精神科/心療内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:376

ビタミンDと透析患者の抑うつ症状との関連

 うつ病は、末期腎不全(ESRD)患者において最も広く知られている心理的問題である。また、うつ病とビタミンD不足との関連が示唆されていた。中国・浙江大学のJisheng Zhang氏らは、透析患者における高感度C反応性蛋白(HsCRP)値、ビタミンD値とうつ病との関連を検討した。BMC Psychiatry誌オンライン版2014年4月28日号の掲載報告。

スルピリドをいま一度評価する

 スルピリドは、有害事象の頻度が低く、統合失調症の陰性症状に有効とされる比較的古い抗精神病薬である。相対的に安価でもあるスルピリドは、いくつかの新規非定型抗精神病薬と神経薬理学的プロファイルが類似する。中国・上海交通大学医学院のJijun Wang氏らは、統合失調症に対するスルピリドの有用性をプラセボと比較評価するメタ解析を行った。その結果、プラセボに対する優越性を示すエビデンスはきわめて限られており、著者は、「良好なエビデンスが得られるまでは、臨床試験ではなく実臨床のデータを参考として使用すべきであろう」と報告している。Cochrane Database of Systematic Reviewsオンライン版2014年4月11月号の掲載報告。 スルピリドの精神疾患に対する効果をプラセボと比較 本研究は、統合失調症および重大なその他の精神疾患に対するスルピリドの効果をプラセボと比較評価することを目的として行われた。Cochrane Schizophrenia Group Trials Register(2008年9月)、ならびに引用から特定されたすべての試験のreferenceを検索した。製薬企業や著者と連絡をとり追加情報も得た。検索は、2012年11月7日時点でアップデートし、統合失調症および統合失調症様の精神疾患を対象としたスルピリドとプラセボの無作為化比較試験(RCT)すべてを検索対象とした。主要アウトカムは、全般的状態の臨床的に有意な改善とした。文献と抄録を独自に詳細に調査して文献を入手し、再調査してそれらの質を評価した。データはIMOとJWを用いて抽出。ランダム効果リスク比(RR)を用いて二分法のデータを解析し、95%信頼区間(CI)を算出した。連続変数データが含まれている場合は、ランダム効果平均差(MD)を95%CIとともに解析した。 スルピリドの優越性を示すエビデンスはきわめて限られていた スルピリドの効果をプラセボと比較した主な結果は以下のとおり。 ・2012年の検索において、新しい試験は含まれていなかった。 ・レビューしたところ、スルピリドとプラセボの短期比較を行った2件の試験(計113例)が含まれていた。 ・いずれの試験においても、主要アウトカム(全般的状態:臨床的に有意な改善)および副次アウトカム(QOL・重篤な有害事象・安全性評価)に関する報告はなかった。 ・精神状態に関しては、陽性症状、陰性症状とも2群間で明らかな差はみられなかった。 ・Manchester scaleで測定した陽性症状は分布に偏りがあったため、メタ解析には含めなかった(18例、RCT 1件、エビデンスの質:きわめて低い)。 ・Manchester scaleで測定した陰性症状もまた明らかな差は示されなかった(18例、RCT 1件、MD:-3.0、95%CI:-1.66~1.06、エビデンスの質:きわめて低い)。 ・試験を3ヵ月間継続していた者はほとんどいなかった(113例、RCT 2件、RR:1.00、95%CI:0.25~4.00)。 ・Current Behaviour Schedule(CBS)により、プラセボ群における1つのサブスコアで、社会的行動の有意な改善が認められた(18例、RCT 1件、MD:-2.90、95%CI:-5.60~-0.20)。 ・全般的アウトカム、サービスの使用、有害事象など多くの重要なアウトカムに関するデータはまったく報告されていなかった。 ・以上、スルピリドは効果的な抗精神病薬であるものの、無作為化比較試験によるプラセボに対する優越性を示すエビデンスはきわめて限られていた。

統合失調症患者の過度なカフェイン摂取、どう対処すべき

 先行研究において、統合失調症患者は一般集団よりもカフェイン摂取率が高いことが示されている。しかし質的研究は行われていなかったことから、オーストラリア・Neami NationalのLisa Thompson氏らは、統合失調症患者におけるカフェイン摂取の影響に関する検討を行った。その結果、個々のカフェイン摂取に対する信条や行動が明らかとなり、個々人へのアプローチが大切であることを報告した。BMC Psychiatry誌オンライン版2014年4月16日号の掲載報告。

「笑い」でうつ病診断が可能に

 「笑い(laughter)」は、うつ病および潜在的な精神疾患の発症および進展の診断ツールとして有用である可能性が、スペイン・Aragon Institute of Health ScienceのJ. Navarro氏らにより報告された。笑いは医学分野において、健康へのよい影響をもたらすことや重大疾患の予防や治療の手法としては研究されてきたが、疾患の予測指標となる可能性や診断ツールとしての可能性については検討されていなかった。Journal of Affective Disorders誌2014年5月号の掲載報告。

「歩行とバランスの乱れ」はアルツハイマーのサインかも

 バランスと歩行の障害は、アルツハイマー型認知症(AD)のごく初期のサインである可能性が、米国・イサカ・カレッジのLaura Z. Gras氏らによる検討の結果、示された。結果を踏まえて著者は、「これらの問題の認識が以降の理学療法介入を早め、バランスと歩行の障害のさらなる進行を遅らせることが可能になるだろう」と述べている。先行研究で、AD患者では歩行とバランスに障害が出ることが示されている。しかし、その障害を認知症の程度(軽度~重度)の区別なく一律に捉えていた。Journal of Geriatric Physical Therapy誌オンライン版2014年4月21日号の掲載報告。

座りきりの生活は心にどのような影響を及ぼすか

 座りきりの生活(TV視聴、インターネット利用、読書)すべてが必ずしも、精神衛生に悪影響をもたらすわけではないことが、英国・ユニヴァーシティ・カレッジ・ロンドンのMark Hamer氏らによる調査の結果、報告された。また、TV視聴時間が長いと認知機能低下との関連がみられたが、ネット利用者では認知機能が高いこととの関連がみられたという。Medicine & Science in Sports & Exercise誌2014年4月号の掲載報告。

小児ADHD、食事パターンで予防可能か

 これまで子供の行動における食事の役割は議論されてきたが、小児期の行動障害と複数の栄養因子との関連が絶えず示唆されている。韓国・国立がんセンターのHae Dong Woo氏らは、注意欠陥・多動性障害(ADHD)に関連する食事パターンを明らかにするため、症例対照研究を行った。その結果、伝統的かつ健康的な食事を摂取することで、ADHDリスクが低下する可能性があることが示唆された。Nutrients誌オンライン版2014年4月14日号の報告。

抗精神病薬誘発性持続勃起症への対処は

 持続勃起症(プリアピスム)は、性的刺激とは関係なく陰茎の勃起状態が、3時間以上続く状態であり、痛みを伴うことが多い。持続勃起症は泌尿器科的な緊急事態で重篤な合併症を引き起こす可能性がある。持続勃起症の発症の25~40%は薬物が原因で、抗うつ薬、降圧薬、抗凝固薬、交感神経α受容体遮断薬ほか精神を活性化する物質(アルコール、コカイン、大麻など)などが含まれるが、薬物関連の持続勃起症の約50%は抗精神病薬に起因するという。モロッコ・Ar-Razi大学精神科病院のJ. Doufik氏らは、抗精神病薬により誘発された持続勃起症とその対処について、症例報告を行った。Encephale誌オンライン版2014年4月4日号の掲載報告。  研究グループは、とくに非安定性の精神疾患患者において、臨床医はこのまれな副作用とその処置の困難さを認知しておくべきであるとして本症例報告を行った。