするため、ドイツ・ルール大学ボーフムのThomas Behrens氏らは、プロスペクティブHeinz Nixdorf Recall Studyを実施した。Chronobiology International誌オンライン版2021年8月12日号の報告。  抑うつ症状は、うつ病自己評価尺度(CES-D)、Patient Health Questionnaire(PHQ)、抗うつ薬の処方状況により評価した。CES-Dのカットオフ値は、高度と評価される17点以上、PHQのカットオフ値は、9点以上とした。シフト勤務の定義は、7:00~18:00以外の勤務時間を含むものとし、夜間勤務の定義は、0:00~5:00の勤務時間を含むものとした。相対リスク(RR)および95%信頼区間(CI)を推定するため、フォローアップ時の年齢、日周指向性(クロノタイプ)、世帯収入、教育で調整し、ロバスト標準誤差を有するポアソン回帰分析を用いて検討を行った。性別により層別化し、分析した。結果のロバスト性を評価するため、さまざまな感度分析と層別分析を行った。

反復性片頭痛に対する抗CGRPモノクローナル抗体の有効性と安全性~ネットワークメタ解析

 これまでの研究では、抗CGRPモノクローナル抗体は、反復性片頭痛の予防や治療に効果的な薬剤であることが報告されている。中国・Hospital of Chengdu University of Traditional Chinese MedicineのMin Shi氏らは、さらなる臨床研究の参考になるよう、用量、薬剤、投与経路、投与方法などの違いに基づき10の治療レジメンについて、比較を行った。Neurological Research誌オンライン版2021年7月19日号の報告。  2020年8月までに公表されたランダム化比較試験(RCT)をPubMed、Embase、Ovid MEDLINE、Web of Science、Cochrane Central Register of Controlled Trialsより検索した。  主な結果は以下のとおり。

境界性パーソナリティ障害に対する薬理学的治療~20年間の変化

 境界性パーソナリティ障害(BPD)の治療では、承認されている精神科治療薬は存在しないにもかかわらず、日常的に薬物治療が行われている。スペイン・バルセロナ自治大学のJuan C. Pascual氏らは、スペインの外来特定ユニットで治療されたBPD患者の薬理学的マネジメントにおける20年間の変化および処方に関連する要因について調査を行った。CNS Drugs誌オンライン版2021年8月9日号の報告。  2001~20年にスペイン・バルセロナのBPD外来プログラムに連続して受診したBPD患者620例を対象に観察横断研究を行った。抗うつ薬、ベンゾジアゼピン、気分安定薬、抗精神病薬の処方傾向を調査した。処方データは5年ごとに4段階に分類し、データ分析を行った。薬理学的処方と多剤併用に関連する社会人口統計学的および臨床的変数を特定するため、ロジスティック回帰分析を用いた。