呼吸器科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:141

地球温暖化により増加している死亡とは?(解説:有馬久富氏)

疾患の発生には季節変動があることが知られている。最近も滋賀県全体で行なっている脳卒中登録事業より、脳卒中が気温の低い冬に増加することが報告されている(文献1)。逆に気温の高い夏に増加する疾患もある。このように、寒い気候も暑い気候も特定の疾患の発生に影響を与えうる。Global Burden of Disease Studyの成績と気象データを結びつけて、寒い気候と暑い気候が死亡に及ぼす影響を検討した結果がLancet誌に掲載された(文献2)。その結果は、寒い気候と暑い気候により、世界で毎年約170万人が死亡しているというものであった。

Novavax社コロナワクチンの供給契約、追加接種への使用も視野に/厚労省

 厚生労働省は9月7日、米国・Novavax社から技術移管を受け、武田薬品工業が国内の生産および流通を行う新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチンに関し、日本における薬事承認などを前提に、早ければ2022年初頭から、おおむね1年間で1億5,000万回分の供給を受けることについて、武田薬品工業と契約を締結したと発表した。  武田薬品工業は、Novavax社との提携の一環として、国内自社工場においてCOVID-19ワクチン候補「TAK-019」(海外における開発コード:NVX-CoV2373)の生産能力の整備を進めており、22年初頭の供給開始を目指している。同社は国内臨床試験を実施し、独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)への製造販売承認申請を行い、厚労省の承認取得後、国内供給を開始する予定。

軽~中等症の新型コロナ治療薬sotrovimabを国内申請/GSK

 グラクソ・スミスクラインは9月6日、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)治療薬として、sotrovimabについて同日付で国内における製造販売の承認申請を行ったと発表した。酸素療法を必要としない軽症・中等症かつ重症化リスクが高いCOVID-19患者を対象とし、点滴静注で用いる。海外第II/III相臨床試験(COMET-ICE試験)では、重症化リスクの高い軽症~中等症のCOVID-19成人患者において、入院または死亡リスクが有意に低下することが示されており、厚生労働省に特例承認の適用を求めた。

ペグフィルグラスチムの自動投与デバイスを国内申請/協和キリン

 協和キリンは、2021年8月30日、テルモと共同開発中の持続型G-CSF製剤ペグフィルグラスチム(製品名:ジーラスタ))の自動投与デバイスについて、がん化学療法による発熱性好中球減少症注の発症抑制を適応症とした製造販売承認申請を厚生労働省に行った。  今回の申請は、協和キリンが実施した、安全性の評価を目的とする第I相臨床試験の結果に基づくもの。  ペグフィルグラスチムは、がん化学療法剤投与終了後の翌日以降に投与されるのが通常である。

妊婦のケアを厚く追記した改訂COVID-19診療の手引き/厚生労働省

 8月31日、厚生労働省は「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)診療の手引き 第5.3版」を公開した。  今回の改訂では、以下の5点が追記・修正された。 【2 臨床像の「5.小児例の特徴」の重症度、家族内感染率などについて一部追記】  最新(2021年8月時点)の陽性患児の特徴などが追加された。 【4 重症度分類とマネジメントの「5.妊産婦の管理」の項を追加】  追加項目では、自宅療養中の妊婦の訪問時の確認事項、妊婦への指導事項のほか、妊婦搬送の判断の注意点、産科的管理以外のバイタルの留意事項、COVID-19患者の妊婦から産まれた新生児への検査が追加された。

嚢胞性線維症、3剤併用療法で肺機能が改善/NEJM

 Phe508del-ゲーティング遺伝子型またはPhe508del-機能残存遺伝子型を有する嚢胞性線維症患者の治療において、elexacaftor+tezacaftor+ivacaftorによる3剤併用療法は、肺機能の改善に有効で安全性も良好であり、既存の嚢胞性線維症膜コンダクタンス制御因子(CFTR)調節薬(ivacaftorまたはtezacaftor+ivacaftor)よりも大きな利益をもたらすことが、英国・マンチェスター大学のPeter J. Barry氏らが行った「VX18-445-104試験」で示された。研究の成果は、NEJM誌2021年8月26日号に掲載された。

シノバック製ワクチン、ガンマ株蔓延下のブラジルで有効性検証/BMJ

 重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)のγ変異株(ブラジル型)が広くまん延している状況下で、70歳以上の集団における不活化全粒子ワクチンCoronaVac(中国Sinovac Biotech製)の2回接種者は非接種者と比較した場合、2回目接種から14日以降における症候性の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の発症に対するワクチン有効率は47%であり、COVID-19関連の入院に対する有効率は56%、死亡に対する有効率は61%との研究結果が、スペイン・ISGlobalのOtavio T. Ranzani氏らによって報告された。研究の詳細は、BMJ誌2021年8月20日号に掲載された。

新型コロナワクチン、6~7月の有効率は95%/感染研

 国立感染症研究所は8月31日、ワクチンを接種して14日以上経過した者は未接種者と比較し感染のオッズが有意に低かったことから、さまざまな変異株が流行する状況においても国内承認ワクチンは有効であることを示唆した。また、ワクチンの接種回数、(短期的には)接種からの期間の長さによって有効率が高くなる傾向も明らかにした。  現在、ファイザー社およびモデルナ社のmRNAワクチンの有効性は90%以上、アストラゼネカ社のウイルスベクターワクチンも有効性は70%程度と報告されているが、変異株出現により有効性の低下が指摘されている。

COVID-19ワクチン接種率向上にリマインダーが有効

 新型コロナウイルスのワクチン接種が進むにつれ、ワクチンの効果や安全性に疑問を持ち接種を避けるいわゆる「ワクチン忌避者」の存在が各国で問題となっている。忌避者を接種につなげるために効果的なコミュニケーション戦略についての研究結果が、Nature誌オンライン版2021年8月2日号に掲載された。  UCLA アンダーソン・スクール・オブ・マネジメントで行動経済学を専門とするHengchen Dai氏らによる本研究では、メールによるリマインダーとその内容がワクチン接種率向上にどの程度寄与するのかを調査した。

mRNAワクチン、初回接種後2週間は要注意/BMJ

 新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)のmRNAワクチンは、2回接種により症候性感染と重症化に対する高い有効性が認められることが示された。ただし、1回接種の場合、とくに高齢者では接種直後は有効性が低かった。カナダ・ICESのHannah Chung氏らが、診断陰性例コントロール試験の結果、明らかにしたもので、結果を踏まえて著者は、「mRNAワクチンの症候性感染に対する効果は、1回接種では中程度であることから、とくに初回接種後最初の2週間(高齢者ではさらに長い期間)は効果がないこと、マスク着用や物理的距離、社会的な集まりを避けるなどの推奨されている公衆衛生対策を継続して行うべきであることを、人々に伝える必要がある」と指摘している。BMJ誌2021年8月20日号掲載の報告。