放射線科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:8

75歳以上/PS2以上の局所進行NSCLCにもCRT後のデュルバルマブ地固めは有用か?/ESMO2023

 化学放射線療法(CRT)後のデュルバルマブ地固め療法は、切除不能な局所進行非小細胞肺がん(NSCLC)患者に対する標準治療である。しかし、75歳以上またはperformance status(PS)2以上の切除不能な局所進行NSCLC患者における臨床的意義については明らかになっていない。そこで、この集団におけるCRT後のデュルバルマブ地固め療法の有用性を検討したNEJ039A試験が実施され、その結果を静岡県立静岡がんセンターの高 遼氏が欧州臨床腫瘍学会(ESMO Congress 2023)で発表した。 試験デザイン:国内第II相単群試験 対象:StageIIIの切除不能NSCLC患者のうち、PS 0/1かつ75歳以上の患者73例、PS 2以上かつ75歳未満の患者13例(計86例) 試験群:CRT(30分割で合計60Gyを照射。最初の20回は、放射線照射の1時間前に低用量カルボプラチン[30mg/m2]を毎回投与)→デュルバルマブ(10mg/kgを2週ごと、1年間)

急性期脳梗塞、単純CT診断下で血管内血栓除去術vs.薬物治療単独/Lancet

 患者を選定する画像診断に、造影剤を用いない単純CTを用いる環境下では、主幹動脈閉塞の大梗塞が認められた急性期虚血性脳卒中患者において、血管内血栓除去術は機能的アウトカムの改善および死亡率低下と関連することが、ドイツ・ハイデルベルク大学病院のMartin Bendszus氏らによる、前向き多施設共同非盲検無作為化試験の結果で示された。最近のエビデンスとして、急性期脳梗塞では血管内血栓除去術の有益な効果が示されている。しかしながら、それらの試験はマルチモーダル脳画像に依拠しており、臨床現場で使用されているのは主に単純CTであることから本検討が行われた。Lancet誌オンライン版2023年10月11日号掲載の報告。

日本人NSCLCのオシメルチニブ早期減量は脳転移の発生/進行リスク

 肺がんは初診時に脳転移が発生していることも多く、非小細胞肺がん(NSCLC)患者のうち20~40%は治療経過中に脳転移が発生するとされている1,2)。EGFR変異はNSCLC患者はEGFR変異があると脳転移のリスクが上昇するとされており、EGFRチロシンキナーゼ阻害薬(EGFR-TKI)の脳転移制御に対する役割が注目されている。そこで、日本医科大学付属病院の戸塚 猛大氏らの研究グループは、オシメルチニブの早期減量が脳転移に及ぼす影響を検討した。その結果、オシメルチニブの早期減量は脳転移の発生または進行のリスクであり、治療開始前に脳転移がある患者、75歳以下の患者でリスクが高かった。本研究結果は、Cancer Medicine誌オンライン版2023年9月11日号に掲載された。

Luminal A乳がん、温存術後の放射線療法は省略可?/NEJM

 T1N0(腫瘍径2cm未満、リンパ節転移陰性)、Grade1/2のLuminal Aタイプ乳がんで、乳房温存手術を行った55歳以上の患者において、術後放射線療法を実施しない場合でも5年局所再発率は2.3%と低かったことが、カナダ・Hamilton Health SciencesのTimothy J. Whelan氏らが500例を対象に行った前向きコホート試験の結果で示された。術後放射線療法は、乳房温存手術後の局所再発リスクを低減するために行われるが、利便性が低く、高額で、短期・長期の副作用を伴う。臨床病理学的因子のみでは、放射線療法の省略が可能な局所再発リスクが低い女性の同定に有用ではない。分子的に定義された乳がんの内因性サブタイプは、付加的な予後情報を得られる可能性があることから、本試験が行われた。NEJM誌2023年8月17日号掲載の報告。

2cm未満の前庭神経鞘腫、放射線治療が有効/JAMA

 小~中型の片側性前庭神経鞘腫の治療において、早期の放射線治療(upfront radiosurgery)は経過観察(wait and scan)と比較して、4年後の腫瘍体積が有意に減少し、聴力や単語認知の変化には差がなかったことが、ノルウェー・Haukeland大学病院のDhanushan Dhayalan氏らが実施した「V-REX試験」で示された。研究の成果は、JAMA誌2023年8月1日号に掲載された。  V-REXは、ノルウェーの単一施設(Haukeland大学病院)で実施された優越性を検証する医師主導の無作為化臨床試験であり、2014年10月~2017年10月の期間に患者を登録し、2021年10月に4年間の追跡調査を終了した(同病院神経外科などによる研究支援を受けた)。

ハイパーサーミア診療ガイドラインで各がん種の治療推奨度を明確に

 『ハイパーサーミア診療ガイドライン』の初版が発刊された。今回、ガイドライン作成委員会委員長の高橋 健夫氏(埼玉医科大学総合医療センター放射線腫瘍科)に実臨床におけるハイパーサーミアの使用経験や推奨されるがん種などについて話を聞いた。  ハイパーサーミアとは39~45℃の熱を用いた温熱療法のことで、主に放射線治療や化学療法の治療効果を高める目的で用いられている。その歴史は意外にも古く、1980年代に放射線治療の補助療法として導入、1990年代には電磁波温熱療法として保険収載され、その臨床実績は30年以上に及ぶ。本治療は、生体では腫瘍のほうが正常組織よりも温度上昇しやすい点を応用した“43℃以上での直接的な殺細胞効果”が報告されているほか、抗がん剤の細胞膜の透過性亢進、熱ショックタンパク質を介した免疫賦活などの生物学的なメリットなどが示されている。しかし、どのような患者に優先的に勧めるべきか明確に示した指針は認められない、実施可能施設の少なさ、専門的な知識や経験を有するハイパーサーミア治療医が限れているなどの点から認知度がまだまだ低い治療法である。そこで日本ハイパーサーミア学会では2017年にガイドライン作成委員会が発足し、約7年の時を経てガイドラインの発刊に至った。

未治療の早期NSCLC、定位放射線+ニボルマブが有効/Lancet

 未治療の早期非小細胞肺がん(NSCLC)およびリンパ節転移陰性の孤立性肺実質再発NSCLC患者の治療において、定位放射線治療(SABR)+ニボルマブの併用(I-SABR)はSABR単独と比較して、4年無イベント生存率が有意に優れ、毒性は忍容可能であることが、米国・テキサス大学MDアンダーソンがんセンターのJoe Y. Chang氏らの検討で示された。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2023年7月18日号に掲載された。  本研究は、米国テキサス州の3つの病院で実施された非盲検無作為化第II相試験であり、2017年6月~2022年3月の期間に参加者の無作為化が行われた(Bristol-Myers SquibbとMDアンダーソンがんセンターの提携機関などの助成を受けた)。

低再発リスクN1乳がん、局所リンパ節照射なしでも局所再発率低い

 リンパ節転移1~3個(N1)で再発スコアの低い乳がんでは、手術後に局所リンパ節照射(RNI)を受けなかった患者においても局所再発(LRR)の発生率が低かったことが、第III相SWOG S1007試験の2次解析で示された。米国・エモリー大学のReshma Jagsi氏らが、JAMA Oncology誌オンライン版2023年7月6日号に報告。  SWOG S1007試験は、1~3個のリンパ節転移を有するオンコタイプDX乳がん再発スコア25以下のホルモン受容体陽性HER2陰性乳がんを対象に、内分泌療法単独群と化学療法後に内分泌療法を行う群に無作為に割り付けた第III相無作為化試験である。この2次解析として、4,871例の放射線治療情報を前向きに収集し、RNI実施割合、LRR発生率および予測因子、局所療法と無浸潤疾患生存(iDFS)との関連(閉経状態、治療、再発リスクスコア、腫瘍の大きさ、転移巣、腋窩手術で調整)を調査した。

乳房温存術後の同側再発率、SIB照射vs.標準的照射/Lancet

 乳房温存手術後の早期乳がんに対する標的体積内同時ブースト(SIB)法を用いた強度変調放射線治療(IMRT)および画像誘導放射線治療(IGRT)では、48Gy SIBは5年後の同側乳房の腫瘍再発(IBTR)率が、逐次照射を行う標準的放射線治療に対し非劣性であり、乳房硬結の発生率も同程度であるが、53Gy SIBではIBTR、硬結とも標準的照射に比べ高率にみられることが、英国・ケンブリッジ大学のCharlotte E. Coles氏らが実施した「IMPORT HIGH試験」で示された。研究の詳細は、Lancet誌オンライン版2023年6月8日号で報告された。

コロナ禍のリモートワーク、医師からは「非効率」の声が多数

 新型コロナウイルス感染症の流行により、世界中の医療機関で急速にリモートワークが導入された。それは医療現場の生産性、スタッフの健康、コミュニケーションにどのような影響をもたらしたのか。カナダ・トロント大学医療政策管理評価研究所のChristopher McChesney氏らによる研究結果が、JCO oncology practice誌オンライン版2023年2月22日号に掲載された。  研究者らは2021年6月~8月、トロントの大規模がんセンターであるPrincess Margaret Cancer Centreにおいて、COVID-19パンデミック時に1回でもリモートワークを行ったスタッフに対してメールで調査票を配布し、匿名で回答を得た。