精神科/心療内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:131

統合失調症に対する抗精神病薬治療効果とテロメア長との関連

 統合失調症の重症度や認知機能障害に対する持続性注射剤(LAI)および経口剤の非定型抗精神病薬の有効性とテロメア長との関連について、インド・University College of Medical Sciences and Guru Teg Bahadur HospitalのNisha Pippal氏らが調査を行った。International Journal of Psychiatry in Clinical Practice誌オンライン版2021年10月29日号の報告。  18~50歳の性別を問わない統合失調症患者60例を対象に、12週間の研究を実施した。LAI抗精神病薬と経口抗精神病薬を、それぞれ30例に投与した。ベースライン時および12週間時点で、陽性・陰性症状評価尺度(PANSS)およびインド国立精神衛生神経科学研究所(NIMHANS)の神経心理学的テスト・バッテリーを用いた評価を行った。テロメア長は、ベースライン時に推定した。

円形脱毛症と認知症リスク~コホート研究

 円形脱毛症は、さまざまな併存疾患と関連しており、認知症と同様の徴候が認められる疾患である。また、円形脱毛症による心理社会的なマイナスの影響は、認知症のリスク因子である社会との関与の低下につながる可能性がある。しかし、円形脱毛症と認知症との関連は、これまであまり知られていなかった。台湾・台北栄民総医院のCheng-Yuan Li氏らは、円形脱毛症と認知症リスクとの関連を調査するため、コホート研究を実施した。The Journal of Clinical Psychiatry誌2021年10月26日号の報告。  1998~2011年の台湾全民健康保険データベースより、45歳以上の円形脱毛症(ICD-9診断コード:704.01)患者2,534例および、年齢、性別、居住地、収入、認知症関連併存疾患、全身性ステロイド薬の使用、毎年の外来通院でマッチさせた対照群2万5,340例を抽出し、2013年までの認知症発症状況を調査した。潜在的な交絡因子で調整した後、マッチさせた各ペアの層別Cox回帰分析を用いて、円形脱毛症患者と対照群の認知症リスクを評価した。

ブロナンセリン経皮吸収型製剤への切り替えによる錐体外路症状への影響

 ブロナンセリンは、統合失調症治療に用いられる第2世代抗精神病薬であり、経口剤(錠剤、散剤)だけでなく経皮吸収型製剤としても使用可能な薬剤である。岐阜大学の大井 一高氏らは、統合失調症患者に対しブロナンセリンの経口剤から経皮吸収型製剤への切り替えを行うことにより、錐体外路症状(EPS)の減少および/または薬物動態安定による抗パーキンソン薬の投与量減少に寄与するかについて、52週間の非盲検試験の事後分析を実施し、評価を行った。Progress in Neuro-Psychopharmacology & Biological Psychiatry誌オンライン版2021年11月3日号の報告。

日本人外来患者の片頭痛予防に対するフレマネズマブの長期安全性と忍容性

 従来の片頭痛に対する長期的な予防効果は、早期の治療中止やアドヒアランス不良による影響を受ける。そのため、長期にわたり安全性が良好な片頭痛予防薬が求められる。埼玉精神神経センターの坂井 文彦氏らは、日本人の慢性または反復性片頭痛患者に対するフレマネズマブによる予防的治療の長期的な安全性および忍容性を評価するため、検討を行った。Drug Safety誌2021年12月号の報告。  本研究は、52週間のランダム化非盲検並行群間試験として実施された。新たにエントリーされた日本人の慢性または反復性片頭痛患者を対象に、フレマネズマブを月1回投与する群と四半期ごとに投与する群にランダムに割り付けた。安全性は、注射部位の反応、検査値、バイタルサインを含む、治療による有害事象(TEAE)のモニタリングにより評価した。新たにエントリーされた患者、以前の第IIb/III相試験でフレマネズマブが投与されなかったロールオーバー患者、合計587例を免疫原性試験コホートに含めた。有効性アウトカムは、1ヵ月当たりの平均片頭痛日数のベースラインからの変化、1ヵ月当たりの中等度~高度の頭痛日数のベースラインからの変化などであった。その他の有効性アウトカムとして、障害スコアの変化を評価した。

抗精神病薬への治療反応と皮質厚との関係

 統合失調症では、クロザピン以外の抗精神病薬による治療で十分な効果が得られない治療抵抗性患者が一定数存在し、その割合は3分の1程度であるといわれている。昭和大学の板橋 貴史氏らは、治療抵抗性患者と治療反応患者において、異なる病態生理学的特徴が存在するかを調査した。NeuroImage: Clinical誌オンライン版2021年10月7日号の報告。  対象は、統合失調症患者110例(治療反応群:46例、治療抵抗性群:64例)および健康対照群52例。皮質厚に焦点を当て、MRIの国際マルチサイト断面データを用いて分析した。治療反応群または治療抵抗性群のいずれかに関連する脳領域を発見するため、L1正則化ロジスティック回帰を用いた。ネストされた10分割交差検証を行い、鑑別精度および曲線下面積(AUC)を算出した。次に、分類子の交換可能性を調査するため、治療反応群または治療抵抗性群の分類子をもう一方の群に適用させた。

統合失調症の抗精神病薬関連代謝異常~最新レビュー

 代謝異常や肥満は、統合失調症患者の主な心血管イベントのリスク因子である。その結果として、統合失調症患者は、そうでない人と比較し、死亡率が高く、平均寿命が短くなる。統合失調症と代謝異常との関係は、特定の遺伝学的または病理学的リスクが影響している可能性もあるが、抗精神病薬(とくに第2世代抗精神病薬)が体重増加や代謝異常リスクを上昇させていると考えられる。台湾・台北医学大学のShen-Chieh Chang氏らは、抗精神病薬に関連する体重増加や代謝異常、それらのメカニズム、モニタリングガイドライン、介入に関する文献のレビューを行った。World Journal of Psychiatry誌2021年10月19日号の報告。

日本人統合失調症患者における抗精神病薬の製剤満足度調査

 藤田医科大学の波多野 正和氏らは、服薬アドヒアランスに影響を及ぼす因子を特定するため、統合失調症患者を対象に処方された抗精神病薬の製剤に関する主観的なアンケート調査を実施した。Clinical Psychopharmacology and Neuroscience誌2021年11月30日号の報告。  処方された抗精神病薬の製剤に対する患者の満足度および不満度を評価するため、薬に対する構えの評価尺度(DAI-10)を用いた。対象患者は、同一成分、同一製剤の抗精神病薬を1ヵ月以上服用している20~75歳の統合失調症患者とした。

日本人高齢者におけるコーヒー、緑茶、カフェインと認知症リスク

 コーヒー、緑茶、カフェインは、高齢者の認知症予防の潜在的な因子といわれているが、根拠となるエビデンスは十分ではない。新潟大学のNana Matsushita氏らは、中高年の認知症リスクとコーヒー、緑茶、カフェインの摂取との関連を調査した。Journal of the American Geriatrics Society誌オンライン版2021年10月8日号の報告。  本研究は、8年間フォローアップを行ったコホート研究である。対象者は、40~74歳の日本の地域住民1万3,757人。2011~13年に自己記入式のアンケート調査を実施した。予測因子は、コーヒー、緑茶の消費量とし、そこからカフェインの摂取量を推定した。アウトカムは、介護保険データベースより抽出した認知症発症とした。調整済みハザード比(HR)の算出には、Cox比例ハザードモデル、遅延組み入れCoxモデルを用いた。

精神病性うつ病の疾患経過に影響を及ぼす因子

 精神病性うつ病は、重度の症状や疾患経過を伴う疾患であるが、いまだ十分に研究されていない。フィンランド・トゥルク大学のMiika Nietola氏らは、精神病性うつ病の発症年齢や疾患経過に対する性別および精神医学的併存疾患の影響について調査を行った。Journal of Affective Disorders誌オンライン版2021年10月8日号の報告。  本研究は、1966年フィンランド北部の出生コホートに基づき実施された。精神医学的診断歴、入院歴、発症年齢、障害年金受給率、死亡率に関するデータを収集した。精神病性うつ病患者58例において、性別およびアルコール使用障害またはパーソナリティ障害の合併に基づくサブグループ間における疾患経過を比較した。

他の抗CGRP抗体への切り替えによる片頭痛予防効果

 ある抗CGRP(受容体)モノクローナル抗体に反応しなかった片頭痛患者に対する他の抗CGRP抗体への切り替えは治療選択肢の1つとなりうる可能性があるが、現時点ではデータが不足している。ドイツ・シャリテー-ベルリン医科大学のLucas Hendrik Overeem氏らは、抗CGRP受容体モノクローナル抗体であるエレヌマブによる治療で有効性または安全性の懸念が認められた患者に対する他の抗CGRP抗体による治療反応を評価した。Cephalalgia誌オンライン版2021年10月13日号の報告。  対象は、ドイツの頭痛センター4施設において、効果不十分または継続しがたい副作用により他のCGRP抗体へ切り替えを行った片頭痛患者78例。対象患者の頭痛日誌をレトロスペクティブに分析した。対象患者のうちエレヌマブによる3サイクルの治療に反応が認められず(1ヵ月当たりの片頭痛日数の減少が30%未満)、他のCGRP抗体治療開始1ヵ月前および治療中に完全な頭痛データが得られた25例を特定した。主要評価項目は、ガルカネズマブまたはフレマネズマブ切り替え3ヵ月後における30%以上の治療反応率とした。副次的評価項目は、50%以上の治療反応率、1ヵ月当たりの片頭痛日数、1ヵ月当たりの急性頭痛薬の使用日数とした。対象患者を頭痛頻度が毎日(9例)または非毎日(16例)で層別化し、探索的サブグループ解析を行った。