精神科/心療内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:125

うつ病の初期治療と持続的治療反応との関連~メタ解析

 うつ病は、しばしば再発を繰り返す疾患である。そのため、患者を良い状態に導くだけでなく、良い状態を保つために最も効果的な治療法から選択すべきである。京都大学の古川 壽亮氏らは、成人うつ病患者の急性期治療における心理療法(PSY)、プロトコール化された薬物療法(PHA)、心理療法と薬物療法の併用(COM)、プライマリまたはセカンダリケアでの標準的治療(STD)、プラセボ治療についてランダム化比較試験(RCT)のネットワークメタ解析を実施し、治療期間およびフォローアップ期間を通じた初期治療と持続的治療反応との関連を調査した。World Psychiatry誌2021年10月号の報告。

片頭痛と認知症リスク~メタ解析

 片頭痛と認知症との関連を調査した研究はほとんどなく、その結果も矛盾している。中国・The Second People's Hospital of HefeiのLong Wang氏らは、片頭痛と認知症との関連性が認められるかを明らかにするため、メタ解析を実施した。Acta Neurologica Scandinavica誌オンライン版2021年9月15日号の報告。  各種データベース(PubMed、EBSCO、Web of Science、EMBASEなど)より2021年4月1日までに公表されたコホート研究を検索した。片頭痛患者における認知症のリスク比(RR)は、RevMan 5.1ソフトウエアを用いて算出した。不均一性の原因を評価するため、サブグループ解析および感度分析を行った。不均一性が認められた場合には、変量効果モデルを用いた。出版バイアスの評価には、Funnel plotとEgger's testを用いた。

PTSDやBPDにおける解離性症状と自殺傾向との関係

 解離性症状と自殺傾向は、心的外傷後ストレス障害(PTSD)や境界性パーソナリティ障害(BPD)の診断における特徴である。カナダ・マニトバ大学のJordana L. Sommer氏らは、PTSDとBPD患者における解離性症状(離人感や現実感消失症)と自殺傾向(自傷行為や自殺企図)との関連を調査した。Journal of Traumatic Stress誌オンライン版2021年8月23日号の報告。  2012~13年に行われた大規模疫学調査National Epidemiologic Survey on Alcohol and Related Conditions(NESARC-III)のデータを分析した(3万6,309例)。DSM-VのAlcohol Use Disorder and Associated Disabilities Interview Scheduleを用いて、PTSD患者およびBPD患者の寿命を評価した。PTSD患者およびBPD患者の解離性症状と自傷行為および自殺企図との関連を調査するため、多重ロジスティック回帰を用いた。

小児における抗うつ薬の投与量の推移と向精神薬増強療法との関係

 米国・メリーランド大学のO' Mareen Spence氏らは、小児における抗うつ薬治療開始後最初の6ヵ月間の抗うつ薬の投与量を調査し、その投与量と他の向精神薬による増強との関連について評価を行った。Pharmacoepidemiology and Drug Safety誌オンライン版2021年9月16日号の報告。  対象は、米国の商業保険患者に関する包括的なデータベースであるIQVIA PharMetrics Plusを用いて特定された、2007年1月~2015年6月に新規で抗うつ薬治療を開始した3~18歳のうつ病患者5,655例。新規抗うつ薬使用の定義は、治療開始前1年以内での抗うつ薬使用がないこととした。抗うつ薬治療開始6ヵ月間における投与量の推移は、潜在クラス成長分析を用いて分類した。アウトカムは、レジメンの変更(他の向精神薬による増強療法、他の抗精神病薬への切り替えの有無にかかわらず抗うつ薬の中止)とした。抗うつ薬治療開始前6ヵ月間に測定したベースラインの共変量は、人口統計学的要因、精神医学的併存疾患、医療サービスの利用であった。抗うつ薬の投与量の推移とレジメン変更とのオッズ比(OR)の算出には、多項ロジスティック回帰を用いた。

若年性認知症の特徴~千葉県での多施設調査

 若年性認知症は、65歳未満で発症した認知症と定義されており、頻度はまれであるものの、その社会的影響は大きい。千葉大学の平野 成樹氏らは、千葉県の認知症センター11施設における若年性認知症患者の診断や臨床的および社会的な特徴について調査を行った。Dementia and Geriatric Cognitive Disorders誌オンライン版2021年8月26日号の報告。  レトロスペクティブに1年間調査を実施した。臨床診断、発症年齢、調査年齢、神経心理学的検査、家族歴、就業、生活状況に関するデータを収集した。  主な結果は以下のとおり。

週末のキャッチアップ睡眠とうつ病との関係

 週末のキャッチアップ睡眠とうつ病との関係を検討するため、韓国・延世大学校医科大学のKyung Min Kim氏らは、調査を行った。Sleep Medicine誌オンライン版2021年9月1日号の報告。  2016年の第7回韓国国民健康栄養調査のデータを用いて検討を行った。うつ病の定義は、こころとからだの質問票(PHQ-9)スコア10以上とした。キャッチアップ睡眠の時間は、0時間以下、0~1時間、1~2時間、2時間以上で分類した。  主な結果は以下のとおり。

うつ病ケアに対する薬剤師介入の影響

 うつ病は、健康に重大な影響を及ぼす疾患である。うつ病患者の健康アウトカムを改善するために、薬剤師が関与した診療が役立つ可能性がある。タイ・シラパコーン大学のWaranee Bunchuailua氏らは、うつ病患者に対する薬剤師介入の影響を評価するため、ランダム化比較試験のシステマティックレビューおよびメタ解析を実施した。The Annals of Pharmacotherapy誌オンライン版2021年8月29日号の報告。  2019年12月までに報告された研究を国際データベース4件、国内データベース3件よりシステマティックに検索した。事前に定義した包括基準に基づき研究を選択し、バイアスリスク基準を用いて品質評価を行った。プールした推定値を分析し、相対リスク(RR)および標準平均差(SMD)を算出した。メタ解析において、研究間の不均一性が認められた場合には、変量効果モデルを用いた。

抗うつ薬はいつまで続ければよいのか?(解説:岡村毅氏)

抗うつ薬をいつまで内服すればよいのかという質問をよく受ける。世間的には「ずっと内服させるなんて論外だ、精神科医よ、さっさと減量・中止させよ」という声が大きいと思う。ところが現実はそう単純ではない。それを説明しよう。うつ病エピソードで、恐る恐る、あるいは半信半疑で精神科の外来を初診した患者さんがいるとする。『うつ病ですよ、薬物治療をしたほうがいいですよ』と言うと、最初は「薬は嫌だなあ」とか「どうしても飲んだほうがいいですか?」という姿勢の方も多い。治療が順調に進むと、会社に復帰し、さまざまな症状が良くなって、本人も自信を取り戻す。また医師ともなじみの関係になってきて、外来で冗談の1つも言うようになる。月日がたち、医師の側が『ではそろそろ減量して中止しましょう』と言うと、「それはよかった」と喜ぶ人と、「でも再発は嫌だなあ、あんな体験は絶対に嫌だ、ずっと薬飲んじゃだめですか」という人がいる。

統合失調症と肥満~メタ解析

 統合失調症および抗精神病薬と代謝調整不全との関係は、現在十分に確立された知見が示されているが、肥満に対する影響についてはよくわかっていない。カナダ・Centre for Addiction and Mental HealthのEmily Smith氏らは、肥満測定画像技術の所見を統合することにより、統合失調症患者の病状や治療に対する肥満の影響を検討するため、システマティックレビューおよびメタ解析を実施した。Acta Psychiatrica Scandinavica誌オンライン版2021年8月30日号の報告。  2021年2月までに報告されたケースコントロール研究およびプロスペクティブ縦断研究を、MEDLINE、EMBASE、PsychINFO、Scopusより検索した。主要アウトカムは、体脂肪率、皮下脂肪、内臓脂肪を含む肥満関連の測定値とした。

うつ病女性に対する運動介入効果~メタ解析

 うつ病は、男性よりも女性の割合が高い疾患である。これは、思春期、月経、妊娠、更年期などにおける女性の生理学的調整が、男性と異なることが原因であると考えられる。そのため、うつ病女性の治療は、健康上の課題となっている。また、うつ病に対する運動介入に関する最近の研究では、薬物療法や心理療法と対照的に、優れた効果が示唆されており、利便性、迅速性、副作用がないこと、短長期的有効性が認められている。中国・広西師範大学のLin-Bo Yan氏らは、抑うつ症状を有する女性に対する運動介入の臨床的な有効性を明らかにするため、システマティックレビューを行った。Medicine誌2021年8月20日号の報告。