放射線科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:21

腎結石疑いの画像診断、超音波 vs. CT/NEJM

 腎結石疑いの患者に対する初回の画像診断法として、超音波検査法とCT検査法とでは、その後のアウトカムに有意差はないことが報告された。一方で、検査によって受ける累積被曝量については、超音波検査のほうがCT検査より低かった。また、超音波検査について、緊急救命室(ER)の医師が同室で行う「ポイント・オブ・ケア(POC)超音波検査」と、放射線科医による超音波検査を行った場合を比較した検討では、アウトカムは同等であることが示された。米国・カリフォルニア大学サンフランシスコ校のR. Smith-Bindman氏らが、2,759例について行った多施設共同無作為化比較試験の結果、報告した。NEJM誌2014年9月18日号掲載の報告より。

EGFR-TKIで脳転移の放射線治療を温存

 非小細胞肺がん(以下、NSCLC)の脳転移については、一般的に放射線治療が行われているが、EGFR-TKIの登場により変化が起こりそうである。2014年8月28日~30日、横浜市で開催された日本癌治療学会学術集会にて、千葉県立がんセンターの井内 俊彦氏は「EGFR-TKI時代の非小細胞肺癌脳転移治療~非照射TKI単独治療の効果と安全性」と題し、自施設での臨床試験の結果を紹介した。

新たな輸液プロトコル、造影剤誘発急性腎障害の予防に有効/Lancet

 心臓カテーテル検査例の造影剤誘発急性腎障害の予防において、左室拡張末期圧(LVEDP)ガイド下輸液法は安全に施行でき、高い有効性を示すことが、米国・カイザーパーマネンテのSomjot S Brar氏らが行ったPOSEIDON試験で確認された。造影剤誘発急性腎障害の予防法は基本的に静脈内輸液であるが、輸液法の指針となる明確なプロトコルは存在していないという。Lancet誌2014年5月24日号掲載の報告。

分化型甲状腺がんに新たな治療オプション/Lancet

 進行性放射性ヨウ素治療抵抗性の分化型甲状腺がんに対するソラフェニブ(商品名:ネクサバール)治療は、無増悪生存期間を有意に改善することが明らかにされた。米国・ペンシルベニア大学アブラムソンがんセンターのMarcia S Brose氏らによる第III相の多施設共同無作為化二重盲検プラセボ対照試験「DECISION」の結果で、有害事象はソラフェニブの既知の安全性プロファイルと一致していた。放射性ヨウ素131治療抵抗性の局所進行または転移性の分化型甲状腺がんを有する患者には、現時点では効果的な治療オプションがなく予後は不良とされる。著者は、「今回の結果は、ソラフェニブが同患者への新たな治療選択肢であることを支持するものである」とまとめている。Lancet誌オンライン版2014年4月24日号掲載の報告より。

PETが植物状態における意識回復の予測に有用/Lancet

 脳18F-フルオロデオキシグルコース(FDG)PET検査は、無反応覚醒症候群(unresponsive wakefulness syndrome、植物状態)患者のベッドサイドの臨床検査として補完的に使用可能であり、意識回復の長期的な予測に有用であることが、ベルギー・リエージュ大学病院のJohan Stender氏らの検討で示された。無反応覚醒症候群や最小意識状態(minimally conscious state)は、ベッドサイド診療で誤診されることが多いという。PETや機能的MRI(fMRI)などの神経画像検査は、理論上は無反応覚醒症候群と最小意識状態の鑑別が可能であり、予後予測に有用である可能性があるが、診断能の臨床的な妥当性は確立されていない。Lancet誌オンライン版2014年4月16日号掲載の報告。

乳がん術後リンパ節転移への放射線療法、効果が明確に/Lancet

 乳房切除術および腋窩郭清後の放射線療法の効果について、1~3個のリンパ節転移があり全身治療が行われた場合でも、再発率、乳がん死亡率を低下することが明らかにされた。英国・オックスフォード大学のEarly Breast Cancer Trialists 共同研究グループ(EBCTCG)が22試験、8,135例の患者データをメタ解析し報告した。先行研究のメタ解析で、乳がん切除後の放射線療法は、リンパ節転移が認められる全女性について、再発および乳がん死亡の両リスクを低下することが示されていた。しかし、転移が1~3個と少ない患者におけるベネフィットは不明であり、本検討は、それらの患者の放射線治療の効果について評価することが目的であった。Lancet誌オンライン版2014年3月19日号掲載の報告より。

マンモグラフィで健康女性の死亡リスクを予測できる!?

 乳腺が高密度な組織(dense)は乳がんの危険因子である。一方、乳がんリスクの評価以外での、マンモグラフィ画像の予後予測的な価値はほとんど知られていない。米国・国立加齢研究所のRachel A Murphy氏らは、乳がんではない女性において、dense領域・非dense領域・全乳房領域・%dense(乳房中のdense領域の割合)について、全死因死亡リスクとの関連を前向きに検討した。その結果、dense領域や%denseが大きいことが死亡率低下に関連することを報告した。PLoS One誌2013年10月25日号に掲載。

放射線治療による胃腸症状の改善法/Lancet

 骨盤放射線治療後に慢性的な胃腸症状を有する患者に対し、専門医や看護師がアルゴリズムに基づく治療を行うことで、6ヵ月後の症状がより大幅に改善することが明らかにされた。王立マーズデンNHS財団トラストH. Jervoise N. Andreyev氏らが、200例超について行った無作為化比較試験の結果、報告した。過去30年でがん生存者は3倍に増大したが、生存者の20~25%がQOLにおいて、がん治療の身体的悪影響を被っているという。慢性的な胃腸症状は骨盤放射線治療後の患者で頻度が高く、日常生活にも重大な影響を及ぼしている。Lancet誌オンライン版2013年9月23日号掲載の報告より。

若年者への低線量CT検査、発がんリスク増大/BMJ

 CT検査を受けた若年者における発がんの原因のほとんどは、検査による放射線被曝である可能性が、オーストラリア・メルボルン大学のJohn D Mathews氏らの調査で示された。1980年代以降、CT検査の施行率は実質的に上昇している。高線量の電離放射線被曝は発がんの原因となることが知られているが、低線量のCTスキャン(1臓器当たり5~50mGy)の発がんリスクは不明である。最近、英国でCT検査を受けた18万人の若年者の検討で、線量の増加に伴って白血病や脳腫瘍のリスクが増大することが示されていた。BMJ誌オンライン版2013年5月22日号掲載の報告。