呼吸器科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:152

コロナパンデミックの2020年、各国の超過死亡は?/BMJ

 世界的な新型コロナウイルスの発生および感染拡大が見られた2020年。対コロナ施策や医療事情は国よって大きく異なるが、超過死亡の観点から分析するとどうなるのか。英国・オックスフォード大学ナフィールド人口保健局のNazrul Islam氏ら研究グループは、OECD加盟29ヵ国について2020年における超過死亡を調べたところ、米国、イタリア、英国、スペインなど26ヵ国で超過死亡の増加が見られた。これらの国の多くで、超過死亡の推定値がCOVID-19を死因として報告された死亡者数を大幅に上回っており、パンデミックが死亡率に与える影響を正確に判断するには超過死亡の評価が必要としている。BMJ誌2021年5月19日号掲載の報告。

中等症~重症喘息、3剤併用vs.2剤併用/JAMA

 中等症~重症の小児(6~18歳)および成人喘息患者において、吸入ステロイド薬(ICS)と長時間作用型β2刺激薬(LABA)に長時間作用型抗コリン薬(LAMA)を併用する3剤併用療法は、2剤併用療法(ICS+LABA)と比較して重度増悪の減少ならびに喘息コントロールの中等度改善と有意に関連し、QOLや死亡に差は認められなかった。カナダ・マックマスター大学のLisa H. Y. Kim氏らが、システマティックレビューとメタ解析の結果を報告した。中等症~重症の喘息患者に対する3剤併用療法の有益性と有害性は、これまで不明であった。JAMA誌オンライン版2021年5月19日号掲載の報告。

COVID-19診療の手引きの第5版を公開/厚生労働省

 5月26日、厚生労働省は「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)診療の手引き・第5版」を公開した。  同手引きは診療の手引き検討委員会が中心となって作成され、第1版は2020年3月17日に、第2版は5月18日に、第3版は9月4日に、第4版は12月4日に公表され、細かい改訂など随時最新の内容に更新している。  今回の改訂では、前版以降の知見の拡充を行い、とくに血栓対策の治療、投与すべきでない薬剤(ヒドロキシクロロキンなど)の記載、新しく追加承認されたバリシチニブの追加、ファビピラビルの観察研究結果の更新などが反映されている。

新型コロナワクチン、接種会場での各病院の工夫とは?

 メディカル・データ・ビジョン株式会社は自社の病院向け経営支援システムを導入している病院に対して、接種会場での工夫点について緊急調査を実施。その結果、病院ごとに予診票の事前記入の促し、院内導線やスペース確保などを工夫していることが明らかになった(5月20日付プレスリリース)。  同社はこの調査を5月14日~19日の期間にウェブで実施、21病院から回答を得た。ワクチン接種体制で困っている点や課題に感じた点を聞いた(複数回答可)ところ、予約管理(66.7%)が最も多く、次いで接種人材の確保・役割分担(57.1%)、院内での接種会場の確保(52.4%)、円滑に接種するための動線(47.6%)、受付・問診(42.9%)だった。

新型コロナ既感染者、1年後の抗体保有状況は?/横浜市立大

 横浜市立大学の山中 竹春氏(学術院医学群 臨床統計学)率いる研究グループは、「新型コロナウイルス感染12ヵ月後における従来株および変異株に対する抗ウイルス抗体および中和抗体の保有率に関する調査」の記者会見を5月20日に開催。回復者のほとんどが6ヵ月後、12ヵ月後も従来株に対する抗ウイルス抗体および中和抗体を保有していたことを報告した。  本調査は同大学が開発した「hiVNTシステム」を用いて、新型コロナウイルス感染症からの回復者(2020年2~4月に自然感染した既感染者で、研究への参加同意を取得)約250例を追跡した国内最大規模の研究である。2021年3月末までの期間に採血・データ解析を行い、感染から6ヵ月後と12ヵ月後の抗ウイルス抗体と中和抗体の保有率を確認した。従来株(D614G)ならびに変異株4種[イギリス株(B.1.1.7)、ブラジル株(P.1)、南アフリカ株(B.1.351)、インド株(B.1.617)]を調査した。中和抗体の測定はシュードウイルス法を用いて行われた。

デュルバルマブ+tremelimumab+化学療法の肺がん1次治療、全生存期間を延長(POSEIDON試験)/アストラゼネカ

 アストラゼネカは、2021年5月7日、POSEIDON試験における全生存期間(OS)の延長について発表した。POSEIDON試験は、Staげ IVの非小細胞肺がん(NSCLC)の1次治療として、デュルバルマブ(商品名:イミフィンジ)とプラチナ製剤を含む化学療法との併用療法、またはデュルバルマブ、抗CTLA-4抗体tremelimumabとプラチナ製剤を含む化学療法の併用療法を化学療法の単独療法と比較する第III相試験。  POSEIDON試験の最終解析から、化学療法の単独療法と比較して、デュルバルマブ、tremelimumabおよび化学療法の併用療法が、統計学的に有意かつ臨床的に意義のあるOSの延長を示したことが明らかとなった。それぞれの併用療法群は許容可能な安全性プロファイルを示し、安全性に関わる新たな懸念は特定されなかった。また、tremelimumabを加えた併用療法は、デュルバルマブと化学療法による併用療法とおおむね同様の安全性プロファイルを示し、tremelimumabを追加したことによる治療中止の増加はなかった。

非小細胞肺がん2次治療以降のnab-パクリタキセル、ドセタキセルに非劣性(J-AXEL)/JTO

 既治療の進行非小細胞肺がん(NSCLC)に対するnab-パクリタキセルの有効性と安全性を評価する無作為化非盲検非劣性第II相J-AXEL試験の結果が発表された。 ・対象:既治療(2レジメン以内)の進行NSCLC患者 ・試験群:nabパクリタキセル(n-PTX) ・対照群:ドセタキセル(DTX) ・評価項目: [主要評価項目]全生存期間(OS)非劣性検証 [副次評価項目]無増悪生存期間(PFS)、全奏効割合(ORR)、安全性、QOLなど

tezepelumab、コントロール不良の重症喘息患者に有効/NEJM

 コントロール不良の重症喘息成人/思春期患者の治療において、胸腺間質性リンパ球新生因子(TSLP)のヒト型モノクローナル抗体であるtezepelumabはプラセボと比較して、喘息の増悪が少なく、肺機能や喘息コントロール、健康関連QOLの改善効果が良好であることが、英国・Royal Brompton HospitalのAndrew Menzies-Gow氏らが実施した「NAVIGATOR試験」で示された。研究の成果は、NEJM誌2021年5月13日号で報告された。  本研究は、18ヵ国297施設が参加した二重盲検無作為化プラセボ対照第III相試験であり、2017年11月~2020年9月の期間に行われた(AstraZenecaとAmgenの助成による)。  対象は、年齢12~80歳で喘息と診断され、スクリーニングの12ヵ月以上前の期間に、中~高用量の吸入グルココルチコイドの投与を受け、インフォームドコンセントの3ヵ月以上前の期間に、経口グルココルチコイドの有無を問わず、少なくとも1剤の長期管理薬の投与を受けていた患者であった。

AZ社・モデルナ社の新型コロナワクチン、特例承認を取得

 アストラゼネカ社は5月21日、コロナウイルス(SARS-CoV-2)ワクチン「バキスゼブリア筋注」の製造販売について、日本国内における特例承認を取得したと発表した。SARS-CoV-2 ウイルスによる感染症の予防を適応とし、18 歳以上を対象とする。  英国・オックスフォード大学が主導する英国・ブラジル・南アフリカにおける第III相臨床試験の有効性および安全性に関する良好なデータと、国内第I/II相臨床試験結果を基に厚生労働省が同日、承認した。  PMDAは「バキスゼブリア筋注」について、成人には0.5mLを4~12週間の間隔をおいて2回筋肉内に接種することと定められており、最大の効果を得るためには8週以上の間隔をおいて接種することが望ましいと注意喚起している。この用法・用量は、臨床試験において良好な忍容性を示し、2回目接種後15日以降の症候性COVID-19を予防。COVID-19関連した重症例及び入院例も見られなかったという。

FDA、非小細胞肺がんにamivantamab-vmjwを迅速承認

 米国食品医薬品局(FDA)は、2021年5月21日、プラチナベース化学療法で疾患進行した局所進行または転移を有するEGFR exon 20変異陽性の非小細胞肺がん(NSCLC)に対し、EGFとMET受容体の二重特異性抗体amivantamab-vmjwを迅速承認。さらに、同剤のコンパニオン診断としてGuardant360 CDx(Guardant Health)を承認した。  今回の承認は、EGFR exon 20挿入変異を伴う局所進行または転移のあるNSCLCを対象とした多施設非無作為化非盲検マルチコホート臨床試験CHRYSALISに基づくもの。患者は、amivantamab-vmjwを週1回、4週間投与された後、疾患の進行または許容できない毒性が生じるまで2週間ごとに投与された。