精神科/心療内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:430

軽度アルツハイマー病患者と介護者に対する社会心理的介入は有効か?

 DAISYと呼ばれる軽度アルツハイマー病患者とその介護者に対する多角的で準個別化された介入法は、患者の認知症の進行、うつ状態、QOLおよび介護者のうつ状態、QOLを改善しないことが、デンマーク・コペンハーゲン大学病院のF B Waldorff氏らが行ったDAISY試験で示された。中等度~高度アルツハイマー病患者とその介護者に対するカウンセリングや心理社会的介入により、患者の病態が改善する可能性が示唆されている。しかし、患者と介護者双方への介入について検討した試験は少なく、軽度の患者を対象とした試験はこれまでなかったという。BMJ誌2012年8月18日号(オンライン版2012年7月17日号)掲載の報告。

うつ病の5人に1人が双極性障害、躁症状どう見つける?

 わが国の気分障害患者は増加の一途をたどっている。気分障害の中でも、躁病エピソードとうつ病エピソードを繰り返す双極性障害の診断・治療への関心は高い。治療に関しては、双極性障害の適応を有する薬剤が最近いくつか承認された背景もあり、日本うつ病学会は本年(2012年)3月末に双極性障害治療ガイドラインの改訂を行っている。一方、診断に関しては、躁症状や軽躁状態を把握することが難しく、うつ病と診断されるケースも少なくない。Perugi氏らは、双極性障害の診断ツールとして開発され、国際的にテストされているHCL-32(Hypomania Checklist-32)の有用性を検討し、Psychopathology誌オンライン版2012年8月7日号で報告した。

せん妄の早期発見が可能に

 高齢入院患者におけるせん妄発現は患者や家族の苦痛だけでなく、入院期間の延長や医療事故、医療スタッフの負荷増大などさまざまな弊害をもたらす。そのため対応方法の確立が急がれる。せん妄に対応するためには、早期発見が重要である。海外では、せん妄評価法(Confusion Assessment Method:CAM)が一般病棟におけるせん妄の早期発見に用いられている。Thomas氏らは、高リスク患者のせん妄のスクリーニングと診断についてICD-10およびDSM-IVと比較して、CAMアルゴリズムのせん妄判定基準が有用であるかを検討した。J Am Geriatr Soc誌オンライン版2012年8月6日号の報告。

統合失調症患者における「禁煙」は治療に影響を与えるか?

 統合失調症患者の喫煙率がなぜ高いのか? この理由に関してはいまだ明らかになっていない。従来、この疑問を評価した研究では、不均一な集団をサンプリングし、不一致な所見を示していた。Krishnadas氏らはスコットランドのNithsdale在住の統合失調症患者131例を対象に臨床像、社会的適応とニコチン依存の関係を横断的に調査した。Br J Psychiatry誌オンライン版2012年8月9日号の報告。

プライマリ・ケアでの女性へのパートナーの暴力に関するスクリーニング、QOLは改善せず

 プライマリ・ケアで行われている、女性に対するパートナーの暴力に関するスクリーニングや関連プログラムの紹介は、身体的・精神的QOLスコアの改善にはつながらないことが報告された。米国疾病予防管理センター(CDC)のJoanne Klevens氏らが、約2,700人の女性について行った無作為化比較試験の結果で、JAMA誌2012年8月15日号で発表された。パートナーの暴力に関するスクリーニングは、多くの医療機関で実施されているが、患者のアウトカムに与える影響についてのエビデンスは乏しかったという。

薬物依存PTSD患者、PE法による統合治療でPTSD症状がより大きく改善

 外傷後ストレス障害(PTSD)で薬物依存を有する患者に対して、PTSDの認知行動療法の1つである持続エクスポージャー法(prolonged exposure therapy:PE)を用いたPTSD・薬物依存の併用治療は、薬物依存の重症度を増大することなくPTSD症状をより大きく改善することが明らかにされた。オーストラリア・ニューサウスウェールズ大学のKatherine L. Mills氏らが、103人の患者について行った無作為化対照試験の結果報告したもので、JAMA誌2012年8月15日号で発表した。薬物依存を有するPTSD患者は少なくないが、そうした患者に対するPE法の適切性については明らかでなかったという。

他SSRI切替、どの程度の効果?:北海道大学

 現在わが国では、うつ病患者に対し複数のSSRIが使用可能である。また、SNRIやNaSSAなど新たな作用機序を有する抗うつ薬も発売され、うつ病の治療選択肢は広がった。うつ病治療においては、寛解を目指すことが求められるが、最初に選択した薬剤で必ずしも寛解を達成できるわけではない。そのような際、第1選択薬のSSRIから同様なセロトニンの再取り込みを阻害作用を有するほかのSSRIへ切り替えることは、臨床的にメリットがあるのだろうか? 北海道大学 井上氏らは未寛解や治療不耐性の大うつ病患者に対し、ほかのSSRIからセルトラリンに切り替えた際の、長期有効性および安全性を検討した。Prog Neuropsychopharmacol Biol Psychiatry誌2012年8月7日号の報告。

長期の睡眠薬服用、依存形成しない?!

 常用している睡眠薬を急激に減量・中断すると、睡眠薬の服用前よりも強い不眠が出現することがある。このような症状を「反跳性不眠」という。反跳性不眠や退薬症候は睡眠薬の投与を中止する上での弊害となり、漫然と投与を継続する要因となりうる。Roehrs氏らは、慢性的な睡眠薬の投与が反跳性不眠・退薬症候に与える影響を前向きプラセボ対照試験にて検討した。J Psychopharmacol 誌2012年8月号の報告。

〔CLEAR! ジャーナル四天王(7)〕 はたして運動療法は慢性心不全患者に潜む「うつ症状」を改善しえるのか?

 慢性心不全はその病態が重症になれば心拍出量の低下から「労作時の息切れ」や「全身倦怠感」など、うつ病とよく似た症状が出現する。また慢性心不全の治療は根治することがなく長期にわたり、患者は塩分コントロールによる食事制限や飲水量制限が厳しく科せられることが多く、抑うつ状態となる場合も少なくない。実際、慢性心不全患者の20~40%にうつ病が合併するという報告がなされている。