精神科/心療内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:125

慢性期統合失調症における抗精神病薬の減量・中止後の再発リスク因子~メタ解析

 精神疾患の再発予防に抗精神病薬による維持療法は有効だが、高用量での使用はリカバリーを妨げる可能性がある。そのため、慢性期統合失調症患者では、抗精神病薬の減量または中止が検討される。オランダ・Mental Health Services RivierduinenのJan P. A. M. Bogers氏らは、抗精神病薬の減量に伴う精神疾患再発のリスク因子を特定しようと試みた。その結果、慢性期統合失調症患者における抗精神病薬の減量では、精神疾患再発のリスク因子を考慮する必要があること、抗精神病薬の比較的急激な減量を行う場合でもハロペリドール換算3~5mgを最低用量とすることなどが報告された。また、著者らは、抗精神病薬の漸減は投与中止に伴う再発を回避し、必要最低用量を達成できる可能性があるとしている。Schizophrenia Bulletin誌オンライン版2022年10月6日号の報告。

老後の一人暮らしと認知症リスク

 米国・イリノイ大学シカゴ校のBenjamin A. Shaw氏らは、老後の一人暮らしと認知症発症との関連性を調査した。これまでの多くの研究では、単一の時点で得られた一人暮らしに関するデータを利用して検証されていたが、著者らは、高齢者の一人暮らしの状況を長期的に測定し、一人暮らしの期間が長いほど認知症発症リスクが高いかどうかを評価した。その結果、老後の一人暮らしは認知症の重大なリスク因子であるが、この影響はすぐに現れるわけではなく、時間とともに上昇する可能性があることが示唆された。The Journals of Gerontology誌オンライン版2022年9月30日号の報告。

コロナ軽症でも、高頻度に罹患後症状を発症/BMJ

 重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)による感染症の急性期後6~12ヵ月の時期における、患者の自己申告による罹患後症状(いわゆる後遺症、とくに疲労や神経認知障害)は、たとえ急性期の症状が軽症だった若年・中年の成人であってもかなりの負担となっており、全体的な健康状態や労働の作業能力への影響が大きいことが、ドイツ・ウルム大学のRaphael S. Peter氏らが実施した「EPILOC試験」で示された。研究の成果は、BMJ誌2022年10月13日号に掲載された。  EPILOC試験は、ドイツ南西部バーデン・ビュルテンベルク州の4つの地域(人口計約270万人)で行われた住民ベースの研究で、2020年10月1日~2021年4月1日にポリメラーゼ連鎖反応(PCR)検査でSARS-CoV-2陽性と判定された18~65歳の集団が解析の対象となった(バーデン・ビュルテンベルク州Ministry of Science and Artの助成を受けた)。

うつ病リスクに影響を及ぼす身体活動や睡眠時間

 うつ病リスク低下に対し、中程度~高度な身体活動(MVPA)のベネフィットは確立されてきているものの、睡眠、座位行動(SB)、軽度な身体活動(LIPA)に関するエビデンスは十分ではない。これらの行動は、行動学的および生物学的な相互関係を考慮せず検討されることも少なくない。英国・ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンのJ. M. Blodgett氏らは、ある行動に費やした時間が、他の行動と比較し、どのようにうつ病リスクと関連しているかを調査した。その結果、あらゆる行動をMVPAに置き換えることで、うつ病リスクが低下することが明らかとなった。著者らは、「たとえ少しでも、MVPAに費やす時間の増加はうつ病の予防や軽減につながり、治療効果にプラスの影響を及ぼす可能性がある」と報告している。Journal of Affective Disorders誌オンライン版2022年9月30日号の報告。  対象は、1970 British Cohort Study(英国の1970年出生コホート研究)より抽出した4,738例(2016年時、年齢46歳)。抑うつ状態の評価は、自己報告による受診および抗うつ薬の使用歴に基づき確認した。MVPA、LIPA、SB、睡眠の測定は、大腿部に装着した加速度計を用いて7日間連続で行った。さまざまな運動に費やされた時間構成とうつ病との関連を評価するため、コンポジショナルロジスティック回帰を用いた。

双極性障害と心血管疾患の関連に対する性差の影響~UKバイオバンク横断分析

 心血管疾患(CVD)リスクに対して、双極性障害(BD)患者の性差による影響を検討した報告は、これまでほとんどなかった。カナダ・トロント大学のAbigail Ortiz氏らは、UKバイオバンクのデータを用いて、CVDとBDの関連性に対する性別固有の影響について検討を行った。その結果、CVDとBDの関連性に男女間で違いが認められた。このことから著者らは、CVDのリスク推定ツールに性別と精神疾患を組み込むことで、BD 患者のCVDスクリーニングや適時の治療を改善できるとしている。Journal of Affective Disorders誌オンライン版2022年9月23日号の報告。  UKバイオバンクに登録されたBD患者293例、精神医学的に健康な対照者25万7,380例を対象に横断研究を実施した。7つのCVD(冠動脈疾患、心筋梗塞、狭心症、心房細動、心不全、脳卒中、本態性高血圧)および4つの心血管バイオマーカー(動脈硬化指数、LDL、CRP、HbA1c)について男女間のオッズ比を比較した。

統合失調症におけるVRを用いたソーシャルスキルトレーニングの受容性評価

 統合失調症患者に対するソーシャルスキルトレーニング(SST)の新たな治療アプローチとして、シネマティックバーチャルリアリティー(Cine-VR)テクノロジーが注目されている。イタリア・バーリ工科大学のVito M. Manghisi氏らは、統合失調症患者に対するCine-VR介入の受容性を評価するため、本研究を実施した。その結果、統合失調症患者に対するCine-VR介入の良好な受容性が確認された。Games for Health Journal誌オンライン版2022年9月8日号の報告。  研究者らは、自立生活支援のためのSSTリハビリテーションサポートシステムとしてCine-VRベースのプラットフォームを開発し、利便性、ユーザーエクスペリエンス、使用パフォーマンスの観点から、精神疾患患者への受容性を評価した。対象は、18~65歳の統合失調症スペクトラム障害(DSM-5に基づく)患者10例。中等度~重度の知的障害がなく、物質使用障害を認めない患者を対象に含めた。治療後にアンケートを実施し、関連データを自動収集するためのプラットフォームを開発した。

マイナ保険証への対応、他の医院はどうしてる?/1,000人アンケート

 2022年10月から、マイナンバーカードを健康保険証として利用するシステム「マイナ保険証」が本格導入され、2024年を目処に現行の保険証を廃止するという方針も打ち出された。ケアネットでは10月17日、診療所を経営、勤務する会員医師1,000人を対象に、マイナ保険証への対応についてのアンケートを行った。  「自身はマイナンバーカード取得と保険証機能への連携をしているか」を聞いた設問では、「取得・連携済み」が32.5%、「取得済みでこれから連携予定」が26.2%と合わせて約6割を占めた一方で、「マイナンバーカード自体を未取得」と答えた人も3割近くいた。

レビー小体病の睡眠障害~システマティックレビュー

 レビー小体病(LBD)は、レビー小体型認知症(DLB)とパーキンソン病型認知症(PDD)の両方を含む疾患である。LBDでは、睡眠の質の低下、日中の過度な眠気(EDS)、急速眼球運動行動障害(RBD)などの睡眠障害が高頻度で認められるにもかかわらず、他の認知症との比較研究は十分に行われていない。英国・ノーザンブリア大学のGreg J. Elder氏らは、LBDの睡眠障害の特性を調査し、睡眠障害に対する治療研究の効果、将来の研究に必要な具体性および方向性を明らかにするため、システマティックレビューを実施した。その結果、LBD患者は、高頻度に睡眠障害を合併しており、主観的な睡眠の質の低下、EDS、RBDなどが他の認知症患者よりも多く、より重度であることを報告した。International Journal of Geriatric Psychiatry誌2022年10月号の報告。

日本人女性における妊娠中のペットとの暮らしと産後1年までの精神症状~JECS研究

 これまで、ペットとの暮らしとメンタルヘルスとの関連についてさまざまな集団で調査されてきたが、精神症状に対する脆弱性が高まる出産前後の女性を対象とした研究は、あまり行われていなかった。富山大学の松村 健太氏らは、出産前後の女性におけるペットとの暮らしとメンタルヘルスとの関連について、調査を行った。その結果、周産期および産後の母親のメンタルヘルスに対し犬との暮らしは予防的に働き、猫との暮らしはリスク因子になることが示唆された。Social Science & Medicine誌2022年9月号の報告。

統合失調症や双極性障害患者における強迫症状の有症率

 強迫症状(OCS)は、精神疾患患者において高頻度でみられる症状であるにもかかわらず、認識および治療が不十分である。英国・キングス・カレッジ・ロンドンのDeborah Ahn Robins氏らは、統合失調症、統合失調感情障害、双極性障害の患者におけるOCSおよび強迫症(OCD)の有病率を推定し、OCSの要因となる臨床的特徴を明らかにするため、本研究を実施した。その結果、OCSおよびOCDは、精神疾患患者で頻繁に認められており、より重篤な精神医学的な臨床的特徴と関連している可能性が示唆された。また、著者らは、自動化された情報抽出ツールを用いることで、精神疾患に合併するOCS/OCDの認識や治療を改善できる可能性があることを報告した。The Journal of Clinical Psychiatry誌2022年9月28日号の報告。