精神科/心療内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:96

統合失調症の抗精神病薬治療、持続性注射剤と経口剤による臨床アウトカムの比較

 抗精神病薬の長時間作用型持続性注射剤(LAIA)と経口剤(OA)の比較において、臨床アウトカムの改善を評価したエビデンスは、アジア人集団および、65歳超の高齢者、物質使用障害患者、LAIAによる早期治療開始患者などの特定の集団に限られていた。中国・香港大学のYue Wei氏らは、香港の統合失調症患者を対象に、LAIAおよびOAの使用に関連する疾患再発、ヘルスケアの利用、有害事象のリスクについて比較を行った。その結果、LAIAはOAと比較し、有害事象リスクを増加させることなく、疾患再発および入院のリスクを低下させることが示唆された。著者らは、中国の統合失調症患者の治療において、とくに疾患の初期段階からLAIAの長期使用を検討する必要があると報告している。JAMA Network Open誌2022年7月1日号の報告。

早期パーキンソン病、α-シヌクレインに対するprasinezumabは効果なし/NEJM

 パーキンソン病の発症に重要な役割を担っているα-シヌクレインの凝集化を標的とするモノクローナル抗体prasinezumabは、プラセボと比較してパーキンソン病の進行に関して全般評価や画像評価に意味のある効果を示さず、注入に伴う反応(インフュージョンリアクション)が認められたことが、スイス・Roche Innovation Center BaselのGennaro Pagano氏らにより欧州および米国の57施設で実施された第II相無作為化比較試験「PASADENA試験」の結果、示された。prasinezumabは、α-シヌクレイン症のマウスモデルにおいて神経細胞内のα-シヌクレイン凝集体蓄積とシナプス減少を抑制し、第I相試験では健康成人およびパーキンソン病患者において脳への移行性と遊離血清α-シヌクレイン濃度のベースラインからの用量依存的な低下が示されていた。NEJM誌2022年8月4日号掲載の報告。

女性の果物や野菜の摂取とうつ病リスクとの関係

 特定の食品群がメンタルヘルスの改善に重要な役割を担う可能性を示唆するエビデンスが増えている。しかし、個々の食事の因子と抑うつ症状との関連を長期にわたる大規模コホートでフォローアップした調査は、これまでほとんどなかった。オーストラリア・マッコーリー大学のPutu Novi Arfirsta Dharmayani氏らは、Australian Longitudinal Study on Women's Healthのコホートより1973~78年に生まれた女性を対象に15年間のフォローアップを実施し、抑うつ症状に関連する果物および野菜の影響を調査した。その結果、果物および野菜の摂取量が多いほど、長期にわたる抑うつ症状リスク低下と関連することが示唆された。European Journal of Nutrition誌オンライン版2022年7月21日号の報告。

早期パーキンソン病へのcinpanemab、進行抑制効果は認められず/NEJM

 早期パーキンソン病患者へのcinpanemabはプラセボと比較して、52週時点の疾患進行の臨床指標および脳SPECT画像の変化への効果について差は認められなかった。カナダ・トロント大学のAnthony E. Lang氏らが、357例の患者を対象に行った第II相の多施設共同二重盲検無作為化試験の結果を報告した。パーキンソン病の病因において、α-シヌクレイン凝集は重要な役割を果たしているとされることから、α-シヌクレインと結合するヒト由来モノクローナル抗体cinpanemabは、新たなパーキンソン病の疾患修飾治療薬として評価が行われていた。NEJM誌2022年8月4日号掲載の報告。

統合失調症患者の肥満治療~システマティックレビュー

 統合失調症の病態および抗精神病薬の使用は、臨床的に有意な体重増加や、それに伴う死亡リスクの増加と関連している。FDA、EMA、MHRAなどから承認されている減量薬が利用可能であるにもかかわらず、現在の精神医学ガイドラインでは適応外の代替が推奨されており、これは肥満に関する精神医学以外のガイドラインの内容とも異なっている。英国・Royal Oldham HospitalのKenn Lee氏らは、統合失調症および精神病における抗精神病薬誘発性の体重増加および肥満の治療に対する、承認済み減量薬の有効性の評価を行った。その結果、いくつかの承認済み減量薬のうち、リラグルチドのエビデンスが最も強力であることが示唆された。General Hospital Psychiatry誌オンライン版2022年7月14日号の報告。

COVID-19陽性者のメンタルヘルスに対するヨガの効果

 COVID-19パンデミックは、社会全体にストレス、不安、うつ病の増加をもたらした。とくにCOVID-19の検査で陽性となった人々では、メンタルヘルスやウェルビーイングへの影響が大きい。インド工科大学デリー校のNitesh Sharma氏らは、COVID-19の影響を受けた患者のストレス、不安、うつ病の軽減に対するヨガ介入療法の有効性を評価するため、COVID-19病棟における準ランダム化比較試験を実施した。また、COVID-19の影響を受けた患者のSpO2と心拍数の測定も実施した。その結果、ヨガ介入療法は、COVID-19陽性者のストレス、不安、うつ病の軽減に対し、実践可能な介入である可能性が示唆された。International Journal of Yoga Therapy誌2022年1月1日号の報告。

レビー小体型認知症の初期症状~MEMENTO研究

 主観的認知障害(SCI)と軽度認知障害(MCI)は、レビー小体型認知症(DLB)の初期症状として知られている。フランス・ストラスブール大学病院のFrederic Blanc氏らは、ベースライン時にDLBの初期症状としてSCIおよびMCIを有する患者とそうでない患者の比較を行った。その結果、DLBの初期症状を有する患者では認知が遅く、行動障害、自律神経症状、羞明が多く認められ、脳MRIにおける後頭葉、前頭葉、嗅球の関与は、症状や既知の神経病理学的特徴と一致していたことが報告された。Alzheimer's Research & Therapy誌2022年7月19日号の報告。

10代女性における不眠症と地中海食との関係

 これまでの研究で、食事の質の低さと睡眠障害との関連が示唆されている。地中海式食事療法は、高品質の食事療法であり、健康全体に対し有益な効果があるといわれている。イラン・Shahid Sadoughi University of Medical SciencesのZahra Yaghtin氏らは、思春期女性における地中海式食事パターンのアドヒアランスと不眠症スコアとの関連を調査した。その結果、イランの思春期女性では、修正済み地中海式食事スコアのアドヒアランスと不眠症レベルとの間に逆相関が認められた。BMC Nutrition誌2022年6月29日号の報告。

大気汚染と認知症リスク~メタ解析

 大気汚染と認知症リスクとの関連を調査した疫学研究の結果は、矛盾している。インド・National Institute for Research in Environmental HealthのVikas Dhiman氏らは、大気汚染による認知症発症リスクのプールされた推定値を明らかにするため、メタ解析を実施した。その結果、微小粒子状物質PM2.5はすべての原因による認知症、アルツハイマー病、血管性認知症のリスク因子であり、オゾン(O3)はアルツハイマー病のリスク因子である可能性が示唆された。Neurology India誌2022年5-6月号の報告。

日本人統合失調症患者における社会認知の認識調査

 社会認知は、統合失調症患者の社会機能に影響を及ぼす。しかし、患者自身が社会認知をどのように認識しているかは、ほとんど知られていない。東邦大学の内野 敬氏らは、統合失調症患者に対し、社会認知に関する知識、社会認知関連の臨床経験、社会生活における社会認知の役割の認識、社会認知の主観的困難感と社会機能の関係についてのインターネット調査を行った。その結果、統合失調症患者は社会認知に関して強く主観的困難を感じており、それが社会機能と関連していることを認識していたことが明らかとなった。しかし、「社会認知」という言葉やそれらに関する認識は十分とはいえず、社会認知の評価や治療は通常の臨床現場で普及していない可能性が示唆された。Psychiatry and Clinical Neurosciences誌オンライン版2022年6月29日号の報告。