精神科/心療内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:88

長時間労働に関連するうつ病リスクに対する身体活動の影響

 長時間労働がうつ病発症率の増加と関連していることを示唆する研究が増加している。しかし、長時間労働に関連するうつ病リスクに対する身体活動(PA)の影響を調査した研究はほとんどなかった。中国・Beijing Institute of Occupational Disease Prevention and TreatmentのTenglong Yan氏らは、PAが長時間労働に関連するうつ病リスクの修正可能な因子であるかを検討した。その結果、長時間労働はうつ病リスクと関連しており、PAはうつ病リスクをある程度修正可能であることが示唆された。Journal of Affective Disorders誌2023年1月15日号の報告。

双極性障害に対する多剤併用療法~リアルワールドデータ

 双極性障害に対する薬物治療は、多剤併用で行われることが少なくない。イタリア・ジェノバ大学のAndrea Aguglia氏らは、双極性障害患者に対する複雑な多剤併用に関連する社会人口学的および臨床的特徴を明らかにするため、検討を行った。結果を踏まえて著者らは、とくに薬物治療の中止が必要な場合においては、双極性障害の長期マネジメントのための明確なガイドラインを作成する必要があることを報告した。Psychiatry Research誌2022年12月号の報告。  対象は、双極性障害患者556例。社会人口学的および臨床的特徴、薬理学的治療に関する情報は、半構造化インタビューを用いて収集した。対象患者を複雑な多剤併用(4剤以上の向精神薬の併用)の状況に応じて2群に分類した。両群間の比較は、t検定およびカイ二乗検定を用いて評価した。また、複雑な多剤併用に関連する因子を特定するため、ステップワイズロジスティック回帰を用いた。

レビー小体型認知症の初期症状の特徴

 レビー小体型認知症(DLB)は、神経変性疾患による認知症のうち2番目に多いとされる。DLBは認知機能障害の変動を特徴としているが、認知機能症状が出現する前に、急速眼球運動、睡眠行動障害、精神症状、自律神経症状、パーキンソン症状などが認められることが多い。そのため、DLBの初期段階では他疾患と診断されることも少なくない。中国・天津医科大学のMin Fei氏らは、DLBの初期症状の特徴を調査し、DLBの早期診断に必要な手掛かりを得ようと試みた。その結果、DLB患者の初期症状は性別や年齢により違いが認められた。著者らは、DLBの初期症状を理解することでより正確な診断が可能となるであろうとまとめている。Frontiers in Neurology誌2022年10月12日号の報告。

せん妄に対する薬理学的治療~システマティックレビュー

 入院患者におけるせん妄のマネジメントに用いられる薬剤の有効性を調査するため、ドイツ・ゲッティンゲン大学のMonika Sadlonova氏らは、最新情報を包括的に網羅したシステマティックレビューを実施した。その結果、一部の入院患者においては、激越といったせん妄症状が薬物治療により軽減することが期待できるという。ただし、手術後、終末期、ICU入室など、さまざまな入院患者に対する薬理学的介入の有効性を評価するためには、追加の二重盲検ランダム化プラセボ対照試験を行う必要があると著者らは述べている。General Hospital Psychiatry誌オンライン版2022年10月21日号の報告。

模擬運転プログラムで、10代ADHDの衝突事故が低減/NEJM

 注意欠如・多動症(ADHD)を持つ10代は自動車衝突事故のリスクが高く、衝突リスクの一因として、道路から長時間目をそらす行為が指摘されている。米国・シンシナティ小児病院医療センターのJeffery N. Epstein氏らは、この長時間の目そらしを少なくするためのコンピュータ化された模擬運転プログラムによる介入が、従来の自動車運転教育と比較して、模擬運転で道路から長時間目をそらす行為の回数を減少させ、車線内の中心からの位置のずれを抑制し、実社会でも衝突事故や異常接近が低下することを示した。研究の成果は、NEJM誌2022年12月1日号に掲載された。

小児および思春期の抗精神病薬による血清プロラクチンレベルの性差~メタ解析

 血清プロラクチンレベルに及ぼす因子はさまざまあるが、中でも性別、身体的発達、投薬の影響が大きい。抗精神病薬は、成人および若年患者の血清プロラクチンレベルを上昇させることは知られているが、小児・思春期患者における高プロラクチン血症発症に対する性別と脆弱性との潜在的な関連性を検討した研究はほとんどなかった。スペイン・バルセロナ大学のLidia Ilzarbe氏らは、抗精神病薬治療を行っている小児および思春期の精神疾患患者における血清プロラクチンレベルに対する性別の影響を評価するため、システマティックレビューおよびメタ解析を実施した。その結果、抗精神病薬を投与された小児および思春期患者では、血清プロラクチンレベルの増加が認められ、この増加は男性よりも女性においてわずかに大きいことが示唆された。Current Neuropharmacology誌オンライン版2022年10月27日号の報告。

肺炎およびフレイルと認知症リスク~日本老年学的評価研究

 最近、いくつかの研究において、フレイルの増加による認知機能低下および認知症のリスク増加に、肺炎が影響を及ぼす可能性が報告されている。大阪大学のParamita Khairan氏らは、肺炎歴とその後の認知症リスクとの関連を調査した。その結果、肺炎歴の有無にかかわらずフレイルおよびプレフレイル(フレイルの前駆状態)が、日本人高齢者の認知症リスク増加と関連していることが示唆された。International Journal of Geriatric Psychiatry誌2022年11月号の報告。

早期アルツハイマー病へのlecanemab、第III相試験結果/NEJM

 早期アルツハイマー病において、可溶性アミロイドβ(Aβ)凝集体プロトフィブリルに選択的に結合するヒトIgG1モノクロナール抗体lecanemabの投与は、18ヵ月時点でプラセボよりも脳内アミロイド蓄積量を減少させ、認知および機能低下をわずかだが抑制した。一方で、有害事象との関連が報告されている。米国・イェール大学のChristopher H. van Dyck氏らが、1,795例を対象に行った第III相無作為化比較試験「Clarity AD試験」の結果を報告した。結果を踏まえて著者は、「早期アルツハイマー病におけるlecanemabの有効性と安全性を確認するための長期試験が必要だ」とまとめている。NEJM誌オンライン版2022年11月29日号掲載の報告。

慢性期統合失調症の陰性症状に対するpentoxifylline補助療法~RCT

 エジプト・University of Sadat CityのMahmoud S. Abdallah氏らは、慢性期統合失調症患者の陰性症状軽減に対するリスペリドン治療の補助療法としてpentoxifyllineの有効性および安全性を評価するため、ランダム化プラセボ対照試験を実施した。その結果、慢性期統合失調症患者の陰性症状軽減に対する8週間のリスペリドン+pentoxifylline補助療法は、有望な治療選択肢である可能性が示唆された。CNS Neuroscience & Therapeutics誌オンライン版2022年11月7日号の報告。

さまざまな不眠症診療ガイドラインのシステマティックレビュー

 不眠症治療に関する臨床診療ガイドライン(CPG)の質および推奨事項の評価、エビデンスの要約を通じた適切な薬理学的治療へのアルゴリズム的アプローチに関するガイダンスの提供を目的に、シンガポール・センカン総合病院のSu Yin Seow氏らがシステマティックレビューを実施した。その結果、不眠症に対する薬物治療の適応はすべてのCPGで共通していたが、第1選択薬では違いが認められ、また、ほとんどのCPGで薬物治療後のすべての臨床的考慮事項に関する推奨事項の記載はなかった。Journal of Psychiatric Practice誌2022年11月1日号の報告。