精神科/心療内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:88

日本人統合失調症患者の職業機能に認知機能はどう関連しているか

 統合失調症患者の職業機能に対し、認知機能が影響を及ぼしていることが示唆されている。帝京大学の渡邊 由香子氏らは、日本人統合失調症患者の職業機能に対する認知機能の影響を評価するため、統合失調症認知機能簡易評価尺度(BACS)を用いた研究を行った。その結果、統合失調症患者の職業機能は、全体的な認知機能と関連しており、とくにBACSのシンボルコーディングスコアが、作業能力と関連していることが示唆された。Neuropsychopharmacology Reports誌2023年3月号の報告。

片頭痛患者の血清尿酸値は痛みの強さに影響しているのか

 プリン体の最終代謝産物である尿酸は、抗酸化物質として作用し、酸化ストレスと関連している。血清尿酸(SUA)は、アルツハイマー病、ハンチントン病、パーキンソン病、多発性硬化症などの神経変性疾患の病因と関連している可能性が報告されている。しかし、片頭痛とSUAレベルとの関連を評価した研究は、これまでほとんどなかった。トルコ・Istanbul Basaksehir Cam ve Sakura City HospitalのYavuz Altunkaynak氏らは、片頭痛患者の痛みの特徴とSUAレベルとの関係を調査し、頭痛発作中および頭痛がない期間における片頭痛患者のSUAレベルを対照群と比較検討した。その結果、片頭痛患者の発作中と発作がない期間のSUAレベルの差は、痛みの強さと正の相関を示していることが報告された。Medicine誌2023年2月3日号の報告。

オレキシン受容体拮抗薬を使用している日本人不眠症患者の特徴

 日本におけるオレキシン受容体拮抗薬(ORA)の処方パターンに関して、臨床現場のリアルワールドデータを調査した研究はほとんどない。MSDの奥田 尚紀氏らは、日本の不眠症患者へのORA処方に関連する因子を特定する初の調査を実施し、睡眠薬による治療歴の有無により、ORA処方に関連する因子は異なることを明らかにした。著者らは、「本調査結果は、ORAを用いた適切な不眠症治療の指針となりうる可能性がある」としている。Drugs - Real World Outcomes誌オンライン版2023年3月3日号の報告。

アリピプラゾールの自律神経への影響、長時間作用型注射剤と経口剤の比較

 非定型抗精神病薬は、自律神経系(ANS)の活動にさまざまな影響を及ぼす。中でも、経口の抗精神病薬であるアリピプラゾールは、ANS機能不全と関連しているといわれている。長時間作用型注射剤(LAI)は統合失調症の主な治療オプションであるが、ANS活性に対するLAIと経口剤との違いは、これまでよくわかっていなかった。横浜市立大学の服部 早紀氏らは、統合失調症におけるアリピプラゾールの経口剤と月1回LAI(AOM)のANS活性への影響を比較検討した。その結果、AOMによる単剤治療は、経口アリピプラゾールと比較し、交感神経系などの副作用リスクが低いことを報告した。BMC Psychiatry誌2023年3月3日号の報告。

医師の働き方改革、いまだ2割強が基準超の時間外勤務/医師1,000人アンケート

 2024年4月から勤務医の時間外労働の上限が原則960時間となる、いわゆる「医師の働き方改革」がスタートするのを踏まえ、会員の勤務医1,000人を対象に働き方改革の制度の理解度、期待と不安、勤務先の対応策などについて聞くアンケートを実施した(2023年3月9日実施)。  直近1年間の勤務時間について、1日8時間・週40時間(=5日)勤務を基準とした場合の「当直を含む時間外労働時間の合計」を聞いたところ、「月45時間未満・年360時間以下(≒週7時間)」が42%、「月100時間未満・年960時間以下(≒週20時間)」が36%、「月100時間未満・年1,860時間以下(≒週40時間)」が13%、「週40時間を超える」が9%という結果となった。

精神科病棟の認知症患者に対する音楽療法~レトロスペクティブ研究

 音楽療法は、地域および施設でケアされている認知症患者の気分を高め、興奮を軽減し、苦痛を伴う行動の減少が期待できる治療法である。しかし、精神科病棟に入院している認知症患者に対する音楽療法の影響はあまり知られていない。英国・アングリア・ラスキン大学のNaomi Thompson氏らは、2つの精神科病棟において認知症患者に対する音楽療法の影響を調査した。その結果、音楽療法を実施した日は実施しなかった日と比較し、苦痛を伴う行動が有意に減少し、音楽療法が患者の気分および興奮の軽減をサポートする価値ある介入であることが報告された。BJPsych Open誌2023年2月23日号の報告。

統合失調症長期入院患者の半数でみられる非アルコール性脂肪性肝疾患

 長期入院の統合失調症患者は身体的な疾患を呈しやすく、平均余命や治療アウトカムを害することにつながるとされる。しかし、長期入院患者における非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)の影響に関する研究はほとんどない。中国・安徽医科大学のXuelong Li氏らは、統合失調症入院患者のNAFLDについて、有病率と影響を及ぼす因子を調査した。その結果、重度の統合失調症による長期入院患者はNAFLDの有病率が高く、糖尿病、抗精神病薬の多剤併用、過体重や肥満、アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)およびアポリポ蛋白B(ApoB)の高値などが負の影響を及ぼす因子として特定された。Neuropsychiatric Disease and Treatment誌2023年2月18日号の報告。

妊娠中の抗うつ薬使用、リスクとベネフィットは?~メタ解析

 妊娠中の抗うつ薬使用は数十年にわたり増加傾向であり、安全性を評価するため、結果の統計学的検出力および精度を向上させるメタ解析が求められている。フランス・Centre Hospitalier Universitaire de Caen NormandieのPierre Desaunay氏らは、妊娠中の抗うつ薬使用のベネフィットとリスクを評価するメタ解析のメタレビューを行った。その結果、妊娠中の抗うつ薬使用は、ガイドラインに従い第1選択である心理療法後の治療として検討すべきであることが示唆された。Paediatric Drugs誌オンライン版2023年2月28日号の報告。

アルツハイマー病治療薬lecanemab、病態進行を2~3年遅延/エーザイ

 エーザイは4月4日付のプレスリリースにて、同社の早期アルツハイマー病(AD)治療薬lecanemabについて、長期的な健康アウトカムへの影響をシミュレーション評価した結果が、Neurology and Therapy誌オンライン版2023年4月2日号に掲載されたことを発表した。本シミュレーションでは、lecanemabによる治療により、AD病態進行を遅らせ、患者が早期AD段階に留まる期間が延長され、QOL改善の可能性が示された。また、より早期の軽度認知障害(MCI)の段階で投与を開始した場合、病態進行を遅らせる効果がより大きい可能性も明らかとなった。

日本における若年性認知症の初期症状とは

 東京都健康長寿医療センター研究所の枝広 あや子氏らは、認知症のサブタイプごとに、若年性認知症の初期症状を調査した。その結果、若年性認知症はサブタイプにより初期症状の頻度に違いがあることが明らかとなった。著者らは、本結果が若年性認知症の初期症状に対する一般の人々の意識向上に貢献し、早期診断や社会的支援が促進されるだろうと述べている。Psychogeriatrics誌オンライン版2023年2月22日号の報告。  日本における全国的な人口ベースの若年性認知症有病率調査を実施した。データは、若年性認知症を有する人が利用する医療サービス提供者を通じて収集した。初期症状は、記憶障害、失語障害、易刺激性、意欲低下、職場や家庭でのミスの増加、それ以外の異常な行動や態度といった6つのドメインで評価した。