精神科/心療内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:98

妊娠中の抗うつ薬使用、リスクとベネフィットは?~メタ解析

 妊娠中の抗うつ薬使用は数十年にわたり増加傾向であり、安全性を評価するため、結果の統計学的検出力および精度を向上させるメタ解析が求められている。フランス・Centre Hospitalier Universitaire de Caen NormandieのPierre Desaunay氏らは、妊娠中の抗うつ薬使用のベネフィットとリスクを評価するメタ解析のメタレビューを行った。その結果、妊娠中の抗うつ薬使用は、ガイドラインに従い第1選択である心理療法後の治療として検討すべきであることが示唆された。Paediatric Drugs誌オンライン版2023年2月28日号の報告。

アルツハイマー病治療薬lecanemab、病態進行を2~3年遅延/エーザイ

 エーザイは4月4日付のプレスリリースにて、同社の早期アルツハイマー病(AD)治療薬lecanemabについて、長期的な健康アウトカムへの影響をシミュレーション評価した結果が、Neurology and Therapy誌オンライン版2023年4月2日号に掲載されたことを発表した。本シミュレーションでは、lecanemabによる治療により、AD病態進行を遅らせ、患者が早期AD段階に留まる期間が延長され、QOL改善の可能性が示された。また、より早期の軽度認知障害(MCI)の段階で投与を開始した場合、病態進行を遅らせる効果がより大きい可能性も明らかとなった。

日本における若年性認知症の初期症状とは

 東京都健康長寿医療センター研究所の枝広 あや子氏らは、認知症のサブタイプごとに、若年性認知症の初期症状を調査した。その結果、若年性認知症はサブタイプにより初期症状の頻度に違いがあることが明らかとなった。著者らは、本結果が若年性認知症の初期症状に対する一般の人々の意識向上に貢献し、早期診断や社会的支援が促進されるだろうと述べている。Psychogeriatrics誌オンライン版2023年2月22日号の報告。  日本における全国的な人口ベースの若年性認知症有病率調査を実施した。データは、若年性認知症を有する人が利用する医療サービス提供者を通じて収集した。初期症状は、記憶障害、失語障害、易刺激性、意欲低下、職場や家庭でのミスの増加、それ以外の異常な行動や態度といった6つのドメインで評価した。

不眠症治療について日本の医師はどう考えているか

 ベンゾジアゼピンや非ベンゾジアゼピンは、安全性への懸念や新規催眠鎮静薬(オレキシン受容体拮抗薬、メラトニン受容体作動薬)の承認にもかかわらず、依然として広く用いられている。秋田大学の竹島 正浩氏らは、日本の医師を対象に処方頻度の高い催眠鎮静薬およびその選択理由を調査した。その結果、多くの医師は、オレキシン受容体拮抗薬が効果的かつ安全性が良好な薬剤であると認識していたが、安全性よりも有効性を重要視する医師においては、ベンゾジアゼピンや非ベンゾジアゼピンを選択することが確認された。Frontiers in Psychiatry誌2023年2月14日号の報告。

AD治療薬lecanemab、ARIAやQOL解析結果をAD/PD学会で発表/エーザイ・バイオジェン

 エーザイとバイオジェン・インクは3月31日付のプレスリリースにて、同社の早期アルツハイマー病(AD)治療薬の抗アミロイドβ(Aβ)プロトフィブリル抗体lecanemabについて、第III相試験「Clarity AD試験」における最新の解析結果を、スウェーデンのイェーテボリで3月28日~4月1日に開催の第17回アルツハイマー・パーキンソン病学会(AD/PD2023)にて発表したことを報告した。lecanemab投与群では、プラセボ群よりアミロイド関連画像異常(ARIA)の発現率が増加したが、抗血小板薬や抗凝固薬の使用によるARIAの発現頻度は上昇せず、ARIA-H単独の発現パターンはプラセボ群と同様だったことが明らかとなり、QOLの結果からは、lecanemab治療が被験者と介護者に有意義なベネフィットをもたらすことが示された。

スマホ依存になりやすい性格とは

 近年、スマートフォンの利用頻度が急速に増加しており、スマートフォン依存(以下、スマホ依存)が問題となっている。スマホ依存は、特定の性格特性を有する人において有病率が高いことが示唆されている。イラン・Shahid Beheshti Medical UniversityのAli Kheradmand氏らは、スマホ依存と性格特性との関連を評価するため、相関研究を行った。その結果、スマホ依存者は、自己愛性パーソナリティ障害の特徴である新規性追求、損害回避、自己超越の高さ、持続および自己志向の低さの性格特性を有していることを報告した。Frontiers in Psychiatry誌2023年2月8日号の報告。

最低価格制限で、飲酒による死亡・入院が減少/Lancet

 スコットランドで販売されるアルコール飲料は、2018年5月1日以降、法律で1単位(純アルコール10mLまたは8g)当たりの最低単位価格(MUP)が0.5ポンドに設定されている。これにより販売量が3%減少したことが先行研究で確認されているが、今回、英国・スコットランド公衆衛生局(Public Health Scotland)のGrant M. A. Wyper氏らは、MUP法の施行により、アルコール摂取に起因する死亡と入院が大幅に減少し、その効果はとくに社会経済的に最も恵まれない層で顕著に高いことを示した。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2023年3月21日号に掲載された。

ベンゾジアゼピンや気分安定薬の併用率低下に長時間作用型注射剤は寄与するか

 統合失調症は、再発と寛解を繰り返す慢性疾患である。治療には主に抗精神病薬が用いられ、その剤形には経口剤または長時間作用型注射剤(LAI)がある。さまざまな理由で気分安定薬やベンゾジアゼピンが補助療法として頻用されるが、国際的なガイドラインで推奨されることはめったにない。ルーマニア・トランシルバニア大学のAna Aliana Miron氏らは、慢性期統合失調症患者を対象に、抗精神病薬の剤形が気分安定薬やベンゾジアゼピンの併用に及ぼす影響を明らかにするため、観察的横断研究を実施した。その結果、安定期統合失調症患者に対する気分安定薬およびベンゾジアゼピンの長期併用率は、抗精神病薬の剤形とは関係なく高いままであることが示唆された。

双極性障害患者の肥満と脳皮質形態との関連~ENIGMA研究

 双極性障害を含む重度の精神疾患患者では、とくに肥満が顕著に認められる。双極性障害と肥満のいずれにおいても標的となりうる器官は脳であると考えられるが、双極性障害における脳皮質の変化と肥満との関係については、これまでよくわかっていなかった。カナダ・ダルハウジー大学のSean R. McWhinney氏らは、双極性障害患者の肥満と脳皮質形態との関連について調査を行った。その結果、双極性障害患者はBMIが高いほど脳の変化が顕著であることが示唆され、双極性障害とも関連する脳領域において、高BMIには大脳皮質全体で表面積ではなく皮質厚の薄さと一貫した関連があることが認められた。Psychological Medicine誌オンライン版2023年2月27日号の報告。

不眠症に対する認知療法、行動療法、認知行動療法の長期有効性比較

 不眠症を軽減するためには、長期的な治療が重要である。米国・カリフォルニア大学バークレー校のLaurel D. Sarfan氏らは、不眠症治療に対する認知療法(CT)、行動療法(BT)、認知行動療法(CBT)の長期的な有効性について、相対的に評価した。その結果、セラピストによるCBT、BT、CTの提供は、長期にわたり不眠症による夜間および日中の症状を改善させる可能性が示唆された。Journal of Consulting and Clinical Psychology誌オンライン版2023年2月23日号の報告。