精神科/心療内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:86

抗うつ薬治療抵抗性うつ病に対するブレクスピプラゾール補助療法~国内第II/III相ランダム化比較試験

 抗うつ薬への治療反応が不十分であることは、効果的なうつ病治療の妨げとなる。関西医科大学の加藤 正樹氏らは、抗うつ薬治療で効果不十分な日本人うつ病患者を対象に、ブレクスピプラゾール補助療法の投与量、有効性、安全性を評価するため、国内第II/III相ランダム化比較試験であるBLESS試験を実施した。Psychiatry and Clinical Neurosciences誌オンライン版2023年11月7日号の報告。  BLESS試験は、8週間の単盲検期間では抗うつ薬治療で効果不十分であった日本人治療抵抗性うつ病患者を対象としたプラセボ対照ランダム化多施設共同並行群間第II/III相試験である。SSRI/SNRI治療で効果不十分なうつ病患者を対象に、6週間のブレクスピプラゾール1mg、2mgまたはプラセボの補助療法を行う群にランダムに割り付けられた。治療抵抗性うつ病患者の定義は、1~3の抗うつ薬治療では、ハミルトンうつ病評価尺度(HAMD-17)合計スコア14以上と効果不十分であった患者とした。主要エンドポイントは、Montgomery Asbergうつ病評価尺度(MADRS)合計スコアのベースラインからの変化とした。副次的エンドポイントは、MADRSによる治療反応、寛解率、臨床全般印象度の改善度(CGI-I)スコアとした。安全性は、とくに抗精神病薬の有害事象に関して包括的に評価した。

ソーシャルメディアの使用、健康に及ぼす影響とは/BMJ

 ソーシャルメディアの利用は、若年層において、好ましくない健康リスク行動と関連しており、なかでも健康リスク行動を表示する情報内容は、不健康な食生活やアルコール摂取と強く関連することが、英国・グラスゴー大学のAmrit Kaur Purba氏らの調査で明らかとなった。研究の成果は、BMJ誌2023年11月29日号で報告された。

統合失調症患者に対する心血管リスク最適化プログラム

 心血管疾患は、統合失調症患者の早期死亡の主な原因の1つである。関連する修正可能なリスク因子には、不健全なライフスタイル、薬剤性副作用、身体的併存疾患などが含まれる。スペイン・ビック大学のNuria Riera-Molist氏らは、統合失調症患者の心血管リスク(CVR)低下のための6ヵ月間にわたる多因子CVR介入の有効性を評価する目的で本研究を実施した。その結果、患者中心の多因子CVR介入は統合失調症患者の6ヵ月後のCVRを改善し、それは主に脂質プロファイルの改善によりもたらされていたという。Journal of Psychiatric Practice誌2023年11月1日号の報告。

オミクロン株感染で脳が変化、認知機能に影響か

 新型コロナウイルスのオミクロン株による感染後急性期の脳への影響はわかっていない。今回、中国・Second Xiangya Hospital of Central South UniversityのYanyao Du氏らが、オミクロン株感染後の男性患者における臨床症状、灰白質と皮質下核の変化を調べたところ、急性期に左楔前部と右後頭外側部の灰白質厚と、頭蓋内総容積に対する右海馬容積の割合が大幅に減少していたことがわかった。また、灰白質厚と皮質下核容積損傷が不安や認知機能と有意に関連することが示された。JAMA Network Open誌2023年11月30日号に掲載。

日本の大学病院の外来における睡眠薬の処方傾向

 日本では、不眠症治療のための1日当たりの睡眠薬の投与量が年々増加しており、睡眠薬治療への過度な依存が大きな問題となっている。久留米大学の加藤 隆郎氏らは、自院において、1年間で3種類以上の睡眠薬を減量・中止するために必要な要因の検討を試みた。Neuropsychopharmacology Reports誌オンライン版2023年11月9日号の報告。  次の2つの調査が実施された。調査1では、2013年1月~2019年3月に一般外来および精神科外来を受診したすべての患者の診療データをレトロスペクティブに調査し、3種類以上の睡眠薬の処方頻度を評価した。調査2では、2013年4月~2019年3月に精神科外来を複数回受診し、3種類以上の睡眠薬を処方されたすべての患者の診療データをレトロスペクティブに調査し、その後1年間の睡眠薬と向精神薬の処方変化を評価した。

精神科医の統合失調症薬物治療ガイドライン順守と患者の労働時間

 統合失調症は社会的機能不全を伴う精神障害であり、患者の労働時間の短縮などさまざまな課題を引き起こす。国立精神・神経医療研究センターの伊藤 颯姫氏らは、精神科医のガイドライン順守と統合失調症患者の労働時間との関連を調査した。統合失調症の薬物治療ガイドラインを精神科医がどの程度順守しているかを測定するため、本研究の研究者らは患者ごとの精神科医のアドヒアランスに関する治療適合度(individual fitness score:IFS)を最近開発した。しかし、精神科医のアドヒアランス向上が、労働時間などの患者の社会的機能アウトカムの改善にどの程度関連しているかは、依然としてよくわかっていなかった。Schizophrenia (Heidelberg, Germany)誌2023年11月7日号の報告。

片頭痛の隠れた経済的影響~英国政府のコスト分析

 片頭痛は、15~49歳の人々において世界的に最も高い疾患負担をもたらす疾患であり、行動不能に陥る可能性のある精神疾患である。欧州における片頭痛有病率は、北米、南米、中央アフリカに次いで4番目に高く、アジアやアフリカよりも高いといわれている。片頭痛による直接的な医療費は比較的少額であるものの、生産性の低下による間接的な経済的影響は大きい。オランダ・フローニンゲン大学のRui Martins氏らは、片頭痛の経済的負担について、政府のコストの観点から検討を行った。Journal of Health Economics and Outcomes Research誌2023年10月3日号の報告。

妊婦の不眠症に対する認知行動療法の有用性~メタ解析

 妊婦の不眠症を改善するために、第一選択治療として認知行動療法(CBT-I)を用いることは、有用である可能性がある。しかし、フォローアップ時における妊婦に対するCBT-Iのコンポーネント、方法、回数、有効性については、明らかになっていない。中国・香港大学のXingchen Shang氏らは、妊婦に対するCBT-Iの有効性を評価し、効果的な介入のためのコンポーネント、方法、回数を特定するため、システマティックレビューおよびメタ解析を実施した。その結果、妊婦に対するCBT-Iは、短期的な不眠症改善に有効である可能性が示唆されたものの、長期的な有効性は依然として不明なままであり、今後の長期フォローアップを伴う研究が必要であることを報告した。Sleep Medicine誌2023年12月号の報告。

コーヒーがアルツハイマー型認知症リスクに及ぼす影響~メタ解析

 アルツハイマー病は、世界中で数百万人が罹患している神経変性疾患である。その予防や発症を遅らせる可能性のある生活要因の特定は、研究者にとって非常に興味深いことである。現在の研究結果に一貫性はないものの、広く研究されている因子の1つにコーヒーの摂取量がある。韓国・仁済大学校のIrin Sultana Nila氏らは、コーヒー摂取量がアルツハイマー病リスクに及ぼす影響について、システマティックレビューおよびメタ解析を実施した。その結果、1日のコーヒー摂取が1~4杯でアルツハイマー病リスクの低減がみられたが、4杯以上ではリスクが増加する可能性が示唆された。Journal of Lifestyle Medicine誌2023年8月31日号の報告。

非定型抗精神病薬の胃腸穿孔・腸閉塞リスク~MID-NETデータに基づく医薬品安全性評価

 胃腸穿孔・腸閉塞は、抗精神病薬によって引き起こされる有害事象の1つであるが、添付文章上の警告情報については、各抗精神病薬により異なっている。医薬品医療機器総合機構の長谷川 知章氏らは、非定型抗精神病薬を処方された患者における胃腸穿孔・腸閉塞リスクを評価するため、日本の医療情報データベースMID-NETのリアルワールドデータを用いて、ネステッドケースコントロール研究を実施した。Therapeutic Innovation & Regulatory Science誌オンライン版2023年10月29日号の報告。  調査期間は、2009~18年。非定型抗精神病薬を処方された患者における胃腸穿孔・腸閉塞リスクを、定型抗精神病薬を処方された患者と比較し、評価を行った。